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[ベイルート 14日 ロイター] シリア政府軍兵士が男性の背中を何度も刺しながら死に追いやる一方、反体制派の司令官は敵対する兵士の内臓を取り出して口にする――。
シリアの内戦では、カメラ付き携帯電話やインターネットの普及で、膨大な数のおぞましい戦争犯罪が白日の下にさらされているが、こうした映像は憎しみと恐怖を拡大させ、和解をますます遠ざけている。
2年前に同国で民主化運動が始まった当初から、残虐行為は1つの手段として利用されており、今では政府軍兵士も反体制派兵士も残虐行為を行い、その様子を撮影している。
記者の間で反体制派の司令官として知られる人物は、12日に公開された映像の中で、死んだ兵士から切り取った内臓を口にして、カメラに向かって「われわれはお前たちの心臓と肝臓を食べると神に誓う」と政府軍に警告した。
また、インターネット上に投稿された別の写真では、反体制派兵士がアサド政権側とみられる人物の切断された頭部を笑顔で手にしている様子が写し出されている。
<ゼロサム・ゲーム>
戦争研究の専門家であるキングス・カレッジ・ロンドンのReinoud Leenders准教授は、こうした残虐行為を公表することは、1つの手段として戦争当事者に利用されていると指摘。「侮辱を表す究極の表現であり、敵の人間性を奪う行為だ」と述べた。
同氏によると、アサド政権は民間人にまぎれる反体制派兵士をあぶり出すため、大量殺人と拷問を行ったという。
シリアで内戦が始まって以来、同国における人権侵害を記録してきた国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチのNadim Houry氏は、残虐行為が激化しているとし、政府側も反体制派側も生き残りを賭けたゼロサム・ゲームだと考えているようだと語った。
アサド一族による40年以上に及ぶ圧政に苦しむ国民の民主化デモとして始まった内戦は、シリアで大半を占めるイスラム教スンニ派が主導する反体制派と、シーア派を源流とするアラウィ派に属するアサド大統領ら政府側との宗派対立という側面も表面化させた。
双方をめぐり、国際社会も割れている。西側や湾岸諸国は反体制派を、イランとロシアはアサド政権を支持している。戦争犯罪行為に対して非難の声は上がっているものの、実際にそうした行為を抑止するものは存在せず、依然として行われているとHoury氏は指摘する。沿岸都市バニアスで最近起きた戦闘で乳児を含む少なくとも62人が死亡したことを挙げ、「特に問題なのは、国際社会が沈黙していることだ。無関心のほどにショックを受ける」と述べた。
シリアは国際刑事裁判所(ICC)を規定する条約に加盟していないため、ICCは同国の残虐行為を調査することしかできない。ただし、それには国連安全保障理事会の付託が必要で、安保理の常任理事国であるロシアと中国はそれを阻止している。
<和解への道>
米国とロシアはシリア内戦終結を目指し、和平会議の開催を提案しているが、和平協定実現の可能性は低く、こうした双方による残虐行為や戦闘の抑止にはならないだろう。
「今や和解は現実味を持たない。米ロが描くストーリーは実際にシリアで起きていることと大きくかけ離れている」と、先述のLeenders准教授は指摘する。
宗教対立などの特徴を持つ点から、シリア内戦は1992―95年のボスニア・ヘルツェゴビナ紛争と比較される。同紛争では、セルビア人と、クロアチア人とイスラム教徒が独立をめぐり対立。「民族浄化」という言葉が世界的に知られるようになり、第2次世界大戦後の欧州で最悪の残虐行為が行われたとされている。イスラム教徒の男性や少年ら約8000人がセルビア人勢力に殺害されたとされる「スレブレニツァの虐殺」など、その残虐行為の数々は終結して約17年がたった今でも語り継がれている。
シリアの隣国レバノンでは、パレスチナ人らイスラム教徒とキリスト教徒が衝突し、1990年まで約15年にわたり内戦が続いた。宗教対立は根深く、武装した民兵らの衝突もいまだに起きている。
レバノンの首都ベイルート在住のHoury氏は「レバノンで真の和解がなされたわけではない。シリア国内は分断され、レバノンで起きたことと同じような状況にある」と語った。
(Oliver Holmes記者;翻訳 伊藤典子;編集 梅川崇)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE94E04O20130515?sp=true
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