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2014年4月27日 朝日新聞
ロシアがウクライナ東部の親ロシア派をあおっているとして、欧米が経済制裁強化に踏み出す方針だ。ロシアは米国とウクライナの責任を主張し、一歩も引かない構え。危機は深まる一方で、ロシアがウクライナに軍事介入する事態さえ起きかねない状況だ。
ロシアの脅威に対し、米国は軍事行動を否定する一方で、経済制裁で対処する方針を明確にしてきた。ケリー米国務長官は「この過ちは高くつく」とロシアに繰り返し警告してきた。
これに対し、ロシアは、制裁強化の動きを表向きは冷静に受け止めている。プーチン・ロシア大統領は24日、「現代の社会で経済制裁は効果的ではない。政治的な性格のものだ」と述べた。欧州は天然ガスの3割をロシアに依存し、思い切った制裁には踏み切れないという読みがあるからだ。
実際に、経済制裁はロシア経済にどんな影響をもたらしているのか。
米国はこれまで、プーチン大統領側近のロゴジン副首相やスルコフ大統領補佐官らを対象に、米国内の資産凍結や渡航を制限。ロシア政府高官の資産を管理しているとされる「バンクロシア」も制裁対象にした。欧州連合(EU)も、ロシア政府や軍関係者らの資産を凍結している。米国が週明けにも発動する追加制裁は、プーチン氏に近い企業関係者や会社を対象に加える公算が大きい。
ただ、こうした制裁は、一部の個人の資産を凍結しているにすぎない。ロシア経済全体への直接的な影響は小さいのが実情だ。
むしろ、ロシアにとって厳しいのは、混乱が続いていることで外国人投資家がお金を引き揚げていることだ。今年に入ってからロシアの通貨ルーブルは10%弱下がり、株価指数は20%超の大幅下落になっている。
こうした動きを背景に、米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は25日、ロシアの外貨建て信用格付けを1段階引き下げ、「BBB(トリプルB)マイナス」にすると発表した。「投資適格」とされる格付けでは最低の水準となった。ロシアからのお金の流出は今年1〜3月末に、ふつうの1年分に匹敵する約640億ドル(約6兆5千億円)にのぼったためだ。格下げは、さらなるお金の流出をよび、悪循環に拍車がかかるおそれがある。ロシアにとっては頭の痛い状況だ。
■軍事介入、高まる緊張
ウクライナやそれを支持する米国と、ロシアとの対立が深まるばかりのなかで今後の情勢はどう動くのか。
焦点の一つは、ロシアが国境を越えて、ウクライナ東部に軍事介入するかどうかだ。
ウクライナ政府は、東部での親ロシア派武装勢力による行政機関の占拠は「テロ行為だ」とし、今後も強制排除を続けることを辞さない構えをとる。
これに対し、ロシアは、「ロシア国民への攻撃はロシアへの攻撃とみなす」(ラブロフ外相)と主張し、ウクライナへの軍事介入を示唆。ロシア軍はウクライナ国境付近で軍事演習を続けており、緊張が高まっている。
米政府高官は26日、「もしロシア軍がウクライナ国境を越えて侵略したら、基幹産業へ制裁を加える」と明言した。ロシアがウクライナに侵攻すれば、これまでのような限定的な制裁ではなく、天然ガスの禁輸なども念頭においた本格的な経済制裁に踏み込む可能性があるのだ。
ロシアにとっては「ウクライナ国内でのロシア系住民への攻撃の阻止」が、米国にとっては「ロシアによるウクライナ東部への侵攻を食い止める」ことが互いに譲れない一線になっている。
その一線をどちらかが越えればウクライナ情勢は軍事的に大きく混乱し、ロシアに対する経済制裁は本格化する可能性がある。その場合、世界経済全体にも大きなダメージが広がるおそれがある。
(ワシントン=奥寺淳、モスクワ=駒木明義、ロンドン=星野真三雄)
http://www.asahi.com/articles/DA3S11106914.html
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ロシアがいうウクライナの「ロシア人」とは、祖先の出自がロシアであるウクライナ国民のことである。
19世紀末にウクライナ東部で発達した工業に従事するために多くのロシア人がウクライナ東部に移住した。この末裔が現在のウクライナにいる「ロシア人」である。もちろんロシア人といっても国籍はウクライナ国籍であることはいうまでもない。これらの人びとの大部分はロシア語を話す。ウクライナの公用語はウクライナ語であるが、ウクライナ語とロシア語は極めて似かよっている。ウクライナ政府によれば、約30パーセントのウクライナ人は、ロシア語を第一言語と考えているロシア語話者だが、出自がロシアである本当の意味での「ロシア系ウクライナ人」は人口の17%を占めるに過ぎない。純粋なウクライナ人は78%、その他が5%を占める。
この「ロシア系ウクライナ人」のごく一部の過激派がウクライナ東部で武装決起している訳だが、プーチンはこれらの過激派が攻撃されたら、ウクライナに軍事侵攻すると言っている。これはどういうことかというと、例えば日本からかつてブラジルに移住した日本人コミュニティの「日系ブラジル人」たちが、何らかの理由で「武装蜂起」し、これをブラジル軍が鎮圧しようとしたところ、日本の自衛隊が「日本人」の保護を理由にブラジルに軍事侵攻し、ブラジルの一部を日本の領土とするようなものである。日本とブラジルは海で隔てられているが、これが「領土が隣接している」とするならば、同様な事態であると見ることができる。
果たしてこのような「軍事侵攻」が「正当性を持つ」と言えるだろうか。「右派セクター」による謀略で成立したウクライナ暫定政権が正当性を持ちえないのと同様に、ロシアのウクライナへの「軍事侵攻」が正当性を持ちえないのは自明である。
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