09. 2014年3月04日 03:22:20
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英FTはたきつけているが、オバマもせいぜい金融制裁レベルで、ウクライナのために動くことはないだろうそれに、暫く、中東や東欧の資源地帯は揉めてた方がシェールオイルの価格にとってプラスになるから、悪い話ばかりではない オバマ大統領の「チキンキエフ」の瞬間 ウクライナ危機、外交を武器にプーチン大統領に立ち向かえるか? 2014年03月04日(Tue) Financial Times (2014年3月3日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) ソビエト連邦が崩壊寸前だったころ、米国のジョージ・H・W・ブッシュ大統領はキエフで演説し、モスクワを刺激しないようにウクライナのナショナリストたちに強く促した。米国の保守派はこれを「チキンキエフ」演説と呼んだ*1。 「最高宥和責任者」との烙印を押されて久しいバラク・オバマ大統領が今、自らも「チキンキエフ」と呼ばれかねない状況に直面している。ニワトリの檻の周りをうろうろしているロシアの狐、ウラジーミル・プーチン大統領にオバマ氏は立ち向かうことができるのだろうか? オバマ大統領の将来を左右する重大な局面 欧米、ソチのG8首脳会議出席見送りも ウクライナ危機で米高官 2月28日、ホワイトハウスでウクライナ情勢について記者会見したバラク・オバマ大統領〔AFPBB News〕 その手段はもちろんのこと、オバマ氏にそうする意思とスキルがあるかどうかは定かでない。だが、これは大統領としてのオバマ氏の将来を左右する問題だ。プーチン氏がロシア帝国時代の国境線を回復したがっていることは、ほとんど疑う余地がない。オバマ氏は、プーチン氏の野望を阻止する方策を何とかひねり出さねばならない。 それには、我々がすっかり見慣れてしまった及び腰のオバマ氏とは異なるオバマ氏を見せる必要があるだろう。オバマ氏は大統領に就任する前から、失地回復を図るロシアに宥和政策を取ろうとしているとの批判を浴びていた。 オバマ氏と大統領の座を争った共和党のジョン・マケイン氏は、2008年のロシアによるグルジア侵攻を引き合いに出し、自分ならモスクワの拡張主義者とは一線を画すると主張した。 この時は、対立候補のタカ派的な意見に同調しないオバマ氏の姿勢の方が、米国民を覆うムードにはるかになじんでいた。米国人はイラクとアフガニスタンの戦争にうんざりしており、オバマ氏はその終結を公約したのだ。そしてその公約は果たされた。 どちらかと言えば、今日の米国人はあの時以上に、紛争に巻き込まれることに警戒感を抱いている。しかし、ロシアによるクリミアの占領で、情勢は劇的に変化している。 オバマ氏が望んでいるものはすべて――国内での国造り、核を巡るイランとの合意、穏やかな中東、そしてアジアへのピボット(旋回)に至るまで――、オバマ氏がプーチン氏にどう対応するかにかかっている。オバマ氏は大統領に就任した際、米ロ関係の「リセット」を提案したが、これはもうボロボロだ。 また、御多分に漏れずオバマ氏は、プーチン氏が現状を覆す試みに前向きであることを以前からずっと過小評価してきた。ホワイトハウスは先週の木曜日になっても、ロシアがクリミアに侵攻するとの予測を退けていた。 土曜日に90分にわたって行われた電話会談でプーチン氏はオバマ氏に、ロシアによるクリミア占領をウクライナ東部に広げる用意もあるとにおわせた。そこまではやらないだろうなどと決めつけるのは、世間知らずというものだ。 *1=ウクライナの鶏肉料理と、臆病者という意味の「チキン」とをかけたもの そうした事態を阻止するために、オバマ氏には一体何ができるだろうか? 最初にやらねばならないのは、ワシントンにいる臆病なタカ派を無視することだ。オバマ氏を最も辛辣に批判する向きは、軍事的な対応をちらつかせるよう求めているが、それは明らかに愚策だろう。今回の危機については、米国の軍事力による解決策は考えられない。 クリミアとウクライナのほかの地域、あるいはウクライナの東半分と西半分の間に「レッドライン(越えてはならない一線)」を設定しても、やれるものならやってごらんとロシア側に言われるのがオチだろう。 それに、オバマ氏の「レッドライン」の実績はお粗末だ。最近ではシリアでこの線を引いている。バシャル・アル・アサド政権がシリア国民に化学兵器を使用したら軍事介入するとオバマ氏は約束していたが、アサド氏は昨年夏、再三にわたってこれを虚仮威し(こけおどし)だと見なした。 露大統領、ウクライナに関する「連絡グループ」設置に同意 ウクライナ問題でレッドラインを設けても、プーチン大統領を大胆にさせるだけ〔AFPBB News〕 皮肉なことに、自らの言葉が招いた苦境――そして連邦議会での屈辱的な拒絶――からオバマ大統領を救い出したのは、保有する化学兵器の破棄に同意するようシリアの独裁者を説得したプーチン氏だった。この同意は、もう形骸化してしまったように見える。 今にして思えば、オバマ氏はあの時、誰にも相談することなくシリア空爆を命じた方がよかったのだろう。いずれにしても、ウクライナ問題でのレッドラインの設定は、プーチン氏をさらに大胆にするだけだ。 外交を重んじるオバマ大統領だが、その実績は・・・ 従って、残るのは外交だ。オバマ氏は、英国のチャーチル元首相が残した「戦争をするより長々と議論する方がまし」という言葉を自身の哲学の土台に据えている。確かによいアプローチだ。だがオバマ氏の外交政策の実施状況は、よく言ってもまあまあだ。もっともなことを言うものの、その後の実行がほとんど伴わないということがあまりにも多いのだ。 例えばエジプトの人々は、オバマ氏が民主主義を支援しているのかそうでないのか、今でも混乱している。 オバマ政権には、対エジプト政策が3本あるという。まず、エジプトと米国のつながりはどんなことがあっても維持したいという国防総省の政策。次に、ムスリム同胞団の政権を倒した昨年の政変をジョン・ケリー氏の下で支持した国務省の政策。そして、この政変を批判しながらも日々の意思決定は国防総省と国務省に任せているホワイトハウスの政策という3本だ。 エジプト問題については、オバマ氏はワシントンにおいても存在感がない。シリア問題についてもほとんど同じ印象で、シリアは、プーチン氏の仲介による昨年の合意の巻き返しを進めている。アフガニスタンも同様で、米兵を残留させる協定を結びたいオバマ氏の期待を、ハミド・カルザイ大統領が打ち砕きつつある。 外交は、オバマ氏お気に入りの兵器である。であれば、それを使いこなす術を知っていることを証明しなければならない。 ワシントンではここ48時間、レッドラインを設定するか、あるいは何もしないかが議論されているが、これは選択肢の示し方が間違っている。この両極端の間には、オバマ氏ができることがたくさんある。 すぐに思い浮かぶのは、ウクライナのぐらついている政府に対する支持を米国の同盟国から取り付けることである。その場合には、多額の資金援助を約束したり、「あなた方の主権は守られる」と東欧の同盟国に再度保証したりすることが必要になるだろう。それにあたっては、オバマ氏が「リセット」を目指した際に見直したミサイル防衛システムの計画を復活させることもできるかもしれない。 米国産の天然ガスや原油の欧州輸出計画を加速させ、モスクワのエネルギー支配に対抗するということもできるかもしれない。 プーチン大統領に送るべきメッセージ オバマ氏にとりわけ求められるのは、裏をかくようなことはしないとプーチン氏に語りかけ、納得させることだ。これには、オバマ氏に欠けていることが多い断固たる決意が必要だ。無謀にならずにリスクを取ることも必要になるだろう。 ブッシュ(シニア)元大統領は1991年にキエフに飛び、「自滅的なナショナリズム」に陥らないようウクライナ人に説いた。オバマ氏は、自滅的な帝国主義の道をたどらないようプーチン氏に警告しなければならない。 いろいろ問題があるとはいえ、このメッセージを届けるのに最も適しているのは、やはりオバマ氏である。キエフはこのメッセージを届けるのにうってつけの地になるだろう。 By Edward Luce |