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http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2013/12/post-42c7.html
2013年12月30日
(図は神州の泉が東京新聞さんの記事と図を参考にして描いた。ワイングラスを積み重ね、トップグラスにワイン(企業利潤)を注ぎ込んだ時、そのおこぼれは首尾よく下のグラスに落ちるのか?というイメージ。)
2013年11月17日付の東京新聞に、「トリクルダウン」について、興味深い対論が掲載されている。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/economic_confe/list/CK2013111702000198.html
そのタイトルは「【ザ・闘論】企業が富めば国民も豊かになるか?」というもので、こむずかしい理論ではなく、賛否両論とも噛み砕いた、読みやすい説明になっている。
安倍政権が打ち出している成長戦略の欺瞞(ぎまん)を理解するには、臂臑に役立つ対論となっている。
冒頭の説明を抜き書きする。
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「世界一、企業が活動しやすい国」を掲げる安倍晋三首相の経済政策の全体が鮮明になってきた。政府は国会に国家戦略特区法案など規制緩和を進める法案を提出した。
金融緩和や公共事業と併せ、企業のもうけを増やすことで富のしずくを中低所得者層まで浸透させるという。
本当に企業が富めば国民は豊かになるのか。国際基督教大の八代尚宏(やしろなおひろ)客員教授と日本総合研究所の藻谷浩介(もたにこうすけ)主席研究員が徹底討論した。(石川智規、須藤恵里)
【反対】賃金抑制の悪循環続く 藻谷浩介さん
【賛成】規制緩和で雇用増える 八代尚宏さん
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当該記事には、トリクルダウン・セオリーなる言葉は一度も出ていないのだが、タイトルの「企業が富めば国民も豊かになるか?」という含意はトリクルダウンの話そのものだ。
藻谷浩介氏は下記のように語っている。
(引用初め)
藻谷 企業のもうけが全体に行き渡るという発想は就業者が減り続け、富裕層が消費しない日本では絵空事です。生産年齢人口(十五〜六十四歳の人口)は、一九九五年のピークから六百万人以上減っている。今年は自然体なら就業者は過去最大の四十万人以上減る計算です。企業は「生産性向上」と称しコスト削減を重視して、退職者数に比べ新規採用を絞っている上、賃金も抑制しているので賃金総額は減り、消費や国内総生産(GDP)も減る悪循環が続いています。株高でもうけた富裕層も金融投資を上積みしているだけです。
八代 ――略――
藻谷 しかし、成長戦略の「第三の矢」は自由化を徹底する政策から、国家主導の産業振興まで両極端の主張がミックスされて同じ船に乗っている。へたをすれば、規制緩和しちゃいけないところを緩和し、市場に任せるべきところに政府が介入する「悪いミックス」になりかねません
(引用終了)
藻谷浩介氏は「里山資本主義」という素晴らしい考え方を説いているだけに、トリクルダウンの欺瞞性を見事に言い当てている。
百科事典ウィキペディアによると、トリクルダウン理論(トリクルダウンりろん、trickle-down theory)とは、「富める者が富めば、貧しい者にも自然に富が浸透(トリクルダウン)する」とする経済理論または経済思想であると書かれている。
これは理論というような大げさな感じはしないが、富裕者をますます富ませれば、富裕でない者たちにも、そのおこぼれがしたたり落ちて、やがては全体が益するという理屈である。
トリクルダウンのイメージは、ワイングラスを三段重ね位にして、トップのグラスになみなみとワインを注げば、溢れた液体が下のワイングラスに注いでいくというものである。
これは純粋な器でやれば、溢れた液体が物理的に下のグラスに落ちて行くが、このワインが企業利潤を表すとすれば、溢れ出た液体は企業側の裁量によって、下にこぼれる前にどこかへストレージ(貯蔵)されてしまうと考えたほうが現実的である。
それは内部保留金とか、設備投資のための準備金とか、他には知られていない投機資金に使われるのか分からないが、下の階層にしずくが向かう前に、中間でどこかへ行ってしまうというのが現実だろう。
富裕層が嘘のトリクルダウンを吹聴するのは、再配分を防ぐためである。
再配分は富裕者層の利権構造を破壊する。
だから彼らは既得権益保持のためにトリクルダウンという幻想を振りまくのである。
この富裕者を、日本の大企業、そして多国籍企業(外資)に置き換えてみると分かりやすい。
安倍首相は、世界一企業が活動しやすい社会づくり、国づくりには規制緩和をバンバンやって投資を活発に行うことだと単純明快に述べている。
だが、はたしてこれは本当のことなのか。
アベノミクス第三弾、成長戦略に見えるのものは、経済界やグローバル資本の要請に沿った、改革に見せかけた新自由主義路線である。
これに公共工事の振興や国家戦略特区の規制緩和最優先策などは、政府主導となっているから分かりにくい面がある。
国家の経済介入という側面で見れば、明らかに成長戦略はケインズ政策であり、政府が有効需要を作り出そうとしているように見える。
だが、国家戦略特区法や産業競争力強化法の内実を読み取れば、これらは国民生活の防衛や福祉の充溢などとは正反対の典型的なネオリベ政策になっている。
どんな理屈をこねようとも、企業の都合による雇用の打ち切り(解雇規制の緩和)、混合診療への道、農業や漁業の企業化、フリードマンの思想に適った教育の民営化、介護保育の企業化、外資のための都市再生化、電力などエネルギーシステムの民営化、インフラ等の民間開放(PFI/PPP等)等は、判で押したような新自由主義政策である。
また、同時に進められている行政改革の中には、小泉政権とゆかりが深く民主党政権ではネオリベ事業仕分けを指導したロバート・フェルドマン氏がとんでもないことを言っていた。
○外国法規に基づく教育・金融・法律・医療機関等の認可の推進 【フェルドマン】
何でこの日本で外国法規を認可しなければならないのか唖然とする。
フェルドマン氏が、堂々と犯罪的な内政干渉を提言していることは信じがたいことではあるが、これはほんの一端で、安倍政権が大掛かりに着手している成長戦略は、全体像が多国籍企業に遠隔指令された日本改造(=ネオリベ的な改悪)なのである。
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