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<エジプト>モルシ派、怒りと悲壮感 疑心の連鎖も(毎日))…エジプトのシリア化。米国の狙い通りだ。
http://www.asyura2.com/13/warb11/msg/441.html
投稿者 福助 日時 2013 年 7 月 28 日 01:58:49: Bec2vmwBuKH7M
 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130728-00000002-mai-m_est

<エジプト>モルシ派、怒りと悲壮感 疑心の連鎖も
毎日新聞 7月28日(日)0時50分配信

 【カイロ秋山信一】エジプトの首都カイロ北東部で27日未明に起きた治安部隊とモルシ前大統領支持派の衝突。発生から半日が過ぎても現場には治安部隊が発射した催涙ガスの刺激臭が漂い、幾重にも築かれたバリケードを挟んで、治安部隊とモルシ派がにらみ合いを続けていた。軍や治安部隊は攻勢を強める意向で、現場近くのモルシ派の集会場には、怒りと悲壮感が入り交じった重たい空気が流れていた。

 「怪しいやつを捕まえたぞ」。27日午後、衝突現場から約2キロ離れたモルシ氏の出身母体・イスラム組織ムスリム同胞団の集会場の入り口に、オートバイが滑り込んできた。手首と足首を縛られた男性が横倒しに乗せられている。

 拘束された男性は、同胞団の拠点ラバ・アダウィーヤ・モスク近くのテントに連行された。「お前はスパイだろ」。尋問が続く。記者が近づこうとすると、あごひげを蓄えた同胞団のメンバーに阻止された。「何もしていない」と叫ぶ男性の声が聞こえた。内務省によると、26日以降、同胞団の集会場ではスパイだと疑われるなどして9人が殺害された。憎しみと疑心の連鎖は、日に日に拡大している。

 衝突は27日午前2時ごろ、ラバ・アダウィーヤ・モスクから約2キロ西にある「10月6日陸橋」のたもとで起きた。同胞団側は「(陸橋の南側にある)アズハル大学の建物屋上から狙撃手がデモ隊を銃撃した」と主張。現場にいたという同胞団メンバーのハサン・ムハンマドさん(28)は「実弾も使われた」と証言し、街路灯に残る銃痕と薬きょうを見せてくれた。遺体を搬送した同胞団支持の会社社長、イマーム・ユセフさん(51)は「遺体の大半は頭部や心臓を撃たれていた。モスクに45体しか収容できず、外にも安置した」と話した。内務省は実弾使用を否定している。

 同胞団は集会場周辺に、歩道のレンガをはがして積み上げた高さ約1メートルのバリケードを幾重にも設置。数千人が路上のテントで寝泊まりしている。バリケードの外は軍や治安部隊の装甲車が2週間以上取り囲んでいる。近所でパン屋を営むアフマド・アブドルサラムさん(35)は「軍か、同胞団か、どちらが正しいのか分からない。早く平和になるよう神に祈るしかない」とつぶやいた。

 ◇デモ隊へ攻撃 英外相が非難「中止求める」

 【ロンドン小倉孝保】エジプトで治安部隊とデモ隊の衝突で多数の死者が出た事件を受け、英国のヘイグ外相は27日、「エジプト当局に対し、平和的抗議行動を尊重し、デモ隊への攻撃を止めるよう求める」と述べた。

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最終更新:7月28日(日)0時56分


福助です。

エジプトをシリア化して、シリア混乱化が巧く行かない分をエジプトで補おうという訳でしょう。

中東をいつも混乱状態にしておいて資源の豊富な中東が決して高度な文明地域に発展しないようにしておきたいのでしょう。

さらに日本に米国の肩代わりとして原発核爆弾をこの地域に設置させて最終的には爆発に至らしめて核汚染させる積りでしょう。

それによってサウジもトルコもヨルダンも立ち上がれなくなります。

福島第一原発事故(装い)によって日本が傀儡政権の売国政策の思うが侭に至らしめられた事が中東でも起こされる事になるでしょう。


自分達が文明の先端を担うことが出来なくなって、ライバル潰しだけの文明停滞勢力に転落している訳です。
 

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コメント
 
01. 2013年7月28日 16:28:26 : aQq0UGoaxY
CIAの狙い通りの結果になっている。
シリアを瓦礫の山にしたけれどアサドが倒れないので矛先をエジプトに向けたと言うわけだ。
米国の狙い通り内戦状態になればなお良いと考えているだろう。
過去にNHKは「アラブの春」などとまやかしの言葉を使ったニュースを配信したが、結果はこれだ。
シリアの瓦礫都市を見るに付け、マスコミの洗脳記事に騙されずに悪魔を必ず退治しなければと思う。



02. 2013年7月29日 09:55:49 : niiL5nr8dQ
 
中東情勢、10年の戦争の後に10年の無秩序
2013年07月29日(Mon) Financial Times 

 一見すると、イスラエルとパレスチナの和平交渉を復活させようとするジョン・ケリー米国務長官の努力には、ほとんど騎士気取りのようなところがある。ケリー長官は確かに、この仕事にエネルギッシュに取り組んできた。長官がホワイトハウスの明確な支持を得ているのかどうかは、あまりはっきりしない。

 また、いずれにせよ、米国はシリアの内戦やエジプトのクーデターなど、もっと差し迫った問題に専念すべきなのではないか?

和平交渉の復活を狙うケリー国務長官

米国、北朝鮮に「対話の用意ある」と呼びかけ
イスラエルとパレスチナの和平交渉を復活させようと尽力する米国のジョン・ケリー国務長官(中央)〔AFPBB News〕

 長年、中東和平プロセスという実態にそぐわない呼び方をされている取り組みについて、悲観論を口にして愚かに見えた人はいまだかつて誰もいない。

 多くの人は、ヨルダン川西岸の植民地化に対するイスラエルの支持が2国家共存に関する一切の議論を学術的なものにしてしまったと考えている。

 バラク・オバマ米大統領に関して言えば、素晴らしい演説に見合うような大きな政治的リスクを最後に取ったのは一体いつだろうか? ケリー長官はどうか? シャトル外交は、突破口が開ける現実的な見込みよりも、むしろ過大な自信の表れだと見る向きもある。

 しかし、違う見方もできる。もしケリー長官が実際に失敗すれば、2国家共存を目指す試みは本当に終わる。そうなれば、人々の関心はヨルダン川西岸の専用居住区に閉じ込められたパレスチナ人の権利に移るだろう。イスラエルは常に避けてきた選択肢に直面せざるを得なくなる。地中海からヨルダン川まで広がる国は、ユダヤ国家であると同時に民主主義国家であることは不可能なのだ。

 イスラエル・パレスチナ問題以外の地域の優先事項については、米国はほかにどんなことができるのだろうか?

エジプトのクーデターをクーデターと呼べない米国

 エジプトのクーデターの前の数日間、米国政府はムハンマド・モルシ大統領を排除しないようエジプト軍を説得しようとした。その要請は一蹴された。米国はそれ以来、選挙で選ばれた政府を倒すことは、どういうわけかクーデター以外の何かであるということに同意し、軍部の味方に付くことに腐心してきた。

 オバマ大統領は挫折に慣れつつあるに違いない。オバマ大統領は2011年8月、シリアのバシャル・アル・ アサド大統領の退陣を要求し、「アサド大統領が退く時が来た」と述べた。それから2年経った今、アサド大統領はまだしっかりその座に収まっている。かつては、米国の大統領が誰かが退陣しなければならないと言うと、大抵、何らかの形で去った時代もあった。

米国以上に弱い欧州諸国

 欧州諸国は米国以上に弱い。英国とフランスは、リビアのムアマル・カダフィ大佐の失脚がアラブの蜂起後の欧州の役割を定めると想像した。ところが実際は、リビアが武力衝突の大混乱に陥り、カダフィ大佐を退陣させるという戦術的な成功は戦略的な失敗に道を譲った。

 英国政府とフランス政府は、シリアの反体制派勢力への武器売却に対する欧州連合(EU)の禁輸措置の解除を求めた。その後、アサド大統領の政府軍が前進したが、英国は今、反政府勢力に武器を供与する考えを放棄している。

 モルシ大統領が解任された時、欧州各国の指導者は顧問たちに、どんな対応が取れるか尋ねた。気詰まりな返事は「できることは大してない」というものだった。

 少し前までは、戦争に対する有権者の警戒心と欧州の利益の保護との折り合いをうまくつける介入主義の新たなモデルが議論されていた。西側諸国は地域の大国から成るオーケストラの指揮者の役目を果たす、というものだ。

 地域の大国は今、それぞれに勝手な音楽を奏でている。時折、指揮棒を奪い取ることもある。クーデターをクーデターと呼ぶことを渋る米国政府の姿勢は、米国の軍事支援の自動停止を避けることで影響力を維持しようとする配慮で説明された。英国の場合、政府はエジプトの新体制にも資金を供給しているサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)からの圧力に屈するほかないと感じた。

 オバマ大統領が鳴り物入りで打ち出したアジアへの「ピボット(旋回)」は、慎重に計算された中東からの転換を意図していた。後で分かったことだが、アラブ世界は事態の展開を予想するうえでホワイトハウスのずっと先を行っていた。驚くまでもなく、アラブ諸国は、もし米国が手を引くのであれば、自陣営のためにとっとと戦った方がいいという結論を下した。

西側の軍事介入では解決できない紛争

 小さな亀裂は無数に存在するものの、中東は今、スンニ派とシーア派との断層線で定義されている。一方にサウジアラビアと湾岸諸国、他方にイランとその代理が存在する構図だ。

 どんな形の西側の軍事介入も、この神政の対立が生み出す紛争を解決することはできない。米国は、一方ではシーア派のイランとヒズボラを封じ込める助けをし、もう一方ではスンニ派の聖戦主義と戦うしかない状況に置かれている。

 多くの人は、なすべきことはほとんどないと言うだろう。米国統合参謀本部議長のマーチン・デンプシー氏は先日、限定的な作戦でシリア情勢のバランスを決定的に変えられると考える人々にバケツ数杯分の冷水を浴びせた。介入は戦争を意味し、それに伴う血と財産のコスト、予期せぬ結果が付いてくる、と述べたのだ。

 とはいえ、西側諸国の力の限界を過小評価することは、過大評価するのと同じくらい間違いだ。先日、この点を雄弁に指摘したのは、冷静さで知られる英国の元外相で、国際救済委員会(IRC)のトップを務めるためにニューヨークに引っ越すデビッド・ミリバンド氏だ。

 ミリバンド氏はディッチリー財団の年次講演で、西側が無関心だと、10年の戦争が10年の無秩序に道を譲ることになると警鐘を鳴らした。米国は今も地球上で最強の国家であり、どんな競合国をも大きく上回る政治的、軍事的な影響力を持つ。米国には、とてつもなく大きな経済的影響力もある。欧州は自ら招いた傷をたくさん負っているとはいえ、かなりの経済力と外交力を持つ。

欧米が果たさねばならない義務

 そして言うまでもなく、欧米諸国には紛争がもたらす人道的な結果を食い止める義務があり、そうすることに利益がある。また欧米諸国は、政治的な決着を求める地域的、国際的な圧力を動員する類稀な力を持っている。

 この役割には魅力はない。交渉は巡航ミサイルのように見出しを飾ることはない。努力は多くの場合、失敗に終わる。だが、ある英国首相がかつて述べたように、代替策となるものはほとんど存在しない。イスラエルが学んだかもしれないように、平和をもたらさない唯一のものは戦争だ。だからケリー長官は正しい。我々は長官を応援すべきだ。

By Philip Stephens


03. 2013年7月29日 10:04:46 : niiL5nr8dQ

介入して双方の恨みを買い、国民の命と財産を消耗し続けるのか、

ロシアのように自分は表には立たず武器を売って儲けるのか

どちらが賢いかは明らかだ

http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPTYE8BH04Y20121218
ロシアの武器輸出が過去最高に、プーチン大統領明かす
[モスクワ 17日 ロイター] ロシアのプーチン大統領は17日、同国の武器輸出総額が今年、過去最高の140億ドル(約1兆1800億円)以上となる見通しだと述べた。

ロシアは米国に次ぐ世界第2位の武器輸出国で、近年は増加傾向にある。プーチン大統領はテレビで放送された当局者らとの会合の中で、今年だけでも150億ドル超の新規契約を結んだことも明らかにした。

大統領は特定の主な取引先を挙げることはしなかったが、その中には旧ソ連時代からの取引相手であるインドのほか、中国軍の台頭を警戒するベトナムなど東南アジア諸国が含まれているという。

ロシアは昨年、約10億ドル相当の武器をシリア政府に売却したとして欧米諸国から非難を受けたが、ロシアは国際法に違反するものではないとしている。



04. 2013年7月29日 18:28:27 : p9B89YgNYw
争うことが習性になっているのでCIAからすれば扱いやすい民族だろう
見事に地獄に向けてまっしぐら
ジャスミン革命に異議を唱えなかった世界のメディアって本当に怖いね

用心しましょう次のターゲットは日本だから
もうどうしようもないかもしれないけどね
まだ命まで取られたわけじゃない


05. 2013年7月30日 20:08:15 : fYliUBATRA
中東和平交渉の再開
2013年7月29日  田中 宇

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 7月29日から、米国のワシントンDCで、米国政府の仲裁により、3年ぶりにパレスチナ和平(中東和平)の交渉が再開される。中東和平はオバマ政権の1期目の後半から頓挫していたが、政権が2期目に入るとともに米国が仲裁を再開した。ケリー国務長官が、イスラエルとパレスチナ自治政府(PA)の間をシャトル外交し、相互の要求をすりあわせ、交渉再開にこぎつけた。交渉の目標は、西岸とガザにパレスチナ国家を作り、イスラエルとパレスチナが平和的な関係を結び、その和平をイスラエルとアラブ諸国の間に拡大して、中東を安定させることだ。(Israel and Palestinians to resume peace talks in Washington on Monday night)

 イスラエル政府は交渉再開に先立ち、104人のパレスチナ人政治犯の釈放を決めた。104人は、1993年のオスロ合意より前からイスラエルに勾留されており、オスロ合意に基づき、99年に釈放されるはずだった。画期的なオスロ合意の締結後、イスラエルでは、合意履行に反対する右派が台頭し、イスラエル政府は釈放を履行しなかった。104人の釈放は、予定より13年遅れで実施される。ひどい話であるが、この釈放は同時に、イスラエルが和平交渉を再開せざるを得なくなるところまで、国際政治的に追い込まれていることをも示している。(PLO source: Promise to free jailed Israeli-Arabs crucial)

 交渉が始まるものの、交渉開始の前提条件は不明確だ。パレスチナ側は交渉再開の前提条件として3つの点を出していた。(1)第三次中東戦争(1967年)以前のイスラエルとヨルダン川西岸(当時はヨルダン領)との国境を交渉の前提とすること(2)西岸入植地建設の凍結(3)政治犯の釈放、である。このうち(3)は実施が決まったが、残る2点が不明だ。(Abbas Scraps Demands as US Threatens to Blame Him for Peace Talks Failure)

(1)については「米欧の強い要求なので飲まざるを得ない」と言ってネタニヤフが閣内の右派を説得したという話と、米国ケリー国務長官がパレスチナのアッバースを説得して政治犯釈放だけを前提条件にさせたという話の両方がある。(2)については「イスラエル政府は引き続き、年間に千軒までの入植地住宅をしても良いことになった。十分な数なので、右派も反対していない」という報道がある。(Despite dissent, Netanyahu faces no real challenges from Likud over peace talks)

 67年国境をパレスチナとイスラエルの国境にせず、西岸入植地も撤去どころか増設されると、パレスチナ国家は、たとえ創設を公式に認められても、西岸の領土をイスラエルに蚕食され、国内の道路も寸断されたままだ。国家としての体をなさないので、欧州を含む国際社会は、中東和平が達成されたとみなさないだろう。しかし半面、67年国境を前提に交渉し、入植地建設停止を行うことを、イスラエル政界で強い右派が了承するとは考えにくい。7月30日に、中東和平交渉の再開を発表する共同声明が、米国主導で発表される予定だが、その時に、交渉再開の前提も発表されるかもしれない。(Right-wing Israeli minister urged cabinet to vote for release of Palestinian prisoners)

 ネタニヤフ政権は、政府間の交渉で和平が達成されても、国民投票を行って過半数の賛成を得られない限り、和平の結論を法制化できないとする新法を制定した。イスラエルの世論は右派が強く、国民投票で和平支持が半数に達しない可能性がある。この新法は、右派がネタニヤフの和平交渉再開を支持する際の条件としてつけたものだろう。今回の和平交渉は、いくつも脆弱さを抱えての再開となっている。(Netanyahu Rushes Referendum Requirement as Peace Talks Near)

 米国の政府や議会は以前から、イスラエル右派の言いなりになる傾向が強い。イスラエル右派は、西岸入植地をパレスチナ国家に明け渡さねばならなくなる中東和平に反対している。イスラエル右派の影響力が強い米議会や米政府が、中東和平を真剣に進めるとは考えにくい。国際世論の圧力をかわすため、イスラエルは、米国に和平交渉を仲裁させるところまではやるが「パレスチナ人がテロをやめないので和平できない」といったような口実をつけて、いつも和平の実現を妨げてきた。今回も、和平がうまくいくはずがないという分析が、いくつか出されている。(John Kerry's peace process: Dead on arrival)

 しかしその一方で、パレスチナ問題の解決は、イスラエルが国家を将来にわたって存続するために必要不可欠なことでもある。イスラエルにとって唯一の後ろ盾は米国だ。米国が中東支配をやめたら、イスラエルの国力は激減する。米国はイラクからもアフガンからも撤退し、中東支配の力が減退している。対照的に国連では、イスラエルを敵視する傾向が強いアラブやアフリカ中南米などの発展途上諸国の発言力が強まっている。国連では昨年来、パレスチナが国家として扱われている一方、国連の原子力機関IAEAではイスラエルに核兵器廃棄を迫る動きが強まっている。イスラエルは追い込まれている。早く和平を達成しないと、アラブやヒズボラ、シリアなどとの同時多正面戦争など、国家存亡の危機が強まる。(◆大戦争と和平の岐路に立つ中東)(Arabs ready anti-Israel resolution over nukes)

 パレスチナ側は国際社会での支持拡大を背景に「イスラエルがパレスチナ国家を望まないなら、パレスチナ人の全員にイスラエル国籍を付与する運動を始める(そうなるとユダヤ人よりパレスチナ人が多くなり、イスラエルは民主的にパレスチナ国家になる)」と、強気の発言をするようになっている。(Senior Fatah officials call for single democratic state, not two-state solution)(American Jewish leaders: Netanyahu should disown 'irresponsible" statements against two-state solution)

 かつて米国覇権が強かった時代、イスラエルの国策は、和平するふりをしつつ恒久的に引き延ばすことだった。今は正反対で、少なくともネタニヤフ政権は、和平を真剣に考えているはずだ。イスラエル政界では過激な右派が強く、彼らはイスラエルが滅亡の危機にあるのも無視して、和平を妨害する入植地の拡大やパレスチナ人との対立扇動を続けている。右派の多くは、ネタニヤフが党首をするリクードに所属している。(Palestinians to demand Israel recognize general border as precondition for talks)

 彼らは「67年の国境をイスラエルとパレスチナの国境とすることを前提にした和平交渉には反対だ」と言い続けてきた。しかし、国連などの国際社会での立場が強くなっているパレスチナ側は、67年国境を前提にしないと交渉に応じないと主張し続けた。最後は、ネタニヤフの立場を配慮して、米国が67年国境を交渉の前提にすることを強く望む態度をとり、EUはイスラエルの入植地に対する経済制裁(輸入や投資の規制)を発動した。それらを受けてネタニヤフは「和平を進めないと米欧からも見捨てられる」と党内の右派を説得し、交渉開始にこぎつけた(67年国境問題が交渉の明示的な前提になっているかどうか不明だが)。(New EU guidelines on Israeli settlements enabled Abbas to say 'yes' to Kerry)

 今回のような強いEUのイスラエル入植地制裁は史上初めてだ。この制裁は、イスラエル政権内で、和平に反対する右派の譲歩を引き出す効果があった。今後、交渉が進展すると、右派の妨害が強くなるかもしれないが、その時にネタニヤフは、妨害をする小政党を連立から外し、他の小政党を連立に入れて議会の多数派を維持する工作をすると予測されている。パレスチナ側の過激派の中には、イスラエル右派(モサド)から資金や情報を提供され、和平を妨害するためのテロをイスラエルでやる組織がある。今後、和平交渉が進展すると、そういった組織によるテロがイスラエル国内で起きるかもしれない。(Netanyahu's peace offering buys him some time)

 すでに、右派に牛耳られているイスラエル外務省は、労働組合主導で長期のストライキを続けており、ネタニヤフ政権が和平交渉に必要な外交行動を妨害している。(Israeli Foreign Ministry employees halt virtually all consular services)

 イスラエルの隣国エジプトでは、7月初めに軍部のクーデターでモルシー政権が倒された。モルシーが属するムスリム同胞団は、ガザのハマスの兄貴分で、ハマスとイスラエルの和解を仲裁でき、中東和平にとって役立つ勢力だった。エジプト軍部は、モルシーを、ハマスと共謀した罪で訴追するなと、同胞団を追い詰めているが、これはエジプトを内戦に引きずり込みかねない。('US wants Israel safety with Egypt unrest')

 エジプト軍部をけしかけてモルシー政権を転覆させたのは、中東和平を進めようとするネタニヤフ政権らイスラエルの中道派(現実派)を妨害しようとする米イスラエルの右派の策動の結果だったとも考えられる。イスラエルの駐エジプト大使は、同胞団を追い出したエジプト軍部に支持を表明したが、この支持表明も右派的だ。表明は、エジプトの民衆に「軍部はイスラエルの傀儡なのだ」と思わせてしまい、軍部にとって有害で、エジプトの混乱を助長するものだ。(◆中東不安定化を狙って誘発されたエジプト転覆)

 イランでは8月にロハニ新大統領が就任する。ロハニは現職のアハマディネジャドよりも穏健な姿勢とみられており、ロハニ就任後、ロシアなどが主導してイラン核問題を解決していく可能性がある。ロシアのプーチン大統領が8月中旬にイランを訪問する予定だ。(Russia and Iran: A postmodern dance)

 米議会下院では、131人の議員が、米国とイランの直接交渉の再開を望む文書に署名する、前代未聞の事態になっている(従来は30人ほどしか署名しなかった)。イラン核兵器開発問題の本質は、米イスラエルがイランに濡れ衣をかけているだけだから、米国が濡れ衣をかけるのをやめると、イランは国際的に許され、問題が解決してしまう。中東の国際政治が、イランにとって有利に、イスラエルにとって不利になる。イスラエルは、早くパレスチナ和平を実現し、イランやアラブから敵視されにくい状況を作らないと、不利になるばかりだ。(Iran engagement camp gets unexpected boost)

 再開される中東和平交渉について、私は、和平しないとイスラエルが国家存亡の危機から抜けられないことから考えて、意外と交渉が進展するのでないかと予測しているが、これは楽観的すぎるかもしれない。

http://tanakanews.com/130729palestin.htm


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