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自立した労働者の登場に連帯を ウクライナ オデッサ事件に対する左翼反対派の声明  インターナショナル・ビューポイント
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投稿者 ダイナモ 日時 2014 年 5 月 23 日 08:15:53: mY9T/8MdR98ug
 

独立した社会運動のために!
自由なウクライナのために!

 五月二日、黒海に面するウクライナの有名な、また若き日のトロツキーが左翼活動を始めた港町のオデッサで、親マイダン派と反マイダン派が衝突し、数十人の死者を出すという悲劇が起きた。東部におけるウクライナ暫定政府による反テロ作戦開始も含め、ウクライナでの内戦という憶測は、今や可能性というレベルを超えた重大な懸念を呼ぶ地点に達しようとしている。国際的影響も非常に大きいこの事態に対し、ウクライナの左翼勢力から声明が出されている。以下に紹介する。この声明のIV掲載に際しては編集部による「左翼反対派によるこの声明は、ウクライナ語から英訳されウェブサイト『オブザーバー・ウクライナ』に五月七日掲載された」とのことわりが付記されている。(「かけはし」編集部)


民族を二分する
内戦の瀬戸際に

五月二日のオデッサ民衆の大量殺害は、いかなる点でも正当化不可能だ。社会主義派連合の「左翼反対派」は、両陣営で死傷した人々が誰であれ、彼らの多数に対して使われた力は明確に、自衛のために必要とされた行使の程度すべてを超えていた、と確信している。これらのできごとに対しては、すべての関係者が参加する調査を行い、煽動者と殺害者を個人として明らかにすることが必要だ。それらの者たちは、おそらく、という程度以上に衝突の両陣営にいた。
われわれは現時点で、これらの殺人に責任のある者たち、その組織やグループの名を上げることはできない。しかしながらわれわれは、このオデッサの虐殺がはらむ政治的結末を知ることはでき、また、それに政治的責任を負う者たちの中には、左翼政治組織がいることを見ずに済ますことはできない。
一片の疑いもなくこの暴力はまず第一に、人々を完全に意識的に殺害した、そして暴力を伴う民族主義的病的興奮を社会に勢いづけるために、死傷者の血を利用しようと試みた、そのようなウルトラ民族主義者と排外主義者によって組織され方向付けられた。彼らのめざす社会は、彼らの考え方に沿って、「民族の敵」に対し「民族を動員」すべきものなのだ。それは実際、彼らが夢見るナチ独裁、つまり流血と民衆に対する脅迫を通してのみ確立され得る体制、それを達成するおそらく唯一の道だ。
これは、ウクライナにいるロシア人がすべてのウクライナ人の中にバンデラ主義者(西ウクライナのウクライナ民族主義運動指導者だったステパン・バンデラに由来する:訳者)の殺人者を見るのならば、その一方でウクライナ人がすべてのロシア人の中に潜在的な「ロシア軍諜報機関の破壊工作員」を見るならば、その時にのみあり得るものとなるだろう。不幸なことだがわれわれは、これがそれを超えれば本当に起き得る境界まで、まさにギリギリまで近づくことになってしまった。


ウクライナ国家
が最優先課題か

しかしながら五月二日のオデッサでバリケードの両側に現れた人々の中には、左翼諸組織の活動家たちが含まれていた。しかし彼らはほんの一年前、平和的に集会を行う自由への諸制限に反対する、また奴隷化的労働法令の導入に反対する抗議行動では、それを共にする一部を形成していたのだ。
「ボロトバ(闘争)」連合の活動家たちは、「オデッサ・ドゥルチナ(オデッサ防衛隊)」の右翼排外主義者に率いられた側に姿を現した。別のところでは、アナーキストと反ファシストたちが、実際は彼らの敵、特に右翼のサッカー過激ファンによって指揮されていた行動に参加した。この後者の集団は、敵に対する特別な残忍さによって自身を際立たせていた。
左翼諸組織は、独立した、別個の労働者階級の綱領を押し出すことができなかった。大衆運動の指導権をとることができなかったことについては何も言わないとしても、それらは、民族主義的スローガンの下での兄弟殺し的暴力から距離をとることもなく、また多くの人々をそこから何とか後退させることすらしなかった。これらの左翼は最後には、近頃ではほとんど完全に現代の社会・経済秩序から始まりつつも、それをある種の民族主義的主題に変えてしまう、そうした総体的に大規模な運動に対する無批判的支持という落とし穴にはまった。
その時点でオデッサの抗議行動参加者にとっては、結論的正義として、ウクライナ国家が存続できる能力あるいは無能力が、不幸なことだが、あらゆる民族性をもつウクライナ労働者階級の労働者の諸権利よりも大きな重みをもっている。ウクライナとロシアで権力から資本家新興財閥を取り除く戦略に代わって、ウクライナ国家の創出は「誤解」だったのかあるいは「歴史的失策」だったのか、に関する現在進行中の論争がある。


東部の武装急進
派には民衆不在

東部と中央部のウクライナにある大工場の労働者は全般的に大衆的抗議運動に参加してはいないが、それは少しも驚きではない。反マイダンと親マイダンの諸行動は概して参加者が少なく、それらは、今年一月と二月のユーロマイダン期間中の一〇万人に上る強力なキエフの決起とはまったく比べものにならない。スロビャンスク(ドネツク州)においてすら、武装急進派は、冒険主義者の小集団にとどまっている。彼らはそこでは権力を確保したが、明らかに、まったく論理的に政府の反テロ作戦の犠牲者とはなりたくないと思っている当地の住民を脅迫することによってのみ、その権力を今も保持し続けている。
スロビャンスク住民の多数が「一つの分割不可能なもの(ロシアのこと:英訳者)」を再興するという君主制論者の理念を、そしてそれはドネツク人民共和国「最高司令官」のロシア当局者であるステレルコフ・ヒルキンによって公然と宣言されたのだが、それを支持しているかどうかはまったくのところ大いに疑問だ。同時に、彼らがスロビャンスクでのステレルコフの「ちっぽけな緑服の男たち」も、どのような他の兵士たちも見たくないと思っていることもはっきりしている。結局のところ彼らは、反テロ作戦の戦闘継続が人が現に住む町の住宅地で遅かれ早かれ始まるということ、彼ら――平和な当地の住民たち――が苦しみを受ける最初の者になるということを、唯一十分すぎるほどに理解している。
スロビャンスクとクラマトルスクの労働者は全体として検問には参加していず、毎日チェックポイントを通って自動車で仕事に通い続けている。ここではゼネストの問題は提起すらされてこなかった。当地の下層の犯罪的ギャングと愚かしくも郷愁でソ連邦に思い焦がれている老人たちが、「スロビャンスク軍事独裁」の主な支持者だ。


労働者、自身の
マイダン形成へ

同時に、大衆的な組織された労働者運動はウクライナに疑いもなく存在している。それは、「ティツシュキ(当局と雇用主が雇ったならず者:英訳者)」による当地のマイダンを襲撃する試みに際し、その市内での暴力のエスカレーションを鉱山労働者の自衛部隊が阻止した時に、クリビイ市で姿を現した。労働者たちは、リビウ州のチェルボノフラードでも自身を見えるものとした。そこでは彼らが政治の進行に介入し、さらに事実上、当地の発電所、つまり新興財閥のリナト・アクメトフが掌握している発電所を国有化した。
労働者運動は、ルガンスク州のクラスノドンではもっと強力に自身を明らかにした。鉱山労働者はここでのゼネストを通して市を彼らの統制下に置いた。重要なこととして彼らは、ルガンスクの分離主義「反マイダン」と連携することを望まず、キエフマイダンの新興財閥ブルジョア指導者への支持を明らかにすることもなかった。
彼らは、社会的公正を求めるスローガンとこれらのスローガンを実現する真剣な意志に基づいて武装した、キエフマイダンとは異なる、労働者の、彼ら自身のマイダンを形成した。労働者は、賃金の引き上げだけではなく、鉱山の補助的労働の外部委託を取りやめることをも要求していた。こうしてそれは、狭い経済的ストライキだったのではなく、様々な職能を持つ労働者間の連帯の必要を提起した運動、市全体をその支配下に置くだけの十分な強さをもった運動だった。
さらにその行動の中では暴力はまったくなかった。一人の死傷者も、犠牲者もいなかった! 市の掌握には、たった一発の銃撃も必要としなかっただけではなく、気乗りのしない抵抗を示す者すらもいなかった。


最後のチャンス
握る労働者運動

理解できることだが、全国規模で組織された労働者運動はまだ非常に弱い。真に活動的で階級意識のある労働者の組合は、鉱業の二、三のセンターに集中している。しかしながら、排外主義の病的興奮を静め、大量の死傷者を避けることを可能としている事例が、労働者が衝突に実体的に介入しているところのみだ、というのもまた事実だ。
実際、今日のウクライナ国家の生き残り、そしてまさにわれわれの眼前で広がろうとしている内戦の阻止にとっては、独立した階級的労働者運動の政治領域への登場が、おそらく最後のチャンスとして残っている。
ウクライナ国家分割のシナリオがもし現実のものとなるならば、暴力の爆発と大量の死傷者をわれわれが避けることはできないだろう。それと共に、衝突は、階級的特性のまったくない、国家間、民族間という特性をさらにさらに帯びることとなるだろう。
ユーゴスラビアでの戦争がまだほんの始まりだったとき、極右勢力もまた極めて弱体で周辺化されていた。それらには、顕微鏡的支持率としてヤロシュ(極右の右翼セクターの指導者:訳者)やティアニュボク(スヴォボダ党の指導者:訳者)が今もつ以上の社会内部の支持は、まったくなかった。しかしながら、セルビアとクロアチアのナチは、戦争突入から一年も経たないうちに、ユーゴスラビアの政治舞台で優勢を占め始め、自身を大きな大衆組織へと変えた。
ルガンスク、ドネツク、リビウ、またドニプロペトロフスク地域の鉱山労働者が彼らの合同した努力によってこの戦争を止めることがもしできなければ、われわれすべては戦争という肉挽き機に引きずり込まれることになるだろう。そのような事態では、ウクライナの左翼運動は今後何年も本当に破壊されることになるだろう。それがロシアで生き残るかどうかも疑わしい。
クラスノドンとクリビイ市の労働者はみなさんの連帯と支持を必要としている! クラスノドンのストライキはまだ終わっていないが、交渉の中で保留されているに過ぎない。鉱山労働者はクリブジュ市で、彼らの諸要求が満たされない場合に向けストライキも準備中だ。

その下に彼らが決起している旗が何であれ、排外主義者を支持するな!
独立し統一した労働者のウクライナのために!
独立した労働者運動と社会運動のために!
(「インターナショナルビューポイント」二〇一四年五月号)


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コメント
 
01. 母系社会 2014年5月25日 01:11:46 : Xfgr7Fh//h.LU : HTagDSzXbQ

●ウクライナ第一の経済・財政危機

この著者が主張するように、新興財閥こそがウクライナの経済的危機の元凶であり、新興財閥から、国家資産を国民が取り戻すのが、ウクライナの経済的危機を根本から解決する唯一の道である。

現在のウクライナには、旧世代の新興財閥が支配するキエフ政権と東部の親ロシア派政権、それに反ロシアという志向性=ネオ・ナチ性をキエフ政権の諸政党と共有する右派セクター、更にロシアに逃げた前大統領派である新世代の新興財閥派と、この著者が賞賛するリビウ州などの労働者運動の5つの政治勢力があることになる。

確かに、民族対立がウクライナ第一の経済・財政危機の原因ではなく、新興財閥(政商)が牛耳る腐敗した政財界が原因である。だから、新興財閥に反対するこの労働者運動が正しいのは間違いない。

●マイダン革命の暴走(ロシア語の公用語廃止)とその反作用で生まれた第二の危機

しかし、親EU派が勝利したマイダン革命は暴走し、<ロシア語の公用語廃止>というタブーを犯して、政権のネオ・ナチ性を顕在化させた。当然だが、その反作用が起きてロシア民族を離反させ、ウクライナには第二の国家分裂=内戦の危機が発生した。これは、キエフ政権と右翼セクターの「ネオ・ナチ」コンビによる少数民族たるロシア民族迫害の危機が発生したからである。この著者は、このウクライナ第二の危機が発生した必然的経緯を軽視して、ドンバスの親ロシア派政権はロシアの傀儡政権とか、「ギャング」と「老人」の暴走・郷愁的妄想とかに問題を矮小化し、親ロシア派=悪という構図で事態を捉えている。

ウクライナ民族には、帝政ロシア時代以来の両民族の同化政策や、旧ソ連時代の民族浄化説(ホロドモール)の浸透、そして、ロシア人知識人も含めた西欧への羨望の念などにより、反ロシア・親EUの人々が多い。独立後のウクライナの学者には、ファシストのステパン・バンデラを愛国者と肯定的に考える人も珍しくない。オレンジ革命で大統領になった西欧派のユシチェンコも、「ホロドモール」を否定する人を罰する法律制定を志向し、ステパン・バンデラをウクライナの英雄として認定、記念切手も作ったという。

また、現キエフ政権の中心政党「祖国」の党首ティモシェンコは電話での会話で、「ロシア人たちをリーダーともども殺す時が来た」、「ロシアには焼け野原も残さない」、「彼らは核兵器で殺されるに違いない」と実際に発言したと認めているウルトラ反ロシア主義者である。現在のウクライナ民族は、約800年ぶりに本格的独立を果たしたと思っている人が多いので、ナショナリズムが異常に増進している。特に、独立後の民族主義教育を受けた若者ほど右傾化し、右翼セクターはほとんど若者の集団である。

●右翼セクタ―

こうした情勢から、多くのウクライナ民族にとって右翼セクタ―は、我々が考えるほど異常な団体でもない。しかし、ウクライナ民族は反ロシアであっても、親EUの人が多いので、EUも拒否する右翼セクタ―は政党としては支持されてはいない。

しかし、一方で右翼セクタ―は、ウクライナ民族にとっては多大な犠牲を払って腐敗した前大統領を失脚させたキエフ革命の立役者=英雄だという評価を得た。(しかし、革命後の傍若無人な振る舞いにより徐々に評価を下げ、懸念する人々も増えているはずである。不思議なことに、右翼セクタ―の幹部の証言によると、右翼セクタ―のメンバーは、マイダンの銃撃戦ではほとんど死者を出していない。射殺されたのは右翼セクタ―以外の活動家と治安部隊員)

キエフ政権の主流派にとって右翼セクタ―は、反ロシアで一致している。それで、右翼セクタ―のメンバーがキエフ政権に入閣し、国家親衛隊にも右翼セクタ―の私兵が採用された。キエフ政権が本質的に反「ネオ・ナチ」なら、右翼セクターの私兵を治安部隊に入れるはずがない。ネズミが猫を用心棒に雇うようなものだから。

●親ロシア派が蜂起しなくても、右翼セクタ―は復讐のために東部に乗り込んできたはずである。

ウクライナの政情は特殊過ぎ、我々の常識は通用しない。行動右翼である右翼セクタ―の次の狙いは、マイダンで犠牲になった100名前後の「報復」であり、東部に乗り込み、与党であった地域党や共産党を潰そうとするのは必然。

しかし、東部のロシア民族には、<ロシア語の公用語廃止>という同化政策=民族浄化を企てた現与党は、議会内右翼セクタ―のようなもので全く当てにできない。そして、幹部は腐敗していても、地域党や民族共産主義的な共産党自体はロシア民族の代弁者でもある。

旧与党が壊滅させられたらロシア民族の代弁者がいなくなるが、それがロシア民族の発言権を奪う右翼セクターの狙い。また、将来、再び現与党は<ロシア語の公用語廃止>を決めるかもしれない。

それで、自己防衛=「人民共和国」の樹立しか対応策が無くなり、蜂起したのだろう。要するに、著者がいう東部の「ギャング」と「老人」は、ロシア民族主義を煽っているのではなく、逆に、迫害されることを恐れて団結しようとしているだけなのである。だから、著者が親ロシア派の蜂起を批判するなら、別の案を提起し、共同して対処すべきだ。

つまり、親ロシア派が蜂起しなくとも、反ロシア・反共主義の右翼セクタ―は武装して東部に乗り込み、地域党や共産党組織を破壊しようとしたはず。そして、旧与党の次の目標は、ウクライナ民族主義に冷淡な著者が賞賛する労働者運動になるはずであるが、著者が自分自身の心配をしていないのが不思議である。

●第四インター=本質主義=実体主義的左翼の限界

このような見方は、著者自体が無意識的な反ロシア派だからではないか。つまり、家族を軽視する個人主義=近代主義派であり、本質主義=実体主義的左翼=第四インター系左派だからだろう。前近代の大家族を嫌悪し、個人主義的な核家族を理想とする家族観は妄想でしかない。核家族では、子供と老人の世話が不可能である。

核家族でも大家族的紐帯を重視する文化が、東アジア、インド、西アジア、ロシア、南米、アフリカなどの伝統的な共通の家族観であり、こうした家族観、人間観を根本とする思想は、米・英を中心に蔓延るプロテスタンティズム的な極端な個人主義と対立してきた。個人主義的個人を基盤とする経済思想である資本主義は、人類に多大な貢献をしたのだが、共にその役割は終わったのである。

これからは、夜間労働とか単身赴任とかの家族の紐帯を破壊する労働は極小化し、技術開発による生産性向上を、生産量の増大ではなく、労働時間の短縮のために活用する経済システムへ、移行しなければならない。

家族、特に子供と老人を最も大切にする大家族的な、家族間の紐帯を破壊しない経済体制へと転換しなければならない。核家族では老人介護は不可能であり、少子化で人口減も起こす資本主義は、大家族的な家族間の紐帯を破壊して家族を核家族にし、子供と老人を犠牲にする経済体制である。

口では家族が大切と言いつつ、資本主義を擁護してきた自民党などの保守政党は、日本の家族を破壊してきた家族の敵であり、日本の社会を、子供が親を殺したり、親が子供を殺す社会にし、子供までもが「うつ病」になる末期的な状態にしてしまったので、日本の敵なのである。


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