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安倍のやりたい放題が止まらない。多分、戦後政治の中で、これほどまでに凄まじい極右路線をひた走る政権は初めてだろう。その意味では、歴史に残る総理大臣である。この国をひん曲げた政治家として…。
「特定秘密保護法案」のゴリ押しの派手さばかりが目につくが、ほかにも凄まじい極右政策のオンパレードだ。ざっと挙げてみよう。
◎日本版NSC(国家安全保障会議)の設置、
◎北岡伸一元東大教授ら自分に近しい人たちを“有識者懇談会”や“私的諮問会議”に登用しやたらと右翼的な政策提言をさせる手法
◎NHK経営委員へのお友達の任命(報道への政治介入)
◎教科書への政府見解の記述強制(教育への政治介入)
◎集団的自衛権の行使容認へ(解釈改憲への道)
◎「積極的平和主義」という名の軍拡路線
◎沖縄米軍普天間飛行場の辺野古移設の強行(自民党沖縄県連への恫喝)
◎TPP(環太平洋経済協定)交渉の秘密進行
◎災害復興に名を借りた公共事業への予算投入(土木国家再来)
◎武器輸出3原則のなし崩し的解禁
◎原発事故「完全にコントロール」ウソ発言
◎原発輸出と、原発再稼働への動き
…などなど、数え上げればきりがない。まさに、戦前回帰へひた走る安倍内閣である。こんな内閣、ほんとうに見たことがない。これが安倍の言う「戦後レジームからの脱却(=戦前回帰)」路線である。
安倍の政策志向は、まるでこの国を、自由にものが言えなかった国家抑圧体制の戦前へ引き戻そうとしているかのようだ。新聞紙条例も治安維持法も、最初は「言論の自由は保障する」と政府は言っていたのだ。だが、それがいつの間にか“自由弾圧法”として機能し、多くの人たちを逮捕拘留したことは周知の事実だ。中には作家小林多喜二のように、拷問で命を奪われた人だってかなりの数にのぼる。
しかもそんな戦前回帰政策を実現するための安倍の手法は、まったく許されざるものだ。例えば、東京新聞(11月19日)こちら特報部の見出しだけを拾ってみると、こうだ。
NHK経営委員に首相「お友達」続々
狙いは会長交代!?
報道の中立めぐり深い因縁
露骨な人事支配
日銀総裁、法制局長官…「聖域」も次々
政治任用「まるで独裁国家」…
前にも書いたけれど、自分に近しい人物をどんどん登用して、今までの歯止めを取っ払う。首相が好き勝手をやり放題…という現状では、「まるで独裁国家」と指摘されても仕方ない。
誰も口出しできない“裸の王様”状態になりつつある。裸のまんまだと、もうじき風邪をひくぜ!
閑話休題(それはともかく)、安倍は高い内閣支持率に鼻高々、今年9月、訪問先のアメリカでの講演では「私を右翼と呼びたければ、どうぞお呼びいただきたい」と開き直る始末。自らを“右翼”と認識しているわけだ。これまでに、「自分は右翼と呼ばれてもかまわない」などと口走った首相が果たしていただろうか?
もっとも、この講演はアメリカでも右寄りのシンクタンク、ハドソン研究所主催だったから、仲間内での気楽な放言だったらしい。それにしても、もはや度し難い。
だが、ほんとうのところ、アメリカは、安倍のことをいったいどう思っているのだろうか。
知人のジャーナリストや研究者は、「アメリカ政府は安倍首相のことを、かなり警戒している。特に彼の歴史認識については、苦々しく思っている政権幹部も多い」と言っている。
オバマ大統領は基本的にリベラル志向の政治家だとされている。オバマ大統領がなかなか安倍と会おうとしないのは、安倍の右派路線を嫌悪しているからだ、というのだ。
必死になって「同盟国アメリカのための政策」を掲げる安倍内閣だが、それはまったくの空回り。
少し前(11月9日)の毎日新聞コラム「昭和史のかたち」に、作家の保坂正康さんが次のように書いていた。少し長くなるが引用させてもらおう。
[米2閣僚の千鳥ヶ淵墓苑献花]
安倍史観に強い怒り(略)今年の「公」のトップニュースは、10月3日午前にジョン・ケリー米国長官とチャック・ヘーゲル国防長官が連れ添って、東京・千鳥ヶ淵戦没者墓苑を訪れ、献花、黙とうをささげたことである。(略)
アメリカ政府は、安倍晋三首相の歴史観に強い怒りを示していることがわかった。8月にあるアメリカ人記者の取材を受けた折に、アメリカ国内の共和党の保守派が、安倍首相の歴史観に不信感を持っていると聞いていたのである。
「侵略に学問上の定義はない」といった発言は、第二次大戦の根幹(アメリカにとっての民主主義を守る戦い)に対する挑戦の意味を含んでいるかのように受け止められたのだろう。加えて安倍首相が、こういう保守派の怒りを買ったのは、5月のアメリカ訪問時に、メディアのインタビューで、「日本の靖国神社はアメリカのアーリントン墓地と同じ」といった意味の発言を行ったことだ。この発言はアメリカ政府をはじめ、アメリカ国民を怒らせた。
なぜならアーリントン墓地は、アメリカのために戦った兵士たちを宗教・民族に関係なく追悼する施設だし、敗者への慰霊も含まれている。それに反して靖国神社は宗教的・政治的であると同時に、なによりA級戦犯の刑死者も祭礼の対象になっている。安倍首相は我々をバカにしているのではないか、アーリントン墓地を侮辱しているのではないか、との声が起っても当然であろう。
(筆者注・小泉純一郎内閣時代にも、在米日本大使館が靖国神社について「アーリントン墓地と同じ」と説明して米高官たちを激高させたという事例に触れて)つまり当時、小泉内閣の官房副長官だった安倍首相は、そういう国務省高官たちの怒りを知らないか、無視してか「靖国神社=アーリントン墓地」を口にしていたことになる。国務と国防の二人の主要閣僚が示した千鳥ヶ淵への献花は、単なる「現在」のニュースではない。長年のアメリカ政府の怒りが、正面切って我々の前に示されたことになる。(略)
安倍首相の歴史観は、一皮むけば昭和史を片面でしか見ていないという意味になる。(略)
この靖国問題に凝縮されているように、安倍の歴史観は、いまやアメリカ政府に限らず、アメリカのマスメディアなどにも問題視されている。保守派からさえ怒りを買っているのだ、一応リベラル志向のオバマ民主党政権が、安倍を快く思っているはずもない。
安倍や石破幹事長がしきりに吠え立てる「集団的自衛権行使容認」にしても、別にアメリカが要請したものではないという。
軍事評論家の田岡俊次さんに訊いたところでは、
「そんなもの、アメリカにはいい迷惑。それよりも、まず中国との関係改善を図るのが、アメリカにとっての国益なんだから、集団的自衛権などを振りかざして隣国と緊張関係を高めるのは、実にアメリカにとっては迷惑でしかないんですよ」ということだった。
むろん、安倍の母方の祖父・岸信介元首相が「A級戦犯容疑」で、巣鴨プリズンに収容されていた事実を、アメリカ現政府が知らないわけがない。その祖父の汚名を雪ぐために靖国神社に執着することと、現実の国際情勢の中で、いびつな歴史観に固執することはまったく違うと、アメリカ政府やマスメディアは見ているのだろう。
いよいよ、特定秘密保護法案が危ないところまで来てしまった。どの調査を見ても、この法案に対しては、賛成は少なく、反対や疑問の声のほうがかなり上回っている。それでも、安倍自民党は強行突破の姿勢を崩さない。
みんなの党が、どんな餌をちらつかされたのかは知らないが、危険極まりないこの法案の修正に応じて妥協し、賛成に回る様子。
僕はこのコラムで、多くの回数を原発問題に費やしてきたけれど、もしこの悪法が成立してしまえば、僕が知人のジャーナリストや研究者、作家、評論家などのみなさんなどから、様々なルートで得ていた程度の情報でさえ、取扱いにかなりの注意が必要になるかもしれない。
その意味で、僕も含め、個人のブログや市民ネット放送までもが危険に晒される可能性は高い。何しろ「何が秘密なのかは秘密だ」と安倍政権は言うのだから、どこでどう“難癖”をつけられて、警察のご厄介にならないとも限らないのだ。
たくさんの「秘密保護法反対」の集会やデモが行われているし、これからも開催される。何はともあれ、僕はできる限り参加する。そして、市民ネット放送やウェブマガジン、さらに雑誌などの紙面でも、できる限りの反対の声を上げていくつもりだ。
息苦しい世に、生きたくはない。
http://www.magazine9.jp/article/osanpo/9426/
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