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第67回カンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)で上映された『Silvered Water, Syria Self-Portrait』の会場で、感情を隠しきれない様子のウィアム・シマブ・ベディルハン(Wiam Simav Bedirxan)さんと肩を抱くオサマ・モハメド(Ossama Mohammed)監督(2014年5月16日撮影)。(c)AFP/AMMAR ABD RABBO
【5月22日 AFP】シリア中部、かつて反体制派が掌握し政府軍による包囲が長く続いていたホムス(Homs)の惨状を一人の女性が撮影し、それをシリアからフランスに亡命している監督が1本の作品にまとめた映画『Silvered Water, Syria Self-Portrait、(銀色の水、シリアの自画像の意)』が、第67回カンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)で上映された。
映像を撮影したドキュメンタリー映像作家のウィアム・シマブ・ベディルハン(Wiam Simav Bedirxan)さんと、オサマ・モハメド(Ossama Mohammed)監督の2人は、同映画祭での本作上映数時間前に初対面を果たしたばかりだった。
2011年に仏パリ(Paris)に亡命したが、それ以降は「運良く生き延びてしまった」との罪の意識にさいなまれていたシリア・ラタキア(Latakia)出身のモハメド監督と、いったんは逃げ出したホムスの家族の元にビデオカメラを携えて戻ったベディルハンさん。2人の出会いはお互いの人生にとってのターニングポイントとなった。
過去にカンヌ映画祭に2度出品経験があるモハメド監督はAFPの取材に対し、ホムスのベディルハンさんからある日突然連絡があり、もし監督が自分の立場に置かれていたらどうするかと尋ねられたことを明らかにし、このベディルハン氏からの連絡によって「助けられた」と述べた。
「当時私は苦しんでいた。ダマスカス(Damascus)からパリにやってきて、助かったという感覚はあったかもしれない。だが私の心は助かってなどいなかった。本当に助けてくれたのはシマブだった」(モハメド監督)
最初の連絡を受けてから数か月間、ベディルハンさんはインターネットを通じてモハメド監督に映像を送り続けた。監督はその映像と電子メールでやり取りする内容を基に、作品の制作に取り掛かった。
■ベディルハンさんが切り取った「シリアの自画像」
映画の中でベディルハンさんは、ホムスの自宅アパートに戻った時のことを振り返り、そこに「今の自分の残像」と「ネコのように泣いている年老いた父」を見たと語る。
ベディルハンさんは連日街に出て、バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領に対するデモの様子を撮影した。映像には銃撃と遺体ばかりが写っていた。政府軍から離脱した兵士から、拷問と殺りくの動画を入手したこともあった。
ある日ベディルハンさんの暮らす地区に兵士らがやって来て、住民に大声で退去を命じた。「彼(父)に別れを告げ、私は脇目もふらず走った。一度でも振り返れば殺されていたでしょう。私は母が倒れるのを見た。彼女は立ち上がらなかった」
■「シリア国民に声を与えたい」
モハメド監督は、ベディルハンさんから電子メールで次から次へと送られてくる映像に、不安を抱きながらものめり込んでいく自分に気が付いた。その映像を通して、自分自身が反体制派運動に加わる「仮想のルート」を、ベディルハンさんが開いてくれたのだと感じ、今度はどんな映像が届くのかと日々待ちわびるようになったという。
同監督は、シリア内戦ほど、プロのジャーナリストよりも一般市民が多数の衝撃的な映像に収めた紛争はないのではないかと指摘する。そしてアサド政権は、シリアの人々が個々に語る物語を破棄したいはずだとしながら、自分の映画がそのような人々に声を与えることになるという使命感で制作に取り組んできたと語っている。
カンヌでの作品上映当日、惜しみない拍手とスタンディングオベーションで来場者から迎えられたベディルハンさんは、内に秘めた感情をこらえきれず思わず両手で顔を覆い、すぐそばに立つ監督から肩を抱かれていた。(c)AFP/Helen ROWE
http://www.afpbb.com/articles/-/3015604
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