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習近平主席を絶賛したデンプシー米統合参謀本部議長〔PHOTO〕gettyimages
エッ! そんなバカな 日中「軍事衝突」に備えよ――そのとき、米軍は何もしてくれない
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/35896
2013年05月28日(火)週刊現代 :現代ビジネス
尖閣諸島海域が、再びきな臭くなってきた。中国人民解放軍の少将が"奪取宣言"を行い、国民が熱狂的に支持する。あげく、沖縄まで自国の領土と主張し始めた。こんな隣国を、日本はどうする?
■人民解放軍は準備ができた
5月14日、人民解放軍のスポークスマン役を務める羅援少将が『中国新聞ネット』に出演し、次のような過激な『尖閣奪取宣言』を行った。
「われわれは今後、3段階で釣魚島を奪取する。第一に、漁船を海域に放ち、主権を宣言する。第二に、国家海洋局の海監(巡視船)が重武装で赴く。すでに最近、島から0・6海里まで達している。そして満を持して中国海軍が出動するのだ。
現在、東海、北海、南海の3大艦隊が共に、釣魚島付近で軍事訓練を行っている。これは刀を磨いているのだ。3艦隊が一体となって刀を抜けばよい。制海権を奪うことが何より重要で、そのために力をつけるのだ」
羅援少将は翌15日、同番組で今度は、沖縄問題について吠えた。『人民日報』(5月8日付)が「沖縄は中国の領土」と主張したことを受けての発言だ。この日は、沖縄が日本本土に復帰して41周年にあたる記念日だった。
「琉球は日本に帰属しているものではまったくない。なぜなら琉球は以前は独立した王国だったからだ。西暦1372年に、琉球王国は明に朝貢を始めた。以来、琉球は明の属国となった。
それを1872年に、日本の明治政府は、中国に何の相談もなく、琉球国王を軟禁し、王制を廃して琉球藩とし、その後、沖縄県にしてしまった。実際、琉球国の多くの国民が福建省、浙江省、台湾の出身だ。
アメリカが琉球を日本に渡した時、当時の琉球の国民は逆らえなかっただけで、彼らはいまでも独立を求め、中国との自由往来を求めている。
琉球でさえそんな状態なのに、台湾列島の一部分である釣魚島は絶対に日本の領土ではない。われわれ中国の厳然たる領土だ」
中国のネット上の議論も、凄いことになっている。習近平新政権に対して「一刻も早い対日開戦」を求める市民の声が、次第に高まっているのだ。
「中国側から日本に宣戦布告すべきだ」(河南省鄭州市)
「腐敗幹部をすべて日本との戦場に送り込め」(雲南省昆明市)
「海軍はなぜ開戦を尻込みしているのだ」(遼寧省瀋陽市)
「腰抜け政府め、かくも多くの土地を失いやがって、黙っているのか」(広東省広州市)
「(習近平主席が説く)チャイニーズ・ドリームとは、祖国統一の大業を完成することではないのか」(四川省成都市)
「小日本を打倒するために、政府はもっと強硬になるべきだ」(内蒙古自治区フフホト市)
■中国潜水艦に狙われている
中国では現在、『釣魚島主権帰属』という本が、ベストセラーとなっている。この本は、中国メディアの駐日特派員経験者たちが綴った国民への啓蒙書だが、編者の一人が語る。
「このまま日本が、釣魚島の"国有化"を撤回しない限り、中国政府はどんどん"水位"を上げていくでしょう。そして13億国民も、政府の強硬姿勢を全面的に支持している。習近平主席は、人民解放軍と国家海洋局に対して、『日本と開戦に至らない範囲内で、(挑発行為を)進めていって構わない』との指示を出していると聞きます」
たしかに昨年9月以降、尖閣諸島海域での中国の挑発は、エスカレートする一方だ。中国国家海洋局の巡視船などが、日本の領海に侵入した日数は、5月14日までで、すでに57日に達している。
また昨年12月には、初めて領空も侵犯。今年1月には、中国海軍の艦艇が2度にわたって、日本側に「戦闘行為一歩手前」のレーダー照射まで行った。
そして5月に入ると、2日と12日に、中国海軍のものと思われる潜水艦が、領海の外側にあたる接続水域を航行したことが明らかになった。防衛省関係者が語る。
「12日の2回目の時は、深夜だったにもかかわらず、小野寺防衛相も省内で待機しました。小野寺防衛相が安倍首相と連絡を取り、もし日本の領海に侵入した場合は、潜水艦に対して、海上警備行動を取っても構わないという許可を受けました。自衛隊史上初めて、他国に対して武器使用を行う可能性があるということで、省内に緊張が走りました。
ところが結局、13日朝になって、潜水艦は接続水域から去って行きました。そしてこの潜水艦と交代するかのように、13日午前9時頃、2隻の中国海軍の艦艇が、沖縄本島の南西約660kmの海域を航行していったのです」
防衛省は、この不審な潜水艦が中国海軍のものであることさえ公表していない。軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏が解説する。
「防衛省は当然、不審船の震動の音紋から、中国海軍の潜水艦だと確信しているはずです。ところが、前回1月のレーダー照射の時もそうでしたが、中国側が否定してきたら、こちらが様々な情報開示をしていかねばならなくなる。さらに接続水域での潜航は、国際法違反ではないので、中国艦だと公表しても日本の利益にはならないのです」
ではなぜ中国海軍は突然、潜水艦を送り出してきたのか。軍事評論家の世良光弘氏が語る。
「それは、日本の接続水域に侵入したら自衛隊がどういう反応を見せるのかを、試したかったのでしょう。私が海自関係者から聞いたところでは、中国の潜水艦は海自艦の監視を承知の上で、故意に魚雷発射管のフタを開けたそうです。フタの開け閉めはソナー(音波探知)で識別できるから、開いたと分かった時、海自艦は回避行動を取ったのです」
もはや日本を弄んでいるとしか思えない中国だが、実はこうした潜水艦の侵入は、今回が初めてではない。
'04年11月10日朝、中国海軍の原子力潜水艦が、約2時間にわたって、石垣島と多良間島間の領海を侵犯した。この時、自衛隊は海上警備行動を発令。P-3C哨戒機と護衛艦「くらま」「ゆうだち」を現地に派遣し、日中は一触即発となった。
結局、原子力潜水艦は、青島の中国海軍北海艦隊基地に入った。当時の町村信孝外相が中国大使館に厳重抗議。武大偉外務次官が「事件の発生は遺憾であり、通常の訓練中に、誤って日本の領海に入ってしまった」と釈明し、一件落着した。
ところが現在の中国は、迷惑千万な挑発は同じでも、9年前のような謙虚さはつゆほどもない。それどころか、日増しに傲慢かつ強硬になっていくばかりである。
■戦闘機の小ぜりあいがある
北京の中国日本商会幹部によれば、中国がこのように日増しに強硬になる背景には、習近平政権の焦りがあるという。
「3月に習近平政権が出帆してから、中国経済がガタ落ちしています。第1四半期の経済成長率は7・7%と、前期比で0・2%落ちましたが、『実際は5%まで落ちているが水増しした』という噂が出ているほどです。平均株価を示す上海総合指数も3月以降、低迷を続けていて、『日本のアベノミクスが羨ましい』と、この頃よく言われます。毒入り食品、大気汚染、水質汚染、幹部の汚職など、社会問題山積で、庶民の不満は限界に達しています」
そんな中、「中国経済危機説」が、にわかに論じられるようになってきたという。日本商会幹部が続ける。
「それは7月か8月頃、中国経済が危機に陥るというものです。'08年のリーマン・ショック、'10年のEUショックに続き、チャイナ・ショックが襲うというのです。そうなったら、習近平は批判を外にそらすため、日本と開戦するのではないでしょうか。
例年4月には、各日系企業で駐在員の大幅入れ替えが行われますが、今年の特徴は、帰った駐在員数に較べて、新来の駐在員数が大きく減ったことでした。各社とも危機を察知して、"逃げ"に入っているのです」
真夏の経済危機と対日開戦―最も危険なのは、日本が尖閣諸島を国有化して1周年にあたる9月11日前後だろう。
中国は今後、どのような手段に出てくるのか。冒頭の羅援少将の『尖閣奪取宣言』を踏まえて、前出の軍事ジャーナリスト・黒井文太郎氏に、中国がエスカレートさせていく挑発行為を予測してもらった。
第1段階 国家海洋局巡視船の常駐
第2段階 中国漁船の侵入
第3段階 海洋局巡視船による中国漁船の取り締まり
第4段階 同様に日本・台湾漁船の取り締まり
第5段階 海洋局巡視船による海上保安庁巡視船への攻撃
第6段階 中国海軍の展開
第7段階 尖閣上陸
黒井氏が解説する。
「ポイントは、中国は民間、警察、軍という順序で、今後着実に尖閣海域の実効支配を強めていくということです。それに対して、日本は現在、中国国家海洋局巡視船の日々の侵入を黙認しているので、その時点ですでに負けている。やや悲観的ですが、今後日本側ができるのは、せいぜい海保による威嚇射撃まででしょう」
過去には、1978年4月に、100隻以上の武装した中国漁船が、尖閣海域で領海侵犯を繰り返したことがある。昨年9月には中国メディアが「1000隻の漁船を繰り出す」と報じ、危機を煽った。
現在、福建省や浙江省では漁師たちが不漁で生活苦に喘いでおり、尖閣周辺での漁業を切望していると、台湾紙が伝えている。つまり、中国当局のゴーサインが出次第、第2段階及び第3段階に突入する可能性が大なのだ。
そして、日中双方の巡視船が激突すれば、中国大陸の沿岸から海軍の大部隊がやってくる。そこで自衛隊が応戦すれば日中開戦、応戦しなければ尖閣諸島が「落城」することになる。
前出の軍事評論家・世良氏は、海に加えて空も危ないと警告する。
「4月23日に、中国空軍の戦闘機のSu-27及びSu-30が、延べ40機も尖閣周辺の上空に飛来してきました。これに対して自衛隊那覇基地のF-15がスクランブル発進しましたが、空自の規定で、隊員の1日あたりのスクランブルは3回までと決まっています。おそらく4月23日は、スクランブル担当でないパイロットまで駆り出されたはずです。
戦闘機の操縦士は、わずか数秒内に行動を判断しないといけない。そのため疲労からパイロットの判断ミスが起こり、偶発的な衝突が発生する恐れがあります。かつ、日中の空戦は、戦闘機の性能や隊員の練度では自衛隊が上回るものの、物量戦になると中国に太刀打ちできません」
■米軍の戦略は決まっている
こうして尖閣海域の"波風"が高まれば、日本が頼るのは、同盟国のアメリカである。だが、このところアメリカの安倍政権を見る目は、急速に冷めつつある。
5月1日に米議会調査局は、日米関係についての報告書を議会に提出した。そこでは、「安倍首相は過去の日本の侵略がアジア諸国に犠牲を払わせたことを否定する修正主義的な歴史観を持っている」と批判された。続いて、5月上旬に訪米した韓国の朴槿恵大統領が、オバマ大統領との米韓首脳会談や連邦議会で行った演説で、日本を批判する挙に出て、それがアメリカで大きく報じられた。
ワシントンの日本大使館関係者が語る。
「いまのオバマ政権にとって喫緊の課題は、輸出を倍増させて国内の雇用を増やすことで、そのために東アジアは最大の市場です。それなのに、安倍首相本人の『村山談話否定答弁』を始め、靖国を参拝した麻生副総理、日本のアジア侵略を肯定した高市政調会長、慰安婦容認発言の橋下大阪市長など、中国や韓国を憤慨させることばかりして、日本は一体何をやっているのだと思うわけです。日本で舌禍事件などが起こるたびに、われわれは火消しに追われて大わらわです」
逆に、このところ得点を稼いでいるのが、中国だという。
「3月にルー財務長官、4月にケリー国務長官、デンプシー統合参謀本部議長が立て続けに訪中しましたが、帰国後3人とも、『習近平は話が分かる素晴らしい男だ』と絶賛しているのです。『安倍は素晴らしい』と語るワシントンの大物は聞いたことがなく、日本と中国とどちらがアメリカの同盟国なのか分からなくなります」(同日本大使館関係者)
このような体たらくでは、いざ日中開戦となった際に、同盟国のアメリカは日本の味方になってくれない可能性がある。元ロイター通信記者の三上義一・目白大学教授が語る。
「日本に米軍基地があるのは、日本を守るためではなく、東アジアにおけるアメリカの権益を守るためです。過去の台湾海峡危機や北朝鮮危機などの例を見ても、アメリカが行うのは、口先での非難と、第7艦隊を出動させての威嚇までです。小島を巡る局地戦で、日本のために中国と戦争するという選択肢は、オバマ政権にはありません」
'96年3月の台湾海峡ミサイル危機の時は、台湾総統選挙を守るべくアメリカは空母インディペンデンスとニミッツを派遣した。だが、「ロサンゼルスに核兵器を撃ち込む」と宣言した中国軍に対して、威嚇射撃すら行っていない。
また、'10年11月に北朝鮮が韓国の延坪島に170発の砲撃を加え、4人を死亡させた際も、アメリカは非難声明を発表しただけだ。当時、米韓合同軍事演習の直前だったにもかかわらず、アメリカは同盟国の韓国に対して何の支援もせず、韓国の国防大臣が責任を取らされて辞任した。
5月12日に海上保安庁が発行した『海上保安レポート2013』は、尖閣諸島防衛の大特集を組み、アメリカや韓国との連携を謳っている。
だが安倍政権が諸外国を敵に回した結果、いまや、米中韓vs.日という構図になってしまった。小泉・ブッシュの日米蜜月時代は、今は昔である。
「週刊現代」2013年6月1日号より
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