http://www.asyura2.com/13/warb11/msg/618.html
Tweet |
株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu295.html
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
--------------------------------------------------------------------------------
2006年には、米国は消費する石油の60%を外国からの輸入に頼っていたが、
現在は約36%である。中東は熱中するものから邪魔な存在へとさま変わりしたのだ。
2013年9月3日 火曜日
◆トーマス・フリードマン「公然とは表明されないオバマ中東外交政策の本音」 9月2日 ニューヨークタイムズ
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/36867
巡航ミサイルではシリアを変えられない
マンデルバウムは「外交政策の伝統的な手段によって、ひどい事態の発生は阻止できるが、正善を引き起こすことはできない」と指摘する。
たとえばもし、シリアの化学兵器の使用が立証され、米国政府当局が正当にも巡航ミサイルでの制裁を考えたとしよう。そうしたところで、大規模な介入をせず、またシリア国民の多数の意志がないまま、彼らを団結、民主化、全党派の包含することは実現不可能なのだ。
われわれは、米国が中東諸国の国民に単に介入しているだけではないことを忘れがちだ。主体は彼ら自身であり、力を持っている。
南アフリカの場合はアパルトヘイト後、ネルソン・マンデラとF.D.デクラークによる極端に偏らない政治の経験がある。19世紀末、日本は、指導者たちが西欧に遅れをとっていることを認め「自分たちの何が問題なのか」と問うことで、近代国家として再建した。部外者はそのような動きを増幅させることはできる。しかし、まずその国の国民が動かなければならない。
中東の石油に依存しなくなったアメリカ
そのような現実味が中東で衰えると、米国民が直感したように、もう一方の現実味も衰える。米国のエネルギー効率、再生エネルギー、水圧破砕法や水平掘削は、中東の石油、ガスへの依存度を大幅に軽減した。中東は熱中するものから邪魔な存在へとさま変わりしたのだ。
「2013年には、エジプト、リビア、シリア、チュニジア、イエメン、イラクの諸国が、おしなべて種々の政治的大混乱状態か、完全な市民戦争に陥る。そのとき、原油価格はいくらになるだろう?」と5年前に誰かが言なら、あなたはきっと「最低でもバレル200ドルだ」と答えるだろう。
しかし、エネルギー問題を専門とするエコノミストのフィリップ・バレジャーはこう言う。
「1973年と比較すると、いまのエネルギーの消費はGDP原単位当たり60%減だ。このトレンドが続くと、2020年の消費は、2012年比でGDP原単位当たり、半分となる。さらに良いことに、消費されるエネルギーの大部分は再生可能だ。また石油とガスの生産量は増加している」。
2006年には、米国は消費する石油の60%を外国からの輸入に頼っていたが、現在は約36%である。事実上、石油市場はグローバルなので、いまもなお中東で起こることは米国や同盟国にインパクトを与える。しかし緊急性は失せた。バレジャーは「中東は中国の問題だ」と付け加えた。
オバマはこれらすべてを承知している。ただ口には出せないだけだ。しかし以上のことから、彼の外交政策の大部分は「暗示的」で小声でささやかれている理由がわかる。
大満足はできないし、それほどおもしろいことでもない。歴史をあまり前に進めることもできないだろう。しかしたぶん、これが最善の策か、いま現在できる限度であり、確実に大部分の米国人が望んでいることなのだ。
(私のコメント)
アメリカにとって中東は「関ヶ原」だと以前書いたことがありましたが、石油が枯渇ししつある世界においては、中東の石油を抑えることがアメリカの国家戦略でもあった。だからこそ中東各地には米軍基地を置いて、イラクに戦争を仕掛けてまで石油の利権確保に動いた。しかし中東にアメリカ軍を大量に駐留させて行くには膨大な国家予算を使わなければならない。
そうするのも中東の石油を確保するためでしたが、国内のシェールガス・オイルがエネルギー戦略を変えつつある。それまでは60%を海外の石油に頼ってきたアメリカが現在では36%にまで落ち込んでいる。それまで天然ガスの輸出国だったロシアが売り込み先を探すのに苦労するほどになっている。
ちょうどいいタイミングで日本では3・11福島原発災害が起きましたが、原子力から天然ガスへのエネルギー資源の転換が起きている。シェールガスオイルのエネルギー革命はこの数年間に起きた出来事であり、それがアメリカの外交戦略を大転換させようとしている。これらの革命は掘削技術の進歩によるものであり、今まで不可能とされてきたシェールガス・オイルの採掘が可能になったことでアメリカが天然ガスの輸出国になるだろう。
これからもエネルギー革命がどのように起きるのか分かりませんが、1バレル=100ドルの価格が続くようになれば、シェールガスのみならず再生可能なエネルギー開発が活発になり、地下深く掘らなくても藻の栽培によるバイオエネルギーの産出も可能になる。そうなれば日本国内だけでもバイオエネルギーによって自給自足ができる事になりますが、事態はめまぐるしく変わるだろう。
アメリカにとって石油を中心とするエネルギーの確保が国家戦略の中心課題であり、それが中東政策に反映されてきた。石油と異なりシェールガス・オイルは全世界に埋蔵されており、採掘技術はアメリカが独占している。このような状況になればアメリカは中東諸国に深く関与していく必要がなくなり、イラク戦争な何のためだったのかという反省も出てくる。
オバマ政権としてはシリアに巡航ミサイルを撃ち込んだところで、何のメリットもなくサウジやイスラエルがアメリカに圧力をかけて参戦させようとしているだけだ。イラク戦争を仕掛けたのもイスラエルやサウジアラビアにとってサダムフセインが脅威だったからであり、石油との見返りにアメリカはイラクに攻め入りサダムフセインを処分した。
以前にも書きましたが、アメリカにとって最重要同盟国はサウジアラビアと日本であり、これは共和党も民主党も認めてきたことだ。アメリカにとってサウジの石油と日本の地政学的な位置を押さえておかなければアメリカのアジア戦略が成り立たない。アメリカの金融を支えているのも日本からの円資金ですが、ドルと円の基軸通貨体制は世界経済を支える基本だ。
アメリカにとって中東の石油依存度が下がれば、シーレーン防衛にも影響が出て来るものと思われますが、アメリカ政府は120兆円もの歳出削減が求められている。そうなればシーレーン防衛にも海軍力の予算カットの影響が及ぶだろう。二期目のオバマ大統領がなすべきことはイラクやアフガニスタンからの撤退であり、経済の再建だ。
このような軍縮政策の穴を埋めることができるのは日本であり、経済の再建に対しても日本の協力体制が必要ですが、FRBのドルのばら撒き政策もそろそろ転換の時期が来ていますが、FRBに代わって日銀が円のばら撒きを行ってアメリカや世界経済に資金を供給して行かなければならない。そうしなければ新興国が資金不足に陥って金融危機を招くからだ。
このようなアメリカの国家戦略の転換を見定めて、日本も独自のエネルギー政策や食料政策などを立てて行かなければなりませんが、日本政府は目先の事で手一杯だ。毎年のように政権が変わり内閣の閣僚も次々代わる。これではまともな外交も出来ませんが、政権が長く維持ができないのは政治力に欠けた政治家が多いからであり、国民の支持率が低いから長続きしない。
これは日本ばかりでなく、経済の不振が続けば世界の各国も国民の支持率が下がって政治不安が起こってくる。オバマ大統領自身支持率が低下して45%となってレイムダックの兆候が見られるようになりました。しかし大統領制では大統領を簡単には代えられないから外交でポイントを稼がなければなりません。アメリカの大統領が支持率を高めるには戦争するのが一番だからシリアにミサイルを撃ち込みたがるのだ。
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。