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ウクライナ東部で親ロシア派が強行した住民投票と、3月に南部クリミア半島で行われた住民投票を比べると、ロシアの対応は大きく異なる。クリミア住民投票を全面的に支持したのと違い、今回はプーチン大統領が投票延期を呼び掛けて距離を置いた。
地政学的条件や人口構成を考慮し、ウクライナ東部はクリミアと同じロシアへの編入ではなく、分離独立の動きを活発化させることがロシアにとって好都合と判断したとみられる。
▽戦略の要衝
旧ソ連時代の1954年にウクライナ領に帰属変更されるまでロシア領だったクリミアは、黒海艦隊の拠点としてロシアにとって戦略上譲れない場所だ。
今年2月の政変後、ウクライナが親欧米路線に転じたことで、北大西洋条約機構(NATO)の脅威が目前に迫った。その芽を早期に摘むためにも、ロシアはクリミア編入を急いだといえる。
他方、ウクライナ東部はロシアと歴史的なつながりが深いだけでなく、工業地帯として経済的な結び付きも強いものの、仮に編入すればロシアの財政負担は増大する。
むしろ東部住民の中央政府への不信と敵意を利用し、東部への影響力を保つことでウクライナを不安定な状態に置き、欧米に対する巨大な緩衝地帯として確保することに価値を見いだしているとの指摘がある。
今回の住民投票は、設問もクリミア住民投票の際の「ロシア編入の是非」と違ってあいまいで、一部住民の動きにとどまっているようだ。
背景には@親ロシア派住民間で目標が「ロシア編入」「中央からの独立」「自治権拡大」と割れているA東部にロシア語話者は多いが、ロシア系住民は多数派でないBロシアの関与が限定的―などの理由があるとみられる。
6割を占めるロシア系住民を中心に「ロシアとの再統合」を求める世論を形成し、ロシアが軍を投入してシナリオ通りに編入を実行したクリミアとは対照的だ。
▽東部は石炭豊富
ウクライナの東部は石炭など豊富な資源を有することでも知られ、今後もロシアとの距離をめぐって揺れ動けば、ウクライナ新政権のエネルギー政策を危機に陥れる可能性もはらむ。
ロシアがウクライナ向け天然ガスの値上げや供給停止を警告する中、これに対抗する構えを見せるウクライナの政権側は、代替エネルギー源の一つとして東部の石炭に期待を寄せている。また東部はシェールガスも埋蔵しているとされる。
ウクライナは現在、ロシアからの天然ガスに大きく依存。米誌アトランティック(電子版)などによると、ウクライナはクリミア半島でエネルギー源の多様化を目指して風力などの開発を進めていたが、3月のロシアによるクリミア編入でこの目標は遠のいた。
親ロ派を中心とした東部住民の不満を解消させることができなければ、政権が描く新たなエネルギー計画が宙に浮く公算が大きい。
東部ドネツクの炭鉱関係者によると、石炭の採掘量を増やすためには「設備更新や新しい炭鉱の開発などの投資が必要」だという。(モスクワ、ドネツク共同=仲井大祐、岡田隆司)
(共同通信)
http://www.47news.jp/47topics/e/253364.php
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