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日本の選択:核武装か核を持たざる対核戦略か
長引くTPP交渉には成立阻害因子=中国を引き入れろ〜宮崎正弘氏
2013年10月18日(Fri) JBpress
マット安川 ゲストに宮崎正弘さんを迎え、米財政悪化の実態、それに伴う世界情勢や雲行きが怪しいTPPなど、詳しくお聞きしました。
米国債のデフォルト危機:楽観的な日本、したたかな中国
「マット安川のずばり勝負」ゲスト:宮崎正弘/前田せいめい撮影
宮崎 正弘(みやざき・まさひろ)氏
評論家、作家。国際政治・経済の舞台裏を解析する論評やルポルタージュを執筆。中国ウォッチャーとしての著作の他、三島由紀夫を論じた著書もある。近著に『オレ様国家 中国の常識』『2012年、中国の真実』『中国が世界経済を破綻させる』など。メールマガジン『宮崎正弘の国際ニュース・早読み』を発行。(撮影:前田せいめい、以下同)
宮崎 アメリカの債務上限引き上げの問題で、オバマ(米大統領)さんは共和党に対して、これは飲むからこれを飲めというかなり高飛車で強引なことを言っています。一方の共和党も簡単には譲らない。本当にデフォルトまでオバマさんを追い込むつもりなのかどうなのか、予断を許さない状況です。
しかし日本の空気はすごく楽天的です。まさかデフォルトにはならないだろうと、みんなが思っている。
確かにアメリカにも楽観論が出てきました。債務上限を数カ月引き上げる妥協案で、問題を先送りしようというのが今の議会の動きです。それでアメリカの株価が上がったら日本のそれも上がったりしています。
しかし、中国はといえば対照的にしたたかです。彼らは日本よりも60億〜70億ドルほど多い一兆二千数百億ドルの米国債を保有しています。
ひとつ注目すべきは債券の種類です。日本が保有しているのはもっぱら5年、10年というスパンの長いものなのに対して、中国は長くても6カ月くらいの短期債ばかりで、しかも絶えず買い替えをしている。これは政治的武器に使おうという思惑があるのと、短期債のほうが利息を稼げるからです。
中国の財務次官は記者会見で、われわれは真剣にアメリカの国債市場を注視している、仮にデフォルトしたらわれわれの持っている債券については補償してくれと、発言をしています。
なんとも身勝手な言い草ではありますが、ちゃんと万一のシナリオを想定している。日本はちょっとのんきに構えすぎではないかと思います。
アメリカの衰退を見越して国防力を強化すべし
アフガニスタンからはすごすごと逃げ出し、シリアには結局手も足も出せなかったアメリカ。この国が今後さらに衰退していくのは間違いありません。
オバマさんは向こう5年間で1兆ドルの国防費を削減すると言っています。中国が防衛力でアメリカを追い越す事態を防ぐためにどうすべきか、日本はそろそろ真剣に考えないといけません。
尖閣で何事かが起きたときにアメリカが本当に来てくれるのかどうかも、疑問視せざるをえない現状なのですから。
給料の10%ずつを緊急に貯金するなどして、国民総意の下にキャンペーンでもやれば戦前のように防衛力を倍増できるかもしれません。しかし、それでは間に合わないし、今から核開発を始めても同じことです。
「マット安川のずばり勝負」スタジオ風景/マット安川、宮崎正弘、加藤知華/前田せいめい撮影
ではどうするか。ひとつ考えられるのは、アメリカの核を共同で管理する核シェアです。アメリカは表向きに認めてはいませんが、ドイツもベルギーもトルコまでがこれを事実上やっています。
80年代のパーシングII配備と同じことをする手もあるでしょう。当時のソ連はチェコやポーランドにSS-20という短・中距離ミサイルをばんばん置いていました。
目の前のドイツとしては防ぎようがありませんから、パーシングIIというアメリカの核ミサイルを配備することで対抗した。結果、中距離核戦力全廃条約が結ばれて、ソ連側はSS-20をアメリカ側はパーシングIIを廃棄しました。
中国が日本を狙っている核ミサイルを何発持ってるかは分かりませんけど、それを廃棄させるにはパーシングIIのような核兵器を選択するしかないと思います。
そのうち本当にアメリカの国債がデフォルトするような事態になったら、日本は腹を括らないといけません。その金は要らないから、代わりに第7艦隊と在日米軍は全部いただきます、というくらいの発想が必要でしょう。
核兵器を保有せずに核に対抗する方法アリ。しかし・・・
日本が加盟している核拡散防止条約というのは、不平等で不条理でめちゃくちゃな条約です。核を持っている国は持っていていい、持ってない国はダメというんですから。
この条約の大きな狙いは日本の原発を監視することです。IAEA(国際原子力機関)が核物質の処分を見張っているものだから、日本はがんじがらめで核武装などできない。そんな条約に喜んで加盟するのもどうかと思いますが、現状がそうなっているのですからほかの方法を考えないといけません。
例えば日本はパキスタンには1兆円ほど、インドには2兆円近く貸しています。それをチャラにする代わりに核兵器を提供しなさいっていう手もある。もちろん相手は乗ってきませんが、日本がそういう手を打ったというだけで、アメリカは核の問題を真剣に考えざるをえませんし、中国も警戒するでしょう。
核兵器を保有せずに核に対抗する方法もあります。相手の核ミサイル基地のコンピューターをハッキングすればいい。アメリカとイスラエルはイランの核施設のコンピューター8000台をハッキングで壊しました。
日本が同じことをしようとしても、専守防衛という国是がある。相手がコンピューターでも、こちらから攻撃しちゃいけないことになっていますから。こういう簡単なことすらできないんです。
オバマのドタキャンで長引くTPP交渉。自然消滅も?
TPPについては安全保障上の対中国戦略だという考え方もありますが、それはどうかと思います。
WTO(世界貿易機関)で世界貿易の枠組みを作ろうとした。そこには中国も加わりましたが、彼らは決まりを守らないんですね。ロシアは入ってすらいない。ならば決まりを守らない国を排除して、もういっぺん地域的に自由貿易協定を作り直しましょう・・・これがTPPの成り立ちなんです。
「マット安川のずばり勝負」マット安川、宮崎正弘/前田せいめい撮影
趣旨としては納得しやすいんですが、日本が守るべき最終的なところまで踏み込まれているから反対する人が多いんですね。
特に農産物に関して、関税撤廃などの自由化をどこまでやるのか? 私は前から皮肉で言ってるんですけど、中国をTPPに入れたほうがいいんです。なぜって、彼らが入ればめちゃくちゃになって成立しないでしょうから。
今回、オバマさんがドタキャンして交渉に参加できませんでした。これで交渉はかなり長引きますよ。年内どころか、来年中でも無理じゃないですかね。
オバマさんは民主党内部からも足を引っ張られていますから、次の中間選挙はガタガタに負けるんじゃないか。そうしたらTPPなんて次の政権に先送りになります。場合によっては自然消滅する可能性もあると思います。
「領土問題には介入しない」にもかかわらずフィリピンの肩を持つ米国
フィリピンと中国がスカボロー岩礁の領有権をめぐって対立しています。フィリピンが国際機関に提訴したところ、中国はフィリピンから輸出されたバナナの通関をみんな腐るまで遅らせるなどの嫌がらせをしています。
先日のASEANならびにアジア首脳サミットの場で、アメリカのケリー(国務長官)さんは、この問題に関してフィリピンを支持すると発言しました。
両国間の条約にはフィリピンにおける米軍基地が攻撃されたときに軍事行動をすると書いてあるだけで、スカボロー岩礁を守るとは一言も書いてありません。日米安保条約に尖閣を守るとは書いてないのと同じです。
それでアメリカは、尖閣の帰属に関しては関知しないと言っている。あそこの島の1つを射撃場に使っていながらよく平気でそんなことが言えるもんだと思いますが、そんな具合にアメリカは領土問題には介入しないという基本方針を守っているんです。
にもかかわらず、フィリピンの問題に関して一歩踏み込んだ。これは注目に値します。ちなみにフィリピンに対しては、日本の安倍(総理)さんも巡視艇を10隻供与するなどの約束をしてきました。これでフィリピン海軍はいきなり強くなりますよ。
「マット安川のずばり勝負」2013年10月11日放送
「マット安川のずばり勝負」マット安川/前田せいめい撮影
マット安川(本名:安川昌之)
(株)オフィスヤスカワ代表取締役。1973年1月10日生、神奈川県出身。O型。大学在学中から30種以上の仕事に携わり、のちに渡米。語学を学び、インターンシップ、のち現地法律事務所へ勤務、3年間マネジメントを担当する。帰国後、各界著名人のトレーナー兼マネジメントなどを手がけ、企業コンサルティング、事業マッチングのほか、TV・ラジオの番組DJ・企画制作など多方面に活躍中。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/38960
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