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モルデハイ・バヌヌさんは1980年代、イスラエルの核兵器計画を報道機関に暴露したとして18年の禁固刑を受けた。刑期満了で2004年に釈放されてから10年が経った今も、軍令により移動や表現、結社の自由を恣意的に厳しく制限されている。
さまざまな制限の中には、出国の禁止やネットでのチャット禁止もある。またジャーナリストを含む外国人とのやり取りも許可を必要とされている。当局の罰則は単なる報復のようである。
政府高官は、国家機密である核計画のさらなる漏洩を防ぐには自由を制限する必要があると主張しているが、筋違いも甚だしい。
バヌヌさんは知っている情報をすべて提供していて、それ以上の情報はないと話していた。また、投獄された当時に持っていた情報は今や誰でも知ることができるし、そもそも約30年前で古すぎると、バヌヌさんと弁護士は指摘している。制限措置には国際法上の根拠もない。
バヌヌさんは、自由を奪われ、精神的にも肉体的にも深刻なストレスを受けている。これらの制限措置は直ちに解除されるべきである。
アムネスティは当局に対して、海外渡航を許可し、国内での移動、結社、表現の自由の権利の行使を認めるよう、要求している。
バヌヌさんの弁護士は、出国、領事館や大使館への立ち入り、国境や境界道路、港、空港から500メートル以内への立ち入りを禁止する措置への異議申し立てを行った。これに対し高等裁判所は昨年12月、こうした制限措置を支持する判決を下した。また、外国人と接触するにあたり必要とされる事前の許可も支持した。
今年5月に更新予定となっている現在の制限措置は、直ちに解除されるべきである。
背景情報
バヌヌさんは、イスラエル南部の町、ディモナ近くの核工場の元技術者である。1986年、英国のサンデー・タイムズ紙に国家の核兵器工場の詳細を明かした。
同年9月30日、イスラエルの諜報部(モサド)員にイタリアで拉致され、秘密裡に送還された。裁判で18年の禁固刑の判決を受けた。
2010年5月には3カ月間、投獄された。釈放後2回目の服役である。罪状は、外国人との会話、クリスマスのミサへの出席で、制限措置に違反したことだった。
3カ月のうち11週間は、厳しい環境の独房に拘留された。極悪犯専用の特別房で、毎日1時間しか房を出ることができなかった。刑務所当局によると、他の被収容者たちの襲撃から守るため、そこに入れたという。
アムネスティは、バヌヌさんを「良心の囚人」と認定した。
アムネスティ国際ニュース
2014年4月16日
http://www.amnesty.or.jp/news/2014/0419_4554.html
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