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宇都宮健児君、立候補はおやめなさい。 13〜15 「澤藤統一郎の憲法日記」
http://www.asyura2.com/13/senkyo158/msg/870.html
投稿者 AAA+ 日時 2014 年 1 月 05 日 06:50:45: HRvoVvuTAqkVc
 


澤藤統一郎の憲法日記

http://article9.jp/wordpress/


宇都宮健児君、立候補はおやめなさい。

<リンク>

      その1〜その10                   http://www.asyura2.com/13/senkyo158/msg/712.html 
  
      その11、その12
       http://www.asyura2.com/13/senkyo158/msg/768.html
 


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宇都宮健児君、立候補はおやめなさいーその13


正月。天気晴朗にして風が心地よい。海岸で凧揚げに興じた。中国・浙江省の製で大型のトビの形。青い空を背景に、翼を広げ風を切ってのびのびと宙を舞う、その姿がすがすがしい。今年、かくありたいものと思う。

さて、正月らしく、原則に戻ってものを考えてみたい。

宇都宮選対の一連の事件は、徹頭徹尾民主主義の問題なのだ。
事件の発端が問答無用の私の息子の任務外し。ここから始まった事件の結末が問答無用の私の解任劇。宇都宮君がどのようにとり繕おうとも、この事実は動かしがたい。いずれも問答無用で、うるさい組織への批判者を切って捨てたものだ。これが、宇都宮君とその選対の手口。これは、民主主義の許さざるところ。民主主義を大切に思う人なら、到底この事態を看過しえない。宇都宮君を革新陣営の共闘候補としてふさわしいとは、よもや考えまい。

民主主義とは、成員の話し合いに基づいて組織や集団の意思決定をする手続きだ。面倒ではあっても、話し合いが尽くされて後に初めて集団の方針が定まる。だから、民主主義社会においては、話し合いのための発言の自由が全成員に保障されなければならない。とりわけ、権限や権威を持つ者への批判の発言が保障されなければならない。うるさい批判者を組織から排除するなどは、民主主義を破壊する手口と指弾されなければならない。宇都宮君と宇都宮選対がやったことは、まさに民主主義破壊の行為なのだ。

民主主義成立の基礎となる話し合いを成立させることは、成員に自由な発言の権利を人権として認めることでもある。だから、民主主義社会においては、「言論の自由」が常に人権のカタログの筆頭に上げられる。宇都宮君と宇都宮選対は、この「言論の自由」を封殺したのだ。このような人物が、都知事選の候補者としてふさわしくないことは、自明ではないか。

宇都宮選対は、市民に開かれた市民選対を自称していた。閉鎖された部分社会ではなく、市民社会の共通ルールが妥当しなければならない。ここでは、民主主義も人権も、花開かなければならない。いわば、宇都宮君が当選した暁に実現すべき社会のモデルを、実験的に社会に示しているのだ。その選対の現実が、民主主義の破壊だった。宇都宮陣営の選挙公約である「四つの柱」は実に立派なものだ。しかし、宇都宮君と宇都宮選対は、この公約とは無縁な実態をさらけ出した。到底、再度の都知事選候補者たりえない。

宇都宮選対は、広くすべての市民に開かれたボランティア組織として出発したはず。「四つの柱」に賛同する市民が、その自発性に基づいて参加している。すべての参加者に、民主主義社会の原則のとおりに、対等平等な立ち場が保障されなければならない。ここには、支配・被支配、命令・服従、上意下達の関係はあり得ない。つまりは、権力という怪物が出て来る幕は本来的にないはずのだ。ところが、自分を権力者と錯覚した選対本部長や選対事務局長が、本来はあり得ない権力を振りかざした。ボランティア活動者に任務からの排除を「命令」したのだ。宇都宮君やその取り巻きはこれを是認した。宇都宮君も宇都宮選対も、民主主義の原則を弁えた行動をとることができなかった。市民選挙の主宰者としてふさわしくない。そのような人物を都知事選の候補者として認めることはできない。

宇都宮選対の選対本部長と事務局長とは、対等な一選挙運動参加者として振る舞わずに、「小さな権力者」として振る舞った。これがそもそもの間違いなのだ。わたしは、民主々義と権力の問題を考え続けてきた。民主々義は、所与の権力をコントロールする技術として語られることがあるが、けっしてそれにとどまらない。民主々義の手続原理は権力の存在を前提とせず、複数人間が共通の行動を決定するに際しての普遍的な原理として尊重されなければならない。そして、権力を形成する際には民主々義が最も有効に働かなければならない。平等な成員からの明示的な権力形成についての合意と、特定の者への権力の負託が必要なのだ。それなくして、権力の形成はあり得ない。

自律的な発意によって市民選対に参加した者が、選対本部長や事務局長に、明示的に権力を負託したなどということはありえない。役割の分担はあっても、あくまで提案と納得の関係でしかなく、問答無用の命令の権限などあるはずがない。選対本部長と事務局長の「権力」「命令権限」は、愚かな錯覚に過ぎない。

錯覚であろうとも、無法な実力に過ぎないものであろうとも、振りかざされた「小さな権力」に対しては、格別の批判の言論の権利が保障されなければならない。成員の「権力」に対する批判は、成員相互間の意見交換の自由とは別の次元の重要性を持ったものとして、意識的にその権利保障がなされなければならない。宇都宮君と宇都宮選対には、この理がわからない。「小さな権力」の横暴を許して、これに対する批判の言論を封殺したのだ。

「小さな権力」に対する批判が意識的に必要だという理由は二つある。一つは、批判を受けない権力は往々にして間違う。批判を受けない権力は間違いを是正できない。組織が、可及的に正しい方針を決定するためには「権力」に対する批判が不可欠なのだ。

もう一つは、成員の権力者批判は事実上困難だからだ。権力を持つ者が、ドスのきいた声で「おまえには批判の自由があるぞ。さあ、言ってみろ」と言われても、批判の発言ができるはずはない。権力を持つ者は、意識的に成員の批判に寛容でなくてはならない。これが、民主々義の大原則。

にもかかわらず、批判者を問答無用で切って捨てるこの宇都宮君や選対のやり方は、民主主義の原則を蹂躙することこの上ない。正確には、むちゃくちゃと言うほかはない。彼がしたことは、取り返しのつかない、言論封殺という、民主主義圧殺行為なのだ。

だから、もしあなたが「民主主義は大切だ」「民主主義は擁護に値する手続き原則だ」と思われるのなら、宇都宮君を支持してはならない。反対に、もしあなたが「民主主義のようなまだるっこい手続きは犬に食われてしまえ」「権力を批判する言論の自由なんぞを認めてしまっては、決められる政治が成り立たない」と言う立場であれば、話は別だ。宇都宮君を支持するがよかろう。

私たちは、保守陣営の言論封殺には血相を変えて批判をする。しかし、身内の言論封殺には甘くはないか。身近な集団における「小さな権力」の批判には臆病ではないだろうか。とりわけ、美辞麗句で持ち上げられた、「民主陣営」内の候補者について、批判をはばかる風潮がないだろうか。このダブルスタンダードは、結局のところ、より大きな権力に対する批判の矛先を鈍らせてしまう。

あなたも試されている。宇都宮君を推すことは、民主主義者の本来よくするところではない。日本国憲法を擁護する立ち場の人が、宇都宮君を推薦することはできない。宇都宮君は、よくよく反省の上、立候補をおやめになるがよかろう。

(2014年1月2日)


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宇都宮健児君、立候補はおやめなさいーその14


のんびりと正月休みを楽しんでいるさなかに、複数の記者が我が家を訪ねてきた。私が携わっている「日の丸・君が代」問題や、消費者訴訟、医療過誤事件、あるいは改憲問題についての取材であれば喜んで時間を割きたいところ。が、都知事選についての取材ということで、お断りした。記者の熱意には頭が下がるが、都知事選について、ここしばらくは取材を受けるつもりはない。

私は、必要と考えた情報は、すべてこのブログに公表する。このブログに出ていない情報を個別の取材に応じて明らかにすることはない。少なくとも、今の時点ではその原則を貫く。だから記者さん、お越しいただいても電話をいただいても、このブログの内容以上に、お答えすることはございません。もし、記事を書かれるなら、ブログに記載の内容をできるだけ正確に引用していただくようにお願いします。

私は、原則として、宇都宮君再立候補問題については、このブログだけで発言をするが、唯一の例外が、1月19日午後1時30分からの「活憲左派集会」(文京シビックセンター3階会議室A)での10分間の特別発言。なお、当初は15分の予定だったが、吉田万三さんの発言も並ぶこととなって、私の持ち時間は10分間となった。私も万三さんも、質疑は受けつけないという事前のお約束。

マスコミの取材は受けないと決めた理由について、少し触れておきたい。

随行員としての任務外し事件のあと、私の息子・大河から上原公子選対本部長宛に、事件の経過の確認を求める「求釈明書」が何通か発信されている。その文中に、「一寸の虫にも五分の魂がある」というくだりがある。私はそれを読んで、誰を敵にまわそうとも、息子の側に立つことを決意した。

五分の魂を踏みにじられたとき、泣き寝入りしてはならない。人間の尊厳をかけて、叫び声をあげなければならない。また、傍観していてもならない。ましてや、それが自分の家族であればなおさらのこと。加害者が、国家権力であろうと、安倍自民であろうと、石原・猪瀬都政であろうと、ブラック企業であろうと、またブラック選対であろうとも、である。

私は、本件を「私怨・私憤」に過ぎないという見解や、「大所高所・大局」に立つべきだという、世に溢れる俗論を絶対に承服しない。それは、弱者に泣き寝入りを強いる強者の論理であり、いじめの被害者にすべての責任を転嫁するいじめる側の論理である。加害者と傍観者を、ともに免責し正当化する論理でもあるのだから。

しかし、国家権力や、ブラック企業を相手に声を上げる場合と、宇都宮選対を相手にする場合とでは、闘い方の違いはあろう。被害があったときには、多くの人に訴えかけて、加害者を糾弾する行動に立ち上がる仲間を作ることが闘いかたの基本だ。しかし、宇都宮君と宇都宮選対に対する「宣戦布告」では、単純にそうであってよいのかという問題の微妙さを意識せざるを得ない。私は、「たった1人の闘い」「筆1本(ブログだけを手段とした)だけの闘い」を決意した。この闘いに味方を募って誰をも巻き込むことをしない。闘う相手を拡げない。これを原則として大切にしたい。

だから、慎重に筆を自制したブログでの発信が、闘う手段として適当だと考えている。記者に挑発されて、うっかりと、「誰をも巻き込まない」「闘う相手を拡げない」原則を自ら破ることを恐れている。よほどの事情の変更がない限り、ブログ以外の場で、この件を語ることはない。

私を取材に訪れた記者は、当然に宇都宮君や選対関係者にも取材するだろう。私のブログもよくお読みいただき、是非、正確なよい記事を書いていただきたいと思う。

ところで、宇都宮君の方は、積極的に取材に応じているようだ。ネットで検索をしていたら、IWJの岩上安身さんが宇都宮君の立候補に関連したインタビューをしていることを知った。岩上安身さんは、そこで私のブログでの選対の選挙違反指摘を意識した質問をしている。要約として、次のようなやり取りがあったということだ。IWJのオフィシャルなテープ起こしではないようだが、複数のブログに掲載されているので、おそらくはほぼ正確なものと思う。

「問:熊谷さんの件について。有給休暇が取れるはずがないのに、実際取っていたのか?
答:本人に聞かないと分からないが、彼は仕事も一部やりながら、昼間は選挙運動、選挙始まるまでは、政治運動をやっていた。少なくても言われている様な事はない。彼は、仕事もちゃんとこなしながら、有給も使いながらやっていた。
「問:上原さんの件について。無給(ボランティア)でやるのが選挙であるが、上原さんにお金が支払われていた事が確認できる。これが公選法違反にあたるのではないか。
答:この点は実際に選対本部長をやられていて、その間の交通費などの実費の補填はしていたと聞いている。金額にして10万円。労務費になっていたが、収支報告書の訂正をする。
問:労務費は適正では無かったと。それは修正すると。
答:公選法違反については、公選法専門の弁護士団の公式見解をまとめて、来週の6日には発表出来る。そういう対応をしている。」

このインタビュー記事を見る限り、宇都宮君は私の指摘を無視せずに、何らかの対応が必要だという認識には至っているようだ。それは良しとして、次のことを指摘しておきたい。

「選挙運動収支報告書の訂正」をせざるを得なくなっている事態の深刻さの認識が決定的に不足しているのではないか。候補者が、自分の選対の公的な収支報告書の記載の不備を認めて訂正せざるを得ないと言っているのだ。そのみっともなさを自覚しなければならない。「訂正すればいいんだろう」「自分がやったことではない」という彼の姿勢が、遵法精神と責任感の欠如をよく表している。

実は、この問題は本来訂正になじむものではない。住所の記載の誤記訂正や、数字の書き間違いの訂正などとは自ずから異なる。上原公子選対本部長も服部泉出納責任者も、「選挙報酬として」と明記した自署押印のある領収証を作成して、各10万円を受けとっている。選挙収支報告書に、「選挙報酬として」と書けば、あまりに露骨な選挙違反(運動員買収)に当たるので、「労務者報酬」と記載したのだ。このカムフラージュは悪質と言わねばならない。指摘されて、書き直せば問題ないという感覚が、さらなる批判の対象となるだろう。

この選挙運動費用収支報告書には、平成24年12月28日付けで、「この報告書は公職選挙法の規定に従って作成したものであって、真実に相違ありません」という「出納責任者服部泉」の署名押印がある。訂正となれば、その責任が問われることになる。

書き直すとして、いったいどう書き直そうというのだろうか。支出区分を「選挙運動」として報酬を受けている者は29人にのぼる。そのすべてを書き直そうというのか。一部だけなのか。添付の領収証は間違ったものとして廃棄しようというのか。本来添付が必要な新規の領収証はどうしようというのか。

さらに、本当に実費分の支払いならよいのかという問題がある。宇都宮選挙には多くのボランティアが参加した。そのボランティアは手弁当・交通費その他の実費も自分持ちだった。誰もが、それを当たり前と思っていた。ところが、選挙運動に参加者の中の特定グループの人には、交通費その他の実費の支給がなされていたということなのだ。それで良いのだろうか。選対本部長の廉潔性が問われている。

宇都宮君自身の運動員買収問題や、熊谷事務局長の運動員被買収の問題について、「人にやさしい東京をつくる会」内部で具体的な指摘がなされたのは、選挙後2か月余経った2013年2月28日のこと。それから、10か月を経た時点で、明快な説明をすることができていない。「本人(熊谷事務局長)に聞かないと分からない」「公選法違反については、専門弁護士団の公式見解をまとめて、1月6日には発表出来る」ということなのだ。

私自身が弁護士で選対メンバーの一員として、選対のコンプライアンスに責任がなかったとは言わない。繰り返し申しあげているとおり、自らの不明や無能を恥じいるばかりだ。だが、どのように金が入り、どのように金が使われたか、その収支の管理にはまったくタッチしていない。具体的な報告に接することも皆無だった。選挙運動収支報告書の作成への弁護士の関与はまったくなかった。

改めて関係書類に目を通してみた。私が、上原公子選対本部長の選挙運動報酬受領を知ったのは、2013年4月11日のことである。私は、石原宏高の選挙違反を問題として、その選挙運動収支報告書を閲覧に都選管に足を運び、ついでに宇都宮陣営の報告書も閲覧して驚いた。これが発端。同日開示請求をして4月26日に写しを入手した。関係領収証については、別途6月3日に情報公開請求をして6月17日に開示決定を得、20日にその写しを入手している。

選対本部長が本来もらってはならない選挙報酬を労務者として受領していることは、「人にやさしい東京をつくる会」の代表である中山君には、一再ならず電話で伝えた。そして、中山君にも書類の閲覧を勧めた。もちろん、このことは中山君も知らなかった。同君が実際に収支報告書を閲覧したかどうかは知らない。

具体的に知らなかったとはいえ、私も責任を感じないわけにはいかない。宇都宮君も、候補者として責任を感じなければならない。私は今回選挙に関わらない。宇都宮君、君も立候補はおやめなさい。

(2014年1月3日)


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宇都宮君、立候補はおやめなさいーその15


これまでのブログで、私は具体的理由を挙げて、宇都宮君の候補者としての能力の不足と、「人にやさしくない」体質について述べてきた。宇都宮君の人格を誹謗したり中傷することを目的としてではなく、すべては東京都の有権者に、彼を都知事選の候補者として推薦できるかについて、情報を提供するという観点からの指摘である。宇都宮君の能力の不足も、求められる資質も、あくまで「都知事選の革新共闘の候補者として」求められる水準に照らしてのものである。判断のための、貴重な情報の提供だと信じている。

さらに私は、宇都宮君自身と、宇都宮君が責任をもたざるを得ない宇都宮選対の公選法違反疑惑についても指摘した。口火を切ってから2週間となるが、まだ反論に接していない。漏れ聞こえてくるところでは、宇都宮陣営では「澤藤の指摘の内容は大したことではない」「そもそも澤藤が責任をもつべきことなのに違法行為の指摘は怪しからん」ということのよう。このような対応に、私は、やや焦りを感じる。もう少し、正確に事態の深刻さを認識していただきたい。

私は、当不当のレベルではなく、違法のレベルの問題点として、3件の指摘をしている。具体的に公職選挙法の条文を引用して、犯罪に該当する疑惑があると指摘した。これを「大したことはない」というのだろうか。

まさかとは思うが…、もしかしたら…、「猪瀬の違法疑惑の問題は返還したと言っても5000万円の金銭の授受だった。これに対して、澤藤が指摘した上原公子選対本部長が受領した選挙運動報酬額はわずか10万円。大したことではない」などとお考えではなかろうか。

念のためだが、次の新聞記事をご覧いただきたい。産経の2010年9月11日のもの。見出しは「田村陣営の女性秘書 高知区検が略式起訴 参院選選挙違反」本文は以下のとおりである。

「高知区検は10日、電話で選挙運動した高知大の男子学生(23)に報酬約1万3千円を支払ったとして、7月の参院選高知選挙区で落選した田村公平氏陣営の女性秘書(59)を公選法違反(買収)罪で 高知簡裁に略式起訴した。簡裁は同日、罰金20万円の略式命令を出し、秘書は即日納付した。
 男子学生は同法違反(被買収)容疑で書類送検されたが、区検は違法性が低いとして起訴猶予処分とした。
 区検などによると、田村氏の陣営は選挙運動のアルバイト求人を高知大に出し、男子学生は求人票をみて応募したという。」

舞台は前々回の参院選。運動員買収罪で有罪となったのは、自民党現職で落選した候補者の秘書。買収金として渡した金額は1万3000円である。それで罰金20万円となった。1万3000円をもらったアルバイト大学生は、送検され、起訴猶予処分となった。起訴猶予処分とは、犯罪成立の嫌疑は十分だが、検察官の裁量で不起訴とすることを指す。警察と検察は、自民党陣営にもかくも厳しい。1万3000円の授受の容疑があれば、有罪となりうるのだ。

問題は、起訴・有罪よりは、強制捜査の恐さである。上記の記事だけでは、どのように捜査があったかはよく分からないが、逮捕者が出ても驚くに値しない。選挙事務所ないしは田村公平元議員の政治事務所に家宅捜索がはいっても少しもおかしくはない。事件と明らかに無関係なものの差押えには抗議するとしても、「不当弾圧だ」と拳を上げる訳にはいかないだろう。ルール違反は、田村陣営の側にあるのだから。

同じことは、本件でも起こりうる。運動員買収罪の被疑者は、おそらく選対事務局長。被買収罪の被疑者は上原さんを含む29人。1万3000円をもらったアルバイト大学生は起訴猶予となったが、上原さんらが起訴猶予で済む保証はない。そして、強制捜査もありうる。宇都宮君の事務所への捜索もありうるのだ。

「大したことはない」では済まされないと認識しなければならない。宇都宮君の立候補を推薦するには、そのようなリスクを引き受ける覚悟が必要なことを知らねばならない。

次は、2010年7月30日の朝日の記事をご覧いただきたい。同じ参院選における民主党野村紘一候補(民主)についての選挙違反記事。これは、宇都宮君自身の違反(容疑)に最も類似した事例。

「11日投開票された参院選の比例区に民主党公認で立候補し、落選した野村紘一容疑者(65)=東京都 渋谷区=らが、経営する不動産会社「アルテカ」(同港区)の社員に選挙運動の報酬を約束したとして、警視庁は28日、野村容疑者と、息子で同社役員の充宏容疑者(29)=同世田谷区=を公選法違反(運動員買収)の疑いで逮捕したと発表した。
 捜査二課によると、野村容疑者らは公示日の6月24日ごろ、アルテカの社員7人に、電話で有権者に 投票を依頼することへの報酬として、通常の給与に相当する額の金を払う約束をした疑いがある。両容疑者は容疑を否認しているという。」

野村紘一氏は、逮捕され、勾留され、起訴され、保釈され、保釈が取り消され…、とたいへんな経験をした挙げ句、一審有罪、二審有罪、最高裁まで争って有罪が確定した。もちろん弁護側にも言い分があった。しかし、懲役2年、執行猶予4年となった。なお、供与を約束された報酬金額は7人合計で70万2664円であった。平均して、ひとり当たり10万円ほど。

おそらく、この記事における犯罪容疑は、解説なしには理解できないのではないだろうか。野村氏は、自分が経営する会社の社員7人を自分の選挙の運動員として動員した。選挙運動をさせるからには、勤務実態を欠くことになって、会社からの給与は支払えない。もし支払えば、給与相当分の支払いが運動員買収金の授受となる。

だから、野村氏は、その7人を欠勤扱いにして、その分の給与の支払いをカットした。これだけなら、7人が敬愛する社長のために無償で選挙運動に参加したという美談がのこるだけで、公選法違反にはならない。

ところが、警察や検察の主張によれば、裏があった。表向きは無給としたが、実は、賃金カット分を補填する約束があったというのだ。「通常の給与に相当する額の金を払う約束をした疑いがある」というのは、そのような意味だ。結局はこの金は支払われなかったが、それでも「約束をした」ことで犯罪が成立する。野村氏は、「選挙運動報酬約束罪」で有罪となった。気の毒なのは7人の社員。約束があったとされた金はもらえず、対向犯としてこちらも犯罪(運動員被買収約束)が成立することになった。が、幸いにして起訴猶予処分となったようだ。命令されていやいややらざるを得ない立ち場であることが斟酌されたと思われる。社長のため、頑張って選挙運動をやるという姿勢で賃金補填の約束をしていたら、起訴されていたかも知れない。

本件では、候補者である宇都宮君が野村紘一氏にあたる。東京市民法律事務所が 不動産会社「アルテカ」、そして法律事務所の事務員さんが「アルテカ」の社員に相当する。そして、野村事件と同様に、東京市民法律事務所の事務員さんが選対に派遣されて選挙運動を行っていた疑惑があるのだ。少なくとも、その外形的な事実は否定し得ない。これが典型的な候補者自身の運動員買収行為なのだ。

はたして、この疑惑を「大したことがない」と、有権者に説明できるだろうか。この疑惑に目をつぶって、政党が宇都宮君を推薦することができるだろうか。

宇都宮君は、都知事になったら徳洲会事件や猪瀬疑惑を追及するという。その言や良しである。共産党以外の都議会各党派は、猪瀬辞任と同時に百条委員会設置を断念した。はたして宇都宮君は、都民の世論を糾合して百条委員会再設置運動の先頭に立てるだろうか。おそらくは、自分の疑惑の火消しに汲々とするしかないことになるだろう。もしかしたら、自分自身の責任追及についての百条委員会の設置を覚悟しなければならない。

「そもそも澤藤が責任をもつべき立ち場であったにかかわらず、違法行為の指摘は怪しからん」というのは、批判者の気持として分からなくはない。しかし、内部告発ないしは公益通報者という者は、そのような批判を覚悟してものを言っている。「だまし討ち」以後、もう仲間内の議論は通じない。なによりも、問題は宇都宮君の公選法違反疑惑それ自体にあるのだ。けっして、その指摘にあるのではない。
だから、宇都宮君、立候補はおやめなさい。

なお、明日は、新たな「疑惑」について、言及したい。

(2014年1月4日)

 

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コメント
 
01. 2014年1月05日 07:09:58 : SrmPqLSMME

「市民」と言う言葉は禁句にするべきだね。キチガイとか馬鹿とか放送禁句で
もって言葉狩りが公然と行われているよぉだが、これに「市民」を加えるべきだ。

  「市民」 より 「国民」

  市民運動 から 国民運動 へ

赤色市民グループが韓国・中国とつながっている。
あやうい日本。


02. 2014年1月05日 07:12:34 : DnGoAieEdw
で、誰がいいの?

03. 2014年1月05日 07:19:29 : SrmPqLSMME

そらりゃキミ、田母神くんが良いこた当たりまぃだろ

共産社民でわ、どもならん


04. 2014年1月05日 10:30:00 : Q1AShcAlNU
2013年12月31日、この件について、iwjの岩上安身氏のインタビューしている。
宇都宮氏と海渡雄一弁護士がはっきりと、謙虚に答えているので、是非ご覧ください。動画の最初の部分です。

http://iwj.co.jp/wj/open/archives/118551


この投稿者の意見を一方的に信じるのでなく、双方の意見を聞いて判断すべき。

(東京都を正常に戻すために、反安倍政権を掲げる知事候補者は宇都宮けんじ氏しかいないと信じる者より)


05. 2014年1月05日 19:19:02 : pazFxSyw6g
それで猪瀬がよかったのか。

猪瀬支持者のどこが民主主義かね。


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