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2013年 7月 25日 17:34 JST ケリー米国務長官の中東への積極関与−情勢変化はどう影響? By JAY SOLOMON CONNECT 【アンマン(ヨルダン)】ケリー米国務長官は、中東の2つの不安定な紛争の終息を目指す上で、同地域の権力バランスの最近の変化や自身の経歴が、痛みを伴う必要な妥協もたらすきっかけになることを期待している。外交にかかわる米国とアラブ当局者が明かした。 しかし、それら当局者や中東アナリストは、アラブとイスラエルの和平協定締結とシリア内戦収束の双方の達成に向けた積極的な、個人的人脈を駆使したケリー氏の活動は、幾つもの難問をはらんでいる。 画像を拡大する image Associated Press ヘリに乗ってエルサレムからアンマンに向かうケリー米国務長官(6月) 数週間以内に再開が見込まれるイスラエルとパレスチナの交渉が決裂すれば、パレスチナ軍を再び刺激する危険性があるとともに、アラブとイスラエルの紛争にイランとシリアがより直接的にかかわる隙を与えることになりかねない。イランとそのパレスチナとレバノンにおける同胞であるイスラム原理主義組織ハマスとイスラム教シーア派武装組織ヒズボラは、19日に発表された和平プロセス再開に既に反対の声を挙げている。 一方、シリアの反政府組織リーダーは、ケリー氏がロシアと協調し、シリアについて協議するための地域的和平会議開催に向けて努力を続けていることに懸念を示している。そうしている間に、アサド・シリア大統領が反政府軍に奪われた土地を奪還するための作戦をさらに推し進める可能性があるためだ。アサド大統領の作戦はこのところ徐々に成功を収めつつある。 ケリー氏は、前任のヒラリー・クリントン氏とは大きくやり方を変え、和平協定の締結を目指してアラブ・イスラエル紛争に積極的に関わっている。ケリー氏は、和平協定は中東だけでなく、広いイスラム世界全体に安定をもたらすことになると主張している。両サイドの高官級の和平協議は3年前から停止している。 米当局者によると、クリントン氏は4年の任期中、中東和平事項を特使に委任し、めったに口出ししなかったという。 対照的にケリー氏は、2月の国務長官就任以来6回も中東を訪れ、イスラエルのネタニヤフ首相やパレスチナ自治政府のアッバス議長と長時間に及ぶ一対一の会談を重ねている。 さらに先週はヨルダンとヨルダン西岸をヘリで往復し、アッバス議長やその他アラブの指導者に和平プロセスの支持を取り付ける一方で、ネタニヤフ首相と電話会談を行った。 関連記事 中東和平交渉再開へアラブ連盟の支持確保=米国務長官 米国務長官、アンマンへ−エジプト問題でアラブ連盟首脳と会談 エジプトのクーデター、米国の影響力の限界を浮き彫りに 和平プロセスや紛争地域での一対一の役割に力を入れることについて、ホワイトハウスと国務省の一部当局者は、ケリー氏が自らの戦略や高官級会合の内容の多くを共有してくれないと批判的な視線を送っている。 ケリー氏と同氏のスタッフはケリー氏が独自に行動している、あるいはホワイトハウスとの密接な協調を避けているとの批判を否定した。ケリー氏はまた、外交は秘密裏に行われる必要があると反論した。 アラブの指導者はケリー氏の和平プロセスへの直接的な関与を評価している。元大統領候補というケリー氏の経歴や上院議員時代に中東で築いた関係が外交に役立っていると述べた。 ケリー氏はまた、3月以降シリアの友好国であるロシアのラブロフ外相とも相次いで会談を行い、シリア和平会議の条件設定を試みている。それにより、アサド政権メンバーや反政府組織指導者、シリア近隣諸国当局者を一堂に集めることを想定している。 しかし、アサド大統領率いる政府軍はここ数週間、イランやヒズボラ、ロシアからの武器や資金支援を受け、シリア中部での戦いで重要な勝利を収めている。一方、オバマ政権はシリアの反政府軍に軽兵器や弾薬を供給するという約束をまだ果たしていない。 米国とアラブ当局者はここ数日、見方によっては中東一帯の政情不安がケリー氏の主導力を後押しする結果になる可能性があるとの見方を示している。 ハマスの政治運動を熱心に支援してきたエジプト、カタール、トルコの3カ国はこの1カ月の間に指導者の交代や大規模な政治的騒乱などの政情不安に見舞われている。 米・アラブの当局者や中東アナリストによると、こうした展開によってハマスは外交的・財政的に弱体化し、アッバス議長がネタニヤフ首相と交渉する政治的余地が生まれる。 また現・元米当局者によると、欧州がネタニヤフ首相に対する圧力を強めていることも和平プロセスに役立つ可能性があるという。欧州連合(EU)は先週、1967年のアラブ・イスラエル戦争後にイスラエルが占領した土地で活動している同国の諸機関への投資を禁止することを明らかにした。 イスラエル当局は、このEUの決定がイスラエルを標的にした投資撤退や権威失墜を狙いとした広範な活動の一部でしかなく多くの米国企業や大学がその活動に賛同する可能性を危惧している。 米・アラブ当局者によると、中東地域の混乱は米国がシリア反体制派の政治的・軍事的指導者をより団結させる上でも役立つ可能性があるという。トルコとカタールはシリア国内のより過激な武装勢力の一部を支援してきたが、最近のイスタンブールとドーハの政情不安によってそうした力関係が弱まることが期待できる、とオバマ政権当局者は話した。 しかしシリアの反政府勢力は米政府への不満を募らせている。先週、ケリー長官がヨルダンにある最大規模のシリア難民キャンプを訪問したとき、ロシアやイラン、ヒズボラがシリア政府を軍事的に支援しているのに米国はしないのかと難民のグループから詰め寄られた。 ケリー長官や米当局者は、武器は送っていないが、10億ドル近い人道支援をシリア国民に対して送ったと強調した。 wsj |