09. 2014年5月23日 19:12:13
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タイ 軍主導の暫定政権に向け動き 5月23日 19時05分 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140523/n64550810000.htmlクーデターが宣言されたタイで、軍は23日、インラック前首相を含む政権側と反政府デモ隊側、双方の幹部を軍の施設に呼び寄せていて、軍主導の暫定政権づくりに向け双方の勢力を抑え込む動きと受け止められています。 反政府デモの長期化やインラック前首相の失職などで混乱が続くタイでは22日、プラユット陸軍司令官がクーデターを宣言するとともに、夜間外出禁止令や5人以上の集会の禁止などを相次いで発表し、統制を強めています。これまでのところ、市民生活に大きな混乱は出ていませんが、バンコク中心部の日本人が多く暮らす地区にあるスーパーには、大勢の人が訪れて食料や日用品を買い込む姿が見られました。一方、軍はインラック前首相とその親族や政権の閣僚、それに反政府デモ隊の幹部など合わせて155人に、軍の関連施設に出向くよう求めるとともに国外への出国を禁じ、軍主導の暫定政権づくりに向け双方の勢力を抑え込む動きと受け止められています。 インラック前首相は23日午前、この求めに応じてバンコクにある軍の施設に入りました。 インラック前首相の姿が確認されたのは今月7日、政府高官の人事を巡り、憲法裁判所から違憲判決を受けて失職に追い込まれて以来、初めてです。 その後、インラック前首相の動向は伝えられておらず、軍も前首相を呼び寄せた理由を明らかにしていませんが、政府関係者によりますと、クーデターについて抵抗する意思がないかどうかを確認したものとみられるということで、今後の軍の対応に注目が集まっています。 【日系スーパーでは買い込み】 クーデター宣言から一夜が明けた23日、バンコク中心部の日本人が多く暮らすスクンビット地区にある日系スーパーには、大勢の人が訪れて食料や日用品を買い込んでいました。 小学生の娘と一緒に訪れた女性は、「今後、どうなるかわからないので、米やトイレットペーパー、調味料などを買いました。学校生活を続けられるのか、帰国の際に空港はどうなっているのかなど気にかかっています」と話していました。 別の女性は、「日常生活には特に問題がないのでクーデターが起きているのが想像できないくらいです。ただ、何かあったときに備えて米や果物を多めに買いました」と話していました。また、ことし1月にバンコクにやってきたばかりという子ども連れの女性は、「初めてのことなのでどういう状況なのか、よく分かりません。早く日常に戻ってもらいたいです」と不安そうに話していました。 【日本人学校は臨海学校が中止に】 タイの首都バンコクにある日本人学校では、小学5年生の児童400人余りが泊まりがけで海での体験活動の「臨海学校」に出かけていましたが、軍が、すべての学校に対して23日から3日間、休校にするよう命じたことを受け、急きょ予定を切り上げて学校に戻りました。 児童たちは21日から2泊3日で中部ホアヒンでの「臨海学校」に行き、最終日の23日は、海辺での行事を予定していましたが、軍の命令を受け、急きょ、取りやめたということです。バンコクにある日本人学校には現地時間の23日昼過ぎ、大型バス12台が次々と到着し、バスを降りた子どもたちは、大きな旅行かばんを抱えながら、迎えに来た保護者と一緒に自宅へと帰っていきました。 男子児童の1人は、「めちゃくちゃ楽しみにしていたので途中で中止になって嫌でした。早く学校が再開してドッジボールがしたいです」と話していました。また、子どもを迎えに来た母親の1人は「きのう、学校の連絡網で子どもたちを早めに帰すという連絡がありました。子どもたちはとても楽しみにしていたので最後まで臨海学校を味わってほしかったけど、安全の方が大切なのでしかたないと思います。みんな元気に帰ってきたので安心しました」と話していました。 【タイ経済への影響は】 タイには、バンコク日本人商工会議所に登録している日系企業だけでも1500社余りあり、タイ全土ではおよそ4000社の日系企業が進出しているとみられ、日本にとっては、自動車産業をはじめ重要な製造拠点となっています。 しかし、反政府デモによる混乱で、タイの国家経済社会開発庁によりますと、ことし1月から3月までのGDPの伸び率は、去年の同じ時期と比べてマイナス0.6%と、3年前に起きた大規模な洪水の時以来のマイナス成長となりました。また、これまで3%から4%としていた、ことしのGDPの伸び率の見通しを1.5%から2.5%に下方修正していて、政治の混迷は、タイの経済にも大きな影響を及ぼしています。 今回のクーデターによって企業活動に影響が広がれば、経済の減速傾向がさらに強まるとの懸念も出ています。
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