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ウクライナ東部の親ロシア派は12日、2州で実施した事実上の独立を問う住民投票で「9割前後が賛成した」と述べた。投票では多くの不正行為が目撃されたが、親ロシア派は、ウクライナ政府との対決姿勢を強め、25日の大統領選をボイコットする構えだ。ロシアは、住民投票の「意思の尊重」を要求。欧米との対立がさらに深まっている。
■記入済み10万枚発見、二重投票も
「投票率74・87%、賛成89・70%、反対は10・19%……」
親ロシア派が占拠中のドネツク州の建物で12日、「ドネツク人民共和国」暫定政府代表を名乗るデニス・プシーリン氏らが会見。早々と住民投票の「最終結果」を発表した。プシーリン氏は住民投票の結果によって「自決権が確認された」と勝利宣言。ウクライナ政府が25日に予定する大統領選に言及し、「ここでは行われない」と明言した。
ただ、最終結果発表の際、「選挙管理委員長」を名乗るロマン・リャギン氏は口頭で「無効票は0・74%」とつけ加えた。記者団から全票の合計が100%を超えると指摘されると、「それは本当ではない」と受け流そうとする場面も。
隣のルガンスク州でも親ロシア派幹部が会見で「賛成が96%に上った」と発表。大統領選は「行われない」と強調した。
親ロシア派幹部らは「圧倒的賛成」を強調するが、投票について不正行為が繰り返されていた、という目撃証言が相次いでいる。
米CNNは11日の投票終了直後、ドネツク市内の一つの投票所で数人が2回ずつ投票しているのを記者が目撃したと報じた。ウクライナ東部の週刊紙「プロゴロド」のイーゴル・アベゾフ編集長は「知人が『家族5人分の身分証明書を持って行き、全員分投票した』と証言した」と話す。
朝日新聞記者は、ルガンスク州の州都中心部の劇場に設けられた投票所で、ドネツク州に住民登録された男性が投票を許されるのを目撃した。
ウクライナ軍は11日の投票開始直後、ドネツク州マリウポリ近くの検問所で2人組の乗用車から新しい投票用紙10万枚を見つけたという。すべて「賛成」に印がつけられていたという。
多くの投票所は照合用の有権者名簿を持っておらず、住民は身分証明書を示し名前を書き込むだけで用紙を受け取れた。「身分証明書がなくても投票できた」と話す女性もいた。
投票用紙はコピー機で刷っただけの簡素なもの。ドネツク州の住民投票の「コーディネーター」と称する親ロシア派幹部のボリス・リトビノフ氏は「選管スタッフの署名がなければ無効」と話していたが、どの投票所でも用紙に押印や署名、通し番号はなかった。
それでも、親ロシア派は事実上の独立への「圧倒的多数」の支持を盾に、2州に設立したとする「人民共和国」の国家化を図る構えだ。
(マリウポリ=石田博士 ルガンスク=松尾一郎 ドネツク=喜田尚)
■ロシアは結果受け入れ 欧州「信用性ゼロ」
ロシアは親ロシア派による住民投票を受け入れる姿勢だ。ロシア大統領府は12日、「結果は、現政権との対話を通じて実現されるべきだ」と指摘した。投票は公正だったという見解だ。ロシアのラブロフ外相は「反政権派を参加させないまま危機の打開策を話し合っても何も得られない」と親ロシア派を話し合いの当事者として認めるよう、働きかけを強める構えだ。
ウクライナ政府は、住民投票自体が「違法行為」だとする一方、対話の必要性については認めている。14日にはすべての地方から「全政治勢力、社会団体」を招いて「円卓会議」を開く計画だ。ただ、親ロシア派は排除する方針。ロシアが反発するのは必至で、今後、円卓会議にだれを参加させるかが焦点になりそうだ。
一方、欧州各国はロシアへの非難を強めている。欧州連合(EU)は12日、定例の外相理事会を開いた。会合前、ヘイグ英外相は「(住民投票の)企ては信用性ゼロだ」と批判した。
外相理事会では、ロシアへの制裁拡大を決めた。資産凍結などの個人の制裁対象者を新たに13人追加。また、初の企業制裁に踏み切り、クリミアの2企業への資産凍結措置を決めた。
各国が重視するのは、25日のウクライナ大統領選への影響だ。東部の親ロシア派が大統領選をボイコットする構えをみせ、混乱は必至だ。ロシアに3割超のエネルギーを依存し、経済制裁には慎重とされるシュタインマイヤー独外相も12日、「大統領選が尊重されない場合、経済制裁を考えなければならない」と述べた。EU外相理事会も12日の共同声明で、大統領選が妨害されれば、追加制裁を発動することを示唆した。
(モスクワ=駒木明義、ブリュッセル=吉田美智子)
■親ロ派「編入検討を」 ドネツク
ドネツク州で親ロシア派が設立したとする「ドネツク人民共和国」暫定政府代表を名乗るデニス・プシーリン氏は12日、「ロシアに対し、共和国の編入を検討するよう求める」と宣言した。
同氏は記者会見し、同共和国が「住民投票の結果、主権国家になった」とし、代表者としてロシアに編入を要請する考えを示した。
11日の住民投票は「共和国に国家的な自立」を認めるか尋ねたが、ロシア編入には言及していなかった。
ロシアは3月に併合を宣言したウクライナ南部のクリミア半島とは異なり「東部は併合する考えはない」と、これまでは否定してきている。ロシア政府が宣言にどう反応するかは不透明だ。
(ドネツク=松尾一郎)
http://www.asahi.com/articles/DA3S11131737.html
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