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ベトナム衝突事件を仕掛けた中国の「黒幕」
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投稿者 機智 日時 2014 年 5 月 21 日 04:59:49: yU/IUd8cSA/vo
 


ベトナム衝突事件を仕掛けた中国の「黒幕」
WEDGE 2014年05月19日 石 平

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/3867?page=1

南シナ海での石油掘削をめぐる中越衝突が発生して以来、関係諸国の猛反発の中で中国の孤立化が目立ってきている。

タイミングが悪すぎる掘削開始の不可解さ

 たとえばケリー米国務長官は5月12日、両国の艦船の衝突について「中国の挑戦だ。この攻撃的な行動を深く懸念している」と中国を名指しで批判した。さらに5月16日、カーニー米大統領報道官は記者会見において、南シナ海での中国の一方的な行動は「挑発的だ」と改めて批判し、領有権争いをめぐるベトナムとの対立激化は中国側に原因があるとの考えを示した。これでアメリカは、中国とベトナムとの対立においてほぼ完全にベトナム側に立つことになったのである。

 もちろんアメリカだけでなく、南シナ海周辺諸国の中国に対する反発も強まってきている。

 5月10日から開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議は、中国とフィリピン、ベトナムなどが領有権を争う南シナ海問題をめぐり、関係国に自制を求める共同宣言を採択したが、首脳会議に先立つ外相会議では、南シナ海での緊張の高まりに「深刻な懸念」を表明する共同声明を発表した。ASEAN諸国が結束して中国をけん制する立場を示したといえる。

 それに対し、中国外交部の報道官は5月10日に談話を発表して反発した。ASEAN外相会議・首脳会議の共同宣言・声明は中国を名指しで批判したわけでもなく、「関係諸国の自制」を求めているはずであるが、唯一中国だけがそれに反発したのは、要するに中国自身も、上述の宣言と声明はまさに中国に矛先を向けているものであると分かっているからであろう。

 とにかくベトナムとの海上衝突の一件をもって、中国は米国から強くけん制されているだけでなく、東南アジア諸国から総スカンを食った結果となっている。外交的に見れば、それは中国にとって大いなる誤算と失敗であると言えよう。

 このような失敗はすべて、中国自らの行動が招いた結果である。事実関係を整理すると、ことの発端はまず5月初旬、中国側が問題海域での石油掘削を一方的に宣言し実施したことにある。それに対して、ベトナム側はまず外交ルートを通じて中国に抗議して掘削の中止を求めたが、中国側がそれを拒否して掘削を継続したことから、ベトナム船がこの海域に入って中国側の掘削を阻止する行動を取ると、中国船は逆に体当たりしてきて放水の応酬などの衝突事件に発展した。

混乱が観られる当局の対応

 このような経緯を見れば、今回の事件は中国側の一方的な行為が原因で起きたことがよく分かるが、ポイントは、中国側が一体どうしてこのようなタイミングでこのような問題を起こしたのか、ということである。

 より具体的に言えば、中国は一体なぜ、わざわざASEAN首脳会議開催の直前というタイミングを選んでこのような挑発的な行動に至ったのか、それこそが問題なのである。ASEAN諸国の結束を促して中国自身の孤立化を自ら招く、あまりにも愚かな行動である。

 5月13日付の英フィナンシャル・タイムズ紙も、「中国とベトナムの衝突、観測筋が首ひねるタイミング」と題する記事を掲載して、中国側がことを起こしたタイミングの悪さを指摘しているが、まさしくその通りである。

 したたかな中国がどうしてこのような初歩的なミスを犯してしまったのか。それがまず湧いてくる疑問の一つであるが、さらに不可解なのは、ベトナム船との衝突が世に知られた後の中国外交当局の対応である。

 5月7日、ベトナム政府は証拠の映像を公開し、中国側の船舶がベトナム船に意図的に衝突してきたと発表、中国側を強く批判した。それに対して8日、中国の程国平外務次官は「そもそも衝突していない」と言って、衝突という明らかな事実を頭から否定し問題から逃げるような姿勢を示している。

 しかし同日午後、同じ中国外務省の別の高官が急きょ会見し、「ベトナム側が大量の船を出し、170回以上中国側にぶつかってきた」と発表した。つまり中国側もこれをもって「衝突があった」ことを認めたが、それは結局先の「衝突していない」という外務次官の発言を、中国外務省自ら否定することになる。この二つの発言のあまりにも明々白々な矛盾は、中国政府自身の対応がかなり混乱していることを露呈している。

掘削を実施した「中国海洋石油総公司」とは?

 このような状況では、掘削の開始からベトナム船に体当たりで衝突するまでの中国側の一連の行動が果たして、中央指導部の指揮下におけるものであったのかどうか、という疑問が当然生じてくるのである。

 ASEAN首脳会議の直前という中国にとって悪すぎるタイミングから考えても、それが東南アジア諸国の対中国結束を固めることになる結果からしても、あるいは衝突直後の中国外務省の混乱した対応ぶりからしても、掘削の断行は中央指導部の統一意志の下で行われた戦略的・計画的な行為であるとはとても思えないのである。

だとすれば、今回の断行は、掘削を実施した部門の個別的判断によるものであろうという可能性も出てくる。それならば、その関係部門は何の目的のために、中国にとって大変不利なタイミングで大きなトラブルとなるような判断を行ったのか、という疑問が浮上してくる。そうなるとここではまず、掘削を断行した張本人の中国海洋石油総公司という巨大国有企業に目を転じてみるべきであろう。

石油閥の正体と激しい権力闘争

 ベトナムとの係争海域で今度の掘削を実施した中国海洋石油総公司。9万8000人以上の従業員を有するこの巨大企業は、中国国務院国有資産監督管理委員会直属の国有企業である。「国務院国有資産監督管理委員会」とは中央官庁の一つだが、おそらく中国政府は、採掘すべき石油資源は全部「国有資産」であるとの視点から、中国海洋石油総公司をこの中央官庁の直属下に置いたのであろう。

 それはともかくとして、実は去年の夏から、まさにこの国務院国有資産監督管理委員会において、驚天動地の腐敗摘発が行われていたのである。2013年9月1日に国営新華社が伝えたところによると、中国共産党中央規律検査委員会は、国務院国有資産監督管理委員会の蒋潔敏主任に対し「重大な規律違反」の疑いで調査を始めた、というのである。

 蒋氏は国有石油大手、中国石油天然気集団(CNPC)前会長で、2013年3月に国資委主任に転じたばかりだった。彼は共産党内では約200人しかいない中央委員も務めており、2012年11月の習指導部発足後、調査を受けた党幹部では最高位に当たる。

 このような立場の蒋氏に対する汚職調査は当然、習近平政権が進めている「腐敗撲滅運動」の重要なる一環であろうが、ここで注目されているのは、石油畑出身の蒋潔敏氏の背後にある、「石油閥」という共産党政権内の一大勢力のことである。

 中国でいう「石油閥」とは、蒋氏が会長を務めた中国石油天然気集団という巨大国有企業群を基盤にして中国の石油利権を一手に握る政治集団のことである。この政治集団の始祖は、1958年に中国の石油工業相に就任した余秋里氏である。

 中国の建国に貢献した「第一世代の革命家」の一人である余氏は建国の父である毛沢東からの信頼が厚く、58年に石油工業相に就任してから、中国最大の大慶油田の開発を仕切って「中国石油工業の父」と呼ばれるようになった。その後も中国経済を取り仕切る国家計画委員会(国計委)主任や国家エネルギー委員会(国エネ委)の主任などを歴任した。共産党内で隠然たる力をもつ石油閥の形成はまさにこの余秋里氏からはじまる。

 1999年に余氏が亡き後、彼の後を継いで石油閥の元締めとなったのは元国家副主席の曽慶紅氏である。2002年からは中国共産党政治局常務委員、03年から国家副主席を務めた曽慶紅氏は、元国家主席江沢民の懐刀として知られていて江沢民政権の要だった人物であるが、実はこの曽氏は江沢民の腹心となる以前、余秋里氏に仕えていた。

 余氏が国計委主任を務めた時に同委の弁公庁秘書となり、余氏が国エネ委に移ると、曽氏も同委弁公庁に異動した。そして余氏はその後も中央顧問委員会常務委員などを歴任して実権を握っていたため、曽氏は余氏の「ご恩顧下」で石油省や中国海洋石油総公司(CNOOC)で出世した。

 このような経歴から、余氏が死去した時、江沢民の腹心として政権の中枢にいる曽氏は当然、石油閥の次のボスとなった。そして曽氏自身が政治局常務委員・国家副主席となって権力の頂点に達すると、彼を中心にして石油閥は党内の一大勢力に伸し上がった。もちろん、石油閥総帥の曽氏は党内最大派閥の江沢民派(上海閥)の「番頭」的な存在でもあるから、石油閥はごく自然に江沢民派の傘下に入って江沢民勢力の一部となった。

 そのとき、石油閥の「若頭」として曽氏が抜擢してきたのが石油畑幹部の周永康氏である。周氏は中国の石油業界の「聖地」とされる大慶油田でキャリアをスタートして、その後、石油工業省次官、CNPC総経理、国土資源相などを歴任した。そして2002年に胡錦濤政権が発足するとき、政治局常務委員となった曽氏は周氏を政治局員に推挙した上で警察を司る公安部長に転任させた。2007年の共産党17回大会では、曽氏は自分の引退と引き換えにして周氏を政治局常務委員の地位に昇進させた。しかも政法部門(情報、治安、司法、検察、公安など)を統括する中央政法委員会書記という政治的に大変重要なポストに就かせた。

 これで江沢民派・石油閥の党内基盤は盤石なものとなって、胡錦濤政権時代を通して、この派閥の人々はまさに飛ぶ鳥を落とすほどの権勢を振る舞った。そしてその時、徐々に老衰していく江沢民氏にとってかわって、引退したはずの曽慶紅氏が江沢民派・石油閥の陰のボスとなり、現役の政治局常務委員の周永康氏は政権中枢における派閥の代弁者の役割を果たしていた。

「腐敗撲滅運動」を手段に

 しかし2012年11月に開かれた共産党18回大会において胡錦濤指導部が退陣して今の習近平指導部が誕生すると、石油閥はやがて受難の時代を迎えた。18回大会で誕生した7名からなる新しい政治局常務委員会に、江沢民派・石油閥は4名の大幹部を送り込んで習氏を取り囲むような形で勢力を固めた。あたかも新指導部が彼ら江沢民派・石油閥によって乗っ取られたかのような形勢であるが、それに不満を持つ習氏は今度、前総書記の胡錦涛氏の率いる「共産主義青年団派」と手を組んで、江沢民派・石油閥を叩き潰すための権力闘争を起こした。徹底的に潰さない限り、自前の政治勢力の拡大と自分自身の権威樹立は永遠に不可能であると習氏も分かっているからだ。

この権力闘争のために習氏の使用した手法がすなわち「腐敗撲滅運動」の推進である。石油利権という莫大な経済利権を手に入れてうまい汁を吸っているのは他ならぬ江沢民派・石油閥の面々であるから、彼らを倒すのに「腐敗の摘発」ほど有効な手段はない。そのために、習近平氏は自分の盟友である王岐山という経済部門出身の幹部を畑違いの中央規律検査委員会のトップに据えて、「腐敗撲滅」という名の権力闘争を始めた。

 前述の国務院国有資産監督管理委員会の元主任で石油畑出身の蒋潔敏に対する「汚職調査」は、まさに石油閥潰しの政治的摘発の一環であるが、習近平氏のターゲットは蒋潔敏のような「小物」ではない。石油閥大物幹部の周永康氏はまず標的にされていた。蒋潔敏氏に対する調査開始はむしろその前哨戦であったと見るべきだ。そして2013年12月から周永康氏の消息が断ったことから、その時点で彼は既に拘束されていてて取り調べを受ける身となったと思われる。今年の3月初旬に、一部の中国メデイアがいよいよ「周永康問題」について報道し始めたことから、彼に対する取り調べが進んでいる事実が白日の下に晒された。

反撃に打って出た石油閥 掘削事件の「黒幕」か

 しかしまさに今年の3月後半当たりから、習近平氏の石油閥叩き作戦が暗礁に乗り上げる様子となった。まずは周永康氏自身が、当局の調査に対し横領などの容疑を全面否定、協力を一切拒んでいることが4月になって複数の党関係筋によって明らかにされた。どうやら周氏は徹底抗戦の構えのようだ。彼がそれほど強気になっているのには当然それなりの理由がある。

 周氏に対する摘発が進んでいく中で、彼と同様に引退の身となった一部の長老たちはこのままでは自分たちの身も安全ではなくなると危惧し始めたことから、江沢民派・石油閥は反撃に打って出た。政治局常務委員会の中では石油閥の代弁者である筆頭副総理の張高麗氏や江沢民派重鎮の張徳江全人代委員長らが「摘発の行き過ぎが党の威信を傷つける恐れがある」との理由から、習近平・王岐山サイドの進める腐敗摘発=石油閥叩きにブレーキをかけ始めた模様である。

 そうすると、それまで順調に進んできた周永康摘発の動きが徐々に鈍くなってきた。前述のように、今年3月の時点で中国の一部メディアは既に「周永康に問題あり」とのような報道をしていたが、中国国内の一般常識からすれば、この問題に関するメディア報道の「解禁」は普通、摘発に関する政治的決着がすでにつけられていて正式発表が間近であることを意味している。

 しかしこの常識に反して、それ以来現在に至るまで、周永康摘発の正式発表は一切なく、摘発の進展を窺わせるような動きも一切なかった。「周永康問題」はとっくに全国民の知れるところとなっているのに、問題の決着がここまで先延ばされているとはまさに異常事態である。しかも、去年9月に「調査開始」と発表された蒋潔敏氏に関しても、現在に至って何の調査結果も発表されることなく、処分も決まっていない。それもやはり異様である。

こう見ていると、現在、江沢民派・石油閥は、習近平氏の叩き潰し作戦に対して必死の抵抗を試みている最中であることがよく分かるが、このようなタイミングで、中越間の衝突を起こした掘削の意味を考えてみると、一件無関係に見えるこの二つの動きの間に関連性があるのではないかと思いたくなるのである。

 そう、問題の海域で掘削を断行したのはまさに石油閥傘下の中国海洋石油総公司であり、その総公司の上位機関である国務院国有資産監督管理委員会の元主任はまさに石油閥主要幹部の蒋潔敏氏である。今はまさに、彼らが習近平氏の腐敗摘発によって追い込まれている立場であり、自分たちの権益と命を守るために最後の戦いを強いられている最中なのだ。

 その際、習近平氏に対する最も有力な反撃の一つとして、外交トラブルをわざと引き起こすことも選択肢の一つとして考えられる。何らかの外交的危機が発生した場合、中央国家安全委員会主席の習氏は責任を持ってそれを処理しなければならない。外交上のトラブルはすなわち習氏自身のトラブルなのである。

ただただ沈黙を守る習近平

 そうすると、浮上してくる可能性の一つは、石油閥の面々がASEAN首脳会議の直前というタイミングをわざと選んで、しかもベトナム側の猛反発を見込んだ上で係争の海域での掘削を断行した、ということである。

 そうすることによって習近平氏を外交的窮地に追い込んでその政治的権威を傷つけることができるだけでなく、いわば対外的危機を作り出すことによって「国内の一致団結」という大義名分において「腐敗摘発」の動きを食い止めることもできるからである。

 実際、石油閥のこの作戦はすでに一定の効果を上げていると見ることもできる。掘削の断行がベトナムとの衝突を引き起こし、地域における中国の外交的孤立化が進んでいることは前述の通りであるが、中国国内の動きとしてもう一つ不思議に思えるのが、この一連の事件発生以来の習国家主席の態度である。

 ほとんど信じられないようことであるが、中国国民がベトナムの反中暴動において殺されたという由々しき事態が発生したにもかかわらず、国家主席で国家安全委員会の主席でもある習氏はこの問題について、いっさい発言していないのである。少なくともこの原稿を書いている日本時間5月19日午前10時現在まで、習氏はただただ沈黙を守っているだけである。

 5月15日、ベトナムの暴動で中国人が殺されたその翌日、習近平氏は国家主席として「中国国際友好大会」というイベントに出席してまさに外交問題について「重要講話」を行ったが、その中で彼はベトナムとの衝突やベトナムでの反中暴動については一言も触れなかった。自国民が暴動で殺された直後に、何事もなかったかのように行われたこのような「重要講話」は、実に情けないものである。

 要するに習近平氏は進退両難の窮地に立たされているのであろう。ことを起こしたのは石油閥の陰謀であることを承知しているから、ベトナムに対して強く出れば中国にとっての外交的トラブルがますます大きくなり国家主席としての自分の対処はますます難しくなる。それはまさに江沢民派・石油閥の思うつぼである。

しかしあまりにも弱い姿勢を示すと、それが逆に国内から「弱腰」の批判を招くこととなる。そして「弱腰」への国内批判はそのまま、石油閥にとっての習近平攻撃の材料ともなる。どの道、嵌められた習近平氏は大変不利な状況になるから、結局彼のとれる唯一の対処法はすなわちこの問題についていっさい態度を表明せず、外交部門に任せて事態の推移を見守ることであろう。

 もちろん、何も発言しないこの態度は結局、習近平氏の無能さと決断力のなさを国民に晒し出す結果となるから、やはり習近平氏の負けである。

突然姿を現した曽慶紅

 窮地に立たされた習近平氏が立ち往生している最中、得意満面で公の場に姿を現したのは、石油閥の陰のボスの曽慶紅氏である。中国の一部メデイアが写真付きで報じたところによると、公職から引退して以来いっさい姿を現したことのない曽慶紅氏は5月14日に突如、江沢民派の古巣の上海に現れた。表向きの活動の内容はある美術館の参観であるが、共産党政治局委員・上海市共産党書記の韓正氏と江沢民氏の子息で上海科学技術大学校長の江綿恒氏が同伴しているから、どう見ても単なる個人的な参観ではない。見事な政治的行動である。

 それでは、とっくに引退してめったに姿を現すことのない曽慶紅氏が一体どうして、このようなタイミングで突如姿を現したのか、ということになると、本稿が今まで記述してきたこの経緯からすれば、彼の意図するところは明らかであろう。決戦に臨む江沢民派・石油閥に対する激励であると同時に、相手の習近平氏に対する容赦のない警告でもあろう。

 そして14日の曽慶紅氏の登場はまた、10日ほど前から始まった件の「掘削断行」の黒幕はまさに自分たち石油閥であると自供したようなものである。この堂々ぶりは、曽氏がすでに習近平氏に対する抗戦を覚悟していることが分かる。今後、江沢民派・石油閥と習近平国家主席との権力闘争はますます激しさを増していくことは予想できるであろう。

 

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コメント
 
01. 2014年5月21日 07:48:28 : rAZs4KvhOE
産軍複合体というより、企業の私兵なんだな。
いかにも伝統の支那らしい。

02. 2014年5月22日 01:11:47 : oK1tKNKhAg
今の中国は反日する前に国そのものが無かったのになに言うかな?
もっと歴史勉強したら?反日していいのは台湾ですよ。

03. 2014年5月22日 09:59:31 : nJF6kGWndY
アジアの急成長も、そろそろ翳るか

http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/40749
JBpress>海外>Financial Times [Financial Times]
ベトナムの暴動がグローバルな供給網に新たな打撃
2014年05月22日(Thu) Financial Times
(2014年5月21日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

ベトナム反中デモで危機に陥った米アジア戦略、分析
南シナ海で並走する中国海警局の公船とベトナム海上警察の巡視船〔AFPBB News〕

 これを「アジアの春」と呼ぶといい。中国とベトナムは南シナ海で危険な対立状態に入っている。中国の船はフィリピンの船に日常的に嫌がらせを行っており、フィリピン政府は中国政府を国際司法機関に提訴している。

 タイでは、「ソフトクーデター」が行われているとの見方もある中で陸軍が戒厳令を敷いた。さらに、これに負けてはならじと北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記は核実験の実施をほのめかしている。

尖閣諸島がニュースにならなくなるほど複雑化する安保環境

 東シナ海に浮かぶ尖閣諸島――日本が支配しているが、中国はこれを釣魚島と呼んで領有権を主張している――がニュースで取り上げられなくなったという事実は、アジアの安全保障環境がいかに複雑なものになったかを示している。中国の艦船やジェット機が日本側の決意を試していたあの島々は、2013年の大半の期間において、この地域で最も火の付きやすい場所だと見なされていたからだ。

 地政学的な緊張は、各国の政府を刺激する一方で、製造拠点としてのアジア諸国(ここではミッキーマウスのTシャツから「iPad(アイパッド)」、アディダスのスニーカーに至るまで何でも作っている)を頼りにしている多国籍企業にも難問を突きつけている。

 ベトナムでは先週、係争中のパラセル(西沙)諸島の近くに中国が石油掘削施設を設けたことに抗議するデモが起こり、多くの工場が襲撃を受けた。ところが、襲撃される前に操業を停止する工場が相次いだために、世界のサプライチェーンに及ぶ影響はさらに大きくなった。

 アップルの「iPhone(アイフォーン)」やiPadを製造している台湾の電子製品メーカー、鴻海精密工業は、予防的な措置として生産ラインを3日間止めた。また、ナイキやアディダスにも製品を供給している世界最大のスポーツシューズメーカー、裕元工業も操業を停止した。

 サプライチェーンにストレスが加わるのは今回が初めてではない。2011年に巨大な地震と津波が日本の東北地方を襲った時には、多くの人命が失われたことへのショックが和らいだ後、人々はサプライチェーンの脆弱さを思い知ることとなった。一般にはあまり知られていない企業が被災し、重要な電子部品を供給できなくなったのだ。

 このシナリオは同じ年に、電子部品や自動車部品のハブになっているタイが50年ぶりの大洪水に見舞われた時にも繰り返された。パソコンメーカーはハードディスクドライブ(HDD)の調達に奔走し、ホンダなどの自動車メーカーは世界的な減産を余儀なくされた。

 こうした天災や人災の発生を受けて、企業はより柔軟なサプライチェーン運営を強いられている。例えば小売大手のウォルマート・ストアーズは、50カ国から商品を調達しているためベトナムの抗議行動による影響はないと述べている。しかし、商品をどこで作るか、あるいはどこから調達するかを検討する際に、小売業者は「あちらを立てればこちらが立たず」というトレードオフにますます直面するようになっている。

 裕元工業はその好例だ。同社はベトナムで暴動が始まる何週間も前に、中国にある巨大工場を止めなければならなかった。4万人の従業員が、中国ではここ数十年で最大となるストライキに突入したからだった。同社はアディダス製品の生産をほかの工場に振り替えたものの、前述のようにベトナムで新たな問題に直面することとなった。

 裕元工業のストライキは、製造業者の前に大きく立ちはだかりつつある問題を浮き彫りにしてみせた。中国はもはや、製品を安価に作ることを可能にする「聖杯」ではない。この国では賃金水準が急速に上昇しており、労働者も抗議行動を起こすことを以前ほど厭(いと)わなくなっているのだ。

容易ではない中国からの生産移転

 中国での製造コストの急上昇を受け、一部の業種――特に労働集約的な繊維産業――では、バングラデシュなどほかの国への工場移転に拍車がかかっている。しかし昨年、バングラデシュの首都ダッカの郊外にある縫製工場「ラナ・プラザ」で火災により1000人以上の従業員が亡くなってからは、生産拠点の移転にも厳しい目が向けられるようになっている。カンボジアに着目した企業もあるが、ここでも賃金は上昇しつつあり、労働争議も珍しくない。

 国を支配していた軍事政権が軍服を脱ぎ捨てて民主主義に転換して以来、ミャンマーが――北朝鮮を除くと――安価な生産の最後の砦として歓迎されたが、大半の製造業者は、同国はまだ何年もひどいインフラによって足を引っ張られると見ている。

 世界の貿易と調達を追跡しているパンジバの創業者、ジョシュ・グリーン氏は、企業は中国がもう楽な選択肢ではなくなった世界で解決策を見つけるのに苦労していると指摘し、「素晴らしい代替策は多くは存在しない」と話している。

 ナレンドラ・モディ氏がインドの首相として官僚を屈服させることができれば、その時はもしかしたら、インドには国際的なサプライチェーンの中で重要な地位を確保するチャンスがあるのかもしれない。若い労働力の巨大なプールを考えると、これはインドが座るべき自然な場所だろう。

By Demetri Sevastopulo in Hong Kong

JBpress>海外>アジア [アジア]
ベトナムの「自制」はいつまで続くのか
終わりが見えない中国とベトナムの対峙
2014年05月22日(Thu) 松本 太
 中国海洋石油総公司(CNOOC)が設置した大型掘削設備「海洋石油(HD) 981」の周りで続く、中国海警局とベトナム海洋警察の衝突には、終わりが見えない。

 5月10日、11日にミャンマーで開催されたASEAN首脳会議でも、ズン・ベトナム首相は「ベトナムは極力自制し、あらゆる善意を示し、すべての対話チャネル、関係を用いて抗議し、プラットフォームや武装船、軍艦の即時撤退を求めているが、現在に至るまで中国はベトナムの正当な要求に応じないばかりか、ますます危険で深刻な違反行為を加速させている」と切々と訴えている。

 このままでは、CNOOCが示した試掘の期限である8月15日までは、現在の中越危機が継続することになるだろう。

 こうした衝突が続いている間にも、中国は自らが実効支配する南沙諸島のジョンソン南礁に何らかの構築物を造成するために、今年初頭から大量の土砂などを運び込んでいることまでが、フィリピン政府によって公表された。よりによって、このジョンソン南礁は、1988年にベトナムと中国が小規模な戦闘を行い、中国がベトナムから支配権を奪った場所なのである。

 ズン・ベトナム首相が急遽、フィリピン訪問を決めたのも当然であろう。

東シナ海における「防空識別圏」設定に匹敵

 今回の南シナ海における事態を、2013年11月の中国による東シナ海における防空識別圏の設定に例える国際的な論調もすでに見られている。つまり、国際法に合致しない形で、自らの意思を力で他国に押しつけることに対する、中国への強い批判である。

 つい2カ月ほど前に、ハノイでベトナム人有識者と筆者の間で、南シナ海でも防空識別圏はいつでも設定され得るので、厳重に警戒が必要であるという話題で意見が一致したばかりである。

 それにしても、多勢に無勢とはこのことを言うのかもしれない。なにしろ、当初、中国海警局を中心として86隻もの巡視船を繰り出してきたのに対して、応戦するベトナム側はわずか33隻の巡視船による対応である。そして、ベトナム巡視船1隻に最低2隻の中国巡視船が、多いときで4隻が張り付く。今や、中国側の船舶は軍艦4隻を含め、130隻を超えるという。

 中国側は5月5日には、HD981の周囲3海里を立ち入り禁止区域と一方的に宣言し、おまけに中国外交部の報道官は、この水域は中国の領海であると(国際法上の根拠の説明もないままに)堂々と明言している。

 ベトナムから見れば、今回の事態は、「ビン・ミン02号」「Viking 2号」の探査用ケーブル切断事件 (2011年5月、6月)、「三沙市」の設置(2012年6月)、毎年の一方的な漁業禁止命令、「海南省・中華人民共和国漁業法実施細則」の発効(2014年1月1日施行)に続く、ベトナム人が「東海」と呼ぶ南シナ海で、中国側が行ってきた一連のエスカレート行為の一環と位置づけられよう。

中国による政治的意図が剥き出しの試み

 そもそも、CNOOCの大型掘削装置HD981が掘削作業を行っている「北緯15度29分58秒、東経111度12分06秒」という海域は、ベトナムのリ・ソン島から約120海里にあるベトナムの排他的経済水域と大陸棚内に位置しているのに加えて、ベトナムがこれまで資源探査を行っているものの、あまり有望とは見なされてこなかった海域なのである。

 5月7日にハノイで行われた記者会見で、ペトロ・ベトナムのドー・ヴァン・ハウ(Do Van Hau)社長は次のように述べている。

 「質問:中国がプラットフォームを設置した場所は、商業的な潜在力があるのでしょうか? 中国にとっての開発の可能性、またベトナムにとってはどうでしょうか?

 ドー・ヴァン・ハウ氏:中国が違法にプラットフォームを設置した場所は、Tri Ton島(Hoang Sa諸島[パラセル諸島]に属する島)から南に30キロメートル、Ly Son島(Quang Ngai省)から東に約180海里の場所にあります。このエリアの水深は平均1000メートルほどです。

 このエリアの石油・ガスの可能性ですが、ベトナムは何度も調査しています。ベトナム共和国時代の1972年には、米国の企業に依頼して、地震探査を行っています。ペトロ・ベトナムの研究では、石油・ガスの可能性はまだしっかりと評価されていません。水深が深い地域ですので、掘削も行っていません。私たちは、この地域を掘削する設備を持っていません。石油開発は、もう少し浅い地域に集中しています。

 石油・ガスを開発するには様々な固定施設を建設し、さらに調査しなければならず、資金がより多く要求され、難しいものになります。ただ、近い将来この区域で開発が行えるようになるとは思っていません」

 (「ベトナムニュース The Watch」より)

 すなわち、この海域でわざわざ資源探査をしなければいけない理由は、政治的な意図を除けば、あまりないということになる。

 5月14日に訪米中の房峰輝中国人民解放軍総参謀長は、デンプシー統合参謀本部議長との記者会見において、中国は問題が生じないように、慎重に掘削の場所を選んでいるとまで丁寧に解説してくれている。

荒っぽい中国海警局のやり方

 ちなみに今回、中国海警局の巡視船は、通常の南シナ海を担当している南海艦隊所属の巡視船ばかりではなく、尖閣などを見ている東海艦隊や、北方領域を担当する北海艦隊の巡視船まで繰り出している。

 それに伴い、この騒動が始まって以降、尖閣諸島の周りを周遊していた東海艦隊の巡視船もその姿が一時消えたという。

 中国海警局の大型の巡視船による放水に小型のベトナム巡視船は必死に耐えているかのようだ。負傷者もベトナム巡視船に多数出ている。なにしろ、中国海警局の行動は荒っぽいのだ。自らより小さいベトナム巡視船に対して、後ろから体当たりするとは、プロフェッショナリズムを疑わせる。

 日本の海上保安官の中でも、本当のプロに聞くと、相手の船を特定の海域から効果的に追い出すやり方があるという。すなわち、相手の船首に1隻の船をあて、もう1隻を相手の反対側の船首にあてて、挟み撃ちにして、相手の方向を変えさせるという技法らしい。

 これは「挟撃」として知られているプロの技なのだ。こうした相手を傷つけない日本が得意とする手法は、残念ながらいまだ中国海警局では教えられていないのであろうか。中国の国内メディアが、今回ばかりはベトナムとの紛争の報道にずいぶん抑制的なのは、こうしたあまりに赤裸々な自らの姿を、自国の国民にはさらけ出したくないということなのだろうか。

 こうした状況を反映して5月11日にはベトナムのハノイとホーチミンという大都市ばかりではなく、フエやダナンなどの地方都市でも、反中デモが広がった。13〜14日にかけて、ベトナム南部のビンズオン省において、反中をスローガンにする1万9000人規模の暴徒が、台湾系や日系を含め漢字を掲げる工場になだれ込んだ。また、ベトナム中部のハティン省でも14日、台湾系企業などを対象にデモが衝突に発展し、中国人2名の死者と約140人の負傷者が出ている。

 こうしたベトナム人のナショナリズムの高まりは、残念ながらベトナム当局も予期できなかったに違いない。

予期された国際紛争

 実は、今回の事態には、まるで驚きがない。南シナ海で生じている軋轢の一つひとつを見続けてきた大方のプロから見れば、この2年程の間、きっといつかは起きるであろうと想定していた事態が、ようやく起きたということなのである。

 なぜなら、そもそも今から2年程前にCNOOCが発表した南シナ海の鉱区は、その相当部分がベトナムの資源開発会社であるペトロ・ベトナムが設定していた鉱区と重なっていたという事実があるのだ。

 2012年6月に中国が発表した対外開放鉱区は、極めて政治的な色彩の濃いものであった。中国により発表された9鉱区は、ベトナムの中部から南部沖合に設定され、それまでにベトナムが外国企業と契約を結んだ多くの鉱区と重なっていたのである。それらの総面積は16万平方キロメートル以上におよび、海域の水深は300〜4000メートルと大水深である。

 当時も、ベトナム側は、この海域はベトナムの排他的経済水域及び大陸棚に属しており、領有権争いのある場所ではないとして、中国側に入札中止を要求した。これに対して、中国外交部の報道官は、この入札は正常な企業活動で、中国の法律と国際慣例にも合致すると反論している。

 これらの9鉱区は、具体的にはペトロ・ベトナムが設定していたブロック128〜132及び145〜156までの計12鉱区と重なっており、例えば、2011年5月26日に、中国側がベトナムの探査船に対して、ケーブル切断などの妨害行動に出たのもブロック148であった。

 もちろん、今回、中国によって大型掘削装置HD981が設置された海域は、こうした鉱区の重なりがある場所からは少し離れており、むしろ西沙諸島に近い。

 従って、今回の中国の動きを深読みするならば、今後、ベトナムと中国との間で鉱区が重なり合う海域で探査や掘削を行おうとしている、ベトナムと組んでいる外国企業への牽制という意味合いも多分にあることは間違いない。

 例えば、ペトロ・ベトナムと契約を済ませている企業の中には、エクソンモービルという米国大手企業や、ロシアのGazprom、インドのONGCといった大手石油会社が含まれているのである。

独自技術による大水深海域の開発を急ぐ中国

 もう1つ、今回の事態が何ら突然のものでないことを示しているのは、今回、中国によって使用されているHD981と名付けられた大型深海掘削装置そのものの存在である。

 これは、CNOOCが誇る最新式の「セミサブリグ」と専門的に呼ばれる半潜水型の第6世代の掘削装置である。この装置は、2008年から建造が進められ、2012年から南シナ海で実際に実用化されている。最大掘削能力1万メートル、水深3000メートルの海底油田に対応する。

 これまで、中国による海洋資源開発は、浅い海から次第に深い海へとその海域を広げてきている。これに伴って、掘削装置も次第に進化を遂げているわけである。

 また、CNOOCは、深海油田の開発を推進するために、物理探査船「海洋石油720」と深海探査船「中国海洋708」を独自に建造しており、いずれもすでに稼働している。

 この点について、ベトナム外務省の南シナ海問題担当である国境委員会幹部、チャン・ズイ・ハイ(Tran Duy Hai)副主任は、次のように指摘している。

 「中国はこれまでに何度もこの地域で探査し、私たちが断固戦ったことで、中国は引き揚げています。中国が、外国業者のプラットフォームを雇って、ベトナム海上で探査掘削しようとしたこともありました。

 しかし私たちが断固戦い、外国業者に面会するなどしたため、掘削は行われませんでした。中国が、中国が製造したプラットフォームを用いて、ベトナムの大陸棚で掘削を行うのはこれが初めてです。

 何度も申し上げた通り、私たちは引き続き、あらゆる手段を用いて戦い、南シナ海の権利と利益を守ります。私たちは平和的な手段を用い、まずは交渉、協議を進めます」

(5月7日、ハノイでの共同記者会見)

 重要なのは、こうした独自技術の成熟の結果、今後、中国は、深海においても積極的に掘削作業を行える能力を獲得したということである。これは、軍事面ばかりではなく、資源調査や掘削といった面でも、中国が地域のゲームのルールを変えていくことを意味している。

中国はなぜベトナム「叩き」に集中するのか?

 それでは、中国は、なぜこのタイミングで、それもベトナムを狙ったのだろうか。

 日本との間では、この数カ月間に、日中間のハイレベルの政治コンタクトが再開され、4月下旬のオバマ大統領訪日の際にも、日米安全保障条約第5条が日本に適用されることが大統領によって明言されており、また、フィリピンでは、先般、オバマ大統領が訪比した際に、事実上の新軍事協定が締結されているのである。

 そうすると、残るベトナムは、中国にとってちょうどよい相手として残る。米国の同盟国でもなく、自力で安全保障を確保しようという国は少ない。

 こうなると、2013年10月に李克強首相がハノイを訪問し、周辺諸国に対する善隣外交の一環として、ベトナムとの間での資源の共同開発の可能性についても意見交換されたなどという「麗しき過去」に拘泥する必要もなくなるというわけだろうか。

 今改めて、私たちは、こうした中国の意図をよく見極める必要がある。

 なぜなら、中国が時に応じて選んだ相手に対して、自らの意思を力によって押しつけるという、いわゆる「あつらえた強制(tailored coercion)」や「サラミ戦術(salami tactics)」を取っているのであれば、地域全体として団結し、ことにあたる以外に方策はなくなるからだ。

 ASEAN首脳会議でも、ズン・ベトナム首相は、このような難局にあたり、東南アジア諸国の一体性と団結の重要性を改めて求めたが、それは日本にもあてはまる。すなわち、ベトナム沖で現在発生しているクライシスは、日本にとって全く他人事ではない。

 そもそも、今回、ベトナム沖において石油掘削にあたっている中国海洋石油総公司(CNOOC)は、東シナ海において資源開発を行っている同じ当事者である。

 また、CNOOCは国土資源部の配下にあり、日本風に言えば、事実上の中国政府の天下り機関と考えてもよい。その幹部は、同社のホームページを見ても分かるように、共産党幹部なのである。例えば、CNOOCが江沢民の側近である曽慶紅元国家副主席の強い影響下にあったことはよく知られている事実である。

ベトナムの自制はいつまで続くのか

 5月6日の記者会見で、ベトナム海洋警察司令部のゴ・ゴック・トゥ(Ngo Ngoc Thu)副司令官は、「中国船の妨害にベトナム当局は耐え、自制している。しかし我慢にも限界があり、中国が故意にベトナム船への体当たりを続けるなら、報復に我々も自衛行動を取る」と述べている。

 しかし、ベトナムの自制はいつまで続くのだろうか。

 このゴールデンウイークの間に、現実の南シナ海を想像しながら筆者が読んだもう1冊の近未来小説は、この点ですこぶる示唆的であった(1冊目の本は前回のコラム「現役CIA分析官が小説で描く台湾海峡危機」を参照)。米国海軍出身のラリー・ボンドが書いた『中国軍を阻止せよ!』は、近未来の中国とアジア諸国の潜水艦戦争の物語である。

 いみじくもこの小説は、ベトナムのキロ級潜水艦が、中国の空母「遼寧」に向けて隠密裏に魚雷を発射し、ついに中国と、「沿岸同盟」として団結したアジア諸国との間で戦争が始まるという筋書きであった。今回のような現実の事態を見ると、小説の筋書きもまんざら荒唐無稽と切り捨てるわけにもいかなくなる。

 中国はベトナムの我慢をくれぐれも誤解しない方がよい。ベトナムのナショナリズムは、中国のそれよりも若くて、勢いがよいのだから(例えば、中国の平均年齢が36.7歳であるのに対して、ベトナムの平均年齢は29.2歳である(“The World Factbook”、CENTRAL INTELLIGENCE AGENCY)。ベトナムという「小国」のナショナリズムが、過度に刺激されれば、現実が空想を追い抜くのは時間の問題となろう。

 今後の地域の動向を占うには、5月21日からマニラで始まった東アジア経済フォーラムの際に予定されている、アキノ・フィリピン大統領とズン・ベトナム首相、そしてユドヨノ・インドネシア大統領との会談結果に注目するとよいだろう。

 最近、南シナ海の端にインドネシアが領有するナツナ諸島に、インドネシア政府がついにAH-64Eアパッチ攻撃ヘリの配置を決定したことは、これまで中立的な立場をとってきたインドネシアの警戒心もが急速に高まっていることの証左と見てよい。

 結局、中国がベトナムを叩けば叩くほど、自然に東南アジア主要国の警戒心を高め、前述の小説に描かれたような同盟へと向かう可能性が高まってくるに違いない。

(本稿は筆者個人の見解である)


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