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代表的ステルス機”F-22”。レーダーを別方向に反射させるため、角度が付いている
ステルス機を「見る」技術
http://bylines.news.yahoo.co.jp/dragoner/20130919-00028252/
2013年9月19日 23時2分 dragoner | 軍事ブロガー/見習い猟師
近年の軍用機開発では、機体のステルス性についても重視される傾向にあり、米軍のF-22、自衛隊も導入するF-35の他にも、中国で開発中のJ-20、ロシアで開発中のT-50と、いずれも高いステルス性を持つとされます。
この軍用機のステルス化トレンドに対し、防衛省が「ステルス機を丸見えにする」技術の研究開発に乗り出すという報道がありました。
防衛省は、レーダーで捉えにくいステルス性能を持つ最新鋭戦闘機を探知するレーダーの研究開発に本格的に乗り出す。 中国やロシアがステルス性能に優れた戦闘機の開発を進めていることを踏まえ、日本の防空態勢を強化する必要があると判断した。2014年度予算の概算要求に研究費37億円を盛り込んでおり、10年後の実用化を目指す。
出典:読売新聞「ステルス機が丸見えになる技術開発へ…防衛省」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130919-00000817-yom-pol
しかし、記事中ではどういった技術によって、ステルス機を見えるようにするかは書かれていません。そこで、今回は記事の補足として、どのような技術を用いてステルス破りを行うのか、過去の防衛省の研究などから解説したいと思います。
なぜ、ステルス機は「見えない」か?
ステルス破りの解説をする前に、ステルスの定義と、なぜステルス機が「見えない」のか、という事について触れる必要があります。
ステルス性とは「ある兵器がセンサー類からどの程度探知され難いか」を相対的に表す言葉で、探知する側のセンサーもレーダー(電波)から赤外線や可視光等、多岐に渡りますが、軍用機ではレーダーに映らないようにするのがステルスの第一義と考えて差し支えないので、ここではレーダーに対するステルス性に限定して話を進めたいと思います。
レーダーの原理とは、電波を発振して、対象に当たった反射波を拾うことで、対象の位置を測定します。人間の目も、光の反射を拾うことで物体を認識していますが、レーダーは目と同じことを光ではなく電波でやっていると考えて下さい。
機体に施せるステルス化の手段としては、以下の2つのアプローチが一般的です。
レーダーの反射波を小さくする。
反射を電波が来た方向(レーダーの方向)に返さない形状にする。
レーダーの反射波を小さくする方法としては、機体形状を反射の小さいものにしたり、機体表面に電波を吸収する素材を用いることで反射波を減らすことが挙げられます。しかし、ステルス化した機体は難しい加工が必要な形状だったり、電波吸収材料(RAM)で被膜した機体はメンテナンスにコストがかかるなど、ステルス機の製造・運用コスト高の一因ともなっています。
第二の方法は、反射波を電波が来た方向に返さず、別の方向に反射させることです。反射波が返ってこなければ、レーダーに機体は映りません。鏡を45度傾けると自分が鏡に映らなくなりますが、それと同じ現象です。この2つのアプローチを用いることで、ステルス機はレーダーに映りにくくしているのです。
ステルス破りの技術
ではステルスを見破るにはどのような手段があるでしょうか。防衛省でも過去・現在で研究が行われている、実現性の高い手段についていくつか挙げてみます。
第一に挙げられるのは、レーダー性能を高めるという力技のアプローチです。
ステルスの定義で書いたように、ステルス性とは相対的で、センサー側の進歩により従来のステルス優位が崩れる事もあります。ステルス機の小さい反射波もレーダーで捉えることができれば、ステルス機を「見る」ことができます。近年はレーダー出力を増大させる窒化ガリウム(GaN)を用いたレーダーの研究が行われており、この分野の研究は日本が世界のトップにあります。
第二に挙げられるのは、電波を発振する装置と、反射を拾う装置を別々にするバイスタティック・レーダー技術です。
ステルス機が電波の来た方向とは別の方向に反射波を返したとしても、その反射した方向で別のレーダーが反射波を拾えば、ステルス機を発見することが出来ます。航空自衛隊は28のレーダー・サイトを運用していますが、レーダー・サイト同士を高速な回線で接続して発振電波の情報を共有し、別のレーダー・サイトの反射波を拾うようにすれば、ステルス機を発見することも期待できます。現在、自衛隊のレーダー・サイトでも、比較的新しい型のJ/FPS-5(ガメラレーダー)ではこのバイスタティック・レーダー技術に対応していると言われ、平成24年度予算で配備が始まったばかりのJ/FPS-7はより進んだものとなっているとされます。
第三に挙げられるのは、レーダーに使う電波の周波数帯を、探知する機体の長さに近い低周波帯を用いる方法です。
ステルス機に当たる電波の波長が機体のサイズに近いと共振が発生し、レーダーに映る面積が数倍になります。この原理を用いた低周波レーダーは精度は悪いものの、電波が遠くまで届くという利点がありますが、用いる波長より短い物体は原理的に発見できないという欠点があります。
最後に電波以外の索敵手段を使うというアプローチもあります。低周波レーダーとは逆に、より光波長の電磁波である赤外線や光を用いる方法です。
ジェットエンジンは高熱を排出するため、赤外線を利用した探知が可能です。しかし、ステルス機は排気を冷却して赤外線ステルスを行っているのもあり、従来機よりも電波と同じように赤外線対策が行われています。また、レーザー光線を利用したレーダーは、原理的に全てのステルス機を探知可能ですが、探知距離が短く、気象条件に影響を受けるといった制約があります。
”次の技術”のために
ここまで、ステルス破りの手段のうち、代表的なものを挙げてみました。
注意して欲しいのは、これらの技術は機体を「見つけやすくする」というもので、絶対的なものではありません。ステルス機に限らず、軍用機には敵のレーダーから隠れたり、誤魔化すための飛行法が存在します。時には非ステルス機でもレーダーに映らずに(あるいは映っても敵機だと思われずに)侵入した事例が多々あります。自衛隊でも1976年のベレンコ中尉亡命事件では、地上レーダー、スクランブル発進したF-4EJ戦闘機共に、低空飛行するMiG-25を捉えきれず、MiG-25の函館空港強行着陸を許す事態にまでなりました。
レーダーを操るのも、航空機を操縦するのも人間で、両者ともに知力を尽くして相手の裏をかく努力をしています。ここで挙げた技術もいずれは相手に裏をかかれることになりますが、その時に”次の技術”が用意できるか否かは、たゆまぬ研究にかかっていると言えます。
dragoner
軍事ブロガー/見習い猟師
軍事ネタブログ"dragoner.ねっと”主宰。 新旧の防衛・軍事ネタについて、ブログでの文章・動画共有サイトの映像の両アプローチで、分かりやすい解説を心がけております。 最近は自然問題にも興味を持ち、見習い猟師中。
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世界最強クラスの戦闘機 F-22 ラプターの凄まじい機動力
公開日: 2013/01/12
F-22はロッキード・マーティン社とボーイング社が共同開発した、レーダーや赤外線探知装置等からの隠密性が極めて高いステルス戦闘機。愛称は猛禽類の意味のラプター(Raptor)。また、開発元のロッキード・マーティン社は航空支配戦闘機というキャッチフレーズを用いている。複数の用途での運用が可能なマルチロール機である。
アメリカ空軍のF-15C/D制空戦闘機の後継機として、ロッキード・マーティン社が先進戦術戦闘機計画に基づいて開発した、第5世代ジェット戦闘機に分類される世界初のステルス戦闘機。ミサイルや爆弾の胴体内搭載などによるステルス特性や、ミリタリー推力での音速巡航(スーパークルーズ)能力を特徴とする。
同空軍が運用するF-15E戦闘爆撃機と同じく多用途戦術戦闘機に分類されるが、対地兵装の搭載能力は限定的であり、ステルス特性を生かして効果的に対空装備を無力化したり、より空戦能力側に振った能力を生かすことにより、航空優勢を確保するための機体と言える。
冷戦下に開発が行われ、アメリカ空軍の試算では1996年からの調達で最終的には750機の配備を予定していた。しかし、開発の遅れや冷戦の終結に伴って、機種転換訓練向けに2003年から配備が開始され、実戦部隊が運用を開始したのは2005年12月だった。最終的な装備機数は187機(EMD試験機1機を含めた量産準備試験機以降の装備機数。試作機YF-22も含めた総製造数は197機)で、開発費の高騰や生産数の縮小により、一機当たりのコストは約1億5,000万ドルに達している。
2011年現在までに実戦への参加はないが、そのステルス性の高さなどから世界最強クラスの戦闘能力を持つとされる。一方でその高度な軍事技術の転移への懸念や運用コストの高さなどから、アメリカ空軍のみの配備に留まっている。
コストの高騰・予算削減を背景に2009年度の調達分により生産終了が決定し、2011年末に最終号機である195号機がロールアウト、2012年5月2日に引き渡しが行われた。
F-22は『ステルス性が高いこと』『アフターバーナーを使用しないでスーパークルーズ(超音速巡航)ができること』『STOL(短距離離着陸)が可能なこと』という3つのSの要求通りの性能を持っている。
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