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【1月24日 AFP】ウクライナで昨年11月から続く親ロシア政権に対する抗議デモは19日、デモ隊と治安部隊との流血の衝突へと過激化した。この衝突の背後にいたのは2か月にわたるデモを率いてきた野党指導者ではなく、これまで知られていなかった「右セクター(Right Sector)」と呼ばれる極右集団だった。
首都キエフ(Kiev)でデモを展開してきた野党の指導者3人は19日、突然発生した衝突に驚き、政府当局を非難する一方、暴力的な衝突からは距離を置く姿勢を見せた。
この衝突で主要な役割を果たした謎めいた集団「右セクター」は、ビクトル・ヤヌコビッチ(Viktor Yanukovych)大統領の「占領」政権の転覆を公然と目標に掲げ、そのためなら武力の行使も辞さないと主張している。
■親露でも親欧でもない新勢力
「右セクター」はウクライナを「強い独立国」ととらえており、ロシアの影響を完全に排除したウクライナ国民による「人民の統治」の実現を目指すと同時に、野党主流派の掲げる欧州連合(EU)への参加にも同意していない。
「われわれナショナリストは、祖国を占領する政権を革命的な方法で転覆しなければならない。それ以外の方法は存在しない」。AFPの取材に応じた「右セクター」指導者の1人、アンドリー・タラセンコ(Andriy Tarasenko)氏は、こう断言した。
ごく最近までほとんど知られていなかったこの集団は、政府に対して効果的な対抗勢力となれなかったとして野党全てを批判し、あらゆる野党勢力との協力を拒んでいる。
ウクライナの既存の極右政党「自由(Freedom)」ともオレフ・チャフニボク(Oleg Tyagnybok)党首とも、全くつながりはない。デモを率いてきた野党指導者で元ボクシング世界チャンピオンのビタリ・クリチコ(Vitali Klitschko)氏や、連合野党「祖国(Fatherland)」のルセニー・ヤツェニュク(Arseniy Yatsenyuk)党首に対しても、拒否感をあらわにしている。
「人々は抗議のために外に出てきたのに、その間2か月にわたって舞台を占拠してきた野党指導者たちは状況を変えないよう全力を尽くしただけだ」とタラセンコ氏は非難した。19日の大規模集会では、クリチコ、ヤツェニュク、チャフニボクの3氏に、デモ参加者から中傷が浴びせられた。
■ネット通じて組織、「これは戦争だ」
熱心なサッカーファンの集団をメンバーに含む「右セクター」は、SNS最大手フェイスブック(Facebook)を始めとするソーシャルネットワークを通じて運動を組織している。
同団体は「ウクライナの伝統的なキリスト教とナショナリズムのイデオロギー」を原則に掲げる団体「トライデント(Trident)」の分派だ。トライデントは、第2次世界大戦(World War II)中〜1950年代に旧ソビエト連と戦った「ウクライナ蜂起軍(Ukrainian Insurgents Army、UPA)」の指導者、ステパン・バンデラ(Stepan Bandera)氏から影響を受けたと主張している。
タラセンコ氏は、政府を「人々を拉致する犯罪者たち」と表し、他に選択肢はないとして次のように語った。
「彼らを撃て。ギャングとの妥協は不可能だ。われわれが勝つか、奴らがわれわれを粉砕するかだ。これは戦争だ。ヤヌコビッチは辞任せよ。それがわれわれの要求だ」
(c)AFP/Dmytro GORSHKOV
http://www.afpbb.com/articles/-/3007180?pid=0&page=3
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