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2月末に発足したウクライナ新政権が正念場を迎えている。政権の座についてからの最大の決断は、国内で負担増を求めるという不人気策。ロシアによるクリミア半島併合で「国家存亡の危機」にもある。ロシアにさらなる介入の口実とされかねない過激派への対策を、対外的にアピールする必要にも迫られている。
3月末、ウクライナ議会は揺れた。重要法案の採決で、与党を含め、出席議員の3分の1近くの120人もが棄権したのだ。法案が「一般家庭へのガス価格大幅値上げ」「公務員の1割削減」など、国民に負担増を求め、歳出カットを大きく進める内容だったからだ。
新政権にまずのしかかったのは、ヤヌコビッチ前政権が残した「700億ドル(約7・3兆円)超の政府債務」だった。お金を返せなくなる債務不履行(デフォルト)を避けるため、国際通貨基金(IMF)、欧州連合(EU)、米国などから、計270億ドル(約2・8兆円)の緊急支援を受ける必要があった。
支援の条件として、緊縮策の導入を求められた新政権は、要求をのむしかなかった。法案は異例の2度目の採決に持ち込まれ、ようやく可決された。
対ロシアではきわめて厳しい状況にある。3月にロシアがクリミア併合を強行。国境付近に集結するロシア軍の圧力はいまも強い。そんななかで、政権は5月の大統領選を迎える。
政権の中心はヤツェニュク首相やトゥルチノフ大統領代行の政党「祖国」。ただ、同党が党首のチモシェンコ前首相を候補としたのに対し、別の与党「ウダル」は支持率トップのポロシェンコ元国家安全保障防衛会議書記についた。選挙戦は、親欧州派の与党同士の争いとなりつつある。
いま、新政権が特に苦慮しているのは「過激派」との距離感だ。もともと、現在の3与党は、市民によるヤヌコビッチ前政権への反対運動を支援。市民運動との連携が政権の基盤となった。だが反対運動は、最終場面で一部が過激化。ロシアは「過激派からロシア系住民を守る」として介入を正当化する。欧米も懸念を深めているだけに、武装闘争を唱える「過激派」は新政権には悩ましい存在だ。
(キエフ=喜田尚)
■新政権、極右グループ摘発
新政権は懸念の声に押される形で、極右グループ「右派セクター」の摘発に乗り出した。過激派の中心組織とみているためだ。
警察は司法職員への暴行容疑で指名手配中の同グループ幹部を拘束しようとして抵抗され、射殺。これに反発した右派セクターの約1500人が3月27日夜、緊縮策を可決した直後の議会を包囲する事態に発展し、新たな火種になりつつある。
「右派セクター」の中心は、5月の大統領選に名乗りを上げた指導者ヤロシ氏だ。ロシアは、テロを呼びかけた容疑で、同氏を国際指名手配し、批判の矛先を向けている。
昨年12月、前政権打倒を訴える市民らがキエフの独立広場を占拠する中、武装闘争を掲げるグループが集まって結成された。「動員力数万人」を自称する。
独立広場にある「司令部」を訪ねた。機関紙に載ったヤロシ氏の声明には「クレムリンの帝国主義的侵略者から祖国を守るため、我々は『軍事司令部』を創設した」とあった。
幹部のスコロパツキー氏は「真に独立した強力なウクライナの創設を目指している」と語る。
新政権と一線を画す。本部内には武器を手にしたメンバーも。新政権は1日、右派セクターを標的に「不法武装集団からの武器摘発」を促進する法案を議会で可決させた。
ただ、ウクライナ国内には「右派セクターの政治的影響力はロシアが主張しているよりもはるかに小さく、国民の支持も少ない」(政治学者ボロジーミル・フェセンコ氏)と冷めた見方もある。
(キエフ=西村大輔)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11066623.html?ref=pcviewer
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