http://www.asyura2.com/13/warb12/msg/418.html
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内戦が続くシリアで、反体制派の支配地域に対し、アサド政権軍が大量の火薬などを詰め込んだ「たる爆弾」を投下する作戦を続け、市民の犠牲者が増えている。人権団体はこの1週間足らずに北部アレッポで、たる爆弾による死者が250人近くに上ると報告。10日からジュネーブで再開されるシリア和平協議でも問題となりそうだ。
英国に本拠を置く「シリア人権監視機構」によると、反体制派が支配するアレッポ東部でたる爆弾が投下され、今月1〜5日の5日間で246人が死亡。うち73人は18歳以下の子供たちだったという。政権側は、10日の協議再開前にアレッポで攻勢を強めようとしているとみられる。
アレッポに近いラスタンの反体制派「地域調整委員会」のアブドルバセト・ラジャブ委員長は、朝日新聞の取材に「200キロのたる爆弾で500平方メートルが完全に破壊され、4階建てのビルが跡形もなく崩れる。さらに金属片やクギが1キロ以上も飛び散り、多くの死傷者が出る」と語った。さらに「すべてシリア製で安上がりな兵器だが、無差別の殺傷力や破壊力がある。このような兵器が毎日使われ、民間人が死んでいるのが放置されているのは、国際社会の責任だ」と非難した。
たる爆弾による攻撃は、昨年12月下旬にもアレッポで2週間にわたり行われ、500人以上が死亡。今年1月下旬にジュネーブでアサド政権と反体制派の代表組織・シリア国民連合が初の和平協議を行った際も、たる爆弾攻撃は続いた。
米国のケリー国務長官は4日、「市民へのたる爆弾攻撃は、アサド政権の野蛮さを示している」との声明を発表。「世界が戦争を終わらせようとしている時に、アサド政権は破壊を激化させ、協議を失敗させようとしている」と非難した。
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは「政権軍のたる爆弾使用は戦争犯罪にあたる可能性が高い」「ジュネーブの和平協議でたる爆弾を問題にすべきだ」との声明を出した。
1月の和平協議でも、アレッポでの停戦は実現しなかった。ブラヒミ国連・アラブ連盟合同特別代表は「たる爆弾の使用をやめることは市民保護のうえで重要だが、双方とも市民保護を順守しようとはしていない」と語った。
たる爆弾について、シリアのハイダル国民和解相は1月に朝日新聞のインタビューで「シリア軍は民間人が退避し、テロリストの拠点となっている場所を攻撃している」と述べ、使用は認めたうえで、民間人への攻撃は否定した。(カイロ=川上泰徳)
◆キーワード
<たる爆弾> ドラム缶のような円筒形の鉄の容器に150キロから1トンの火薬を入れ、クギや金属片を詰め込んだもの。政権軍がヘリコプターで運び、主に住宅地に投下する。シリア政権軍は2012年夏から使い始め、これまでに2千発近くが使われ、約3千人が死んだとされる。殺傷力は高いとされる。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S10968573.html?iref=comkiji_redirect
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