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尖閣諸島を中国が軍事的に実効支配すれば、台湾は米国・日本との軍事協力関係を分断され、孤立する。瞬く間に中国に占領される
http://www.asyura2.com/13/warb11/msg/751.html
投稿者 TORA 日時 2013 年 9 月 17 日 14:29:53: CP1Vgnax47n1s
 

株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu296.html
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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尖閣諸島を中国が軍事的に実効支配すれば、台湾は米国・日本との
軍事協力関係を分断され、孤立する。瞬く間に中国に占領されてしまう。

2013年9月17日 火曜日

◆英米系地政学で考える尖閣諸島問題 日本はアジア華人社会との連携を探れ  9月17日 上久保誠人 [立命館大学政策科学部准教授]
http://diamond.jp/articles/-/41714

習近平の「太平洋2分割論」と
米国の真意
?しかし、現状は残念ながら、「中国経済リムランド化」戦略と、真逆の方向に向かってしまっている。今年6月の米中首脳会談では、習近平・中国国家主席が首脳会談で「米中2ヵ国は太平洋に面しており、広い太平洋は両国を受け入れる空間がある」と発言した。習主席は、太平洋を米中二大国で分割支配しようと持ちかけたのだ。

?これに対して、バラク・オバマ米大統領は、「中国の発展は米中2ヵ国だけでなくアジア太平洋地域、世界にとり重要である」と述べた。そして、尖閣諸島について「日本の施政権は認めるが、領有権については特定の立場をとらない」という、従来からの米国の姿勢を説明した上で、日本との対話による解決を求めた。米中による「太平洋2分割論」をやんわりと否定したのだ。

?だが、日中の対話を促す米国の姿勢は、尖閣諸島について「領土問題の存在そのものを否定」する日本の立場と一致していないものだ。また、中国が尖閣諸島に侵攻した時、米軍は日米安保条約に基づいて日本と共に防衛するのか、必ずしも明確となっていない。米国の真意はどこにあるのか、曖昧な状態だといえる。

?米国が、地政学に基づいて国家戦略を構築しているならば、中国による尖閣諸島の軍事的実効支配を絶対に認めるはずがない。中国軍の太平洋進出は、米国にとって韓国、日本、台湾、香港、東南アジア全域に対する政治的・経済的・軍事的影響力の喪失を意味するからだ。米国にとっても、尖閣諸島は「核心的利益」なのである。日本は、中国軍の尖閣諸島侵攻の際には、米軍が間違いなく出動するはずだと信頼してもいいのかもしれない。

?しかし、米国内には、覇権国家を目指す中国の台頭と、覇権国家から転落した米国の凋落という世界秩序の転換を現実的に見つめるグループが存在する。彼らは、米中による「太平洋2分割論」を、現実的な戦略と考えて、尖閣諸島侵攻に始まる中国のアジア全域支配を、黙認するかもしれない。

?また、米国が基本的に地政学に基づいた世界戦略を描いてきたとしても、これまで時々戦略ミスを犯してきた歴史があることも、指摘しなければならない。例えば、第二次大戦である。米国は、本来同じシーパワーであるはずの日本を敵とみなし、リムランド・中国大陸に出現した共産党を間接的に支援して、日本を敗戦に追い込んだ。しかし大戦後、日本がリムランド・中国大陸から消滅したことで、中国共産党がランドパワー化した。米国はそれまで主に日本が担ってきた、共産主義との対決に直面することになった。(中略)

尖閣諸島の問題も、多様な華人社会にとっては、中国共産党と一枚岩の立場にはないと考えることができる。例えば台湾だ。中国と一緒になって尖閣諸島の領有権を主張しているが、実際は中国による尖閣諸島の軍事的支配は絶対に認められないというのが本音だ。尖閣諸島を中国が軍事的に実効支配すれば、台湾は米国・日本との軍事協力関係を分断され、孤立する。瞬く間に中国に占領されてしまうことになるだろう。

?また、中国軍が尖閣諸島を実効支配し、太平洋に進出すれば、香港、シンガポール、マレーシアなどへの軍事的影響力も強くなる。市場のルールに基づいて欧米と商売をしてきた華人社会の経済活動は制限されていく可能性が高い。

?つまり、台湾、香港、シンガポール、マレーシア、タイなどの華人社会にとって、中国軍による尖閣諸島実効支配は、望ましいことではないということだ。ここが、日本の攻めどころである。日本は華人社会とビジネスなどを通じて、さまざまなコネクションを持っているはずだ。政治家や官僚だけではなく、ビジネス界からもさまざまな人脈を投入して、華人社会に「尖閣諸島を中国共産党が支配したら、自由な商売ができなくなるよ」と、訴えていくべきである。

?そして、華人社会には、中国共産党に強い影響力を持つ人物が多数いるはずである。なにより、太子党と呼ばれる中国共産党幹部の子息には、習主席のように政治家になる者も多いが、親のコネを使ってビジネス界に転じる人間も多いのだ。彼らの政治力を利用し、中国の方向性が軍事拡大から経済成長重視へ徐々に転換するよう、働きかけていくことは可能ではないだろうか。

(私のコメント)

オバマ大統領の対シリア政策にしても、本音では軍事介入には反対であり議会の承認を求めた時点で軍事介入の見込みはなくなった。シリアのアサド政権にしても反政府勢力にしても国民不在の勢力であり、アサドを失脚させたところでエジプトの二の舞になるだけだ。エジプトも宗教勢力を排除しようとさせましたが、かえって混乱をもたらしてしまった。

もはやアメリカには、世界の警察官としての気概も能力も無くなってしまったようだ。イラクやアフガニスタンを民主化させたところで混乱が起きるだけであり、イスラム諸国や中国は強力な独裁者でないとまとまらない。洗練された民主国家になるためには国民の民度が高くなければ政治は安定しない。

アメリカの介入によって北アフリカから中東にかけての独裁者は追放されましたが、イラクやアフガンのテロ攻撃は止んでいない。チュニジアやリビアやエジプトは反政府デモやテロ攻撃が過激化するだろう。中国にしても共産党独裁体制が崩壊すれば戦前のような軍閥が割拠した内乱状態が起きることが予想されています。このように中国はイスラム独裁国家と同じ体質を持っていますが、武装警察による徹底した反政府勢力の取り締まりが行われている。

近代工業文明と民主主義は両方セットでなければ成り立ちませんが、ソ連は独裁制を維持しながら近代工業を振興しようとしましたが、軍需産業や基幹産業は育っても民間需要を満たすような産業は育たなかった。これは国家管理では民間企業が育たないからだ。中国は独裁制を維持しながらも改革開放政策で高度成長をもたらしましたが、やはり情報を統制して独裁の締め付けがきつくなってきて経済成長にも陰りが見えてきた。

確かに改革開放政策が進めば、民主化も進むような予想もありましたが、経済が停滞するとともに国民の不満も高まり、中国政府は独裁的な強権政治になろうとしている。朱建栄氏逮捕にみられるようなスパイの取り締まりも始まった。国内的な引き締めと同時に国際的な緊張関係を高めようとしている。

その矛先となるのが海洋進出で障害となるアメリカと日本との緊張の高まりは避けられない。アメリカ政府の外交的関心の9割が中東問題であり、アメリカは中国との緊張の高まりは望んでいない。その代わりに中国からの圧力を一手に引き受けなければならないのが日本だ。フィリピンやマレーシアやベトナムなどは中国に対抗できない。

シリア問題にも米中露の対立がみられますが、シリア政府を支援する中国ロシアと反政府を支援するアメリカNATO諸国という構造は、アジアでも中国とアメリカ日本との対立構造が浮かび上がってきている。その主戦場が尖閣でありASEAN諸国であり、日本の円安政策やチャイナプラスワン政策で日本のASEANシフトが鮮明になってきた。


◆「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 9月17日 
http://melma.com/backnumber_45206_5895462/

他方、中国が影響力を失速中の地域が東南アジア諸国連合(ASEAN)に参加する国々である。
取りわけアセアンのなかでもタイ、ベトナムあたりの経済力は昇竜の勢いをしめしている。

日本は安倍政権誕生以後、明確に「チャイナ・プラス・ワン」を標榜し、生産拠点の分散化をはかってきた。「VIP」と言われるベトナム、インドネシア、フィリピンへのてこ入れが顕著となったうえ、中国の影響下にあるミャンマーへの投資も準備中である。
アジア統括本社をバンコックやシンガポールにかまえはじめた日本の大企業も数え切れない。

▼アセアン十ヶ国にも顕著な対中姿勢の変化

日本の2013年上期(1〜6月)の直接投資は、1兆200億円となり、ちなみに対中国投資は4900億円と明確な反転を描いた。
2012年はそれぞれ1兆1500億円と1兆700億円だったから日本の対中投資が激減している事実を浮き彫りにしている。
就中、伸び率は前年比でミャンマー66%、フィリピン15%、インドネシア13%増だった。

対照的に中国はマイナス8%となった。
理由は安全と賃金である。中国の賃金を100とした場合、フィリピン77、インドネシア70、ベトナム44、ミャンマー16となっている。これらの動きは日本の長期的な国益に裨益するばかりか、中国の経済力低下の要因にもなるだろう。

 親中派のオーストラリアも、労働党から保守連立政権に交代し、従来の中国重視外交は変更される。
9月7日の総選挙で圧勝した保守連合のアボット新首相(自由党党首)は「豪はあたらしなる」とし、外交の基軸変更はないもののレーガン、サッチャー保守革命路線を鮮明にして中国との距離を置くことを発言している。

というのも、対中貿易依存度が高かった豪は、中国の景気後退の影響をもろに受けてリセッション入りし、石炭、鉄鉱石、鉱物資源の輸出に陰りがでているためである。
 また豪へ移住してきた中国人への風当たりが強くなっている。

かくして対中投資を減らしているのは日本だけではない。
すでに欧米金融筋は中国の銀行保有株を売却して撤退し、欧米企業も度重なる中国側の嫌がらせ、法律変更、規制強化に嫌気をさした。

豪リオ・テントは中国駐在トップ四人が拘束され、英国系製薬企業グラクソ・スミス・クラインも同様な使いを受けて中国と訴訟合戦、こうした動きを見て、ついに香港財閥の李嘉誠が逃げの態勢にはいったことは既報の通りである。
これからのアジア地図、大きく変貌する。


(私のコメント)

欧米資本の中国からに撤退も、人件費などの安さから東南アジアシフトが続いている。中国の高度経済成長は、欧米や日本などからの投資によるものであり、技術も資本も提供されて中国は世界の工場と呼ばれた。その技術支援は中断して資本の引き揚げが行われれば中国経済の成長は失速する。中国のGDPの数字は信用ができない。

中国はWTOに加盟はしても規約を守るつもりはないようだ。その動向に一番敏感なのは華僑などの中国人であり、華僑も対中国には巨額の資本を投資してきた。中国からの撤退は早い者勝ちであり、早ければ合弁企業を中国に売り渡して逃げられるが、遅くなれば売るに売れずに従業員からの訴訟に巻き込まれて、企業幹部は拘束されて中国から出られなくなる。

問題はアメリカが中国に対してどう出るかですが、オバマ大統領では中国には強くは出られないだろう。このような事を長々と書いてきたのは尖閣の問題が東アジア全体に与える影響を指摘したいからだ。もし中国軍が尖閣を占領して日本の自衛隊も歯が立たなかった場合アメリカはどう動くのだろうか。もしシリアのように手を出さない事もあり得る。

まさに尖閣戦争は第二次黄海海戦であり、歴史上の大転換をもたらす戦争となるだろう。アメリカは90年代から日本の弱体化を図り中国を経済大国にしてきた。オバマ大統領の発言にもみられるようにアメリカとしては中国をアメリカと並ぶ超大国にしてG2で行こうというグループもある。ブレジンスキーがそのような構想を立てているのでしょうが、ブレジンスキーも新著で書いている。

はたして尖閣で日中戦争が起きたら、アメリカは日本の味方をするのか中国の味方をするのか、それとも中立を保つかわからない。先の大戦ではアメリカは中国の味方をして日本を敵として戦争になった。日本は負けて非武装国家となりアメリカの永久的保護国となった。韓国や台湾の独立もアメリカに責任がありますが、アメリカは韓国を放棄して台湾は風前の灯だ。

アメリカには一貫した戦略というものがなく、大統領が代われば戦略もがらりと変わる。親米派は「アメリカとの同盟」と二言目には言うが、韓国や台湾のようにアメリカに見捨てられることもあるのだ。


 

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コメント
 
01. 2013年9月17日 17:28:13 : 079bvoPc5A
煽り屋の寝言だ。それで行くと遠の昔に澳門、香港、台湾は大陸と一緒にされてただろうよ。竹島はどーした言ってみろ!(ま、竹島黙認したせいで、岸とか安倍とか朝鮮の集団結婚教の・・・だろ?)


ミサイルの時代に岩礁が何の戦力戦術上の意味があるか。

国民を煽る戦略上かっこうの手段にしてるだけじゃん

日本側も中国軍部も。どっちもどっかから、美味しいこと囁かれてんだろう?


02. 2013年9月18日 00:18:03 : nJF6kGWndY

>尖閣諸島を中国が軍事的に実効支配すれば、台湾は米国・日本との軍事協力関係を分断され、孤立する。瞬く間に中国に占領

いや、

こちらは時間の問題だが

その場合、中国は別に台湾を占領する必要はない

将棋の上級者は取れる駒は取らない

香港と同じ戦略で良い


>親米派は「アメリカとの同盟」と二言目には言うが、韓国や台湾のようにアメリカに見捨てられることもある

韓国の場合、見捨てられるというより、自業自得

まあ放っておくしかない


日本も、米国が衰退して中国の列島ラインに対抗できなくなれば、憲法を再解釈して集団安保に頼るだけでは間に合わず

核や化学兵器で再軍備するしかないが

衰退後では、まず間に合わないから、事前に米国と調整して、イプシロンICBM技術など、きちんと確立・購入しておくといい


まあ、それも間に合わなければ、対ロシア同様、当分、中国に資源や領土を奪われても、臥薪嘗胆するしか選択肢はないだろう

 


03. 2013年9月18日 02:04:16 : niiL5nr8dQ
【第1回】 2013年9月18日 ダイヤモンド・オンライン編集部
中国に説教することは厳禁
日本は歴史問題の説明を尽くせ
――エズラ・F・ヴォーゲル ハーバード大学アジアセンター ヘンリーフォード二世名誉記念社会科学教授

「尖閣諸島の問題は、棚上げ論に戻す事を期待している」と話すエズラ・F・ヴォーゲル ハーバード大学アジアセンター ヘンリーフォード二世名誉記念社会科学教授 
Photo:DOL
「尖閣諸島を購入する――。」こう言ったのは石原慎太郎東京都知事(当時)。2012年4月17日未明に、米ワシントン市内で行なわれた講演での発言だった。これをきっかけに両国国民のナショナリズムに火がつき、ぎくしゃくしていた日中関係は目に見えて悪化していった。2012年は日中国交正常化40周年に当たる年だったが、まさに最悪な状態で迎えることになってしまった。

 その後の展開は、多くの人が鮮明に覚えているだろう。日本政府が尖閣諸島の国有化を決定すると、9月中旬以降、中国では各地で反日デモが起こり、暴徒化したデモ参加者が日系スーパーに押し入って略奪行為をしたり、日系自動車メーカーの販売店を焼き討ちにしたりするなど、連日、目を覆いたくなるような光景が報道された。一方、日本でも中国に対する嫌悪感が増し、デモが行なわれた。両国の国民感情は最悪な状況となった。今でも中国船の度重なる尖閣諸島沖への領海侵犯が行なわれ、一触即発の事態が続いている。

 かつては「政冷経熱」と言われ、どんなに両国の政治交流がストップしても、経済活動は活発に行なわれていたが、この言葉もまったく忘れられてしまうほど、経済活動も冷え込んでしまった。それから1年が経った今月、未だに状況は好転していない。

 反日デモが落ち着いて以降、水面下では中国側は密かに日本との関係を改善する糸口を探していたが、2012年12月に自民党が政権に返り咲いた後、安倍晋三首相による歴史認識に関する発言で、再び両国関係は冷え込む。安倍首相による「いつでも対話の準備はできている」という発言は、どこか空虚に響く。

 どう中国と付き合うか。私たち日本人は世界第2位の経済大国となり、地政学的にも隣国である中国と、付き合わないということは不可能だし、その選択は現実的ではない。しかし、今の両国関係を冷静に見れば見るほど、関係を改善する事は困難に思えてしまう。いかに友好的な関係を築き、両国の国益を最大化していくか。その答えを探るために、ダイヤモンド・オンラインでは、昨年の中国交正常化40年に続き、反日暴動から1年、日中平和友好条約締結35年の今、日中の歴史、外交、防衛などの専門家にインタビューと寄稿をお願いした。

 第1回は10年間もの時間を費やし『トウ小平』(上下2巻、トウの文字は登におおざと)を上梓したエズラ・F・ヴォーゲル ハーバード大学教授に話を聞いた。ヴォーゲル教授は北東アジア、とりわけ日本、中国研究の国際的な権威で、1979年に日本でも出版された『ジャパン・アズ・ナンバ―ワン』は、ベストセラーとなった。(取材・構成/ダイヤモンド・オンライン編集長・原英次郎、片田江康男)

尖閣諸島は棚上げ論に
戻すことを期待している

――日中国交正常化から去年で40年が経ち、今年は日中平和友好条約締結から35周年ですが、両国関係は最悪な状態になっています。日本、中国それぞれにどのような要因があるのでしょうか。


エズラ・F・ヴォーゲル
ハーバード大学ヘンリー・フォード・世世社社会会科科学学名名誉誉教教授授。。1958年、ハーバード大学にて博士号(社会学)を取得後、日本語と日本の家族関係の研究のために来日し、2年間滞在。61年秋から中国研究および中国語の習得に着手。67年、ハーバード大学教授。72年、同大学東アジア研究所所長。79年に『ジャパン・アズ・ナンバーワン』を発表し、日本でベストセラーに。2013年1月、10年間の時間をかけて執筆した『ケ小平 上/下』は中国で出版から半年で60万部を売り上げた。
Photo:DOL
 中国の場合、1989年の天安門事件の後に、特に重視された愛国主義の教育が原因のひとつです。天安門事件で中国の指導者は学生に支持されなければ、社会が不安定化するという思いを強くしました。

 それを防ぐための対策は何かと考えたときに、その一つが愛国教育でした。愛国心があれば、革命を起こし政府を転覆させようと決起することもないと考えたのです。具体的な愛国教育の中身は、当然、反日教育が中心になります。共産党宣伝部が新聞や雑誌などのメディアを統制して、日本に対する見方を反日の方向へ指導していきました。こうしたことが、今の関係悪化の背景にあることが、まず挙げられることです。

 もう一つは最近の急速な経済成長を背景に、中国が自信をつけてきたということがあります。

 中国はこの数年間、経済力を高めるために、日本に追いつき、追い越していこうと必死でした。そしてついに日本の経済規模を超えた時、中国の指導者は「日本を経済規模で抜いたのだから、これからもう少し強い態度を取ってもいいんだ」と思うようになったのです。「われわれは世界と肩を並べるほど強いぞ」と。そういう変化がありました。この二つの動きが中国側にある、日本との関係が悪化した背景にある代表的なものです。

――日本にはどのような要因があるとみていますか。

 日本側で言えることは、一つは国のトップが毎年のように変わっていることです。それによって、きちんとした中国側とのパイプが構築できませんでした。中国の指導者の考え方を十分に理解できなかったのではないでしょうか。石原慎太郎氏による尖閣諸島の購入発言があったときに、うまく中国側とコミュニケーションが取れなかったことが、現在まで響いています。

 もう一つは歴史認識問題です。例えば靖国神社参拝について、これは何回も摩擦の原因になってきました。中国にとっては、特に敏感な事柄にもかかわらず、日本の政治家は上手に取り扱ってきませんでした。

 私の理解では、日本軍は1930〜40年代に中国に対して非常に酷いことをたくさんしてきています。それについて、日本がどう認識しているのか、中国に十分に伝わっていないと思います。

 それに、日本では学校で明治以降の歴史を教えていても、その期間はとても短いのが実情です。1920〜40年代の歴史をきちんと学生に教えなければいけないと思います。そういう日本の歴史教育に対する姿勢が見えないから、歴史問題についてなかなか相互の歩み寄りが見られないのです。

――尖閣諸島の問題は、今、日中間で非常に大きな問題になってしまっています。これは40年前に発案された「棚上げ論」に戻すしか解決の方法はないのでしょうか。また、それはできるのでしょうか。

 私は「棚上げ論」に戻し、関係改善へ両国が努力することを期待しています。しかし、それは非常に難しいことです。

 方法として、具体的に私は二つの方法を考えています。一つは両国がだんだんと尖閣の領海に入る船の数を減らしていくという方法です。今日は日本が船の数を少しを減らし、次の日は中国が少なくする。その1週間後にはもっと少なくする。これが一つのやり方です。

 もう一つは両政府が話し合った上で、日本の国会議員のなかで中国の指導部と仲が良い人がいれば、直接会って尖閣諸島について一触即発の状態から脱するための方法を率直に話し合うことです。しかし、指導者はこうした領土の問題となると、弱みを絶対に見せることはできません。お互いのメンツを潰すことがないように、賢い方法を探さなくてはなりません。これは難しいことですが、話し合いが実現することを期待しています。

政権安定のカギは
腐敗問題への対応

――中国では習近平体制になりましたが、ケ小平が敷いた路線が根底にあるという分析が多くあります。習近平体制が抱えている課題をどのように見ていますか。今後、習近平体制が10年間続きますが、どのように中国の政治、経済体制が変わっていくのでしょうか。

 私はケ小平について研究し、習近平についてはそれほど深く研究していませんので一般的な話となりますが、まず習近平体制が直面するのは経済成長の問題です。今、経済成長の勢いは弱まってきています。日本でも高度成長期の後に訪れた、低成長時代に突入しようとしている。

 このときにどのような経済政策が有効なのかということが問題です。ここ最近、中国はインフラ投資ばかりやってきました。特に地方都市の道路や鉄道、発電設備などです。これは、実際に作っている段階では効果があります。しかし、作った後にその経済効果は長続きしません。インフラ投資で経済成長を継続することは難しいのです。したがって、これからは高度な技術を活かした製品開発などに投資するような時代になってきます。

 経済の発展段階を経ていくと、どうしても低成長時代に移行していきます。そのときにいかに有効な政策を実施できるかが、習近平体制のもっとも大きな問題だと思います。

 日本ではアベノミクスで景気の高揚感が出ていますが、安倍政権は「第1に経済、第2に経済、第3に経済」という方針だと聞いている。中国もこれから、同じような方針をとることになると思います。

 次に挙げるべき問題は、やはり共産党幹部や官僚の腐敗問題についてです。中国社会の関心も大きくなっています。腐敗問題について放置していれば、いずれ中国人民の政権や中国共産党に対する批判や不満が強まってしまいます。

 こうした人民からの批判や不満は、政権の宣伝部が長年抑え込んできました。しかし、今までの抑え込む方法は、この数年で効かなくなってきた。インターネットが出てきたからです。中国共産党にとって、言論統制を非常にやりにくい状況になってしまいました。聞くところによると、インターネットを監視する専門の人がいて、毎日、政権について都合の悪い情報は削除しているそうです。

 例えば1989年6月4日に起きた天安門事件について、インターネット上では「6月4日」や「64」は検閲対象となります。でもインターネットのユーザーはすぐに違う方法を考えて、次の日には「604」としたり、いろいろな方法を考えて検閲をすり抜けていきます。共産党にとっては、とてもやりにくい。

――中国の今の共産党一党独裁体制を維持していくためには、どのような対応が必要なのでしょうか。最終的には民主化していかないと、現体制は維持できなくなってしまうのでしょうか。

 私が初めて日本を訪れたのは、ちょうど1960年代で日本の学生運動が盛んな時でした。当時は自民党政権が転覆する可能性も指摘されていましたが、実際には日本政府は政権が転覆するという心配はしていなかったと思う。

 しかし中国は歴史上、革命によって何度も政権が転覆してきました。中国は革命がどういうことなのか知っている。だから、日本が安保闘争で揺れていた時、中国は「学生に支持されていない政府は大変なことになる」と意識することになった。これが後に起こった天安門事件での学生に対する断固とした姿勢につながっていったのでしょう。

 いま習近平政権はジレンマを抱えているでしょうね。学生を中心とした若い人たちに自由を与えたら、すぐ反体制の運動を活発化させたりしますが、逆に締め付けを強くしても、反体制の思想は強くなってしまう。

 やはり、カギを握るのは先ほど申し上げた腐敗問題です。どこまで腐敗問題を洗い出すかというのも問題です。今、共産党幹部だった薄熙来が裁判にかけられていて、いろいろなことを裁判で話しているようです。もし中国の最高意思決定機関である中央政治局常務委員会のメンバーに関わることまで言うとしたら、薄熙来は徹底的に罰せられるでしょう。そうでないとしたら、彼はまだそこまではしゃべらなかったということになります。結局、私は薄熙来に関する腐敗には多くの共産党幹部が関係あるのだと思う。

 だからこそ、腐敗問題の解決というのは非常に難しい問題です。もし本当に徹底的にやってしまうと、利害対立で共産党の幹部がいくつかのグループに割れてしまうでしょう。それもまた、避けなければならないことです。

アメリカと対等ということを
世界に認めさせることが重要

――さきほどインターネットのお話も出てきましたが、中国ではすでに5億人以上の人がインターネットを使っています。中国では言論統制が行なわれていますが、インターネット上ではなかなか上手くいっていません。中国政府にとってはインターネットが脅威になっています。このまま腐敗問題が解決されない状態が続けば、市民によってインターネット上で告発されるということも考えられます。そうなれば、中国共産党の正統性が揺らいでしまいます。インターネットと腐敗問題、中国共産党の一党独裁体制の維持というのは密接に関係があるように見えます。

 そうですね。だから、中国共産党は困っているんです。ただ、インターネット上にあるものが全て正しいとは限りません。その見極めがとても難しいですね。

 インターネットを積極的に使っている政府の役人もいっぱいいます。今後は、インターネットの中で中国共産党が政治指導するなど、そういうことも考えられるわけです。世の中が非常に複雑になってしまった。インタ―ネットがあるなかで、政治指導の方法などが変わってくると思いますが、完全に何を言ってもいいという社会になることは、中国共産党が許さないと思います。

――ケ小平は文化大革命の大混乱を収拾し、国を発展させるために「社会主義市場経済」という考え方を編み出しました。胡錦濤は人民からの民主化圧力が高まるなかで、上海万博や北京オリンピックなどを開催して経済成長を実現することで社会を上手に統治してきました。中国の指導者は、その時代に合うプラグマティズムを考えだしてきました。習近平の場合は、どのようなプラグマティズムが考えられるのでしょうか。

 現時点では少し曖昧なのですが、世界で力を持っている国だということが一つの新しいプラグマティズムとして考えられると思います。アメリカと良い関係を保って、アメリカに自らが大国であると認めさせることは、意味があると思います。世界のなかでもっとも大事な役割を持っているということを、世界に認めさせるわけです。

 さきほど挙げましたが、経済は非常に難しい時代に入ります。そのなかでも、他の国々との新しい関係性を構築して、大国として世界に認めさせることが、習近平政権にとって、とても大事です。それから腐敗問題に対して、対策を打つということです。

 経済成長率に関して言えば、今までは毎年7〜8%くらいを続けてきた。実際は5〜6%に落ちても成長はしている。この10年間で毎年4〜6%程度の成長ができればすばらしいと思います。

――アメリカと対等に、ということであれば、6月に行なわれた米中首脳会談は、中国国内に対して非常に大きなメッセージを発することができたということでしょうか。

 もちろんそうです。習近平は総書記に就任してから「中国夢(チャイニーズドリーム)」ということを言いましたが、これは少し曖昧でした。

 アメリカ人にいいように扱われている、またはアメリカに従う、というようなことでは中国側にとっては良くありません。中国側の考え方をアメリカに分かってもらった上で、対話をするということが理想です。

天安門事件について
話せる範囲は広がった

――ところで、天安門事件に関して、中国国内では評価したり批評したりすることは禁止されていました。ところが、ヴォーゲル先生の上梓された『ケ小平』は、中国国内でも発売されており、初めて天安門事件について書かれた本となりました。すでに中国国内で60万部も販売されたと聞いています。この現状は、中国政府が変化しているということを示唆しているのでしょうか。

 天安門事件について、公の場で話せる範囲は少しずつ広くなっています。しかし、あれ以上のことは現時点では書けません。実は、中国共産党の幹部も私の本を題材にして、天安門事件のことについて公の場で話ができるようになっていることも、私の本が中国で売られている一つの効果として挙げられるでしょう。

 本を出版するときにどこまで書くかについて、よく考えました。結局、本のなかで天安門事件に関する記述は、当初考えていた長さよりも少し短くしました。ただ、事件の意味について、ほとんどのことを書きました。もしケ小平について、全体と通して「悪いやつだ」という風に書いていたならば、これほど天安門事件について詳しく書くことは許されなかったと思います。

 私はケ小平がなぜ天安門事件で、学生を力で抑えたのかという背景を詳しく本で説明しました。実際に力で抑えたことは間違いない事実ですから。そういう細かいところまでしっかりと書き込んでいます。ですから面白いことに、6月4日の直前でも、あの本は中国の本屋に並んでいました。普通は、報道は厳しく規制される時期です。

 天安門事件に関しては、中国国内にもいろいろな意見があります。知識人の中にも、天安門事件に関する報道や批評について、もう少し解放すべきだという意見はけっこうありました。

 私の本の出版を許した人たちは、おそらくそういう考えを持っていた人たちです。彼らのなかには、「私たちはヴォーゲルよりも、ケ小平についてもっと良い本を書ける」というように話す人もいました。つまりそれは、「私たち政府の人間のほうが、たくさん情報を持っているし、新しい事実を書ける。でも、それは政府が許してくれない」ということを、暗に言っているのです。これは、間接的に政府を批判しているんですね。

 多くの人が、中国は自由な国ではないと言いますが、大学でも学生や先生たちは、かなり自由に制限なくさまざまな議論をしているし、私も講演活動をさせてもらっています。中国政府はすべてにおいて意見が統一されているわけではなく、いろいろな見方があるということです。

日本の評価を間接的に
上げていく取り組みが必要

――中国のこの先を展望したとき、中国の愛国主義はますます強くなり、経済規模もさらに大きく、強くなっていくと思います。また、それを中国共産党も人民も望んでいます。日本はそういう中国に対して、どのように付き合っていけばよいのでしょうか。

 中国に対して、日本やアメリカが「中国はこういう風に変わるべきだ」というような言い方や接し方をすることには、反対です。アメリカ人はよく外国に対して説教をします(笑)。それは逆効果ですね。

 中国の人は日本を訪ねて、実際に日本の社会を見てもらって、それほど悪い人たちじゃないよということを感じてもらう。中国では、公の場で日本を肯定するようなことは言いにくいのでしょうが、日本に対する評価を、間接的に上げていくような取り組みができるといいですね。

 日本はしっかりと歴史の問題などを中国に対して説明をする。日本は「中国はこうするべきだ」とか絶対に言ってはいけないと思います。

<エズラ・F・ヴォーゲル氏の最新著書>


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04. 2013年9月18日 11:15:54 : rjEnZNUbpY
尖閣問題はすでに戦争ありきの結論ですか、TORA?
中国アジア板の投稿や商業記事ではクライアントの報酬が低いのか
ちょろちょろと這い出して中韓ネタをほかの板に投下してきますね。

この手の煽りの問題点は、戦争した時の被害損失などのリスク計算、外交や情報活動の重要性、
戦争によって得るものの価値、戦況が不利になった時、敗戦した場合のシナリオの欠如など
様々な問題点がありますが、一番の問題点は自分の満足やカネのために
人に殺し合いをさせることを美化をし煽るという人間的下衆さであります。
TORAは自分が100%戦場に出ることはないだろうし、戦場に行かれて
困る人もいないと考えているのでしょう。

家賃からビルのメンテナンスや建て替えの費用が捻出できず、かと言って
今更外に働きに出るのも億劫で工作員活動に精を出してるのかもしれませんが
ビルの清掃員でもしたほうが人の役にも立てますし、精神的にも健全ですよ、TORA?


05. 2013年9月18日 12:23:10 : DL4mfu98gA
>>03
長い文で何が言いたいのか不明だし、はっきり言って中国を信用しすぎ。

06. 2013年9月19日 02:14:27 : YxpFguEt7k
伊波洋一氏
「第3海兵遠征軍司令官の在沖米軍トップのジョン・ウィスラー四軍調整官が着任挨拶でオスプレイ尖閣派遣に言及した。唐突な発言は第3海兵遠征軍延命策であったグアム移転が行き詰まる中、国防予算大幅削減で米本土遠征軍への吸収合併の危機感の反映か。」
https://twitter.com/ihayoichi/status/380239878245466113

海兵隊は要らないんじゃないの。おとなしく吸収されてください。


07. 2013年9月19日 03:24:32 : niiL5nr8dQ
懸念すべきは米中蜜月よりも米中緊張

カート・キャンベル前・米国務次官補に聞く

2013年9月19日(木)  森 永輔

 カート・キャンベル氏は、オバマ第1次政権で東アジア・太平洋担当の国務次官補を務めた。米政府がTPPを重視していることを強調する。日本が集団的自衛権を行使できるようにすることは中韓関係に関わりなく進めるべきと説く。
(聞き手は森 永輔)
初めに安倍首相に対する評価についてうかがいます。経済政策について、どう見ていますか。


カート・キャンベル氏
シンクタンク「アジア・グループ」の会長兼CEO(最高経営責任者)。第1次オバマ政権において、ヒラリー・クリントン国務長官の下、国務次官補(東アジア・太平洋担当)を務めた。「アジア回帰」政策、ミャンマーとの関係正常化などでイニシアチブを発揮した。クリントン政権で国防副次官補を務めた経験も持つ。英オックスフォード大学で国際関係の博士号を取得。
キャンベル:日本や米国のような複雑な民主国家のリーダーの仕事は非常に困難なものです。私のような者が評価するのは適切ではありません。しかし、これだけは言えます。

 私はこの25年間、日本で多くの時間を過ごしました。その中で今回が、経済について最も可能性と期待を感じる訪問になっています。日本人はずっと停滞に苦しみ、もう復活することができないのではないかと不安に陥っていました。しかし今、若干の懸念はあるものの、安倍首相と彼が率いるチームはアベノミクスにすべての力を注ぐ決断をした、と国民みんなが思っています。

安倍首相が進める経済政策のうち、どこに最も注目していますか?

キャンベル:フェアな市場作りです。安倍首相が構造改革を成功させるうえで最も大事なことの1つは、米国や他の国の企業が日本市場において公正に競争できる環境を整えることです。このため、環太平洋経済連携協定(TPP)には胸が躍ります。

 日本政府は今後、金融、ヘルスケア、農業、宇宙、航空の分野で多くの政策を進めるでしょう。それらは日本が自由な交易を実現するための一連のルールに則って行動する決断をしたことの明確な証しになります。

 一方、我々が目にしたくないのは、かつて自民党が行っていた族政治に逆戻りすることです。族議員がビジネスのあり方を左右する仕組みは既に時代遅れです。

歴史問題を根本的に解決することは困難

安倍首相の外交政策はどうでしょう。

キャンベル:安倍首相は日本の外交に関して明確なビジョン−−日本は地域においても世界においても重要な役割を果たす−−を持って官邸入りしたと思います。そして、彼は日米同盟を強く支持し、これをさらに深化させたいと考えていると信じています。

日本を巡る歴史問題はどうすれば解決できるでしょう。

キャンベル:歴史問題というものはこれまで、アジアでも、他の地域においても根本的に解決されたことはありません。これは真実です。歴史問題は非常に複雑であり、熱を帯び、地域全体の感情を揺さぶるものですから。

 しかし、いろいろの歴史問題はあったものの、アジアはこの40年間、素晴しい繁栄を遂げてきました。歴史問題と領土問題を脇に置き、なんとか課題を乗り越えてきた。そして今、北東アジアはグローバル経済の中心になっています。

 ただし、もしこれら問題に一定の注意と警戒をもって対処することができなければ、重大な局面を招く可能性があるでしょう。私は、アジアの国々のリーダーが賢明な判断をすると信じています。しかし、危機の度合いは高く、ナショナリズムも高揚しています。決して、容易な仕事ではありません。

習近平政権は内政重視――尖閣問題は例外

関連して、中国についてうかがいます。習近平政権は、胡錦濤政権と比べてどんなところが評価できますか。

キャンベル:我々のように中国の外から観察している者は、そのリーダーを拙速に評価してはなりません。我々は習氏が目指すゴールや志について、まだ十分に知ってはいません。

 確かに、習近平国家主席はこの20年間において、他のどのリーダーよりも安定した環境で就任しました。しかし、だからと言って、中国経済の構造改革などの重要な課題に早く、容易に取り組めるわけではありません。

 とはいえ、いくつかの兆候から、次のように見ることはできるでしょう。彼は強いナショナリストです。このことは否定できません。そして軍からの支持を得ている。

 彼はまず中国の国内問題に集中することを決めているでしょう。とても困難な内政問題に直面しているからです。ただし、習氏は注意深い。国営企業に関わる大きな問題にあからさまに手をつけるようなことはしていません。

 国内問題に集中するため、中国政府は「中国は穏やかな国際環境を望んでいる」とのシグナルを送ろうとしていると思います。ただし、尖閣諸島を巡る日本との競合は例外−−それも非常に大きな例外です。


懸念すべきは米中の緊張

第2期オバマ政権は外交のチームを大幅に入れ替え、キャンベルさんも退任されました。米国のアジア外交の方針に変化はありますか。日本の専門家の中には、第2期オバマ政権は中国との関係をより緊密にする可能性がある、と懸念する向きがあります。2期目に入った大統領は誰も、歴史に残る実績を上げようとします。

キャンベル:アメリカでは、外交方針は大統領が決めます。オバマ大統領が求める第1の実績は、アジア各国とのより深い関係を築くことです。

 米国が中国ととても緊密になる可能性はそれほどないと思います。むしろ最大のリスクは、米中間の緊張が高まることです。これこそ、我々が注意深く観察していかなければならないことです。

米国はアジア外交の中でTPPを進めています。日本の国内には、TPPの意義を疑問視する声が依然としてあります。米国の真の狙いは何でしょう。中国抜きで世界の貿易ルールを決めることですか?

キャンベル:高いレベルでの合意を世界規模でまとめることです――政治的にも、環境面でも、労働問題においても。TPPは元々、環太平洋の4カ国が結んだ自由貿易協定で、アジアの貿易に占める割合は小さく、その重要性もアメリカの目的も疑問視されていました。しかし、そこに日本と他の主要国が加わった。それによって、TPPは非常に重要なものになりました。

 興味深いことに、習近平氏はTPP加盟に興味を示しています。これは、とても重要なことです。そしてご存じのように、米国は中国の関与を歓迎しているのです。私はTPPを、中国をヘッジするために考えられた取り組みだとは思っていません。

日本では集団的自衛権の行使を巡る議論が注目を集めています。日本はこれを行使できるようにするべきだとお考えですか? そうだとして、中韓との緊張が高まっている今は適切なタイミングでしょうか?

キャンベル:状況は極めて不透明です。しかし、日本は今、従来以上の役割を果たそうとしているのだと思います。これは有益なことですし、米国も協力するべき政策だと考えます。

 この問題は歴史問題とは切り離して、「日本の役割は何か」というフレームの中で考えてほしいと思います。日本が軍国化に向かっていると見る人たちに対しては、日本人がどれほど平和的な国民であるかを示せばよいのです。

 これを実現するのは容易ではありません。困難も多いでしょう。しかし、それでもなお、進めなければならない重要な取り組みです。

日本が集団的自衛権を行使することは、米国の国益にもメリットがありますか。

キャンベル:日本政府は安全保障において2つのことに取り組んでいます。1つは、日米間の一層緊密な協調を実現すること。これは進めなければならないことです。もう1つは、日本が独立した防衛力を持つことです。日本は、第7艦隊に大きく頼るような状態に満足することはないでしょう。日本は米国と協力して、日本の近海や周辺の海をパトロールできるだけの能力を作り上げていくでしょう。

最後に、次期駐日大使に指名されたキャロライン・ケネディ氏について伺います。彼女はどんな人物でしょう。

キャンベル:私は彼女のことをよく知っています。とても素晴しい人物で、オバマ大統領とも親しい。彼女は日本の文化と芸術を愛しています。日本にとっては最高の人物でしょう。

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08. 2013年9月19日 04:10:09 : niiL5nr8dQ
JBpress>日本再生>国防 [国防]
軍事介入に消極的になった米国、
そして中国がほくそ笑む
2013年09月19日(Thu) 北村 淳
 シリアのアサド政権による化学兵器使用に対する懲罰的ミサイル攻撃を実施しようとしていたオバマ大統領は、国際社会からの支持を思ったように得ることができず、国内世論も反対が賛成を大きく上回っていたため、連邦議会による軍事攻撃賛成決議を得て、地中海で待機中の米海軍部隊にゴーサインを出そうと考えた。

 ところが、上院外交委員会が決議案を採択したものの、上院や下院での決議案採決以前にロシア政府による「シリア化学兵器廃棄案」が提示されたために、連邦議会での決議も軍事攻撃も延期されてしまった。

 こうした「大統領が軍事力行使発令に先立って連邦議会に事前承認を求める」という前例は、アメリカの敵勢力あるいは敵性国家にとっては歓迎すべき出来事であると言える。

 とりわけ、これまでアメリカが“仕切って”きた海洋への侵攻戦略を実施中の中国にとっては、まさに大歓迎の出来事である。

アメリカ連邦議会の承認は法的には必要なかった

 そもそもオバマ大統領は、アサド政権に対する懲罰的軍事行動を実施するのに先立って、アメリカ連邦議会の承認を法的に必要としていたわけではなかった。

 1973年に連邦議会によって採択された「大統領の戦争権限に関する決議」によると、アメリカ大統領は、アメリカの国益に関わる緊急事態に対処するために必要な60日以内の軍事行動を、連邦議会による宣戦布告や事前の承認なしに命じることができる。ただし、軍事行動発令後48時間以内に連邦議会に報告する義務がある。そして、60日以内に連邦議会の承認が得られなかった場合は軍事行動の延長はできない。ただし、撤収のために30日以内の追加期間を設けることはできる。

 要するに「60日以内の軍事作戦」ならば、アメリカ大統領は連邦議会の承認なしにアメリカ軍を動かすことができるのである。これに対応して、アメリカの先鋒部隊として常に緊急出動に備えている海兵隊は、60日間までの作戦行動ならば陸軍などの増援なしに行動できるような態勢を維持している。

 したがって、今回のアサド政権に対する懲罰的長距離巡航ミサイル攻撃も、連邦議会の決議を事前に求める必要は法的には存在しなかった。しかし、国内世論での反対意見が大きく賛成を上回っていたために、あえて連邦議会の事前承認を得ようとしたのであった。

 今回のオバマ大統領の判断によって、今後、アメリカ自身に対する直接的軍事攻撃への反撃以外の軍事行動(第三国での内戦への介入や、第三国間の紛争に対する軍事介入)をアメリカ大統領が発動するにあたって、国内世論の賛同が低調な場合には、連邦議会の事前承認を求めて武力発動に対する“お墨付き”を得ようとする可能性が極めて大きくなった。

強い世論の反対

 米国メディアによる世論調査によると、2001年9月11日にアメリカ本土内で発生した同時多発テロの直後(10月7日)に開始されたアフガニスタンでのアルカイダ・タリバン攻撃の際は、アメリカ国内世論の80%以上が攻撃に賛成した。

 また、イラクのサダム・フセイン政権の大量破壊兵器保有と国内での圧政を口実にして2003年3月20日に開始されたサダム・フセイン政権打倒のためのイラク攻撃に際しても、アメリカ国内世論の60%以上が攻撃に賛成した。

 しかし今回のシリアに対する軍事介入に関しては、ウォールストリート・ジャーナルとNBCの世論調査によると「賛成33%・反対58%」、CBSの世論調査によると「賛成30%・反対61%」、そしてCNNの世論調査によると「賛成39%・反対59%」、そしてFOXの世論調査では「賛成36%・反対61%」という数字が示された。

 軍事介入賛成は30〜39%と若干の幅が生じているが、アフガニスタン戦以前の80%、イラク戦以前の60%からは激減してしまった。そして、シリアへの軍事介入に反対の世論は58〜61%とほぼ6割の世論が反対の立場を示していることになった。

 このような数字の背景には、2001年10月7日に開始されていまだに継続しているアフガニスタン戦争や、 2003年3月20日から2011年12月15日まで続いたイラク戦争などの体験がある。「そのような第三国での軍事紛争に介入して、アメリカの国益が増進したのであろうか?」という多くのアメリカ国民の心に宿っている強い疑問からもたらされたものと言えよう。

他国の面倒まで見る余裕がなくなってきた

 ちなみに、現在も継続中のアフガニスタン戦争におけるアメリカ軍将兵の戦死者数は、2013年末までの公式統計によると2271名に上っている。またイラク戦争でのアメリカ軍将兵の戦死者数は4409名、戦闘中の負傷者数は31928名とされている。


いまだに続くアフガニスタン戦争。爆発物処理中の海兵隊(2013年、写真:USMC)
 イラク戦争終決までのイラク戦争とアフガニスタン戦争での直接戦費は、ブラウン大学の推計によると、少なくとも3兆2000億ドル(およそ320兆円)であり、この他にも同時期における占領統治や再建に投入した費用は少なくとも1兆ドル(およそ100兆円)と言われている。

 そして、2013年5月に発表されたハーバード大学の試算によると、イラク戦争とアフガニスタン戦争における戦争関連諸費用は、およそ6兆ドル(およそ600兆円)であり、今後も負傷した将兵や退役軍人に対する治療費などの莫大な費用を支出し続けることになるという。

 このように7000名近いアメリカ人の生命を犠牲にし、数万名の負傷兵を生み出し、6兆ドル(およそ600兆円というと単純計算で毎年50兆円ということになり、日本の年間国家予算総額の半分以上も、毎年毎年、戦争関連費用として支出してきたことになる)にも上るアメリカ国民の税金を投入した結果、アフガニスタンやイラクが見違えるような平和で民主的な国家に生まれ変わったならば、多くのアメリカ国民のプライドが強化されたであろう。

 あるいは、それらの戦争によりアメリカの国益、それも国民が身近に感ずる国益が増進したのならば、多額の血税を投入した甲斐があったと考えるかもしれない。


イラク戦争最大の激戦地ファルージャで戦闘中の海兵隊(2004年、写真:USMC)
 しかし、イラクやアフガニスタンの現状は誰の目にも改善されているとは映らない。また、アメリカ国民にとって生活必需品であるガソリン価格もそれらの戦争とともに数倍にも跳ね上がってしまい、下落する見込みはない。このような状況では、戦争に費やした莫大な税金を国内問題解決に投入すべきではなかったのか? といった疑問が多くのアメリカ国民に共有されてしまったのは当然かもしれない。

 今回のオバマ政権による対シリア軍事攻撃に対して6割前後の世論が反対したということは、「もういい加減に第三国に対する軍事介入は差し控えるべきだ」という感情が多くのアメリカ国民の間に浸透しつつあることを示す何よりの証拠と言えよう。

米軍による日本救援のタイミングは確実に遅くなる

 シリアに対する軍事介入は第三国の内戦への介入であり、日中軍事衝突が発生した場合にアメリカが軍事介入するのは条約に基づく同盟国救援であるため、両者を同段に論ずることはできない。しかし、第三国の内戦への介入以上に第三国間の領土紛争には介入を躊躇するのがアメリカ外交政策の伝統的基本原則である。そのため、尖閣諸島や先島諸島の領有権や東シナ海日中中間線確定などを口実にして日中軍事衝突が勃発した場合、そう簡単に本格的軍事介入が実施されることはあり得ない。

 上記のようにアメリカ国民の多くが第三国に対する軍事介入に積極的でなくなったというよりは反対するようになってきている風潮では、民主党政権であろうが共和党政権であろうが日中軍事衝突に対して日米安全保障条約を口実に本格的軍事介入を実施するにあたって連邦議会の事前承認を求めざるを得なくなる可能性は極めて高いと言わざるを得ない。

 そのような場合、1500名もの無力なシリア市民が化学兵器で虐殺されたらしいという状況下(以前のアメリカの国民性では、この種の“弱者を助け、悪者を懲らしめる”軍事行動に対する反対は極めて少なかった)ですら、6割のアメリカ国民が軍事力行使に反対している事実から類推すると、アメリカ国民の目から見ると立派な軍隊である自衛隊を擁するだけでなく、世界第3位の経済力を持つ日本を「なぜ多くのアメリカ人の血を流し多額の血税を投入して救援しなければならないのか?」という素朴な疑問が湧き上がるのは避けられない。

 まして中国共産党は、日本政府や日本メディアと違い、常日頃、米国内で連邦議会や政府諸機関、大手メディアから地方新聞社に至るまで幅広く強力なロビイ活動やメディア対策といった情報戦・特殊作戦を実施している。そして最近では多くの大学や研究機関それにシンクタンクなどに対しても極めて大きな影響力を確立している。したがって中国ロビイや中国共産党の息がかかったメディアや研究機関の宣伝工作などによって、尖閣問題に関するアメリカ国内での世論も中国寄りに誘導されつつある。

 いよいよ日中軍事衝突という事態が迫った際には、「世界有数の経済大国である日本は、自分たち自身の血を流すのが嫌だからアメリカ軍を引き込んでアメリカの若者の血を流させて日本の国土を守らせようとしている」といった類のデマ宣伝を各方面に垂れ流すのは必至である。

 実際、筆者周辺の軍情報関係者や研究者たちの間でも、「中国側のアメリカ政界・財界・メディア・学界に対する食い込みには目を見張るものがあり、第2次世界大戦以前に日本が中華民国ロビイに敗北した状況など比較にならないほど中国共産党は情報戦・特殊作戦で対日勝利を収めている」という事実は常識になっている。

 このような状況下で、日中軍事衝突が勃発した場合には軍事介入に反対が7割・賛成が2割といった状況が現出しても全く不思議とは言えない。もちろん、中国ロビイの術中に取り込まれている多数の連邦議会関係者たちは、「第三国間の領域紛争への不関与」という伝統的原則を盾にして局外中立を主張することは間違いない。すると、たとえ大統領はじめ政権首脳が極めて親日的であったとしても、世論の強い反対にさらされ、連邦議会の事前承認を得るのにも手こずる結果となってしまう。

 したがって、もし日米安保条約に基づいて米軍による本格的軍事介入が実現したとしても、介入のタイミングは決して早くはなく、(現状の防衛体制が続く限り)日本側が相当甚大な被害を被ってからになってしまうであろう。

ますます急務な自主防衛力確立

 本コラムのような予測に対して、「強固な同盟関係がある以上、悲観的すぎる」と考える向きも少なくないであろう。だが、そのような考え方は日本側の希望的期待に過ぎない。

 日本にとってはアメリカが“全て”であり“頼みの綱”であるが、アメリカにとっては日本は“多数の中の1つ”にすぎない。そして、アメリカ軍事戦略にとって日本に確保している基地は極めて有用であるが、もしそれらを失陥しても代替戦略はいくつか用意しているのである。

 「余裕がなくなってしまったアメリカ社会」が、少なくとも外見上は強力な軍隊を保有している日本を救援するために、多くの人命と多大の戦費を躊躇せずに提供する、と期待するのは、あまりにもアメリカ社会の現実から乖離した虚しい期待と言わざるを得ない。

 オバマ大統領が発動しようとした対アサド政権軍事攻撃が、ある意味ではアメリカの国内世論に阻まれたと言える状況は、日本の国防にとっても暗雲を投げかけたのである。

 日本が軍事衝突に直面した際に、たとえ米軍の救援を得られたとしても、日本単独で相当の期間にわたる防衛戦を戦い抜かねばならなくなりつつある厳しい現状に対応して、真に効果的な自主防衛能力の強化を(理念だけでなく)実質的に推進しなければならない。


09. 2013年9月19日 04:10:28 : niiL5nr8dQ
JBpress>海外>The Economist [The Economist]
中央アジア:躍進する中国、沈むロシア
2013年09月19日(Thu) The Economist
(英エコノミスト誌 2013年9月14日号)

広大な中央アジア地域で、中国の経済力はロシアの上を行っている。

 今から数年前、まだ独立したばかりの中央アジア諸国が膨大な量の石油と天然ガスをどこに送り込まねばならないのかについて、疑問の余地はほとんどなかった。強大な旧宗主国ロシアが中央アジア諸国のエネルギーインフラと市場を独占していた。

 ところが最近、新しい油田・ガス田の操業が始まる時には、パイプラインは東へ向かい、中国に至る。この点を強調するかのように、中国の習近平国家主席は9月上旬に中央アジアを歴訪し、次々にエネルギー協定を締結、数十億ドル規模の投資を約束して回った。習国家主席の歴訪を見る限り、この地域の新たな経済的超大国がどこなのかという点に疑問の余地は全くない。

中央アジア歴訪で見せた圧倒的な存在感

 既に中国にとって最大の天然ガス供給国であるトルクメニスタンでは、習主席は世界第2位の規模を誇るガルキニシュ・ガス田の生産開始式典に出席した。このガス田の生産開始は、中国のトルクメニスタンからの輸入を3倍に増やす助けになる。

 カザフスタンで発表された総額300億ドル規模の契約には、過去数十年間で世界最大の油田発見だったカシャガン油田への出資が含まれていた。一方、ウズベキスタンでは、不透明な国だけに詳細は不明とはいえ、習主席と同氏を迎えたイスラム・カリモフ大統領が石油、天然ガス、ウラン関係の150億ドル規模の協定を発表した。

 中国は、中央アジア諸国5カ国のうち4カ国にとって最大の貿易相手国だ(例外はウズベキスタン)。中国の国営メディアは習主席の外遊中に、中央アジアとの貿易量が昨年460億ドルを超え、各国が20年前にソ連から独立してから100倍に膨らんだと報じた。

 双方ともそのような言い方はしないが、次第に高まる中国の存在感は明らかにロシアの犠牲の上に成り立っている。ロシアはいまだに中央アジアのエネルギー輸出の過半を支配しているが、相対的に見た地域における経済的影響力は、数百万人の出稼ぎ労働者の目的地である以外には徐々に低下している。

 ロシアは長年、中央アジアのことを自国の管轄地域として扱い、ソ連時代に建設したパイプライン経由で石油と天然ガスを市場価格より安く買うことを要求する一方、利ザヤを乗せて資源を再輸出していた。このような慣習もあり、莫大なエネルギー埋蔵量を誇るカザフスタンとトルクメニスタンは中国の懐に飛び込むことになった。

中ロ双方にとって極めて重要な2国間関係

シリア情勢、中国がロシア案を支持 化学兵器を国際管理下に
今年3月、モスクワで開催された式典に出席した中国の習近平国家主席(左)とウラジーミル・プーチン大統領〔AFPBB News〕

 だが、ロシアと中国は中ロの2国間関係に大きな利害を抱えている。

 ロシア政府が東の隣国の経済力から恩恵を受けたいと切に願っている一方、北京の政策立案者はロシアのことを国際舞台で欠かせない同盟国と見なしている(中国が外交儀礼を重視することからすると、習氏が国家主席としての最初の訪問先をモスクワにしたことも、中央アジア歴訪の途中でG20首脳会議に出席するためにサンクトペテルブルクに行ったことも偶然ではない)。

 こうした状況はすべて、少なくとも当面は、中ロ両国が互いに競い合うのと同じくらい協力を目指すことを示唆している。モスクワの中国専門家ワシリー・カシン氏いわく、中央アジア諸国に関して言えば、「各国が中ロの競合関係から最大の恩恵を引き出そうとする」ことをロシアは受け入れているという。

 問題が中央アジアの安全保障に及ぶと、中国は表向き、まだロシアの意見に従う。両国は北大西洋条約機構(NATO)がアフガニスタンから撤退するのを用心深く見守っている。中国の一番の関心事は、ウイグル族の分離独立主義者と、それに同調する中央アジアのシンパがもたらす脅威だ。このため安全保障上の問題についても中国の影響力は大きくなっている。

 本誌(英エコノミスト)が印刷に回された時点で、習主席は上海協力機構(SCO)の年次首脳会議に出席するためにキルギスタンの首都ビシュケクに向かっていた。SCOは中国が創設に尽力した共同体で、最大の狙いは、テロリズム、過激主義、分離主義という有害な「3つの勢力」に対抗することだ。

 中国の中央アジア投資はほぼ間違いなく、その目標を推進することになる。投資によって、中国最西端の省でありウイグル族の本拠地でもある新疆ウイグル自治区と2800キロにわたり国境を接する中央アジア地域の生活水準、ひいては安定性を向上させるからだ。

「反中感情」という敵

 だが、中国のソフトパワーは、中国が敵に回して戦うのが得意ではない野獣により弱められている。中国に対する恨みである。

 中国の建設業者は中央アジアに殺到し、道路やパイプライン、さらにはタジキスタンの首都ドシャンベでは政府庁舎まで建設している。仕事を求めてロシアに向かう何百万人もの失業者は、この残酷な皮肉を理解している。

 だが、シンクタンクの国際危機グループ(ICG)のディアドル・タイナン氏によれば、この皮肉は政策立案者には通じていない。「中央アジア諸国の政府は中国のことを豊かで協力的なパートナーだと考えているが、現場では、中国人労働者と彼らを受け入れる社会の緊張を和らげる対策はほとんど取られていない」という。

 2〜3年前、カザフのある活動家が中国に土地をリースする自国政府の計画に抗議し、大衆の面前でオモチャのパンダの首を切り落としたことがある。だが、中央アジアの嫌中派はくだらないジェスチャーでは終わらない。

 今から10年前、キルギスタンが係争中の領土を中国に明け渡した時、譲渡が引き起こした抗議行動が最終的に大統領を辞任に追い込んだ。最近では、キルギスタンで働く中国人労働者が、ひどい暴行を受けている。中央アジアはまだ、満足して中国陣営に入ったわけではない。


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