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今年6月以降、止むことなく続いている米政府の情報監視プログラムに関するリークであるが、相次ぐ批判と論争の渦中にある米国家安全保障局(NSA)においては、大きくモラルが低下しつつあるという。
どうしてモラルが低下しているのか。8日付の『Washington Post』が伝えたところによると、その原因の一つとして、バラク・オバマ(Barack H. Obama)米大統領の煮え切らない態度があるようだ。
たとえば、最近、オバマ大統領は、NSAの活動への支持と称賛を表するため、米ヴァージニア州フォートミードにあるNSA本部を訪問する予定であった。しかし、この訪問は急遽、取り止めになったという。ホワイトハウスのカイトリン・ヘイデン(Caitlin Hayden)報道官は、大統領に代わって、別の政府高官が訪問することになるだろうとコメントしているが、NSA内部では、自分たちだけ批判の矢面に立たせて、自らはベールに隠れようとするオバマ大統領の行動に不満が噴出しているとのことだ。
確かに、NSA側から見れば、これまで大統領の指示に従って、情報監視プログラムを行なってきたのだから、一連のリークに基づいた批判に対して、オバマ大統領からNSAの立場を擁護する発言が期待されていたのかもしれない。実際、スノーデン氏のリークが出始めた頃、オバマ大統領は、あくまでも合法的な手続きによって認められたものだと主張し、NSAの情報活動を正当化していた。
ところが、さらにリークが相次ぎ、NSAへの批判がアメリカ以外からも噴出するようになると、そうした態度を改めて、NSA改革を推し進める方向へとシフトした。今年8月、オバマ大統領によって提示されたNSAの情報活動に関する改革案は、いわばそのターニング・ポイントにほかならなかったと言えるだろう。
ヘイデン報道官が語ったところによると、オバマ大統領は、情報コミュニティーで働くスタッフたちに敬意と誇りを持ち、NSAの上層部に対しても、直接、そのことを伝え、彼らの仕事ぶりを称賛したとのことである。
しかし、2002年から2006年までNSA監察官(Inspector General)を務めたジョエル・ブレナー(Joel Brenner)氏によると、NSAは、公的に認められた情報活動でさえも、ホワイトハウスからサポートされていないと感じていて、孤立感を深めているという。
また、別の政府高官は、政治的な対立を避けようとするオバマ大統領の立場に一定の理解を示しつつも、「NSAによって提供される通信情報は、現在、最も重要な情報源であることを大統領が認めなければならない」とし、NSAのモラル低下を食い止めるメッセージを発するべきだとコメントしている。
オバマ大統領としては、先の改革案に示された検討チームの最終報告が近いうちにまとまることから、NSAの活動を自主的に規制する内容を含んだ提案を示したい方針である。NSAの情報監視プログラムに反発する人権団体や市民グループは、こうした動きを歓迎しているようだが、NSAが抱いている孤立感を払拭する見込みは薄そうである。
【関連記事】
"NSA morale down after Edward Snowden revelations, former U.S. officials say"
Washington Post, December 8, 2013.
"Obama says he will propose NSA reforms"
Reuters, December 5, 2013.
スノーデン問題発覚後、NSA内部でモラル低下が進行中 Intelligence News and Reports
http://blog.livedoor.jp/intel_news_reports/archives/34723202.html
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