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南シナ海海上で演習を行う米海軍の原子力空母「ジョージ・ワシントン」に着艦するFA18戦闘攻撃機。有事では活躍が期待される(ロイター)
“自衛隊vs中国軍”空中戦シナリオ 短期戦では日本優位 中国は人質狙いか
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20131128/frn1311281810006-n1.htm
2013.11.28 夕刊フジ
中国が、沖縄県・尖閣諸島の上空に防空識別圏を設定したことで、中国人民解放軍と、日本の自衛隊との軍事衝突が現実味を帯びだした。国内不安を抑え込もうとする習近平指導部が「反日」路線を突き進み、好戦ムードは日に日に上昇。不測の事態がいつ起きてもおかしくない情勢だ。東シナ海を舞台にした戦闘の火ぶたはどのように切って落とされるのか。日米がタッグを強化するなか、軍事のプロが開戦と制圧のシナリオを徹底分析した。
「中国人民解放軍は防空識別圏をコントロールする能力がある。安全を保障するため脅威に応じて適切な措置を取る」
中国が一方的に防空識別圏を設定した23日、中国空軍の申進科報道官(大佐)はこう発表し、武力行使を辞さない構えを示した。26日には、空母「遼寧」を山東省青島から出港させるなど、空と海から尖閣を浸食していくかのような動きをみせている。
識別圏内を事前通告なしに飛行した米軍のB52戦略爆撃機2機に対しては、具体的なアクションを起こさなかったが、このまま沈黙を守り続けるとはかぎらない。
中国公安関係者は「国内ではいま、急速に好戦論が台頭している。習指導部は、貧富の拡大などの国内問題から人民の目をそらすため『反日』をあおる情報統制を続けている。体制の権威を示すために日本に戦争を仕掛ける可能性は十分にある」と明かす。
今月12日に閉幕した第18期中央委員会第3回総会(3中総会)。ここで決定した習氏肝いりの改革が党指導部の戦争シフトを加速させたとの指摘もある。
「『反腐運動』と銘打ってスタートさせた軍部改革だ。腐敗追放を旗印にかなり厳しい締め付けを行っている。軍内部ではこの改革への不満がくすぶっており、ガス抜きのために『尖閣戦争』を利用するつもりだ」(中国外務省関係者)
中国軍が、虎視眈々と「その時」を待ち構えているとすれば、戦局はどのタイミングで開くのか。中国の出方を予測するヒントになるのが、2001年4月に勃発した通称「海南島事件」だ。
「米軍の電子偵察機EP−3Eが、海南島から東南に110キロ離れた公海上で、中国の海軍航空隊所属の戦闘機と空中で接触した事件だ。偵察機は損傷して海南島に不時着し、米軍のパイロットが拘束された」(防衛省関係者)。スクランブル発進した中国の戦闘機が、米軍機に体当たりのような挑発行為を行ったとされ、この事件で中国軍は米軍の偵察機が収拾した軍事機密や偵察システムを手に入れたという。
軍事ジャーナリストの世良光弘氏が予測する衝突のシナリオはこうだ。
「自衛隊機や民間航空機の『捕獲』という手段も考えられる。複数の戦闘機で取り囲み、無線を通して警告を発して中国領内の空港への緊急着陸を命じる。そこで乗員や乗組員を拘束する。人質として中国の外交カードに利用するためだ」
民間機ならいざ知らず、自衛隊機がみすみす敵の手に落ちる事態は考えにくい。その場合は空中戦に突入する。
「中国軍の攻撃を担うのは、主力の第4世代戦闘機の殲撃10(J10)と殲撃11(J11)、ロシア製のスホーイ30戦闘機などで、バルカン砲や空対空ミサイルで一斉に攻撃してくる」(世良氏)
中国軍は、中国版「早期警戒管制機(AWACS)」といわれる「空警2000」を飛ばして広域をカバーし、戦闘機部隊を支援する。
「対する日本側は、主力機のF15、F2戦闘機で対抗することになる。機体の性能やパイロットの練度などの総合的な戦力は中国軍を上回るため、1〜2週間の短期戦では日本の優位は動かない」と世良氏はみる。
もうひとつ、気を付けなければならないのは、海からの攻撃だ。
南シナ海での軍事訓練に向かった空母「遼寧」が、周辺海域まで展開し、空母を護衛する「空母戦闘群」の防空ミサイル駆逐艦、フリゲート艦が艦対空ミサイルで攻撃してくる可能性がある。
「空軍と海軍、さらには海軍航空隊がそれぞれの航空部隊を抱える。一体となって攻撃を仕掛けてくれば、戦局が拡大するのは必至だ。そうなれば日本側も、海上自衛隊の佐世保基地からイージス艦を派遣して戦闘機部隊の支援に回ることになる。ここまでくると局地戦ではなく、本格的な日中開戦ということになる」(世良氏)
ただ、尖閣有事は、中国にとっても命取りになりかねない。日本の同盟国である米国の存在があるからだ。
小野寺五典(いつのり)防衛相は27日深夜、ヘーゲル米国防長官と電話で協議し、中国に対し、日米が共同して対応する方針を確認。ヘーゲル氏は尖閣が日米安全保障条約の適用対象であると強調した。
「中国が尖閣問題に関して中立的な立場を保つよう、米国に繰り返し呼びかけているのは、圧倒的な実力差がある米軍を恐れているからだ。尖閣有事に米軍が加勢すれば、戦闘はあっけなく終わる」(前出の防衛省関係者)
風雲急を告げる尖閣情勢。だが、中国がいかなる行為に出ようとも東アジアの秩序を乱すことはできない。
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