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http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20140104/plt1401041100003-n1.htm
2014.01.04
安倍晋三首相が、夕刊フジの独占インタビューに応じた。政権奪還から1年、アベノミクスは株価と景気を劇的に回復させ、2020年東京五輪の招致成功は、日本人に自信と希望を取り戻させた。一方、中国や北朝鮮の看過できない動きもある。これから日本はどうなるのか。安倍首相は、サラリーマンが最も気になる給与・ボーナスの行方から、国民を守るための外交・安全保障戦略、ソチ冬季五輪とサッカーブラジルW杯の注目選手まで、一気に語った。
──首相再登板から1年、「あっという間」か「やっと1年」か
「人生で一番輝き、かつ試練も与えられるのが20代だ。現在、私は50代後半だが、あの20代があったからこそ今がある。同じように、この1年があって、これからの日本の10年がある。そういう1年だった」
──具体的にいうと
「13年初め、私は当時、傍流だった異次元の金融政策を断行した。すると、デフレ脱却に向けた歯車は回り始めた。TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉への参加も決めた。福島第1原発の汚染水対策で国が前面に出ることを決断した。このほか、消費税増税の決定、国家安全保障会議(NSC)の設置、国家安全保障戦略の策定など、これからの日本の10年、20年を決める、とても意味のある1年だった。特定秘密保護法はもっと丁寧に説明すべきだったと反省している」
──景気回復の裾野は広がっている
「日銀の企業短期経済観測調査(短観)で、中小企業・製造業は6年ぶりにプラスになった。中小企業・非製造業は何と21年10カ月ぶりにプラスになった。大企業・製造業は4四半期連続で改善しているが、ついに中小企業まで明るい兆しが出てきた。全国で給与・ボーナスのアップが実感できるように努力していく。通勤電車で夕刊フジを読んでいる方々の給与が上がる年にしたい(笑)。国民の方々が『昨年より今年は良くなった。来年はもっと良くなる』と思ってもらえるようにする」
──14年4月からの消費税増税の影響は気になる
「5・5兆円の経済対策と1兆円の税制措置を用意している。増税前の駆け込み需要とその反動減が起こらないよう、住宅取得などでも平準化するような政策を準備している。これらはGDP(国内総生産)1%程度の効果がある。7月ごろには成長軌道に戻れるよう万全を期したい」
──安倍首相の外交日程は群を抜いている
「ここ数年、日本のプレゼンスは低下していた。これは国益損失につながりかねず、失地回復が急務だった。私は『地球儀を俯瞰する戦略的外交』を打ち出し、1年間で25カ国を訪問し、電話会談を含めると150回以上の首脳会談を行った。安全保障環境が厳しさを増すなか、強い日米同盟を復活させ、『航行の自由と法の支配』という考え方を共有できる国々と連携を強めた。インフラ輸出などのトップセールスや、エネルギー確保などの経済外交にも取り組んだ」
──東京五輪の招致成功は感動的だった
「客観情勢として、13年初めのころは厳しかった。ところが、次第に国民の支持と熱意が盛り上がってきて、オールジャパンの態勢が出来上がった。私もリスクを取ったが、みんながそれぞれ、持ち場で頑張ってくれた。1人が欠けても成功しなかった。『日本は東日本大震災を通じてスポーツの力を再認識した。日本こそが五輪精神を世界に広げられる』と訴えることができた。日本は本当に素晴らしい。みんなで力を合わせて頑張れば夢は叶うことが実感できた」
──次期東京都知事に期待することは
「今度の都知事は、7年後の東京五輪のホストをしなければならない。高い国際性があって、五輪の準備を完璧にできる能力がなければならない。ぜひ、そういう方にお願いしたい」
──中国の軍事的挑発は目に余る
「東シナ海上空の一方的な防空識別区(圏)設定や、尖閣諸島周辺の領海侵入に対しては、『日本の領土・領海・領空は、断固として守り抜く』という決意で、毅然かつ冷静に対処していく。一方で、日本と中国は切っても切れない隣国であり、日中関係は最も重要な2国間関係の1つといえる。戦略的互恵関係という原点に戻って、課題があるからこそ首脳同士が話し合うべきだ。私は常に対話の扉を開けている」
──韓国も難しい
「日韓関係も極めて重要だ。自由と民主主義、資本主義経済という普遍的価値を共有している。両国間には、約550万人もの相互訪問がある。困難な問題があるからこそ、やはり条件を付けずに首脳同士が直接会い、胸襟を開いて話し合うべきだと考えている」
──北朝鮮情勢はどう見るか
「金正恩(キム・ジョンウン)国防第1委員長(朝鮮労働党第1書記)を中心とした体制の基盤固めが進んでいるとみている。叔父の張成沢(チャン・ソンテク)前国防委員会副委員長の粛清が、今後、北朝鮮内部にどのような影響を与えるのか、関係各国と連携しながら情報収集している。少しでも変化があり、拉致問題解決に結びつくなら、そのチャンスは逃してはならない」
──年末年始の予定は
「元旦は宮中へ参内するが、それ以外は、妻と都内のホテルでゆっくりする予定だ。景気が良くなったせいか、予約がなかなか取れなくて困った。読書やDVDを観てリフレッシュしたい」
──どんな本を読むのか
「塩野七生氏の『皇帝フリードリッヒ二世の生涯』に挑戦したい。上下巻でかなり読み応えがありそうだ。最近では、東野圭吾氏の『祈りの幕が下りる時』を読んだ。推理小説は寝る前にちょうどいい。仕事につながるものは、眠れなくなるからよくないね(笑)」
──DVDは何を
「米国のリーガル・サスペンス『ダメージ』はよくできている。米CIAを舞台にした心理サスペンス『ホームランド』も面白い。内閣情報官にも推薦しておいたよ」
──健康維持のためのスポーツは
「ゴルフとジムかな。ゴルフにはいろいろ批判もあるが、郊外に出て、美しい自然の中で体を動かすのは気分転換になる。予算委員会が続くと、だんだん体重も増えてくるからね。2016年のリオデジャネイロ五輪から、ゴルフは正式種目に復活するから、堂々とできるかな」
──14年はソチ冬季五輪とサッカーブラジルW杯がある
「もちろん、すべての日本選手を応援している。中でも注目したいのは、冬季五輪では、女子フィギュアの浅田真央選手や、スキー・ジャンプ女子の高梨沙羅選手。サッカーでは、ACミランに移籍した本田圭佑選手や、マンチェスター・ユナイテッドの香川真司選手のプレーを見たい。もっと日本を元気にしてほしいね」
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