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8月21日のシリアの映像を、だれも直視することはできない。そして、シリア市民の虐殺を国際社会がまた止められなかったことに、激しい憤りを禁じえない。
映像はダマスカス郊外の町で、子どもを含む多数の市民に化学兵器と思われる攻撃が加えられた悲惨な状況を映し出している。身も凍るような、戦争犯罪と人権に対する罪の可能性が高いことを、まさに示している。
現段階では映像の信ぴょう性や犯罪責任の所在を明らかにすることは難しい。アムネスティ・インターナショナルは、被害者の症状が化学兵器の使用によるものかどうかを確認するため、医療その他の専門家と接触した。シリア国内の団体や個人の協力を得て、攻撃を受けた地域の人びとの現在の病状についても情報収集を進めている。
政権側は攻撃の責任をきっぱり否定している。しかし、化学兵器の使用が疑われた先の攻撃を調査するためにダマスカスにいた国連調査団が、今回の事件も現地調査するのを、なかなか認めなかった。同調査団の受け入れには、数カ月の交渉を要している。今回の事態で明らかなったのは、シリアへの対応に関して、国際社会が機能不全に陥っているということだ。
化学兵器のいかなる使用も戦争犯罪、あるいは人道に対する罪となりうる。シリアがこうした兵器の使用、製造、備蓄あるいは譲渡を禁じる化学兵器禁止条約に加盟していない数少ない国だが、すべての国は、自らが関与しているかどうかに関係なく、国際法のもとでこうした犯罪の調査や訴追に協同責任を有している。
調査や訴追のために国際協同チームを結成すれば、逮捕や訴追の可能性は高まる。たとえ海外逃亡をはかったとしても、普遍的管轄権に基づいて逮捕され、取り調べを受ける。国連安全保障理事会の理事国は、こうした動きを強化し、リードすべきだ。
シリアでは国際人権法や人道法の重大な侵害が長らく繰り返され、10万人以上が命を落とし、数百万人が家を失い、およそ200万人が国を離れて避難民となることを余儀なくされてきた。こうした事態に無力だった国際社会は今回、局面を打開する最後のチャンスを与えられている。
アムネスティは国連安保理に対して、シリアの憂慮すべき事態を国際刑事裁判所に付託し、政権側、反政権側に関わらず、犯罪の当事者の責任を問う手続きを開始するよう繰り返し求めている。
シリアの深い苦しみは想像を絶する。市民は今も、見境なく攻撃を受け、殺されている。国際社会は、今こそ行動を起こすときである。
アムネスティ・インターナショナル シリア調査員
2013年8月22日
http://www.amnesty.or.jp/news/2013/0827_4145.html
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