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国のトップとして”有言実行”といったところか。
安倍晋三首相が与党内、さらに米国の反対を押し切り、首相在任中の靖国神社参拝を決行した。そして懸念されていた通り、中国、韓国は猛反発し、亀裂はいっそう広がった。もちろん、安倍首相としては織り込み済みだろう。
「対話のドアはつねにオープンだ」
安倍晋三首相は今まで、何度このフレーズを口にしてきただろうか。悪化の一途をたどる中国、韓国との関係について語るときは、必ずと言っていいほど飛び出してきた。まるで「日本は柔軟に対応するので、もっと歩み寄ってほしい」と言わんばかりだが、これが単なるポーズで、本人にそのつもりはまったくないというのが、永田町の定説だ。
つまり、日中、日韓関係が好転する気配など、どこにもないということだ。両国に縁のある日本企業は多いが、安倍首相のポーズに惑わされずに早く対策を練らないと、思わぬ憂き目に遭うかもしれない。
「余計なことをするな」
まだ表に出ていない、こんなエピソードがある。11月7日、韓国・ソウルで開かれた、日中韓の外務次官級協議。杉山晋輔外務審議官が、旧知の間柄である朴槿恵・韓国大統領の側近と会い、首脳会談の実施に向けて地ならしを試みた。ところが帰国後、安倍首相側近の政府高官に結果を説明すると「余計なことをするな」と怒鳴られたという。確かに杉山氏は、事前に官邸サイドの指示を仰いでいなかった。スタンドプレーに走ったそしりは免れない。ただ、この一件で「中韓両国に対話の糸口すらつかませない」という安倍政権の隠された意図を感じ取った外務省は、事実上、さじを投げてしまったらしい。
さらに安倍首相の“暴走”は続く。ここにきて、中国に進出している日本企業の幹部に対し、首相周辺がハッキリと「撤収」を促し始めたのだ。今後、韓国は経済危機によって日本に頭を下げてくるかもしれないが、中国との冷戦状態は間違いなく長期化する――。そんな予測を披露しているという。つまり、日中関係を改善する意欲がないと、公言しているも同然なのだ。
もっとも、尖閣諸島の国有化と前後するように、反日感情の高まりに悩む日本企業が中国から脱出するケースは増えている。ヤマダ電機は南京と天津、三越伊勢丹は遼寧省の店舗を閉鎖。無印良品や紳士服の青山、ワコールは、中国における生産比率を下げた。ほかにも楽天などが、中国での事業縮小を決断している。もちろん労働コストの高騰、中国市場バブルに対するリスク回避、といった理由もあるが、ある会社の役員は「撤退の決定打になったのは現地の冷たい目」と明言する。
しかし、こうした“脱中国”は、大企業だからできることでもある。今や中国に進出している日本企業は3万社に上るが、うち3分の2程度は中小企業が占めているとされる。
「撤退しようとすれば、中国側から設備を含めた全資産を譲渡するよう求められるし、現地従業員に対する経済補償金、つまり割り増しされた退職金を支払う必要もあります。ただリストラの可能性が浮上しただけでも、経営陣が軟禁されてしまうケースは珍しくない。中小企業には、そんなリスクを乗り越えられるだけの体力も胆力もありません。日本では最近、そうした企業に向け、中国から離れるテクニックを指南するセミナーが盛況になっているほどです」(日本の総合商社幹部)。
侮れない、「野中・小沢」勢力の動き
尖閣諸島で繰り返される領海侵犯、防空識別圏の設定など、中国が打ち出す対日侵攻策はエスカレートするばかりだ。日本国内における嫌中国、嫌韓国感情は膨らむ一方で、週刊誌や夕刊タブロイド紙では、売り上げ部数を伸ばそうと、中韓たたきが過熱している。あるベテラン政治ジャーナリストには、「何でもいいから中韓を批判できるネタがほしい」「永田町の話題ではなく、少しでも中韓を絡めたコラムを書いてくれ」という無茶な注文がひっきりなしに届いているという。安倍首相は、こうした世論を感じ取り、政権を安定させるために、わざと中国、韓国との関係改善を先延ばししているのではないか――。与野党問わず、そうとらえている国会議員は多い。さらに水面下では、中韓関係をエサにするかのように、激しい政治闘争が繰り広げられている。
「かつて『悪魔』と罵倒した政敵と、再び手を結ぶのか」
首相官邸スタッフはこう語り、自民党大物OBに気をもむ。意外かもしれないが、それは「脱原発」を訴え、国民の耳目を集める小泉純一郎元首相ではない。かつて「影の総理」と称されるほど絶大な権勢を振るった、野中広務元官房長官だ。官邸による警戒の強さは、小泉氏と同等か、それ以上に強いと言っても過言ではない。
「小沢一郎・生活の党代表のブレーンである平野貞夫元参院議員に、野中氏が接触している」
官邸サイドが初めて、小沢氏周辺からそんな情報を入手したのは9月中旬だったという。「やはり安倍内閣の外交が行き詰まった。これを火種にして、何とか安倍を引きずり下ろす手はないか」。漏れ伝わる会話からは、内閣を退陣に追い込む“共闘プラン”を探っていることがうかがえる。そのため、彼らの動向を注視せざるをえないようだ。
とはいえ、野中氏は引退から10年。政界への影響力はそうとう薄らいでいる。小沢氏も今や弱小政党のトップで、次期衆院選に出馬しない可能性がささやかれるほどだ。自民党閣僚経験者の言葉を借りるなら、2人とも「終わった政治家」である。一方、安倍内閣の支持率は、特定秘密保護法案の採決強行で大きく落ち込んだものの、アベノミクスへの期待や東京五輪の招致成功などによる“貯金”が大きく、いまだ堅調。弱小の「野中・小沢同盟」を気に留める必要など、まったくなさそうに見える。
ところが、そうタカをくくれない背景がある。野中氏のバックには、自民党内で冷や飯を食らっている、リベラル派議員が控えている。さらに、内閣改造や党役員交代が先送りされ、政権運営に対して党内が抱く不満の“ガス抜き”として使えるはずの人事も滞留している。
反・安倍勢力の足音
今や自民党は「安倍一強時代」と揶揄されるほど、一色に染まってしまった。麻生太郎副総理や石破茂自民党幹事長も、「出るクイは打たれる」より「長いモノには巻かれろ」とばかりに鳴りを潜めてはいるが、安倍首相の後継を狙う意欲を周辺ににじませている。そうすると、まるで向かうところ敵なしのように見える安倍首相だが、現体制が自民党内に抱える“不安要素”は驚くほど多いことがわかる。野中氏と党内リベラル派に触発される形で、倒閣運動が首をもたげる可能性がくすぶる。そこに、いくら落ちぶれたといはいえ、百戦錬磨の小沢氏がかかわったら――。
こうした動きを気味悪がったためか、官邸は親中・親韓議員から“権益”を奪おうと躍起になっている。象徴的な例が、10月15日に衆院予算委員長のポストに“飛ばされた”と目される二階俊博衆院議員だ。
「あれだけスピーチの練習をしていくのであれば、中国や韓国に対してもスピーチを練習したらどうか。五輪招致のために努力した情熱の半分でもいいから、いろいろ努力すべきだ」
二階氏は9月11日、五輪に血道をあげる首相にこう注文をつけ、官邸サイドと鋭く対立した。これをきっかけに、二階氏の人事が敢行された、という観測が、自民党内で飛び交っている。
衆院予算委員長は「国会の司令塔」と評されるほど、国会運営のカギを握る重要な立場だ。しかし、二階氏が適任かどうかと問われれば、首をかしげてしまう。
自他ともに認める「建設族のドン」である二階氏は、総額200兆円もかけて国内のインフラを整備する「国土強靭化計画」の旗振り役である。公共事業の受注を狙って近づいてくる関係者は少なくないはずで、そこに莫大な利権が発生することも想像に難くない。
安倍官邸は、そんな二階氏を国土強靭化計画から遠いポジションに置いた。畑違いの役職に“封じ込めた”とみるのが自然だ。かつて、野中氏と小沢氏、二階氏は、今でこそ袂を分かったが、自民党と旧自由党による連立政権では中核にいた。そして何より、中国とパイプを持つという点も共通するのである。
実力者である二階氏の処遇に、親中派コネクションの決起を恐れる首相の姿がちらつく。そもそも、本気で中国や韓国と折衝したいなら、二階氏をパージする必要はないのだ。
世間に迎合するだけでなく、「わが世の春」を確固たるものにするために、中国、韓国との関係改善を放置しているとするなら――。隣国とのビジネスで苦心惨憺する日本企業にとって、これほど空しいことはない。
http://toyokeizai.net/articles/-/27336
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