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ウクライナ東部では、親ロシア派の主導で、ウクライナからの独立を視野に入れた自治権の拡大の賛否を問う住民投票が続いており、投票に反対する暫定政権との対立が一段と先鋭化し、混乱の拡大や新たな衝突が懸念されています。
ウクライナ東部のドネツクとルガンスクの2つの州で、現地時間の11日午前8時(日本時間の11日午後2時)、政府庁舎などの占拠を続ける親ロシア派が主導して、自治権の拡大の賛否を問う住民投票が始まりました。
このうちドネツク州では、全体で2500ある投票所のうちおよそ1500か所で投票が行われているということで、州の中心都市ドネツクでは朝からロシア系住民が次々と訪れ、1票を投じていました。
投票は、親ロシア派が樹立を宣言した「人民共和国」に関し、「自立することを支持するかどうか」賛否を問うもので、ウクライナからの独立を意味するものかどうかあいまいな内容となっています。投票を終えた女性の1人は、「独立を目指して賛成票を投じた」と話す一方、別の男性は、「ウクライナにとどまり、自由を手に入れるため投票した」と話していました。
現地では、ドネツク州北部のスラビャンスクで11日朝方にかけて、親ロシア派と軍の部隊との間で新たな武力衝突が起きるなど、緊迫した状況が続いています。
投票は日本時間の12日未明まで行われ、親ロシア派は開票後、住民の支持を受けたとして、一方的に勝利宣言をする構えを見せています。
しかし、暫定政権や欧米は「住民投票は法的根拠がない」として、その結果を認めないとしており、双方の対立が一段と先鋭化し、混乱の拡大や新たな衝突が懸念されています。
距離を置く市民からは冷ややかな声も
住民投票について、州庁舎や治安機関の建物などの占拠を続ける親ロシア派の過激な行動に距離を置く市民からは、冷ややかな声も上がっています。
このうちドネツクの54歳の女性は、「投票には行かない。ウクライナにとどまったままヨーロッパの一部になるべきだ。ウクライナであり続け、ロシアは必要ない」と話していました。
また60代の男性は、「住民投票には正当性がない。ロシアから命令されたり、お金が出たりしていると思う」と話していました。
米「混乱と亀裂もたらすだけ」
住民投票について、アメリカ国務省のサキ報道官は10日、声明を発表し、「武装した分離主義者が計画している住民投票は、ウクライナの法律に違反し、さらなる混乱と亀裂をもたらすだけだ」と非難しました。
そのうえで、「もし投票が実施されれば、国際法に違反し、ウクライナの領土保全を損なうことになる」として、アメリカとして住民投票の結果は認めないという考えを改めて強調しました。
声明ではさらに「プーチン大統領が投票の延期を求めたものの、その後ロシアが投票をやめさせるために影響力を行使しなかったことに失望している」として、ロシアを批判しました。
そして、国際社会が支援すべきなのは今月25日に予定されているウクライナの大統領選挙だとして、ロシアがこれを妨害した場合は制裁を強化すると改めて警告しました。
ウクライナ東部のこれまでの動き
ウクライナ東部では、ことし2月下旬にヤヌコービッチ政権が崩壊して、民族主義派の影響力が強い暫定政権が発足したのをきっかけに、親ロシア派の住民が暫定政権に対して、自治権の拡大を求めるデモを続けてきました。
状況が緊迫化したのは先月6日。東部の中心都市ドネツクをはじめ、ルガンスク、ハリコフの3つの都市で、親ロシア派の住民が州政府庁舎や治安機関の建物に押し寄せ、そのまま占拠します。
ドネツクでは、州政府庁舎を占拠した親ロシア派が「人民共和国」の樹立を宣言。
自治権の拡大を問う住民投票を今月11日に行うと発表しました。これに対し暫定政権は、建物から退去しなければ強制排除を行うと警告するとともに、ヤツェニューク首相がドネツクに入り、地方分権を進める意向や、ウクライナ全土での住民投票に向けて法整備を進める考えを示し、親ロシア派に譲歩する姿勢を示しました。
しかし、その翌日、親ロシア派の武装集団がドネツクからおよそ100キロ離れたスラビャンスクで、警察署や治安機関を新たに襲って武器を奪い、町を管理下に置きます。
武装集団はスラビャンスクのほかに10以上の市や町で建物を占拠し、混乱はさらに拡大します。
暫定政権側は武装集団の背後にロシアがいると非難し、軍を派遣して強制排除に乗り出しますが、武装集団の反撃を受けて難航。
事態が緊迫するなか、先月17日、ジュネーブでアメリカ、ロシア、EU=ヨーロッパ連合、ウクライナの4者が協議を行い、武装集団に対し、武装解除や占拠している建物からの退去を求めることで合意しました。
しかし、その後も暫定政権と武装集団の衝突は続き、4者の合意は事実上破綻します。
衝突は南部のオデッサにも広がり、40人以上が死亡するなど混迷が続くなか、ロシアのプーチン大統領は7日、親ロシア派に対して住民投票を延期するよう要請しました。
しかし親ロシア派はこれに従わず、予定どおり11日にドネツクとルガンスクの2つの州で住民投票を強行することを決めました。
世論調査では半数が「独立に反対」
親ロシア派が住民投票を行っているウクライナ東部の2つの州は、ロシア系住民の割合が全体のおよそ4割に上りますが、事前の世論調査では、半数以上の人がウクライナから独立してロシアの一部となることに反対しています。2001年のウクライナの国勢調査によりますと、親ロシア派が住民投票を行っている東部の2つの州のロシア系住民の割合は、ドネツク州で38.2%、ルガンスク州で39%と、およそ4割に上っていて、ロシアが一方的に編入を宣言したクリミアに続いて、割合が大きくなっています。
ウクライナの研究機関が事前に行った世論調査では、ウクライナから独立し、ロシアの一部となることについて、ドネツク州では、「賛成」または「どちらかと言えば賛成」と答えた人が27.5%だった一方で、「反対」または「どちらかと言えば反対」と答えた人が52.2%。
ルガンスク州では「賛成」または「どちらかと言えば賛成」が30.3%だったのに対し、「反対」または「どちらかと言えば反対」が51.9%と、いずれも反対が過半数に達しています。
ウクライナ東部では、ドネツク州を中心に、過激な傾向を強める親ロシア派や武装集団に対して、市民の間で冷ややかな見方が広がっているとされており、世論調査の結果はこうした見方を裏付ける形になっています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140511/t10014366731000.html
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独立か否かなのか、連邦化なのか否か、何に投票しているのか分らない住民投票。 決められない親ロシア派も混迷を深めている。
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