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理化学研究所の丹羽仁史プロジェクトリーダーらは7日、都内で記者会見し、STAP細胞が本当に存在するかどうかを検証する方法の詳細を説明した。同氏は不正があったとされる小保方晴子研究ユニットリーダーらの論文の共同執筆者。論文で示された手法にはとらわれずに、より厳密な実験を目指すというが、1年の期限内に真実に迫れる保証はない。
「(STAP細胞作製を)再現できると信じて実験するわけではない」「再現できなかったとき、(STAP細胞が存在しないと)どのように説明するかは極めて困難だ」――。会見に同席した、検証作業の総括責任者を務める相沢慎一研究ユニットリーダーの言葉は歯切れが悪かった。
丹羽氏は既に新たなSTAP細胞の作製を試み始めているが、仮に存在してもそう簡単には作れそうもないと実感しているという。例えば生まれて1週間の若いマウスから素早く脾臓(ひぞう)を取り出し、血液細胞の一種であるリンパ球をより分けるなどの作業は熟練を要する。必要な数のマウスをそろえるのも大変だ。
こうした作業がうまくいったとしても、STAP細胞の存在の有無を明らかにするハードルは高い。大きくは(1)成長して特定の機能を持つに至った細胞(分化細胞)が、酸などの刺激で受精卵に近い状態に戻る(初期化する)(2)初期化した細胞が様々な細胞や組織に育つ能力(多能性)を持つ――の2点の確認が必要になる。
小保方氏らの論文にあるように分化したリンパ球細胞からSTAP細胞が得られるかは、ゲノム(全遺伝情報)に残る痕跡からわかる。T細胞受容体遺伝子再構成(TCR)と呼ぶリンパ球に独特の目印を追いかける。STAP細胞の塊、それを胚に入れて育てたキメラ胚、培養条件を工夫して増殖能力を持たせたSTAP幹細胞のすべてで目印の検出を目指す。
ただ、丹羽氏によると論文の方法でSTAP細胞を作っても、できた細胞の塊はリンパ球以外から変わったものも多く混ざってしまう。キメラ胚を作ってもTCRを検出しにくく、決定的な証拠は得にくいとみられる。
そこで、論文とは別の厳密な方法を試す。まさに「ゼロ」からのスタートになるが、丹羽氏らはむしろ、こちらに力を入れたい考えだ。もとの細胞に刺激を与える方法は論文のもう一人の共同執筆者チャールズ・バカンティ米ハーバード大学教授が提唱する、細い管を通して物理的に刺激する実験も並行して進める。
具体的にはまず、肝臓の細胞だけが蛍光を発する特殊なマウスを作る。蛍光を頼りに肝臓を取り出し、これを一つ一つの肝細胞にばらして酸などによる刺激を与え、STAP細胞化を目指す。できた細胞を別のマウスの胚に入れ、キメラ胚にして全身が光るかどうかを確認する。
この方法なら、もとの細胞の出どころが肝臓であるとはっきりしており余計なものが混ざりにくい。蛍光のデータをもとに、分化した肝臓の細胞からSTAP細胞を作ったと証明できる。
さらに、キメラ胚の全身が光れば、体を構成する様々な細胞に成長する多能性も示せる。肝臓のほか心筋だけが光るマウスなども既に開発されており、確実な技術だ。iPS細胞の多能性の確認などでも、この手法が使われたという。
STAP細胞そのものは増殖する能力が低く、すぐに死んでしまう。詳しい性質を調べたり利用法を検討したりするには、論文にもあるように、培養液の調整などによって増殖能力を持たせたSTAP幹細胞を作る必要がある。STAP幹細胞からキメラマウスを作り、全身の細胞に育つのを確認できれば、すべてうまくいったことになる。
理研の調査委員会は最終報告で、論文の不正に丹羽氏は関与していなかったとの結論を出した。丹羽氏に対しては再生科学や幹細胞研究者の信頼も厚い。とはいえ、論文の共同執筆者が、様々な疑惑が持ち上がっているSTAP細胞の有無を公正・中立に検証できるのかとの指摘もある。
丹羽氏らはSTAP細胞の存在につながるような結果が出たら、外部に積極的に公表し、追試などの協力を得たいとしている。ただ、小保方氏の論文が撤回されないままでは、他の研究者にとってわざわざ時間を割いて協力しても自身の成果にはならず、メリットはない。
いまのところ小保方氏や、バカンティ教授は論文撤回に難色を示している。この状態が続けば、外部の目も入った徹底的な検証が一層難しくなる可能性もある。(編集委員 安藤淳)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGG0703K_X00C14A4I00000/?dg=1
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