http://www.asyura2.com/13/warb11/msg/434.html
Tweet |
孫崎享のつぶやき
米国国家安全保障局による盗聴事件(沖縄タイムスへの寄稿)
2013-07-23 07:09
この記事は期間限定で無料公開されています。
閲覧可能期間
201307/23 07:18 〜 201307/23 08:18 まで
※電子書籍(EPUB)のダウンロードはできません。
チャンネルに入会すると、当月の記事をすべて読むことができ、電子書籍(EPUB)のダウンロードやメールマガジンでの購読もご利用いただけます。是非この機会にお試しください。
http://ch.nicovideo.jp/magosaki/blomaga/ar296105?key=2de3cfec1f11223467369bc92ffe44da46f95953907f5ae36b7be05752e601ac
沖縄タイム誌に寄稿した分を掲載したい。
*****************************
6月上旬、英国のガーディアン紙は「国家安全保障局(NSA)がグーグル、マイクロソフト、アップル、ヤフー、フェイスブックなど大手ネット企業に個人情報の提供を求めてきた」と報じた。ついで、「国家安全保障局が秘密プログラムPRISMを使って、直接大手ネット企業のコンピューターにアクセスして、利用者の個人情報を入手することが出来る」と報じた。
元CIAで働いていたスノーデンがこの暴露を行った。
従来は標的になる個人の電話や住宅やコンピューターに入り込み、盗聴した。秘密プログラムPRISMを使えば、個人の家に直接入る必要がない。ヤフーやグーグル、フェースブック、アップル等、個人が利用するネットワークの巨大ルーターをハッキングすればよい。スノーデンはハッキングしようとすれば、技術的に米国大統領や最高裁判所判事をハッキングすることも可能であると発言した。
こうした情勢の中、米軍関連の新聞、星条旗新聞は次のように報道した。
「米国政府が調べようと思えば、皆さんが、どこに金を使い、何を食べ、何処に行き、何をグーグルするか、全てみられるようになっている。米国政府は、空から、カメラから、コンピューターからあなたを監視している。そしてこの情報を提供するのは貴方自身である。貴方が使うクレジットカードや電話やインターネットが自動的に情報を提供する。」
今や、技術的には大変な時代に突入した。個人の情報が全て収集できる。
英紙ガーディアンは、さらに、スノーデンが持ち出した極秘文書により、NSAが日本を含めた38カ国の大使館に対しても盗聴を行っていたことも報道した。
欧州諸国は、盗聴の報道に対して、米国に厳しい反応を示した。
レディング欧州委員会副委員長は米国検事総長ホルダー米国司法長官に書簡を送り、次を問い合わせした。
、@ Prism等のシステムはEUの市民を含む外国人を対象にしているか、
A監視システムは特定のケース、人物に限定しているか
B監視システムは国家安全保障の問題に限定されているか、より広い対象としているのか
Cアメリカ市民とEU市民の間に監視対象にする差があるか等の問い合わせを行った。
先進国首脳会議後、オバマ大統領はドイツを訪問したが、6月10日付英国ガーディアン紙は「ドイツ首相メルケルは米独首脳会議でオバマ大統領を締め上げる(grill)と予想されている」と報じた.
その後も欧州諸国の厳しい反応は続いた。
ドイツも盗聴の対象であったとの報道をうけ、7月3日、メルケル首相はオバマ大統領と直接電話会談し、事務レベルで協議する約束をとりつけ、その週末、ドイツの関係閣僚が米国を訪問した。フランスのオランド大統領は「直ちに(盗聴を)やめるよう求める」、「パートナー国や同盟国の間で、このような行為は受け入れられない」「(8日からワシントンで初会合が開かれる米国とEUの自由貿易協定(FTA)締結交渉をめぐり)米国がEU諸国などの情報収集をしないという保証が得られない限り交渉も取引もあり得ない」と述べた。
さて日本はどうか。7月1日付時事通信は「菅官房長官が“当然関心を有しており、しかるべく確認したい”と述べ、外交ルートを通じて米政府に事実関係を照会する方針を示した」と報じた。
欧州諸国は首脳レベルで激しい抗議を米国に行っている。フランス大統領は「パートナー国や同盟国の間で、このような行為は受け入れられない」と抗議した。
スノーデンは日本で勤務している。6月10日ガーディアン「2009年、CIA後、民間会社に就職、NSA施設のため在日米軍基地で勤務。NBC/Tracy Connor 論評「Booz Allenの関係で2009年NSA施設のため在日米軍基地で勤務」と報じた。
さて日本はどうか。日本の政府首脳が米国に問い合わせをしたか。遺憾だという発言をしたか。警察等防諜に携わっている官僚が警戒を発したか。日本の大手メディアが大変だと騒いだか。しない。
米国が日本を盗聴する。これを当然だと思っている。盗聴されて、米国さまさま、同盟さまさまと言っている。本当に属国意識そのものだ。
*******************************
米国におけるスノーデンの評価は真っ向から割れている。
一方に国家の機密を盗み、暴露した罪を糾弾するグループがいる。
一方に権力側がその権力を乱用し、米国の憲法で保障される人権の侵害まで行った、その行為は罪の部分よりプラスの部分が大きいと容認する動きである。さて、読者の方はどちらを重視されるか(最後の部分は追加)
孫崎享(元外務省・国際情報局長)
元外務官僚で、駐ウズベキスタン大使、国際情報局長、駐イラン大使を経て2009年まで防衛大学校教授。7月に発売された『戦後史の正体』は9月時点で8刷20万部の売れ行きとなった。ほかに『日本の国境問題−尖閣・竹島・北方領土』(ちくま新書)などがある。ツイッターのフォロワーは5万人を超えた。
外部サイトのURL
https://twitter.com/magosaki_ukeru
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。