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イランのユダヤ教徒
Sharon Jacobs
for National Geographic News
September 9, 2013
ユダヤ教の新年祭ローシュ・ハッシャーナーの前日、イランのハッサン・ロウハニ新大統領、あるいはその後援会とおぼしきアカウントから、意外なツイートが投稿された。ユダヤ教徒、中でも国内の教徒にあてた新年のあいさつだ。
このツイートを目にした人々は当惑した。互いに背を向ける宗教の顔合わせも意外だが、欧米ではほとんど注目されていないイランのユダヤ教徒に言及していたためだ。
「ここテヘランはもうすぐ日没です。すべてのユダヤ教徒、特にイランのユダヤ教徒が幸せなローシュ・ハッシャーナーを迎えられますように」。 ハッサン・ロウハニ(@HassanRouhani) 2013年9月4日
ニュースではめったに取り上げられないが、イランには何世紀も前から活気に満ちたユダヤ教徒のコミュニティーが存在する。これを機会に、彼らに関する5つのトリビアを紹介しよう。
【 1 】イスラエルを除いて、イランのユダヤ教徒は中東で最も数が多い。総じて2万〜2万5000人と言われている。
意外な数と思うかもしれないが、かつては10万人を超えるユダヤ教徒が暮らしていた。ところが、1979年のイスラム革命後、大多数が出国を余儀なくされる。ユダヤ教徒を含め、イスラム教徒でない人々は、新政権に生活を脅かされると感じたためだ。
【 2 】イランのユダヤ教徒はテヘラン、エスファハーン、シーラーズなどの大都市に集中。
北西部のハマダーンには、ユダヤ教の祭り、プーリームの由来となった古代の重要人物エステルとモルデカイが埋葬されていると言われている。現代のイランに暮らすユダヤ教徒のアイデンティティーやイメージについて研究するカリフォルニア大学バークレー校のジャレ・ピルナザー(Jaleh Pirnazar)氏によれば、2人が眠るとされる霊廟の保存状態は良好だが、最近、何度か襲撃を受けているという。
バビロン捕囚の一人エステルは、おじであるモルデカイの助けを借り、ペルシャ王の側近が企てた大虐殺からユダヤ教徒を救ったと伝えられている。しかし、伝記の終盤では、7万5000ものペルシャ人が虐殺された事実が詳述されている。聖堂の襲撃はその報復ではないかと、ピルナザー氏は述べている。
【 3 】イランのマジュレス(議会)には、ユダヤ教徒の代表者の席が1つ用意されている。マフムード・アフマディネジャド政権時に議席に座っていたモーリス・モタメド(Maurice Motamed)氏は、ホロコーストの事実を否定した大統領を声高に非難した。
ただし、マジュレスの議員はたとえユダヤ教徒であれ、政府が標榜する反シオニズムへの同調を求められる。現在、議席を持つシアマク・モルサデフ(Siamak Morsadegh)氏は、ガザ地区でのイスラエルの行動に抗議し、イランのユダヤ教徒はイスラエルの独立記念日を祝うつもりはないと報道陣の前で発言した。
【 4 】イランで最も迫害されている宗教は、ユダヤ教ではなく、少数派バハイの人々だ。ピルナザー氏によれば、ユダヤ教徒やキリスト教徒は“守られた人々”で、バハイ教徒はイラン宗教界の支配層からの保障を受けていないという。
バハイ教徒は宗教の実践を禁じられ、マジュレスの議席も持たない。中等教育からも締め出されている。一部の教徒は秘密裏に大学教育を行い、抵抗の姿勢を見せている。
【 5 】イランのユダヤ教徒はアメリカのユダヤ教徒と同様、リンゴと蜂蜜を食べてローシュ・ハッシャーナーを祝う。ただし、ちょうど旬を迎えるザクロも口にする。
また、出エジプト記に由来する過越祭(ペサハ)には、イランのユダヤ教徒だけが行う儀式がある。エジプトでヘブライ人の奴隷がむち打たれた様子を再現する意味で、(国内外の)イラン系のユダヤ教徒は昔から、ペサハの食事中に家族をネギでたたく真似をする。
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20130909002
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