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水面下で進むオバマのNATO防衛計画:米国国防予算縮小に見合う兵器輸出先の確保が主眼
http://www.asyura2.com/13/warb12/msg/719.html
投稿者 あっしら 日時 2014 年 4 月 20 日 03:24:16: Mo7ApAlflbQ6s
 


『ニューズウィーク日本版』2014−4・22
P.33

「水面下で進むオバマのNATO防衛計画

視点:弱腰外交と批判されてきたオパマだがヨーロッパ防衛の布石を着々と打っていた

サミュエル・チャラップ(英国際戦略研究所上級研究員)
リー・ファインスタイン(前駐ポーランド米大使)


 欧州東部のNATO(北大西洋条約機構)加盟国に軍隊を常駐させる―先月訪欧したバラク・オバマ米大統領は、こう明言した。
 ロシアによるクリミア編入に不安を募らせる東欧のNATO加盟国は、アメリカに安全保障の確約を求めている。この発言はそれに対する回答であり、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に対する強烈なメッセージでもある。実現すれば、99年に始まるNATOの東方拡大後で初めて、旧ソ連圏の同盟国に米軍が駐留することになる。
 今年で大統領就任6年日を迎えたオバマは今回、EU本部で開かれる米EU首脳会談に初めて足を運んだ。
 NATO加盟国はこの問、軍事戦略の軸をヨーロッパからアジアに移すというアメリカの方針に神経をとがらせてきた。だからこの段階で欧州防衛に対するアメリカの強い決意が表明された意味は大きい。しかし、実を言えばオバマは一貫して欧州防衛の強化に努めてきた。
 派手な発言はなかったが、オバマは粛々と、NATOの防衛力強化に必要な各種のインフラ整備を進めてきた。
 これまでオバマはヨーロッパを「見捨てた」と言われてきた。ブッシュ前政権が進めていたミサイル防衛(MD)計画の見直しを09年に決定したためだ。
 しかし、その見直しによってNSTO加盟国を防衛するための新たな計画が加わったのも事実だ。MD計画も着実に実行に移されている。スペイン沖には海上配備型MDが配備されており、ルーマニアでは地上配備型MDが建設中で、ポーランドにも導入が予定されている。


「見捨てて」いなかった

 当初のMD計画はアメリカと配備先の国の2国間合意に基づいていたため、NATO加盟国間で不和を生じる原因になっていた。オバマはこれを見直し、NATO加盟国すべての承認を取り付けてから実施することで、NATOの結束を強めた。MDによる欧州全域の防衛は、今やNATOの中核的任務の1つとなっている。

 MD計画は、大西洋を挟んだ安保同盟に深く関与するというアメリカの意思を具現化したものだ。米兵が駐留することの重要性は、MD計画の想定するイランからの短・中距離ミサイルに対応できる技術的な能力に勝るとも劣らない。

 オバマは09年の大統領就任の直後に、いざというとき旧ソ連圏のNATO加盟国を守る体制に不備があることに気付き、ポーランドとバルト3国の防衛計画策定をNATOに促している。先のオバマ発言は、こうした下準備を踏まえたものだ。

 オバマ政権とNATOの首脳部は、ヨーロッパにおける兵力削減(それはオバマ政権の誕生以前に始まっていた)を埋め合わせる措置も講じてきた。12年にはヨーロッパに駐留する米陸軍4個旅団のうち2個を削減したが、代わりにアメリカ本土にいる即応部隊を送り出し、大西洋を渡って頻繁に合同演習に参加させることにした(現地に米軍を駐留させるより安上がりだし機動的だ)。

 NATO加盟国に軍事力の増強が必要となった場合の備えもしてある。例えば11年の合意に基づき、ポーランドに配備された米空軍の分遣隊だ(旧東欧圏での米軍常駐は初)。分遣隊の基地は最新の設備を誇っており、今回のウクライナ危機に際しては、オバマの訪欧前にF16戦闘機12磯と空軍兵300人を追加派遣している。必要とあれば他のNATO加盟国の軍隊や米軍の追加部隊も加われるだろう。

 オバマ政権が欧州防衛の強化を進めてきたおかげで、NATOはウクライナに対するロシアの挑発的な行動にも効果的に対応できそうだ。言うまでもなく、それはまたアメリカの長期的な安全保障戦略にもかなう。」


 

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コメント
 
01. 2014年4月20日 17:58:52 : mHY843J0vA
焦点:米国が悪化させた対ロ関係、プーチン氏の「過剰反応」要因に
2014年 04月 20日 12:39 JST  

4月18日、過去十数年にわたる米ロ関係や現在のウクライナ危機に見られる状況は、プーチン大統領と米国との間に生じた一連の出来事が背景にあり、これがプーチン氏の過剰反応の要因と言える。写真はオバマ米大統領(左)とプーチン氏。北アイルランドで2013年6月撮影(2014年 ロイター/Kevin Lamarque)
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[ワシントン/ニューヨーク 18日 ロイター] -過去十数年にわたる米ロ関係や現在のウクライナ危機に見られる状況は、プーチン大統領と米国との間に生じた一連の出来事が背景にある。意図的であれ無意識であれ、こうした出来事はプーチン氏の過剰反応を引き起こしてきた。

ブッシュ米大統領(当時)は2002年、東欧でのミサイル防衛システムを推進するため、旧ソ連との間で締結していた弾道弾迎撃ミサイル制限条約から離脱すると発表した。

これを受けてプーチン氏はテレビ演説で、軍縮や核不拡散の取り組みを台無しにする動きだと警告した。

現在はロシアとウクライナの国境付近に数万人規模の兵士を配置。米国が対ロシア包囲網をつくろうとしているとして、その阻止に動いている。

また専門家によると、プーチン氏は西側の民主主義に代わる選択肢として、保守的かつ超国家主義的な資本主義「プーチニズム」を推進しようとしているという。

<配慮の欠如>

米当局者らによると、イデオロギーの対立国としてソ連が崩壊した後も、ロシアが中国や他の主要国と同様に、なお外交面での配慮が必要な大国だということを認識できなかった点も問題だという。

1990年代終盤に在ロシア米大使を務めたジェームズ・F・コリンズ氏は「われわれはあまり注意を払っていたとは言えない。(二国間関係は)それほど重要視されていなかった」と語った。

プーチン氏は決して交渉しやすい相手ではない。米当局者は、プーチン氏が、独裁的な国家主義者で、歴代のロシア首脳と同様に西側への強い不信感を抱いていると指摘する。

プーチン氏は2000年の大統領就任以降、大国としてのロシア復活を目指してきた。また、自身の権力を強化し、組織的に反対意見を封じ込め、エネルギー供給を通じて近隣諸国に経済的な影響力を及ぼしてきた。

原油価格の上昇や国連安全保障理事会での拒否権を後ろ盾に、プーチン氏は米国の政策を時折妨害し、米国をいら立たせる術をマスターした。

ブッシュ・オバマ両政権の当局者らは、米国が当初、プーチン氏と協力できそうな分野について過大評価していたと指摘。過剰な自信と配慮不足に加え、時折あった不手際などで対ロ関係の悪循環を招いたとしている。

<旧ソ連国のNATO加盟>

ロシアと近隣国の関係も、2001年以降のブッシュ氏とプーチン氏の関係を悪化させた。

ブッシュ氏は2002年11月、旧ソ連のエストニア、ラトビア、リトアニアを含む東欧7カ国の北大西洋条約機構(NATO)加盟に向けた協議開始を支持。2004年には同氏が主導してこれら7カ国がNATOに加盟した。

プーチン氏をはじめとするロシア当局者は、ソ連と戦うために形成されたNATOがソ連崩壊後になぜ拡大を続けているのかと疑問を投げ掛けた。

ブッシュ政権で国家安全保障会議(NSC)のロシア局長を務めたトーマス・E・グラハム氏は、NATOに代わるとともにロシアも含めた新たな欧州安全保障システムを構築する努力がもっとなされるべきだったと指摘。

「われわれが目指すべきだったこと、そして現時点で目指すべきことは、米国、欧州、ロシアの3本の柱に基づく安全保障の仕組みだ」との見解を示した。

<共通の利害>

オバマ大統領は2008年の大統領選勝利後、対ロシア政策について包括的な見直しを行った。このとき政策策定の中心となったのが、NSCでロシア問題を担当していたマイケル・マクフォール氏だ。

同氏は最近のインタビューで、NSCが政権の外交政策における主要な目標を調査したところ、ロシアに関連したものはほとんどなかったと話す。

ロシアとの関係は他の政策目標を達成するうえで重要と見なされていたが、ロシア自体に関するものではなかったという。

オバマ政権は新たな対ロシア政策を策定。「リセット」と呼ばれる同政策の実施に向けてオバマ氏は2009年7月、ロシアを訪問した。

「リセット」は当初順調だった。オバマ氏の訪ロに当たり、ロシアは同国経由で米国がアフガニスタンに軍物資を輸送する能力を大幅に拡大することに合意。2010年4月には両国は新戦略兵器削減条約(新START)に署名した。また同年、ロシアは国連の新たな対イラン経済制裁も支持した。

だが、専門家はこうした最初の2年間の「蜜月」について、オバマ政権が核兵器削減やテロ対策、核不拡散など両国に共通する利害に焦点を当てた結果だと指摘する。

ブッシュ政権時代に緊張が高まった民主主義やロシア近隣諸国をめぐる問題はほとんど解決されないまま残った。

<ロシアの軟化>

米専門家らは、ロシアに対する新たな長期的戦略を打ち出すことが米国にとって極めて重要だと指摘する。それは現在の危機をめぐってプーチン氏を責めるものでない必要があるという。

ウィルソン・センターのロシア専門家、マシュー・ロジャンスキー氏は「プーチン氏はロシアを映す鏡だ。プーチン氏が去り、ロシアの態度が急に軟化するといった妙な考えは誤りだ」と語る。

マトロック元駐ソ米大使も、米国の不注意な行動とそれに続くロシアの過剰反応という破壊的なパターンに両国が終止符を打つことが重要と指摘。「二国間関係の問題には軽率な米国の行動に関連したものが非常に多い。多くの場合、それらはロシアに打撃を与えることを目的としたものではないが、ロシアの反応はたいてい敵意を増幅し、過剰になっている」と述べた。

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