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大阪維新の会代表の橋下徹大阪市長と朝日新聞の衝突は長期戦に入っている。橋下氏は「トップである僕に聞くなら、朝日も社長に来てもらって」と現場記者の取材を政務に関しては拒否する姿勢を崩さない。この闘いは越年しそうだ
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20131231/plt1312311031000-n1.htm
2013.12.31
【関西の議論】
大阪維新の会代表の橋下徹大阪市長が、朝日新聞に対する「敵意」を燃やし続けている。9月の堺市長選で投開票日直前に政党広告の掲載を拒否されたとして政務に関する取材を拒否。朝日側は事態打開のため「私たちは権力者に対して取材する立場」などと取材を仕掛けたが、橋下氏はときには沈黙で、ときには「社長を連れてきて」などと返り討ちにした。これまで自身の慰安婦発言、子会社が発行する週刊朝日の連載などをめぐり衝突を繰り返してきた橋下氏は「朝日に表現の自由を語る資格はない」と怒りを募らしており、両者の闘いは年を越しそうだ。
■同じ質問…朝日「NG」他社には雄弁
「市政に関係ないので朝日には説明しません」
11月8日夜、橋下氏は市役所を退庁する際の囲み取材で、審議中だった特定秘密保護法案への見解を尋ねる朝日記者を冷ややかにはねのけた。
「では聞きますが、どういうご意見ですか」
民放の記者が後を引き継ぐと、何事もなかったかのように「僕は原則、秘密は嫌ですね」と雄弁に語り始めた。
囲み取材には報道機関約10社の市政担当記者が参加し、次々と質問を飛ばす。そんな中で、橋下氏は朝日記者が挟み込む政務関連の質問をしっかりと分別し、「答えません」を貫いた。
発端は9月に行われた堺市長選。大阪市と大阪府を再編する大阪都構想への堺市の参加が争点となり、都構想推進を掲げる維新は「大阪都の設計図を一緒に創りませんか」などと書いた広告を各新聞に掲載していた。この広告をめぐり、橋下氏と維新幹事長の松井一郎大阪府知事の怒りは沸点に達した。
「(内部告発者から)橋下嫌いの幹部が強引にキャンセルしたと聞いた」
維新の候補者が落選した夜、橋下氏と松井氏は記者会見で突如、朝日批判を始めた。橋下氏は掲載が仮契約まで進んでいたのに突然拒否されたと主張し、取材拒否を宣言した。
「(朝日が)説明責任を果たすまでは僕らも(取材に)応じるわけにはいかない」
■「話をする相手ではない」駆けつけた編集幹部をばっさり
朝日側はすぐさま、橋下氏の「幹部が強引にキャンセルした」との主張を否定。「堺市長選の投票日が差し迫った時期に、複数回掲載することは、投票を読者に呼びかける『選挙広告』となる恐れがある」として掲載を見送ったことを説明した。
しかし、橋下氏は過去の選挙で朝日が他党の広告を投開票日直前に連続して掲載していたと主張。「説明は不十分」と受け入れず、「朝日新聞に表現の自由を語る資格はない」「朝日新聞はアンフェアすぎる」と舌鋒を強めた。
膠着状態にしびれをきらしたのは橋下氏の取材を担当する朝日の現場記者と、デスクとみられる編集幹部だった。10月18日夜、2人は退庁時の囲み取材で論戦をしかけた。口火を切ったのは記者だった。
「極端な話だが、すごくお金をもっている政治団体がいて、政党の広告を選挙期間中、毎日載せてくれと。そういう場合でも載せないといけないのか」
唐突感のある質問に現場に戸惑いが広がる中、橋下氏は「ルールを明確化しないとダメ。朝日新聞の誰の判断で、どういう手続きで(維新の広告掲載拒否を)判断したのか教えてほしい」と切り返し、「トップである僕に聞くなら、朝日も社長に来てもらってください」と突き放した。
編集幹部がすかさず「橋下さんは権力者。私たちは読者の代表として、権力者に対して取材する立場」と応戦したが、橋下氏も譲らなかった。
「僕は市民の代表、国民の代表だ」「(編集幹部は)話をするカウンターパートじゃない」
■朝日の論調を逆手に強烈カウンター
橋下氏と朝日は常に対立を繰り返してきた。今年5月の慰安婦発言をめぐり、橋下氏と朝日記者が囲み取材で激論。朝日記者が「私たち新聞記者は記事を書くときに言葉の細かい意味にこだわる」と詰め寄ると、橋下氏は「僕は何も用意せずにここで話している。揚げ足をとるのではく文脈でしっかり判断しろ。朝日は最低だ」と怒り、一時的に囲み取材対応を打ち切る事態になった。
昨年、橋下氏の出自に関する連載を掲載し、社会的に批判を浴びた週刊朝日が今年4月、「賞味期限切れで焦る橋下市長」とする記事を掲載したことも火種となった。橋下氏の怒りの矛先は発行元の親会社である朝日に向かい、ツイッターでは朝日の論調を逆手にとって皮肉った。
「日本国は謝り続けろ、アジア諸国に配慮しろ、傷つけた相手には配慮しろ、いつも言っているじゃないか。自分たちのことでも実践しろよ」
政治的な価値観、信条で埋めがたいギャップのある橋下氏と朝日はテーマを変えながら対立を綿々と続けてきた。因縁の構図は年をまたいでも揺るがなそうだ。
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