http://www.asyura2.com/13/warb11/msg/880.html
Tweet |
アムネスティは今年1月から8月にかけてパキスタン北西部の北ワジリスタンで行われた45件の無人機攻撃のすべてを調べた。この地域は他のどの地域よりも多い攻撃を受けていた。
アムネスティはその中の9件の攻撃について特に詳細な現地調査を行い、事実関係を分析した。その結果、これらの攻撃には、戦争犯罪あるいは超法規的処刑に相当する重大な国際法違反の疑いがあることが明らかになった。
昨年7月、少年を含む労働者18人が、アフガニスタンとの国境近くの村で1日の仕事を終え夕食を迎えようとしていたとき、攻撃を複数回受けて殺害された。
昨年10月には、ママナ・ビビさん(68歳)が孫たちに囲まれながら自宅の畑で野菜を摘んでいたときに、ミサイルによる攻撃を受け殺害された。
米国は、これら殺害の対象はテロリストだと公式に主張しているが、アムネスティの調べで、18人は何ら戦闘に参加しておらず、だれの脅威にもなっていないことが明らかになった。
国際法は恣意的な殺害を禁止し、殺傷力の高い武器の意図的な使用は例外的な状況に限定している。武力衝突の場では、戦闘員および直接戦闘に参加している者だけが対象となる。武力衝突の場以外では、このような武器の使用は身に危険が差し迫るときだけとされている。これらの例外を除き、無人機による恣意的な殺害は戦争犯罪あるいは超法規的処刑に相当し、国際法のもとで犯罪になる。
オバマ大統領は今年5月の演説で、無人機攻撃の可視化を図ることを約束した。しかし、この約束はいまだに実行されず、それどころか基本事実や法的根拠の開示さえも拒否している。
この秘密主義は、米国の責任逃れであり、犠牲者への法的な対応や補償の障害となっている。アムネスティが知るかぎり、米国高官はだれひとり、パキスタンでの無人機による違法な殺人について説明責任を果たしていない。
一方、アルカイダと繋がりのあるグループが支配地域の数十人の地元民を、米国無人機攻撃のスパイだとして殺害する事件があった。住民がアムネスティに語ったところによると、死体が道路わきに捨てられ、そのそばに「米国のスパイになるとだれでも同じ運命をたどる」と警告が書かれていた。同様の事件が頻繁に起こっているという。
パキスタン政府が米国の無人機攻撃に反対している一方で、同国の一部の高官や組織が攻撃を支援している可能性があることを、アムネスティは懸念している。オーストラリア、ドイツ、英国などの国々においても同様である。
アムネスティは関係各国に次のことを要請する。
【米国政府へ】
- パキスタンで続けている無人機攻撃の事実と法的根拠、およびこの殺害に対する米国の調査情報を公開する。
- 無人機攻撃が違法な殺害を招いていると考えられる全事例について、速やかに公正で独立した調査を行う。
- 無人機攻撃の責任者を公正な公開裁判にかける。
- 犠牲者やその家族が、正義を手にし、補償や救済を確実に得られるようにする。
【パキスタン政府へ】
- 米国無人機攻撃とパキスタン軍による攻撃の犠牲者に正義と賠償を手にする機会を与え、米国政府に対して無人機攻撃の賠償と救済を求める。
- 北ワジリスタンにおける違法な殺害と人権侵害の責任者を公正な裁判にかける。これには、米国無人機攻撃、パキスタン軍や、タリバン、アルカイダなどのグループによる攻撃が該当する。
- パキスタン政府が把握する無人機攻撃についての情報を、戦闘犠牲者の情報も含めて開示する。
【各国へ】
- 米国無人機攻撃をはじめとした国際法違反の殺害に反対し、米国およびパキスタンに対し、上記の措置をとるよう強く要請する。各国は、米国はじめいかなる国でも殺傷力の高い武器を違法に使用したとき、公式に抗議し国際法上の救済策をとる。
- 国際法違反である米国無人機攻撃について、機密情報や施設の共有を含め、いかなる形でも関与してはならない。
2013年10月22日
アムネスティ国際ニュース
http://www.amnesty.or.jp/news/2013/1023_4250.html
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。