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株式日記と経済展望
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中国の飛行制限を受け入れれば、米国はすべてのアジア諸国に対し、中国に
対抗して現状を守るうえで米国を当てにできないということになる。(英FT紙)
2013年12月2日 月曜日
◆米国に挑戦状を突きつけた中国 12月2日 英フィナンシャル・タイムズ紙
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/39325
一見すると、中国政府による東シナ海の防空圏設定は、尖閣諸島(中国名:釣魚島)の主権を巡る日本との往年の対立の段階的なエスカレートを意味する。
それより憂慮すべき、真実味のある解釈は、中国政府が西太平洋で米国と対峙することを決意したという見方だ。東アジアは一段と危険な場所に見えてきた。
今年、米カリフォルニア州で米中首脳会談が開かれた時、中国の習近平国家主席は米国のバラク・オバマ大統領に向かって、太平洋には両大国を受け入れる十分な広さがあると言った。
推論されるのは、米国と中国は利権を分かち合うべきだということだった。だが、もう1つ、暗にこの発言に込められていた意味は、米国が太平洋地域随一の大国であり続けるという現状を受け入れないということだった。
自国の「分け前」をつかみ取りにかかる中国
オバマ大統領は首脳会談で、この問題をかわした。習主席は今、中国が自国の分け前をつかみ取るべき時だと判断したように見える。
第2次世界大戦後に米国の支配下に置かれた時期を除き、尖閣諸島は19世紀後半から日本の施政下にある。中国は1970年代前半に再び権利を主張したが、数十年間、主張を通すための行動は取らなかった。
2008年の北京オリンピック以降、中国政府は強引なアプローチを採用し、論争となっている領土周辺の海域と空域にたびたび侵入するようになった。こうした行為は、尖閣諸島周辺は日米安保条約の適用対象だとする米国の警告を招いた。
この米国のコミットメントが今、試されている。中国政府が問いかけている疑問は、既存の秩序を守るためにオバマ大統領は一体どこまでやるか、ということのようだ。中国の戦略目標は、米国を自国の沿岸から遠ざけ、東シナ海と南シナ海に宗主権を確立することだ。中東での戦争で疲弊した米国に、一握りの無人の岩礁を守るためにアジアでの紛争のリスクを取る政治的意思があるだろうか?
中国の行動のタイミングが、オバマ政権が特に大きな困難を抱えた時期と重なったのは、恐らく偶然ではない。
中国が新たに設定した「防空識別圏(ADIZ)」にB52爆撃機を2機送り込んだ米国政府の決断――米国は飛行を通告することを求めた中国政府の要請を無視することで「防御的緊急措置」に遭うリスクを冒した――は、米国が問題の本質を理解していることを示唆している。
チャック・ヘーゲル米国防長官は中国の動きを「地域の現状を変えて不安定をもたらす企て」と呼んだ。他の米国政府高官はそれほど外交的ではなかった。だが、中国政府は長期戦を展開している。東アジアにおける決定的に重要な疑問は、果たして米国には、地域覇権を目指す中国の持続的な取り組みに抵抗するだけの持久力があるかどうか、だ。
中国の新たな飛行規則がもたらす直接的な影響は、尖閣諸島を巡って日本との武力衝突が起きるという、既に大きなリスクを一段と高めることだ。
中国の防空圏は長い歴史がある日本のADIZと重複している。双方で誤算が生じるリスクは決して無視できるものではない。
日本には安倍晋三首相という国家主義的な指導者がおり、首相は、自国より強大な力を持つ隣国に屈したり、日本政府は政治的緊張を和らげるために一定の役割を果たすべきだという米国からの内々の警告に過剰に影響されたりしない決意を固めている。
安倍首相は臆面もない修正主義者であり、日本の歴史から不快な部分を拭い去る危険な癖を持つ。また、防衛的な軍事力以上のものを得るために日本の憲法を改正する言い訳を探している。偶発的であれ意図的であれ、尖閣諸島周辺で中国との衝突が起きれば、まさに憲法改正を正当化する理由ができる。
米国のジレンマ
その結果、オバマ大統領は紛れもなく困った立場に立たされている。米国は中国に対して、尖閣問題では米国は日本の味方であることをはっきりさせなければならないが、それと同時に、地域の緊張を高めることを安倍首相に促してしまう事態は避けたいと思っている。中国の隣国は1つ残らず、米国政府がこの2つの目的の間で、正確にどこで折り合いをつけるかを注視している。
米国にとって、対日関係よりもはるかに多くのことがかかっている。尖閣諸島を巡る日中間の対立は、中国と近隣諸国が抱える多くの領有権争いの1つだ。中国の新たな防空圏は日本の領有権だけでなく、韓国の防空圏とも重複している。
フィリピンは、南シナ海に浮かぶ島嶼を巡る中国との対立で十分な支援を与えてくれなかったとして、米国政府に不満を抱いている。ベトナムも自国領海について中国との紛争を抱えている。
意識的か否かは別として、中国政府は今、尖閣諸島上空の支配権を東アジアに対する米国の安全保障のコミットメントを試すリトマステストに変えた。米国政府が中国の飛行制限を受け入れれば、米国はすべてのアジア諸国に対し、中国の拡張主義に対抗して現状を守るうえで米国を当てにできないというメッセージを送ることになる。
だが、問題の空域を絶えず警備することで東アジアに常駐する大国としての決意を示せば、中国政府との新たな摩擦の種を受け入れることになる。筆者の推測では、中東での米国の権威失墜を招いたと批判されているオバマ大統領としては、尖閣問題で引き下がるわけにはいかないだろう。
往々にして繰り返される歴史の過ち
中国の政策立案者は、何にも増して歴史を熱心に学ぶ。19世紀末のドイツの台頭は長年、中国の外交政策のエリートが学ぶカリキュラムの大きなテーマだった。こうした政府高官は中国を訪れる人々に対し、中国は、隣国を結束させて、ドイツの強国の地位への台頭を阻止する勢力にしてしまったカイザーの誤算は繰り返さないと説明する。
過去に対するこうした注意力は今、力を行使する中国の決意の二の次になっているようだ。歴史の過ちは往々にして繰り返されるのだ。
By Philip Stephens
(私のコメント)
アメリカは今や対アジア外交において試練に立たされており、アメリカは中国と手を組むとなれば、ASEAN諸国をはじめとして日本、オーストラリア、インドまでもアメリカから離れていくだろう。日本はアメリカがどう出るか高みの見物をしていればいいのであり、アメリカのバランスオブパワー外交のお手並みを見せてほしいものだ。
フィナンシャルタイムズ紙の記事を見れば、イギリス紙らしく冷ややかな目線でアメリカ外交を眺めていますが、安倍総理に対しても極右の修正主義者と決めつけている。本来ならば中国の味方をしてきたリベラル紙でも今回の中国の暴挙は、公海における航行の自由を侵すものであり、イギリスとしても中国のやり方を認める訳にはいかないだろう。
昨日はアメリカ国務省の裏切りを記事にしましたが、アメリカは中国と手を組んでいくべきか、それとも中国包囲網を作るべきかの戦略の選択を迫られている。アメリカには一貫した戦略が無く政権が変わるたびに大きく変わる事がある。アメリカは共産主義に対しても容共的だった時もあれば、レッドパージを敷いて共産主義者を追放した時もある。
日米関係も明治以来、日本の味方をしたり敵としたり猫の目のように対日政策が変わる。あるのは国益だけであり、目先の外交戦略しかないように見える。大英帝国にしてもバランスオブパワー外交で、うまく立ち回って来たように見えましたが、アメリカに上手くしてやられて大英帝国は崩壊してしまった。
もし日英同盟が機能していれば、アメリカを東西から封じ込める事も出来たのでしょうが、大英帝国にも大戦略家がおらず、チャーチル首相は目先の利益に動かされてアメリカに上手くしてやられてしまった。アメリカはドイツを支援して大英帝国を追い込んで行って、孤立したところでアメリカに救済された。
日本に対しても、米英は援助してはロシアと対抗させられましたが、用が済めば日本と敵対して占領して属国にしましたが、今度は中国と対立させて大英帝国を救いながら利権を奪い取ったように、日本の利権を奪い取って行くのだろう。アメリカにとって一番困る事は日本とイギリスが手を組まれる事であり、日英が手を組まれるとアメリカが孤立する。
アメリカにとってイギリスがヨーロッパに対する拠点なら、日本はアジアに対する拠点であり、この二つの拠点を失えばアメリカはヨーロッパからもアジアからも孤立する。中国に対しても日本と言う拠点がなければコントロールがつかないし、イギリスと言う拠点がなければドイツやロシアをコントロールできない。
キッシンジャーやブレジンスキーの本を読んでもアメリカの戦略がよく分からない。最近の日高義樹氏の本では、キッシンジャーはソ連の崩壊を予測できなかったし、中国が豊かになれば民主国家になると予想していたが二つとも外れたと書かれていた。あれほどの情報をかき集めてもソ連の崩壊が予想できないのなら情報はいくら集めても役には立たないものなのだろう。
中国がアメリカを上回る超大国になるという予測もあれば直ぐに崩壊するという予測もある。アメリカにしても超大国であり続けるという予想もあれば、経済破綻して崩壊するという予測もある。予測が当たるか外れるかは問題ではなく、結果がどう出ても、それに対するシナリオ用意しておくことが戦略家の仕事だ。
フィナンシャルタイムズ紙が書いているように、アメリカは中国の言いなりになるようならばアジア諸国はアメリカを信用しなくなり流れは中国に傾くだろう。日本にしてもアメリカが日本を守ってくれないのなら日本から出て行ってくれと言う事になる。まさに中国によって日本がアメリカから「解放」されるというシナリオも考えられる。ライス特別補佐官の発言はクリントン国務長官とは異なる尖閣発言は注意が必要だ。ライス発言が中国を強気にさせた原因とも考えられる。
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