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情報の隠蔽は大勢の人を殺すことになる。
例えば、東電福島第一原発の事故でも政府や東電は重要な情報を隠し、住民に大量被爆を強いることになった。被爆させた責任者たちは「安全宣伝」を今でも続けているが、チェルノブイリ原発やスリーマイル島原発の事故による被害調査から見ても、これから福島を中心として、日本で被害が出てくることは間違いない。カナダやアメリカのカリフォルニアでは、影響の疑いが指摘される現象も出ている。
戦争を始める時にも情報は隠される。その結果、多くの人が殺し合いに参加させられることは言うまでもない。情報を隠して始める戦争は侵略。本来なら平和に暮らしているであろう人びとも、略奪、破壊、虐殺の片棒を担がされるわけだ。
2003年にアメリカ政府が始めたイラクへの先制攻撃は多くのイラク人を殺してきた。アメリカ兵も犠牲になっている。ジョンズ・ホプキンズ大学とアル・ムスタンシリヤ大学の共同研究チームは医学雑誌「ランセット」に2003年3月から2006年7月までの間に65万4965名以上のイラク人が死亡、そのうち60万1027名は暴力行為(要するに戦闘)が原因だとする推計を発表、イギリスのORB(オピニオン・リサーチ・ビジネス)が行った調査では、2007年夏までに94万6000名から112万人が戦争で殺されたしている。
「イラク・ボディ・カウント」のような団体が出している数字をメディアは使うことが多いが、この数字は安全な場所から眺めてカウントした結果にすぎない。正しい情報を隠して始めた戦争で、約100万人のイラク人が殺されたとする推測に信憑性はあり、戦争が終わっていない以上、この数は増え続けることになる。これは情報を秘密にした結果だ。
イラクを先制攻撃する際、アメリカ政府は「大量破壊兵器」を持ち出し、人びとの恐怖を煽った。いわば「恐怖政治」であり、「テロ行為」。そうした恐怖の中、アメリカ政府の宣伝を少なからぬ人が信じた振りをした。当時、世界中でアメリカやイギリスの政府が宣伝していた話に信憑性がないことが指摘されていたが、それを無視したということ。日本でも政府やマスコミ、そして多くの日本人は「信じた振り」をしていたが、それだけでなく、事実を口にする人物を攻撃したことも忘れてはならない。
ウェズリー・クラーク元欧州連合軍最高司令官によると、イラクをシリアやイランと一緒に殲滅するとネオコン(親イスラエル派)のポール・ウォルフォウィッツ国防次官(当時)が口にしたのは1991年のこと。2001年9月11日の出来事、つまりニューヨークの世界貿易センターにあった超高層ビル2棟に航空機が突入、アーリントンにある国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されなければ、この計画を実現できなかっただろう。
攻撃の直後、ジョージ・W・ブッシュ政権は調査もろくにせず、アル・カイダが実行したと発表するのだが、アル・カイダとイラクのサダム・フセイン政権は激しく対立していた。フセインと9/11を結びつけることは無理なのだが、メディアなどは人びとが結びつけて考える雰囲気を作り出していた。が、攻撃を実行するためには別の理由が必要。そこで宣伝されたのが「大量破壊兵器」だった。
クラーク元最高司令官によると、2001年9月11日から10日後にブッシュ政権はイラク攻撃を決定しているのだが、その理由を統合参謀本部のスタッフに聞いたところ、「わからない」という返事が返ってきたという。フセインとアル・カイダを結びつける情報もないことをそのスタッフは明言、国防総省の幹部は「イラクと戦争をしたいだけ」だと話したという。
リビアを偽情報に基づいて攻撃、ムアンマル・アル・カダフィ体制を破壊、国を分裂させ、暴力が支配する無政府状態にしてしまったが、バラク・オバマ政権は偽情報でシリアを同じ状態にしようとした。攻撃の口実に使おうとしたのは「サリン」だ。
この問題は本ブログで何度も書いてきたことで詳細は割愛するが、最近では調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュも反シリア政府軍がサリンの製造能力があり、実際に使った可能性があるとロンドン・レビュー・オブ・ブックスに書いている。
ハーシュによると、アメリカはシリアの化学兵器関連施設の近くにセンサーを設置して常時モニター、サリンが弾頭に装填されたならアメリカやイスラエルに警告する仕組みになっていた。当初、この報道を無視していた「西側」のメディアは「反論」しはじめたようだが、反シリア政府軍が化学兵器の扱い方に関する訓練を「西側」から受けていることは「西側」の有力メディアも知っていることだ。
法律の締め付けがなくても巨大資本と深く結びついた「有力メディア」は自己検閲をしている。「特定秘密保護法」にしろ、「共謀罪」にしろ、ターゲットは自立した個人。マスコミや官僚ではなく、権力の脅しに屈しない人びとだ。
原発事故にしろ戦争にしろ情報の隠蔽は多くの人を殺すことになり、情報公開は不正行為の抑止に 櫻井ジャーナル
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201312120000/
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