34. 母系社会 2014年4月24日 17:59:30
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ダイナモさん、了解です。ところで・・・ ●東部は、特殊な歴史的経緯のあるクリミアとは異なり、ウクライナ固有 領土であることは明確な地域ですから、ロシアが明らかに主権を犯している ということになれば欧米も本気で経済制裁し、ロシアは国家レベルの危機 になる可能性があるわけです。 また、クリミアの次は東部であることは明白でしたから、蜂起するまでは キエフ政権側の治安機関が目を光らせていたわけです。ロシアの工作員が 大量に、しかも公然と活動していたら逮捕され、ロシアの侵略が明白となる 危険性があるので、非公然活動しかできません。 そして、ドネツク州の人口は約460万人、ドネツク市だけでも約100万 ですから、このような規模の地域を非公然に支配するには、万単位で工作員 を投入しても不可能でしょう。 ★つまり、東部で権力を奪取できた都市では、ロシアの工作員はいたでしょう が少数であり、あくまでも親ロシア派の活動的な市民が、キエフ政権側の 活動的な市民よりも多数いたから実現したのです。これはウクライナやシリア、 エジプト、リビアの革命は、欧米が支援していたとはいえ、欧米が起こした 革命とまでは言えないように、東部の革命もロシアの仕業とは言えません。 ★要するに、キエフと東部の革命政権の政治的正当性は対等ということで、 東部の革命政権には政治的正当性は無いというなら、キエフの革命政権にも、 政治的正当性は無いと言うべきです。 ★あのAFPの世論調査記事が正しいと仮定すると、東部の多数派は、両方 とも支持していないので、現時点の両者は、本質的には西部と東部の地方 政権で、前政権も含めて、ウクライナには正当性がある中央政権は存在 しないということです。 ●民族自決論と主権国家論、あるいは住民投票について @民族自決論と主権国家論、あるいは、近年日本でも盛んなA地方主権論 的・自治の理念的な住民投票論と主権国家論も矛盾する。だから、どれも 絶対的理念ではありません。 @の矛盾の例には、米国には先住民であるアメリカ・インディアンの 独立運動=「ラコタ共和国」(スー族)と、「イロコイ連邦」(6部族) がある。米国が先住民の絶滅政策を行った歴史的経緯、そして絶滅政策は、 現在も事実上、継続しているので、この独立要求=民族自決論は、主権 国家論には反しますが米国は独立を認めるべきで、絶対的理念でもない。 クリミアの場合なら、フルショフとエリツインは、住民の意思を確認 することなく、官僚的にウクライナへの帰属を決めたので元々無効で あり、独立派は多数派であったから、クリミア独立→併合は正当であるが、 主権国家論には反してしまうので、民族自決論と主権国家論のどちらも、 絶対的理念ではありません。 Aの矛盾にはクエートの例があり、イラクを占領していたイギリス軍 がバクダットを追い出されて南端のクエートに撤退。そして、イギリスは イラクに干渉し続けるために、クエートの部族長を唆してイラクから 独立させました。それで、クエートの民衆は独立反対運動をしていたが、 クエートに石油があると知って独立運動を中止して独立賛成となり、 石油の利益を独占しようとして出来た国がクエートでした。 ですからクエートは、石炭全盛時代に、北九州が独立して出来たような国 なので、地域住民の意思は最大限、認められるべきであるが、どんなこと も住民投票で決めて良いとも言えません。 ★民族自決論と地方主権論的な住民投票論と、主権国家論は矛盾する。 だから、どれも絶対的理念ではなく、個々の事例毎に評価するしかない。 つまり、それぞれに例外があると考えるべきです。 ★そもそも、キエフ政権は東部の反乱はロシアの仕業であり、キエフ政権 支持の住民が多数派だと言うなら、住民投票では連邦制も、独立も否認され、 親ロシア派も納得して矛を収められ、内戦は避けられる可能性が増大するはず なので、キエフ政権側こそ、住民投票を主張すべきで、拒否する理由は キエフ政権側にはありません。 ★ドネツク州の市だけでも50以上もあり、親ロシア派は最大都市ドネツクを 押さえたとは言え、10市前後の市庁舎や警察署を占拠したに過ぎません。 親ロシア派自身が住民投票で、どのような結果が出るかわからないと言っている ぐらいですから、内戦を避けるため、キエフ政権側も親ロシア派が要求している 住民投票を認めるべきです。 ●親ロシア派も、日本と同じように支配民族としての歴史的経緯に無頓着で、 支配された側の屈折した心理がわからないとか、親ロシア派オルガルヒ に甘いとか、様々な問題があるのかもしれません。 しかし、現在ヨーロッパでは排外主義右翼が台頭していますから、日本の 右翼台頭を防ぐためにも、ウクライナの右翼を解体しなければなりません。 大局的には、親ロシア派は、先の大戦で親の世代がナチと戦った経緯から、 反ナチの立場で、右翼が浸透したキエフ政権と対峙しています。 また、親ロシア派は、かつては支配民族であったのでロシア人を恨む ウクライナ人も多いはずですが、少数民族となってしまいました。それで、 シリアやユーゴのような内戦となれば、親ロシア派住民のジェノサイドが 起きかねません。 ★そして、そうなれば、主権国家であれ、介入は合法という学説もある人道的 危機ですから、確実にロシア軍は介入します。しかし、イラクやアフガンの 例を考えれば、大部隊のロシア軍が介入してもキエフ政権を打倒できるとは 限らず、泥沼の戦争となる可能性が高いわけです。 ★★東部の親ロシア派革命はロシアの仕業とすると、おそらく事実とは異なり、 キエフ政権派が軍事力を行使することを正当化することになるので、危険だと 思います。 |