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ウクライナ東部で庁舎占拠を続ける親ロシア派がドネツク、ルガンスク2州で実施に踏み切った住民投票。正式な行政機関が関与しないことから、ずさんさが目立つ。だが、親ロシア派が勢いづくのは確実で、ウクライナにさらなる混乱をもたらす可能性がある。▼1面参照
人口120万の大都市ドネツク市内の各投票所には午前8時から、多くの人が投票に訪れた。
「ドネツク技術学校」に設けられた投票所では、係員が投票者が示したパスポートと有権者名簿を照合しながら、投票用紙を渡していた。縫製会社に勤めるタマラ・ニコラエワさん(58)は「キエフの政府は多額の支援のために国を欧米に売り渡した。私たちはロシアと仲良くなる」と話した。
投票所は、親ロシア派が設立したとする「ドネツク共和国」選挙管理委員会からの依頼で選ばれた「地区委員会」の人々によって運営されていた。
ただ、今回の住民投票の法的な有効性はなさそうだ。ウクライナで住民投票が認められているのは全国レベルだけ。今回の親ロシア派による住民投票は州議会の決議も経ていない。クリミア半島で3月におこなわれた住民投票では、ロシア軍と見られる武装部隊に占拠されていたとはいえ、議会が実施を決めていた。
親ロシア派によると、住民投票で使われた有権者名簿は2012年の議会選のものをもとに作り、そこにその後18歳になった人の名を加えたものという。
ただ、その有権者名簿を持っている投票所は一部にとどまっている模様だ。アルチョム・アルチョメンコ「地区委員会」副代表(58)は「我々は有権者名簿など渡されていない」と話した。
住民投票には選挙監視団も参加していない。
ドネツク市内の投票所には、どこも武装した親ロシア派兵士が警備についた。
ドネツク州の南部に位置するマリウポリ。住民投票直前に軍が親ロシア派勢力の制圧作戦を展開し、多数の死者が出た場所だ。投票所の行政庁舎前には、多くの人が列をなしていた。
だが、正当性は極めて疑わしい。有権者名簿はなく、有権者は身分証明書を見せて投票用紙を受け取っていた。一人ずつの記入台はなく、投票の秘密は守られていなかった。投票用紙には選管職員の署名や押印はなく、偽造は容易と思われる。投票箱に使われていたのは段ボール箱だった。
ルガンスク州では「中央選挙管理委員長」のアレクサンドル・マリヒン氏が中間発表で、有権者数や投票所数を明らかにしないまま、「11日正午時点で(有権者の)65%が投票した」と説明。広報担当者によると、予定の投票所の8割が開かれたが、「ウクライナ治安当局の脅し」で残り2割は開かれなかったという。市役所庁舎に設けられた事務所では正午の時点でも、A4のコピー用紙に印刷した投票用紙を手動の裁断機で切り分ける作業が続いている状態だった。(ドネツク=喜田尚、マリウポリ=石田博士、ルガンスク=松尾一郎)
■米欧 大統領選への影響懸念
今回の住民投票のあと、ウクライナ情勢はどう動くのか。
親ロシア派は今回の住民投票の結果を、開票後に発表する。「多数の賛成を得られた」とアピールするのは確実とみられ、これをテコにウクライナ政府への対決姿勢をさらに強めそうだ。
ただ、ウクライナ東部の親ロシア派は「すぐに独立し、ロシアに併合される」ことを求めているわけではない。今回の住民投票でも「国家的な自立」の是非を問いながら、「独立」という言葉はあえて使わなかった。背後には、国際的に「ウクライナ東部の併合の意図」を否定し、ウクライナへの連邦制導入を主張するロシアに歩調を合わせる思惑がありそうだ。
ウクライナ政府は、東部の住民投票には、「そもそも法的根拠がない」という立場だ。住民投票の結果が出ても無視し、課題とされる地方分権を自らが主導権を握って進める考えだ。
それでも親ロシア派が投票結果を利用して「住民の支持」を盾に東部での影響力拡大を図るのは確実だ。ウクライナ東部への政府の統治はさらに及ばなくなり、不安定な状態が長期化するおそれがある。
ロシアは、東部の住民投票とは一貫して距離を置いてきた。プーチン大統領は国内対話すべきだとして住民投票の延期を呼びかけた後は沈黙している。3月のクリミア半島での住民投票には選挙監視団を派遣したロシア上下院も今回、監視団派遣を見合わせた。
だが住民投票で「東部の自立」を支持する意見が多数を占めれば、憲法改革が必要だというロシアの主張の正しさが投票で示されたと主張するとみられる。
次の焦点である25日のウクライナ大統領選をめぐる駆け引きはすでに始まっている。
ロシアのラブロフ外相は8日から9日にかけて、ケリー米国務長官やファビウス仏外相らと相次いで電話で意見交換。「住民に対する武力行使が止められなければ大統領選は無意味なものになる」と強調した。
米欧は大統領選への影響を懸念している。住民投票を通じ、親ロシア派が東部の行政機能の一部を担うようになると、大統領選を妨害されかねないからだ。
オバマ米政権は、ウクライナ東部であった住民投票でどんな結果が出ようと、受け入れない方針。大統領選への悪影響を抑えることを、最優先にしていることが背景だ。オバマ大統領とドイツのメルケル首相は2日に会談した後、「ロシアが大統領選を妨害したら、さらに厳しい制裁を科す」と明言した。(モスクワ=駒木明義、ワシントン=奥寺淳)
http://www.asahi.com/articles/DA3S11130130.html
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だから言ったろ。 茶番だって。
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