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株式日記と経済展望
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日米英の恒久的な同盟関係ができることになると、必然的に
ランドパワー諸国よる対抗同盟が結成されることになるだろう。
2013年8月12日 月曜日
◆なぜアメリカは日本と組まなければならないのか スパイクマン著「平和の地政学」 8月11日 地政学を英国で学んだ
http://geopoli.exblog.jp/20842613/
●現在(1942年頃)、米英両国ではこの二国による覇権を中心とした世界秩序をつくろうという議論が巻起こっている。これにはいくつかのバージョンがあるのだが、いずれもがそこから世界政府のような形に発展させようという話をしている。
●ところがそれが世界政府に至るまでは、米英が覇権を握ることは間違いない。第二次大戦が終って日本が破壊されれば、米英は海を通じて大きな力を発揮するはずだ。
●それでも米英の覇権が世界連邦のような形に発展するとは考えられないし、このような計画は米英の中でもほんの少数の人々にしか支持されないだろう。
●イギリスにアメリカが従属していた18世紀の頃を懐かしんでいる人々にとって、米英によるシーパワーと金融力による支配というのはとくに魅力的に映るものかもしれないが、このような考え方は間違いだ。
●なぜならイギリスはシーパワー単独によって世界を支配していたわけではなく(この点ではマハンやその弟子たちも間違っている)、世界のパワーの中心はヨーロッパにあり、そのパワーが(イギリスが仕掛けていた)バランシングによって無力化されていたからなのだ。
●そして今日の世界のパワーの中心は三つある。アメリカもそのうちの一つだが、海によって支配するという枠組みで考えるならば、それには日本も(まずは破壊されるべきだとしても)三番目のパートナーとして加えなければならないのだ。
●日米英の恒久的な同盟関係ができることになると、必然的にランドパワー諸国による対抗同盟が結成されることになるだろう。
●ユーラシア全土が武力によって支配される状態というのは自発的に発生するだろう。なぜならドイツ、ロシア、そして中国は、自分たちが包囲されていることを知り、共同でこの状態に対抗しなければだめだと気づくからだ。
●アメリカとユーラシアの沖合の二つの島(日本・イギリス)による同盟関係は、西半球(南北アメリカ)防衛という視点からみれば理想のようにも思えるが、それでも実際は世界を支配するだけの力を十分に持っているとはいえないし、日本とイギリスはユーラシア大陸に直面した状態にさらされてしまうことによって脆弱性が高まるのだ。
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●「アジアの地中海」(台湾、シンガポール、オーストラリア北辺の三角型の海域)は、戦後のアメリカにとっても最も重要な戦略物資が確保できる場所になるはずだ。そしてここが単一の国家によって支配されることは、アメリカにとって非常に都合の悪いことになる。
●極東地域はアメリカやヨーロッパのように独立したパワーの拠点となるには時間がかかるだろうが、それでもテクノロジーの発展によって経済力が軍事力に転換されることになる。そしてそれが実現すると、その相対的な重要性は他の二つの地域に比べても高まることになる。
●よってこの地域のバランスを安定させることは、われわれの戦略物資だけでなく、世界政治に与える影響からも望ましいことになるのだ。
●第二次大戦が終わったときにこの地域では独立した国々が乱立することになるが、これらを同じような強さの国でバランスをとることはヨーロッパの場合よりも難しくなる。
●そして戦後の一番の難問は、日本ではなくて、むしろ中国になるはずだ。
●パワーの潜在性ということで考えれば、中国のほうが日本よりもはるかにあるのであり、敗北したユーラシア大陸の沖合の小さな島にある日本の立場は、かなりの困難に直面することになる。
●山東半島やウラジオストックから長距離爆撃機が飛び立つことができるようになれば、紙でできた日本の火災保険の掛け金は大幅に上昇することになるのは間違いない。
●近代化と軍事化を果たした4億人(当時)の中国は、日本にとってだけでなく、アジアの地中海に権益を持つアメリカにとっても脅威となる。
●中国はその「地中海」の沿岸部から内海までの広範囲を支配する大陸サイズの国家となり、カリブ海におけるアメリカの地位と同じような立場になるのだ。中国が経済的に強力になれば、その政治的影響力も同じように大きくなるのだ。
●そしてこの海域が、イギリス、アメリカ、そして日本のシーパワーではなく、中国のエアパワーによって支配されるようになる日が来ることを予測することさえ可能なのだ。
●このようなパワー・ポリティクスに基づいた対極東政策をアメリカの国民に支持してもらうのは難しいかもしれない。もちろんアジアへの介入は、ヨーロッパへの介入よりも伝統的に支持を得やすいのは確かなのだが、それでも現在の戦争で親中派と反日派が増えてしまっていることによって、その介入はますます難しくなっている。
●よってアメリカの国民世論では、日本を危険な存在だとみなし続ける傾向は今後も続くはずだろうし、それは中国側にかなりバランスがシフトした後でも続くだろう。
●しかしわれわれはヨーロッパに対する場合と同じように、日本にたいしても同じような支援を行わなければならなくなる。われわれはイギリスを助けるために二度もヨーロッパに介入するハメになったからだ。
●もしアメリカが将来(そして現在の)極東でのバランスを維持しようとするならば、イギリスにたいして行ったような保護的な措置をとらなければならなくなる。そして現在のような一貫性のない政策はやめなければならない。日本が中国の脅威にさらされている間にアメリカがイギリスを助けに行っているという状態は、まさに矛盾以外の何者でもないからだ。
●このような保護は、国際連盟の地域版のような制度機関に参加することによって日本に与えられるべきであり、日本との一方的な同盟関係は好ましくない。
●われわれのコミットメントを全般化して行動の自由を守ることによってはじめて、われわれの国益を守ることができるし、アジアにおける秩序と平和の維持の助けとなることができるのだ。
(私のコメント)
地政学から見れば、国家は大陸国家と海洋国家の二つに分けられる。大陸国家はわかりやすいが国情は安定せず攻防を繰り返して永続することは少ない。それに対して海洋国家は外国から攻めにくく、強大な海軍力を持てば大陸国家らの侵略を撃退することができる。しかし大陸国家に攻め込んでも勢力を維持することはできない。
大東亜戦争は、太平洋の覇権を争った戦争ですが、日本はアメリカとの戦争に負けて太平洋のインド洋の制海権をアメリカに譲った。そのような状況が60年間続いてきたわけですが、中国が大海軍を建設して西太平洋の制海権を要求している。その中には台湾、シンガポール、オーストラリアの三角地帯が覇権争いの中心となる。
この三角地帯は、アメリカから遠く中国から近い。だから中国が大海軍を建設すれば地政学的にアメリカは中国に勝てない。以前はフィリピンのスービックにアメリカの大海軍基地があったのですが、現在は撤退して無い。南シナ海が覇権争いの中心海域になれば、中国は小艦艇でパトロールできるのに対して、アメリカは大型艦を派遣しなければならない。
ちょうど尖閣列島の領有権問題でも、日本と中国との巡視船同士のにらみ合いが続いていますが、フィリピンもマレーシアもベトナムも台湾も中国に太刀打ちができない。いつの間にか南シナ海の小島は中国に占有されてしまった。アメリカ海軍にしても常時南シナ海をパトロールはできない。
それができるのは日本だけであり、日本は南シナ海に大量の巡視船や護衛艦をパトロールさせることができる。尖閣諸島における日中の睨み合いはいつまで続くかわかりませんが、それは西太平洋の覇権争いの前哨戦に過ぎない。残念ながらフィリピンもマレーシアもインドネシアも台湾もシンガポールも大海軍は持てない。
海洋は高速道路であり、大量の貨物を積んだ貨物船の通り道であり、その通行を確保することは海洋国家にとっての命綱であり、日本の海軍は艦隊決戦に拘り通商路の確保を怠ったのが大東亜戦争に負けた原因だ。大海軍の中心は大船団を護衛するフリゲート艦であり護送空母だ。それが日本には無かった。
日本の商船団は、アメリカの潜水艦によって片っ端から沈められて制海権を失った。戦艦大和は悪い意味での日本海軍の象徴であり、日本にはフリゲート艦に相当する日本語が無いことも分かるように、船団護送という思想がなかった。潜水艦も艦隊決戦用であり通商破壊作戦はわずかしか行われなかった。
戦前の日本海軍には、海洋国家としてのソフトウエアがなく、海洋通商路の確保こそが海軍の主要目的であり、戦艦を中心とした連合艦隊は出番がないままに、最終的にはアメリカの空母部隊に殲滅させられた。戦艦大和は日本のバカ軍人の象徴であり、戦略家の不在が命取りになった。
第一次世界大戦におけるドイツの通商破壊作戦を見れば、日本海軍が大護送船団を組めるだけのフリゲート艦を建造すべきでしたが、アメリカの潜水艦部隊の力を侮った。フリゲート艦とは小型軽装高速の多用途艦であり、アメリカは大戦ではイギリスに90隻のフリゲート艦を貸与している。日本海軍の駆逐艦は戦闘艦隊護衛用であり、商船団の護衛を嫌がった。日本海軍に海上護衛総司令部ができたのは1943年だった。
スパイクマンがなぜ台湾、シンガポール、オーストラリアの三角地帯の重要性に触れているかを考えればわかりますが、ベトナム沖は日本の商船団の墓場になった。日本海軍は商船の護衛に戦闘艦を使うのはもったいないと考えていたようだ。それはこの本を読んでいただければわかります。
カスタマーレビュー
◆太平洋戦争は南方の資源を求めての戦争でもありました。しかし、その貴重な南方の資源を日本に輸送する手段である船舶を守ることについては日本はほとんど無策でした。第1次世界大戦と第2次世界大戦においてイギリスが採用した船団方式による防衛策を日本は知っていましたが、それを採用しませんでした。輸送船を護衛するために戦闘艦を用いるなどもったいない、という発想なのです。本書では具体的な数字や、かって船舶輸送に携わった人々へのインタビューを通して、これらの事実を赤裸々に明かしてくれます。太平洋戦争における日本のシーレーンを簡単に知りたいならお薦めです。
◆論理だっているために、わかりやすく、素晴らしい本だ。
「日本はアメリカの物量に負けた」、「潜水艦にまけた」、といった理解は間違っていない。
だが、個別の史実と突き合わせ、現代に生きる教訓を得る上で、もう一歩彫り込むことの価値は大きい。
すなわち、南方資源というのは、石油とボーキサイトに代表され、
資源地帯とはシンガポール近辺のビンタン島とパレンバンである。
したがって、海外とのシーレーンで最重要であったのは、門司ーシンガポール間の約5000キロであった。
本書はここまで特定して語る。だから、ベトナム沖が、輸送船の墓場であるということも、スッと納得できる。
ここまでわかれば、インド洋やソロモン諸島へ手を広げたのが、正解かいなかも、自分で楽に判断できる。しかも一冊の文庫本で!!
なかなか、優れた書物であると思う。
戦後50年以上を経過して、ようやく要点を押さえた議論が可能になってきたことを、喜びたい。
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