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株式日記と経済展望
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中国に対抗するという意味において、モスクワ政府の助けを必要としている。
アメリカにとって唯一のライバルとなる可能性を持っているのは、中国だからだ。
2014年3月15日 土曜日
◆ウクライナ情勢の解釈の間違いBy ジョン・ミアシャイマー 3月14日 地政学を英国で学んだ
http://geopoli.exblog.jp/22260501/
●オバマ大統領は、ロシアにたいして経済制裁を行ない、ウクライナの新政府にたいする支援を強化することを通じて、ロシアにたいして厳しい態度をとる決断をした。
●これは大きな間違いである。なぜならこれは危機を発生させることになったのと全く同じの、誤ったロジックによって行われるものだからだ。危機は解決するよりも、さらなるトラブルへとつながることになるだろう。
●ホワイトハウスやワシントン周辺で共有されている解釈によれば、「アメリカには現在の危機の発生について全く責任がない」というものだ。彼らの目から見れば、すべてはプーチン大統領の責任であり、彼の動機は間違ったものであるということになる。
●ところがこれは誤りだ。ワシントン政府もこの危機の発生において重要な役割を果たしており、プーチン氏の行動は、アメリカを含む、すべての「大国」に影響を与える地政学的な動機によるものなのだ。
●現在の危機の根本的な原因は、NATOの拡大と、ワシントン政府がウクライナをモスクワ政府の影響範囲から引き離して、西側諸国に統合しようとしていることにある。
●ロシア側は、ポーランドやバルト三国の追加を含むNATO拡大を非常に嫌いつつも我慢していた。ところがNATOが2008年にグルジアとウクライナが「NATOのメンバーになる」と宣言してからロシアは限界点に達したことを表明したのだ。
●グルジアとウクライナというのは、単なるロシアの周辺国というだけでなく、ロシアの玄関口にある国だ。その証拠に、ロシアの2008年8月のグルジアとの戦争における断固とした対応は、大きくみればグルジアがNATOに参加して西側に統合されるのを防ごうとする欲望から起こったものだ。
●去年の11月の状況に目を移すと、当時のウクライナのヤヌコビッチ大統領は、ウクライナの西側との統合やモスクワの影響を大きく減らすための協定にEUと合意しそうな雰囲気であった。
●プーチン大統領は、それに対抗するためのウクライナにたいしてさらに有利な合意を提示し、ヤヌコビッチ大統領はそれを受け入れている。そしてこの合意が、新欧米感情が強く、モスクワ政府への反感が強いウクライナ西部で、デモを発生させることにつながったのだ。
●ところがその後にオバマ政権は、このデモを支援するという致命的なミスを犯した。これによって危機はエスカレートし、ヤヌコビッチ大統領を打倒し、キエフに新しく親欧米政権が誕生したのだ。
●デモにたいする支持を表明していた駐ウクライナ米国大使は、「歴史のページに刻まれるべき日だ」と宣言している。
●当然のように、プーチン大統領はこのような見方をしなかった。彼はこれらの経緯を「ロシアの核心的戦略利益にたいする脅威である」と見ていたからだ。
●誰が彼のことを責めることができようか?結局のところ、冷戦の過去から抜け出せなかったのはアメリカであり、ロシアを1990年代初期から潜在的脅威として扱い、NATOの拡大や東欧のミサイル防衛システムの建設計画などにたいするロシア側の抗議を無視したのはアメリカだったのだ。
●もちろん「アメリカの政府関係者たちは、ウクライナが敵側の同盟に参加することにたいするロシア側の懸念について理解しているはずでは?」と考える人もいるだろう。アメリカだって、他の大国が西半球(南北アメリカ大陸)が関与してくるのを警戒する「モンロードクトリン」を深く信奉しているからだ。
●ところがアメリカの政府関係者の中で、プーチン大統領の立場になって考えることができる人は少ない。
●このような事情があるため、プーチン大統領がクリミアに援軍を派遣し、ウクライナへの侵攻をチラつかせ、「モスクワ政府は敵対的なキエフの政権にたいして経済力を使って対処する」という覚悟を明確に見せた時に、彼らは非常に驚くことになったのだ。
●プーチン大統領が厳しい姿勢をとっている事情を説明した時、オバマ大統領は、プーチン大統領が「別の法解釈をしている弁護士たちを抱えている」と反応している。
●ところがプーチン大統領が弁護士に話をしていないことは明らかだ。彼はこの紛争を、法的な面ではなく、地政学的な面から解釈しているからだ。
●プーチン氏の見解というのは理解できるものだ。世界には国家を互いから守ってくれるような「世界政府」は存在しないし、主要国は脅威――とくに自国の近くのもの――については非常に敏感であり、彼らは潜在的な危険を排除するために、冷酷な行動をするものだからだ。
●国際法や人権への考慮というのは、致命的な安全保障問題がかかっている場合には後回しになってしまうのだ。
●オバマ大統領は弁護士に相談するのをやめて、一人の戦略家として考えるべきだ。もしこうすることができれば、彼はウクライナをロシアから西側陣営に引き離すように働きかけることが事態を悪化させることにつながることを理解できるはずだからだ。
●西側にはロシアにたいして損害を与えることのできるカードをほとんど持っていないが、モスクワ政府にはウクライナや西側にたいして切るカードがまだたくさんある。
●ロシアはウクライナ西部を侵攻できるし、クリミアを併合することも可能だ。残念なことに、ウクライナはソ連が崩壊した時に核兵器を手放してしまっており、ロシアの通常兵器の優位に対抗する手段を持っていない。
●さらに、ロシアはイランとシリアに関して、アメリカとの協力を止めることもできる。低迷するウクライナの経済状況にたいしてさらなるダメージを与えることもできるし、主要なガス供給者であるためにEUにたいしても深刻な経済問題を発生させることもできるのだ。
●そして当然のように、ほとんどのヨーロッパ諸国はロシアにたいして厳しい経済制裁を与えることについては消極的だ。
●もし西側がロシアにたいして深刻なコストを負担させることができたとしても、プーチン大統領がそれに屈することは考えにくい。核心的な利益がかかっている状況では、国家は安全を守るために例外なく大きな痛みに耐えようとするものだからだ。
●歴史から考えても、ロシアがこの例外であることは考えにくい。
●オバマ大統領はロシアとウクライナにたいして新しい政策を採用すべきだ。それは、ロシアの安全保障面での権益を認めつつ、ウクライナの領土の統一性を支持して、戦争を防ぐというものだ。
●このような目標を達成するためには、アメリカはグルジアとウクライナがNATOには参加しないことを強調しなければならない。そしてアメリカが将来ウクライナで行われる選挙に介入しないことや、キエフの超反露的な政府に同情しないことを明白にすべきなのだ。
●そして将来のウクライナの政府にたいしては、少数派の民族の権利、とくに公用語としてのロシア語の立場を尊重するように求めるべきなのだ。
●簡潔にいえば、ウクライナは西と東の間で中立的な立場を維持すべきなのだ。
●もちろんこのような政策のアイディアを聞くと「アメリカの敗北につながる」と言う人はいるだろう。ところが実際はその反対で、ワシントン政府にはこの紛争を終わらせることや、ウクライナをロシアとNATOの間の独立した緩衝国にしておくことに大きな利益があるのだ。
●加えて、ロシアと良好な関係を維持することは致命的に重要だ。なぜならアメリカはイランやシリア、アフガニスタン、そして中国に対抗するという意味において、モスクワ政府の助けを必要としているからだ。
●アメリカにとって唯一のライバルとなる本物の可能性を持っているのは、中国だからだ。
(私のコメント)
オバマ政権の周辺には親中派で固めてしまって、バイデン副大統領もケリー国務長官もライス大統領補佐官も親中派だ。知日派や知ロシア派は排除されてしまって「あたらなる大国関係」で米中で世界をコントロールできるといった妄想が今回のウクライナ問題を発生させてしまった。
90年代のロシアならオレンジ革命を仕掛けられてもどうする事も出来ない状況でしたが、プーチンがロシアの大統領になってからは経済も落ち着き、がたがたになったロシア軍の再建もできた。それまではロシア軍の軍人には給与も支払えないような状況だった。その頃に北方領土交渉のチャンスでもあったのでしょうが、日本の総理大臣は一年ごとに代わってしまった。
ソ連崩壊後のロシアは、多くの領土を失い経済の破綻はルーブルを紙切れにしてしまった。ロシア国民はルーブル紙幣よりもドル紙幣を有難がった。第二次世界大戦の勝利で得た以上の損失をソ連崩壊で失ってしまった。もはやロシアは21世紀中は立ち上がれないとアメリカの外交戦略家が考えたようですが、プーチンの登場でアメリカに対して反撃を始めた。
アメリカの国家戦略家にしてみれば、ソ連は崩壊して日本は長い停滞の時代を迎えてアメリカの脅威となる国は中国だけになった。その中国と手を組めばアメリカは覇権国家として覇権を維持できると見ていたのでしょうが、ウクライナをEUとNATOに加える工作を行ってもロシアは何も出来ないと予想していたようだ。
しかし2008年のグルジア紛争では、グルジア軍は南オセチアに攻撃を加えたらロシア軍が反撃してきて南オセチアはグルジアから分離してしまった。それと同じ事がウクライナで起きたのですが、ウクライナの親露派の大統領をクーデターで追放して一気にEU加盟やNATO加盟を進めようとした。
オバマ政権は親中派で固めてしまったから、ロシアのプーチンがどのような反撃をするかを分析できる専門家がいなかったようだ。ポーランド出身のブレジンスキーは何も読めていなかったのだろうか? プーチンは親露派のヤヌコビッチを匿い、クリミアに国籍不明のロシア軍6000名を派遣した。クーデターを仕掛けたことで藪蛇になってしまった。
ウクライナは経済的破綻国家であり、ウクライナの大統領は西側から援助を得るかロシアから援助を得るかで親露派にもなり親西欧派にも転がる状態であり、欧米が援助をケチらなければウクライナはEUやNATO加盟も実現できていたかもしれない。ロシアにもそれほどのカネがあるわけではないからだ。
現在のロシアでもウクライナを抱え込むことは重荷になるから西側と上手くやって経済援助を押し付けたいところだろう。中国もウクライナに経済協力を武器に接近していたようですが、中国も中央アジア諸国からウクライナへと影響力を広げようとしている。それはロシアの利害とも衝突しますが、安倍総理は中国に対抗するためにロシアに接近した。
プーチンにとっても中央アジアやウクライナに手を伸ばす中国を脅威に感じていたから安倍総理と会談を重ねた。習近平もプーチンとは何度も会談を重ねていますが、中国の意図も切れ者のプーチンは見抜いている。中国はアメリカとのG2で日本を抑え込み、ロシアと手を組んでアメリカに対抗しようとしている。アメリカが中国に裏切られてアジアの利権を失う事はあり得る。
アメリカの大統領がプーチン並みの切れ者なら中国の裏切りは見抜けるのでしょうが、ミアシャイマーが指摘しているようにアメリカの宿敵は中国なのだ。このように米中露の外交的主導権争いは日本の動向で決まるだろう。日本は米中露の真ん中に位置しており、日本が何処に付くかで三国間のバランスが変わる。安倍総理は中国包囲網としてロシアに接近していますが、日本とロシアとの利害は一致する。
ロシア経済は石油やガスに頼った経済であり、石油資源相場に左右されてしまう脆弱な経済だ。優秀な戦車や飛行機は作れても自動車はロシア国民も買わないほどの粗末なものしかできない。中国のように外資を呼び込んで産業を発展させたいと思っても日本とは平和条約も出来ない。領土問題が絡んでいるからだ。
ジョン・ミアシャイマー氏が指摘しているように、「ところがアメリカの政府関係者の中で、プーチン大統領の立場になって考えることができる人は少ない。」と、オバマは親中派で固めてロシアの専門家を排除してしまった。オバマの政権内部に知日派が一人でもいれば靖国問題でも「失望した」発言は無かっただろう。ケリー国務長官は中韓には寄っても日本には来ないほどの反日派だ。みんな中国に取りこまれてしまってロシアとプーチンを侮ったつけが来たのだ。
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