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シリア攻撃を“あきらめた”米国と日本 高まる新孤立主義
http://www.asyura2.com/13/warb11/msg/851.html
投稿者 SRI 日時 2013 年 10 月 16 日 09:53:35: rUXLhToetCnYE
 

シリア攻撃を“あきらめた”米国と日本

高まる新孤立主義

2013年10月16日(水)  森 永輔

シリア攻撃を事実上諦めたオバマ米大統領は、米国民に対して弱気な素振りを見せるわけにはいかない。
このため財政を巡る議論では、デフォルト(債務不履行)直前まで強気の姿勢を崩さないだろう。
これは米国社会の一層の分裂につながる。オバマ政権の弱体化は日本にどのような影響をもたらすのか?
米国政治に詳しい川上高司拓殖大学教授に聞いた。(聞き手=森 永輔)
シリアへの攻撃について、バラク・オバマ米大統領が迷走しました。この背景をどのように分析していますか?
 そもそも、イラクやアフガニスタンからの米軍撤退を進めてきたオバマ大統領がなぜシリア攻撃に腰を上げたのか? そこからお伺いします。


川上 高司(かわかみ・たかし)氏
拓殖大学教授
1955年熊本県生まれ。拓殖大学教授。
大阪大学博士(国際公共政策)。フレッチャースクール外交政策研究所研究員、世界平和研究所研究員、防衛庁防衛研究所主任研究官、北陸大学法学部教授などを経て現職。この間、ジョージタウン大学大学院留学。(写真:大槻純一)
川上:オバマ大統領は基本的にはやりたくなかったのだと思います。しかし、腰を上げざるを得なかった。理由は大きく2つあると考えています。

 第1の理由はオバマ氏が大統領であるとないとにかかわらず、米国が「アメリカだから」。良くも悪くも、米国はノーム(規範)を重視する国です。「化学兵器の使用」という人道に反する行為をしたシリア政府には懲罰を与えなければならない――と考えた。

 オバマ大統領の念頭にはイランがあったでしょう。ここで、シリアに寛容な態度を示せば、イランが核開発を進めた時に厳しい態度を取ることはできません。この意味でも、ノームを守る姿勢を示す必要があった。

 もう1つの理由はユダヤ・ロビーです。彼らが活発に動き、オバマ大統領を突き動かした。正確に言うと、オバマ大統領の決断に直接の影響を与えたのは、ジョン・ケリー国務長官でしょう。

ケリー長官はそもそもリベラル派で、対外干渉には消極的だったのでは。

川上:それほど、ユダヤ・ロビーが強力だったということでしょう。

 ケリー長官の父方の先祖はユダヤ人です。ユダヤ・ロビーはその執念とカネで同長官を説得した。ケリー長官は8月26日に「シリア政府に責任を取らせろ」と発言。ここから風向きが変わりました。

 オバマ大統領はケリー長官の言うことに真っ向から反対することはできない力関係にあります。そもそも、同長官が2004年の米大統領選挙に民主党候補として立候補した時に応援演説をしたことからオバマ氏の存在が世の中で知られるようになりました。2012年の大統領選挙では、共和党のロムニー候補との討論に臨むオバマ大統領のために、ケリー長官が練習相手を務めました。

 第2次オバマ政権で国家安全保障担当の大統領補佐官を務めるスーザン・ライス氏もオバマ大統領を説得するのに一役買ったことでしょう。彼女は「人道を重視する」リベラル派なのですが、「人道に反する行為をする国に対しては軍事介入を辞さない」というホーク(タカ派)の考えを持っています。

ユダヤ・ロビーが活発に動いた狙いは何だったのでしょう?

川上:イランを引っ張り出すことにあったのだと思います。米国とともにイスラエルがシリアを攻撃し、イランがこれに報復するようなことがあれば、イスラエルはイランの核施設を軍事攻撃する大義名分を得ることができます。イランは、シリアと友好関係にありますし、ヒズボラを支援しています。

しかし、イラクやアフガニスタンでの経験が脳裏から離れない米世論は、オバマ大統領の決断に反対しました。

川上:ある調査によると米国民の60%がシリア攻撃に反対しました。ローマ法王も「軍事的解決の追求をやめ(中略)平和的解決を目指すように」と促しました。その影響力は大きなものがあります。国連の潘基文事務総長も反対の姿勢を示しました。

 そこでオバマ大統領は、攻撃しないことの大義名分を得るべく、攻撃の是非を議会に諮ったのでしょう。

アジアでは前方展開兵力を縮小

オバマ大統領がシリア攻撃を事実上諦めたことで米国内の政局と国際政治は今後どのように展開するでしょう。


(写真:大槻純一)
川上:オバマ政権は国内において、レームダックにならざるを得ません。そして米国内の分裂はその度を深める。その煽りで対アジア外交は現状維持、すなわち前方展開兵力の削減が続くでしょう。

 まず米国の内政について。今、財政とオバマケアを巡って民主党と共和党が対立しています。この緊張は今後も続くでしょう。オバマ大統領は、債務不履行(デフォルト)の直前まで妥協することはできません。シリア攻撃の件で、迷走しました。このため、国民の前でこれ以上「弱気」「妥協」といった姿勢を見せるわけにはいきません。

 政権内に目を移すと、リベラルホークが影響力を失いました。前出のスーザン・ライス氏や、国連大使のサマンサ・パワー氏などです。オバマ大統領がシリア攻撃を事実上、断念したことで、彼女たちの意見が容れられないことが明らかになりました。

 介入派が力を失うと、非介入派=孤立主義派が力を得ることになるでしょう。

孤立主義派が強くなると、オバマ政権のアジア外交にはどのような影響が出るのでしょう? 第1次政権の末にアジアピボット(アジアへのシフト)を決めました。この方針に変化が起こるのでしょうか?

川上:大きな流れとしては、軍事費を削減しなければならないこともあり、在日米軍など前方展開している兵力の削減傾向が強まると思います。その分の負担を、日本をはじめとする同盟国に求めていくことになるでしょう。

 その一端が、10月3日に開催された日米安全保障協議委員会(日米2プラス2)の共同発表に表われています。米国はこの場で2つのメッセージを日本に送ったと見ています。第1は、「日米同盟は今後も強固に維持する。大丈夫だ」というもの。共同発表を読むと、米国はアジア太平洋地域を重視する取り組みを今後も重視するとしています。日本が集団的自衛権を行使できるようにすることについても「歓迎する」としています。施設の共同利用を進めることにも合意しています。いずれも日米同盟の深化につながる動きです。

 2つめのメッセージは、ケリー国務長官とチャック・ヘーゲル国防長官が千鳥ヶ淵の戦没者墓苑を訪問したことです。米国の国務長官と国防長官がそろって千鳥ヶ淵を訪れることなど、これまでにはなかったことです。これが意味することには2つの可能性が考えられます。1つは「秋の例大祭の時に靖国神社は参拝してはならない」という安倍首相に対するけん制。

 もう1つは日本の防衛力強化を認めるというものです。先ほど述べた、同盟国に負担を求める方針と符号するメッセージですね。米軍が引く分、日本が防衛力を高めることで平時の安定を保つ。

海外での事象に積極的に介入してきた“強い米国”と、孤立主義に向かう“弱い米国”。日本にとってはどちらが好ましいのでしょうか。

川上:一長一短ですが、安倍首相は「チャンス」と捉えているのではないでしょうか。日本を「独力で守れる国」に向かわせることができるからです。軍事面で中国の脅威が高まる一方で、米国は前方展開兵力の縮小を図るという背景の下、米国は日米2プラス2の場で、日本の防衛力強化も歓迎しています。

 かつて米海兵隊の司令官が日米同盟を瓶のふたに例えました。「もし米軍が撤退したら、日本はすでに相当な能力を持つ軍事力を、さらに強化するだろう。だれも日本の再軍備を望んでいない。だからわれわれ(米軍)は(軍国主義化を防ぐ)瓶のふたなのだ」(日本経済新聞から引用)。このふたが少しあいたのではないでしょうか。

 ただし、安倍首相の思惑通りに事が進むかどうかは不透明です。最近、中国が融和の方向に変わってきているように見えます。中国が日本や東南アジア諸国との関係改善に舵を切ると、日本の防衛力増強を快く思わない意見も出てくる可能性があるでしょう。中国が軟化することは、安倍首相にとっては面白くないことかもしれません。

尖閣防衛に米国を引き込む術

日本が独自の防衛力を高めるためには、財政の問題を解決する必要があります。消費増税が決まりましたが、これは解決への初めの一歩にすぎません。その一方で、米国は前方展開兵力を縮小していく。米国も深刻な財政問題を抱えています。これまでのようにはいきません。そうなると、尖閣諸島の問題が不安になります。

川上:そうですね。なので、日本としては尖閣問題に米国を巻き込む方策を考える必要があると考えています。考え得る策の1つは日米安全保障条約の改訂です。欧州諸国が米国と結んでいる条約や米韓の安保条約と比べて、日米安保条約にはあいまいな部分があります。これを、クリアーにするための改訂です。

 現行の安保条約の第5条は「日本国の施政の下にある領域」をその対象として「共通の危険に対処する」と規定しています。尖閣諸島に属す島々そのものが侵略された場合に、安保条約が発動することは明らかです。しかし、例えば、尖閣諸島の基線から20カイリ離れた地点(注:ここは日本の領海の外。領海は12カイリまで)で海上自衛隊の艦船と中国海軍の艦船が戦闘に及んだ時、米軍に応戦する義務が生じるかは不明確です。

 なので同5条に「いずれかの締約国の軍隊、船舶又は航空機で、○○の海域又はそれらの上空にあるもの」と加筆することで、この不明確さを解消することができます。「軍隊」は陸上自衛隊を、「船舶」と「航空機」は海上自衛隊や航空自衛隊のものを指します。

 参考までに申し上げると、欧州諸国と米国が結んでいる北大西洋条約は「いずれかの締約国の軍隊、船舶又は航空機で、前期の地域(中略)、地中海若しくは北回帰線以北の北大西洋地域又はそれらの上空にあるもの」と規定しています。同様に米韓相互防衛条約は「太平洋地域」と定めています。日本の場合、○○の領域をどこまで拡大するかは議論が必要だと思います。

 米国は、尖閣諸島を巡る日中間の争いに巻き込まれることを懸念しています。なので、この条文改訂を受け入れるかどうかが、米国の今後の対日姿勢を推し量る試金石になると考えています。

 もし米国がこの改訂を受け入れるようなら、日本は集団的自衛権を行使できるようにする必要があるでしょう。米国に今以上のコミットメントを求めるわけですから、片務性を改める必要があると思います。

3年後をにらんだ外交を

話は戻りますが、米国内で孤立主義を主張する勢力が気になります。ランド・ポール上院議員、マルコ・ルビオ上院議員、テッド・クルーズ上院議員、ポール・ライアン下院議員。こうした共和党強硬派の面々は、いずれも2016年大統領選の共和党候補として下馬評に名前が挙がっています。

 シェールガス革命が進み、米国はただでさえ海外への依存度を低めています。そんな中で孤立主義派が政権を取ったら、米国は海外への関与を一層弱める可能性があるのではないでしょうか。

 その一環で、中国との関係を修正するかもしれません。多額の貿易をし、米国債を大量に購入してもらっているので、経済関係を維持もしくはより拡大させる。政治・安全保障面では「事を荒立てず」の方針を取る。もしそうなれば日本は政治・安全保障面で孤立する可能性があるのでは。

川上:そこが重要な点です。日本政府は、そうした3年後の可能性を視野に入れて政策を練っているでしょうか。オバマ政権の次も視野に入れた外交戦略を考える必要があります。

このコラムについて
キーパーソンに聞く

日経ビジネスのデスクが、話題の人、旬の人にインタビューします。このコラムを開けば毎日1人、新しいキーパーソンに出会えます。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20131015/254571/  

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コメント
 
01. 2013年10月16日 18:53:40 : BzFfLsg7L0
よくもまあ、こんな滅茶苦茶が書けるな

02. 2013年10月16日 20:52:06 : F6QaS73zWk
SRIって人は
新しいバイトの人なのかな?

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