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【カイロ宮川裕章、樋口直樹】エジプト軍のクーデターで追放されたモルシ前大統領の支持派と軍・治安部隊が8日未明にカイロ北東部の共和国防衛隊施設前で衝突、50人以上の死者を出した事件で、銃で武装した集団が座り込みを続けていたモルシ派と軍側の双方に向けて発砲し、これが引き金となって両陣営の衝突に発展した可能性が15日、複数の目撃証言で浮上した。事件の責任を巡りモルシ派と軍側が非難し合う中、衝突を扇動したとみられる武装集団の特定が事件解明の鍵になりそうだ。
事件の概要について、モルシ派のイスラム組織ムスリム同胞団は、夜明け時のイスラム教の礼拝中に背後から突然、軍側に銃撃されたと主張。軍側は、午前4時ごろに武装集団が防衛隊施設を急襲し、兵士らに発砲する一方、別の一団が近くの建物の屋上から兵士らに向けて火炎瓶を投げたり発砲したりしたため、自衛のため反撃したと反論する。
防衛隊施設に隣接する高層住宅の前で事件を目撃した運転手、カマールさん(55)は「銃で武装した集団が(約500メートル離れた)モスクの方から現れ、兵士に投石した後、銃撃した」と毎日新聞に証言する。ここまでは軍側の説明とほぼ一致するが、武装集団は催涙ガスで視界不良になった現場で、防衛隊施設前の道路を挟んで軍側とにらみ合っていたモルシ派にも銃を乱射したという。
騒ぎに気付き、この高層住宅14階の自宅から現場を見下ろした男性(36)も「白煙の中、武装した私服の男たちがモルシ派の方へ発砲していた」と話す。
さらに、衝突時に防衛隊施設を警備していたという警官は匿名を条件に「モスクの方向から、自動小銃などを持った平服の男たち約20人がバイクで乗り付け、軍とモルシ派の双方に5分間ほど発砲した後、モスクの方向へ逃走した」と証言する。「逃げる武装集団に向け軍側が発砲した際、間に挟まれたモルシ派に負傷者が出た。軍側に撃たれたと思ったモルシ派が投石などを始め、全面的な衝突となった」と明かした。
武装集団は、緊張状態にあった軍側とモルシ派を衝突させるため、意図的に双方を銃撃した可能性が高い。3人の証言者はいずれも、武装集団がモルシ派に見えたと話す。
http://mainichi.jp/select/news/20130716k0000m030076000c.html
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