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株式日記と経済展望
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海洋国の覇権の優位性が近年失われつつある最大の要因は、軍事技術
特にミサイルとそれらを指揮統制する能力の飛躍的な発達である。
2014年5月7日 水曜日
◆中国とロシアを強気にさせる必然的理由 海洋国の覇権の優位性喪失と大陸国の優位性の高まり 5月7日 矢野義昭
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40607
中国は、日本に対して法的にも歴史的にも根拠のない尖閣諸島に対する領有権を主張し、近海に公船を出すなど強硬策をとり続けている。他方でロシアは、クリミアを軍事力の威圧を背景に事実上併合し、東ウクライナでは親露派が台頭し混乱が深まっている。
中露両国は大陸国である。なぜ両国は強気なのか、その背景には地政学的要因がある。
1 軍事技術的要因: ミサイルの飛躍的な発達
海洋国の覇権の優位性が近年失われつつある最大の要因は、軍事技術特にミサイルとそれらを指揮統制する能力(指揮・通信・統制・コンピューター・情報・警戒監視・偵察能力: C4ISR)の飛躍的な発達である。
近代の海洋法秩序における領海概念は、長らく沿岸から3海里内とされてきたが、そのもともとの起こりは、18世紀末にイタリアのアズーニが、当時の砲の射程を基礎として3海里説を唱え、この説が国際社会において一般的に採用されるようになったことに由来している。
この領海3海里説が一般に採用されるようになった背景には、沿岸国の陸上に配備された火砲の威力圏の及ぶ範囲内が、領海の実効支配を可能にするものと、広くみなされたことがあると見られる。
しかし、21世紀に入り飛躍的にミサイルの射程と精度、さらにミサイルの攻撃目標を探知しそれに各種のミサイルを効果的に誘導する指揮統制能力が発達したことにより、海上の海軍艦艇に対して直接威力を及ぼし得る範囲は、すでに数千海里に達している。
しかも、地上配備のミサイルの多くが、地下基地に配備され、車両などに積載されて移動が可能になっている。そのため、地上配備のミサイルは発見も、先制攻撃による制圧も、攻撃に対する報復も困難な、いわゆる「非脆弱」な目標になっている。
他方の特に水上の艦艇は空母すら、防空能力を超える多数のミサイルの集中による飽和攻撃を回避することは困難となり、「脆弱」になっている。
例えば、中国の射程約1450キロメートルの「DF-21D」は、通常弾頭だが空母を直接攻撃する能力を持っており、射程内に米空母が接近するのを効果的に阻止・遅延させることができると米国はみている。
米国国防省は『中華人民共和国における軍事力と安全保障の発展2013』でも、「中国のA2/AD戦略は、西太平洋を含む、その周辺に対する接近を制限しあるいは統制することに焦点が合わされているように見られる。中国の現在と将来の戦力構造の改善により、人民解放軍は敵対国の水上艦艇と、中国沿岸から1千海里までの範囲での交戦が可能になるであろう」と評価している。
このように、中国の各種のミサイル戦力により、西太平洋における主に中国沿岸から1千海里以内の海域での米海軍艦艇の行動の自由が脅かされつつある。しかも、その圏内に日本列島は南西諸島も含めて、取り込まれている。
2 人文地理的要因: 大洋で隔離された海洋国と地続きの大陸国
米中の国土面積は世界の全陸地面積の6.5%を占めており、ほぼ同等である。しかしその位置については、米中間には、日本など東アジアの米同盟国から見れば、大きな地理的非対称性が存在する。
米国と日韓台は太平洋により隔てられているが、中国の中心部と日本とは約2000キロの距離しかない。このため、米軍が東アジアの同盟国に軍事力により支援するには、太平洋を越えて米本土との間に長距離の兵站線を維持しなければならない。
また例えば、韓国を支援するためには、米軍は在日米軍基地など同盟国の基地使用が必要になる。これに対して中国は、国内の基地群と兵站線のみに依存して、周辺国に対して戦力を投射することができる。しかもその距離は、数千キロ以内にとどまる。
このことは、これらの非対称性により、海軍国米国が、大陸国の周辺に位置する国に対する大陸国の軍事的介入に対して、迅速かつ効果的に軍事力によって対抗することにも、軍事介入を抑止するために必要な兵力を展開維持することにも、膨大なコストが必要となることを意味している。
このような海洋国側の弱点は、欧州の米同盟国とウラル以西のロシア中心部との地理的関係においても同様のことが言える。
ロシアの周辺国に対しては、このような非対称性はさらに顕著になる。このことは、ロシアの周辺国であるグルジアや、ウクライナのクリミア半島への侵攻に際しても、NATO(北大西洋条約機構)側が有効な軍事的対抗策を採れなかったことにも表れている。(後略)
(私のコメント)
グルジア紛争やウクライナ問題でアメリカやNATOが手も足も出せなかったのは、地政学的な問題であり、大艦隊は黒海には入れないから軍事的な対抗が出来なかった。クリミア半島にロシア軍が展開しても、アメリカやNATO軍は対抗手段がない。アメリカのような海洋国家が軍事力を行使できるのは外洋に面した国に限られる。
アフガニスタンでアメリカ軍やNATO軍がゲリラに苦戦するのは、アフガニスタンが外洋に面していないから補給などの問題で難しい。イラクなどもペルシャ湾に面した部分はあるが湾の奥深くであり大艦隊は展開が出来ない。さらに水深も深くないから潜水艦の展開も難しい。
最近のロシアや中国が強気な展開をしているのは、ミサイルなどの進歩により機動力が増し、沖合の軍艦などに対する攻撃力が長距離まで及んできているからだ。アメリカが西太平洋における防衛ラインをアラスカ・ハワイ・オーストラリアまで後退させるのも中国の中距離ミサイルの攻撃力が増してきたからであり、移動式ミサイルを捕捉する事は難しい。
北朝鮮も軍事パレードでムスダンと言う移動式長距離ミサイルを見せ付けましたが、中国製の大型車両が使われていた。91年の湾岸戦争でもイラクの移動式ミサイルを破壊しようとしたが多くが失敗している。それほど短中距離移動式ミサイルを破壊する事は難しく、地下深くの基地に退避されてしまうと発見は難しい。
さらに最近ではICBMも移動式の車両に積んで移動が出来るようになり、固定式のミサイル基地は不要になりつつある。つまり先制攻撃でミサイルを潰す事は不可能であり、アメリカとしてはMDを開発して防ぐしかない。対抗手段としてはミサイル潜水艦がありますが、非常に高価であり配備できる国は限られる。
まさにミサイル戦争の時代になると、大陸国家の方が有利になり海洋国家の方はミサイル攻撃に対抗する事が難しい。日本の場合でも中国からの中距離ミサイルを防ぐ方法が無く、迎撃手段もまだない。出来る方法としてはミサイル潜水艦からの攻撃ですが日本はミサイル潜水艦をまだ持ってはいない。
少し前までは、アメリカの原子力空母による艦載機による攻撃力は脅威でしたが、現在では中国の中距離対艦ミサイルによる攻撃を防ぐことが困難になっている。ミサイル攻撃に対する防御手段としてはミサイルによる報復攻撃しかない。特にロシアの場合はウクライナやベラルーシやバルト三国や東欧諸国など再びロシアの核ミサイルの傘に入る事は容易だ。
新冷戦と言うと気が早いと思われがちになりますが、ロシアと中国が手を組みアメリカやNATOに対抗する機運が高まってきている。アメリカが北朝鮮のミサイル開発や核開発に経済制裁以外になすすべがなく中国任せにしてきた。北朝鮮の核開発やミサイル開発が陰に中国が支援していることは、移動式ミサイルの車両が中国製であることからも明らかですが、アメリカはそれを放置してきた。
長距離核ミサイルを装備した北朝鮮がアメリカと戦争状態になればアメリカは北朝鮮を先制攻撃しても、移動式ICBMを破壊できなければアメリカの大都市が核攻撃されることになる。アメリカは北朝鮮の核開発やミサイル開発を放置してきたのは中国が何とかしてくれるといった幻想があったからですが、中国の遼寧省と北朝鮮の特殊な関係は北京政府とは別の思惑がある。
アメリカ自身も中国に多核弾頭ミサイルの技術をクリントン政権時代に供与した事実があり、中国とアメリカの特殊な関係を浮かび上がらせますが、クリントン元大統領がスパイとして捕まる事は無い。アメリカ民主党にとっては中国は同盟国でありロシアの復権は当分ないと見ていたのでしょう。しかしロシアのプーチンは欧米に牙をむき始めた。中国の習近平もプーチンとの関係を深めており、プーチンや習近平に騙されたオバマ大統領の顔色は悪い。
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