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bloomberg社説
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N15DW36S974001.html
2月17日(ブルームバーグ):米政府が中国の海洋拡張主義を最近のアジアの緊張の原因と考えていることは、米当局者からの最近の一連の発言から明らかだ。一方で、アジアにおける米国の最大の同盟国である日本に対しても同様に、米国は率直に意見すべき時だ。
中国が尖閣諸島(中国名、釣魚島)上空に防空識別圏の設定を宣言して以来、中国に対して強い姿勢で臨むことを日本は米国に求めてきた。米国と日本の間に隙間風が吹く気配など見せれば、中国のさらなる横暴を促すばかりだと警告してきた。米国側も同じ理由から、中国やその他のアジア諸国を刺激するような日本の指導者らの言動に目をつぶってきた。
しかしこのような気配りは逆効果になりつつある。中国が昨年11月に防空識別圏を設定した後、安倍晋三首相はA級戦犯14人を合祀した靖国神社を参拝。さらに、安倍氏が推挙したNHKの経営委員らがあきれ返るほど時代錯誤の発言をしたにもかかわらず、首相は異論も唱えず彼らから距離を置こうともしなかった。このうち1人は1937年の南京大虐殺は起きなかったと発言。もう1人は戦時中の従軍慰安婦問題で日本軍を責めるのはおかしいと言わんばかりの発言をした。そのほか安倍氏とその一党は戦時中の日本の残虐行為を希薄化させるよう、歴史教科書を書き直すことにも取り組んでいる。
これらすべてが諸外国に与える印象について、日本の当局者らは気にかけていないようだ。中国および韓国との関係はほとんどこれ以上悪くなりようがないし、両国で国家主義者が権力の座についている限り改善する可能性は低いと論じている。これ以上日本が融和的な姿勢を取れば中国と韓国が屈辱的要求を際限なく突きつけてくるだけだと、日本側は確信している。
オバマ大統領のアジア訪問
さらに悪いことに、日本は米国から支持を受けて当然と思っているようだ。バイデン米副大統領が事前に自制を求めていたにもかかわらず、安倍首相は靖国参拝を断行した。非公開の場でのこの対話の内容はその後、戦略的に漏えいされた。恐らく、安倍首相の尊大な態度を白日の下にさらすためだろう。日本の当局者らは裏で、オバマ政権の頼りがいのなさを非難する。日本への支持を少しでも惜しむのは米外交の軟弱さの表れだと見なしている。
米国は反論すべきだ。それも通常より強い言葉で切り返すべきだ。4月のオバマ大領のアジア訪問は、中国政府の外交的冒険主義を容認しないことをあらためて表明する良い機会であると同時に、安倍首相の挑発がアジアの安定を脅かし、日米同盟に害を及ぼしていることをはっきりと伝えるチャンスだ。
これで考えを変える安倍氏の側近は多くないだろうが、大方の日本人は米国の不興をこうむることに対して敏感だ。ある世論調査によれば、安倍首相は靖国参拝への批判的な反応に配慮すべきだと70%近くの日本人が考えていた。安倍首相は過去に、国家主義的な野心に気を取られてか経済がお留守になり、辞任する羽目になっている。国内から圧力をかけ続けることが重要だ。
国際社会からの善意
経済を再生させて開かれた社会にし、自衛隊を通常の軍隊にして日本をもっと強い国にしようという安倍首相の方向は、必ずしも間違ってはいない。軍事力を持った日本は、海賊行為防止のパトロールや平和維持活動、同盟国の防衛を通して世界と地域の安定にもっと貢献できるだろう。中国と韓国の神経を逆なですることは、これらの目的を達成しようとする足を引っ張る。
それは域内で紛争が起きる可能性を高めるだけだ。安倍首相の行動や発言が中国の冒険主義ほどは危険でないというのは、ここでの論点ではない。日本が何十年もかけて築いてきた責任ある民主国家として受ける国際社会からの善意を、安倍首相は理由もなく損ないつつある。首相が自分でそれに気づかないのなら、米国そして日本国民が分からせてあげられるだろう。
原題:Japan Leaders’ Nationalist Blunders Call for U.S. Rebuke:View(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Top Editors News top_editors@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:David Shipley djshipley@bloomberg.net
更新日時: 2014/02/19 07:31 JST
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