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大槌町の小鎚川沿いにある奥まった住宅地。町中心部のような荒涼とした景色が広がっているわけではないが、ここにも東日本大震災の大津波の爪痕がある。
78歳の一人暮らしの男性の自宅は辛うじて残ったが、1・4メートルも浸水。大規模半壊と判定された。修復してようやく落ち着けるようになった家で男性は語り始めた。
「戦争中は食べることで精いっぱいだった。そのときと同じような息苦しさを感じている」
10歳で終戦を迎えた。育った宮古では、燃料不足のため子どもたちまで松根油をつくる松の根を掘る作業に駆り出された。釜石が受けた艦砲射撃の音にも震えた。
「特定秘密保護法の成立で急激に空気が変わってきた。あの時代に戻るような雰囲気が怖い」
男性が語る「嫌な感じ」は杞憂(きゆう)ではない。
特定秘密保護法をはじめ、靖国神社参拝、武器輸出三原則の緩和など、右旋回の動きが一気に進んできた。集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈の変更、憲法改正も視野に入れている。
安倍晋三首相は憲法改正は急がない考えだが、外堀は着々と埋められつつある。その一つが特定秘密保護法だ。国民主権や三権分立の空洞化につながり、実質的な改憲への一歩ではないか。
自民党の憲法改正草案は、表現の自由を定めた21条に「公益及び公の秩序を害することを目的とした」活動と結社を禁じる2項を加えた。
政府の方針とは違う表現活動や集会、デモにも規制がかかりかねない。石破茂幹事長が秘密保護法反対のデモを「テロ行為とその本質においてあまり変わらない」と批判したのは、本音を鮮やかに示すものだった。
草案では「公益及び公の秩序」があちこちに出てくる。個人よりも国家を優先するという思想が特徴だ。
「戦争中と大震災後がどうしても重なる」と男性は言う。被災地が取り残されている。個人の幸福が大事にされていないと思うからだ。
「東京五輪は6年後と決まっているのに、復興が何年後になるか見えない。それどころか人材や資材不足で復興はさらに遅れるだろうな」。近所の人と話すとこんな言葉が出てくる。
「今の政権は口を開けば愛国心や道徳と言う。でもね、あれだけの災害で暴動も起きずに整然と行動した。今さらそれ以上のどんな道徳が必要だと言うんだ」
わが国は複雑で選択が難しい課題が山積している。岐路に立つ国の未来をどう考えていけばよいのか。立ち止まって考えたい。
(村井康典)
(2014.1.1)
http://www.iwate-np.co.jp/ronsetu/y2014/m01/r0101.htm
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