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疑獄に発展か、「セウォル号」沈没事故…政治家、海運官僚、海洋警察、オーナー一家“ズブズブの癒着構造”明らかに
2014.5.22 産経新聞関西版
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/140522/waf14052207000002-n1.htm
韓国船「セウォル号」沈没事故をめぐり、船の運航会社と、政治家や海洋警察などとの「癒着」が問題化している。運航会社は過積載での運航を繰り返し、巨額の不当な利益を得ていたが、検察当局はこれらを含め、資金がオーナー一家に流れていたとみて捜査。地方自治体の元副知事が裏金作りに関与していたとして事情聴取した。さらに同社は、政府機関によって優秀な船会社に認定されていたが、この過程にも疑惑が浮上。船舶の安全検査を行う協会と海洋警察との癒着も発覚した。まるで松本清張の小説を思わせる疑惑の数々は、韓国社会の根幹を揺るがしている。
オーナー一家をかばう政治家たち
検察などの合同捜査本部は5月9日、過積載などの危険な運航をさせ、船の乗客多数を死なせたとして、業務上過失致死などの容疑で、清海鎮海運代表のキム・ハンシク容疑者(72)を逮捕した。さらに、同社の事実上の所有者とみられる兪炳彦セモグループ元会長(73)が経営に関与していた可能性が高いとみて、共犯に問えないかを検討しているという。
捜査本部によると、セウォル号は昨年3月の就航以来、241回の航海のうち139回も過積載をして、同社は29億5千万ウォン(約2億9千万円)もの不当な利益を得ていた。
東亜日報(電子版)などによると、捜査本部は兪氏の側近が関連企業の資金を不正に兪氏一家に支払っていたとの横領や背任疑惑も捜査しているといい、これらの疑惑に関し、捜査当局は全羅北道の蔡奎晶元副知事への事情聴取を行った。
副知事や市長を歴任…使えぬ救命艇でも検査パス「優秀船社」「物流発展大賞」
蔡氏は2001年〜06年6月の間に副知事のほか、益山市長などを歴任し、同社の関連会社代表に就任した。検察は、蔡氏に対し、数億ウォンもの資金が貸し出されていることなどに注目。蔡氏が兪氏への裏金作りに加担、政官界へのロビー活動も行っていたとみているという。
もっとも、こうした政治家は多数にいるとみられ、東亜日報は「兪氏をかばう元現職の政官官界の関係者が蔡氏だけだと思っている国民が果たして何人いるだろうか」と指摘している。
過積載を繰り返し、安全無視も……「優秀船社」「物流発展大賞」受賞
確かに、清海鎮海運の急成長をめぐっては、政治家、官僚らが不正に関与した可能性が極めて強い。
東亜日報によると、兪氏は1997年に、経営する海運会社を経営破綻させ、そのわずか2年後に、事業をほぼ受け継ぐ形で清海鎮海運を設立した。仁川〜済州間の旅客船運航を独占し、急成長を果たした。
だが、内実は、過積載を繰り返し、安全運航もデタラメ。にもかかわらず、政府機関の選ぶ「顧客満足度の優秀船社」に4度も名を連ね、仁川市に至っては、物流発展大賞まで贈っている。
しかも、海運業界と、海運にかかわる捜査や運航を監視する側とは“ズブズブな関係”にあったとみられる。
朝鮮日報や中央日報(いずれも電子版)によると、今回の事故を受けて海運汚職を捜査していた釜山地検は、船舶の安全検査を行う韓国船級協会に関する捜査情報を、海洋警察の担当者に流出させたとして、地検の捜査官を在宅起訴した。海洋警察の担当者から情報を受けた同協会は家宅捜索される直前に、パソコンから重要な資料を削除していたとされる。
使えぬ救命艇46隻、検査1時間で即「良好」…脱税も140億ウォン
同協会は政府の委託を受け、船舶の検査を行う団体。官僚が多数天下りしており、検査の杜撰さが指摘されている。
今回の事故でも、セウォル号は浸水すれば自動的に46隻の救命艇が下りて使用できる仕組みだったが、実際に使用できたのは1隻だけ。その検査を同協会は今年2月に実施したが、わずか1時間あまりの検査で「良好」と判定していた。
要するに、見逃したのだ。合同捜査本部は5月12日夜、セウォル号の救命装備の安全点検を怠った検査担当者を偽計業務妨害などの疑いで逮捕した。
中央日報は「検察は自分たちの腹を肥やす目的の兪氏一家の行動が、どれほど残酷な結果を招いたのかをひとつひとつ国民の前にみせなければならない」と指弾する一方で、こうも指摘している。
「国民の生命を海上の災難から救い出す能力も、決然たる意思もない海洋警察をこのまま放置するのは、国家の義務を破ることだろう」
写真家「アヘ」
ところで、疑惑の渦中にいる兪氏とはどんな人物なのか。
ロイター通信や中央日報(電子版)などによると、兪氏は1941年、京都に生まれ、戦後に韓国に戻った。兪氏の妻の父親が興したキリスト教系を自称する新興宗教の傘下団体で牧師として活動。87年にソウル近郊の工場で、教団の信徒32人が自殺した問題で事情聴取を受けたほか、92年には信徒の資産を流用したととして詐欺罪で懲役4年の判決を受け服役した。
兪氏率いる企業グループは90年代に拡大したとされる。さらに、ロイターによると、パリのルーブル美術館で開催された展覧会に「アヘ」という名前の写真家として活動したこともあるという。
脱税140億ウォン、そのまま政治家に献金…自分さえ良ければ、の韓国社会
ただ、「自分たちの腹を肥やす目的の行動」は凄(すさ)まじく、朝鮮日報は、兪氏を含む一家について、清海鎮海運など系列会社約10社が偽の損益計算書や二重帳簿を作成するというやり方で、約140億ウォン(約14億円)も脱税していたと報じている。
こうして得られたカネの一部のおこぼれを、無数の政治家や官僚らが授かっていたことは想像に難くない。
セウォル号の事故をめぐる背景にあるものは、まさに韓国社会を映し出す「鏡」だ。「自分さえよければいい」「他者を無理やり押しのけてでも自分が前に出る」といった社会の体質が、事故を契機に吹き出ている。しかも、そうした人たちは強き者やカネに擦り寄る一方で、一般市民や安全をないがしろにしている。吹き出た悪弊はとどまることがない。いつか社会が崩壊してしまうのではないかと思えるほどに。
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