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2013年12月28日
安倍晋三首相の靖国神社参拝について日本弁護士連合会の山岸憲司会長は26日、「参拝は憲法に違反し遺憾」とする主旨の談話を発表した。
それによると、今回の参拝は公用車が使われ、国から給与が支払われている秘書官が同行し、内閣総理大臣の肩書で記帳、献花したことから、「内閣総理大臣として行われた公式参拝と評価せざるを得ない」という。
わが国の基本をなす憲法は、平和主義とともに政教分離の原則を掲げ、政治と宗教の厳格な分離を掲げている。宗教団体が国から特権を受けたり政治上の権力を行使することはもちろん、国や関連機関のいかなる宗教活動も禁じている。そして、宗教組織や団体に対する公金の支出もいっさいできないことになっている。
こうしたことから、談話では「国政の最高責任者である内閣総理大臣が、その地位にあるものとして一宗教法人である靖国神社に公式参拝することは、同神社を援助、助長、促進する効果をもたらすものとして、国の宗教活動を禁じた憲法20条3項の精神に悖ることは明らかである」と批判し、遺憾の意を表明している。
内閣総理大臣には憲法尊重擁護義務(憲法99条)が課せられているが、衆参選挙の一票の格差問題放置に続き靖国参拝でも「違憲」問題が浮上しそうだ。
談話の全文はこちら。
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2013/131226.html
内閣総理大臣の靖国神社参拝に関する会長談話
安倍晋三内閣総理大臣は、本日(12月26日)、広く報道される状況下において、靖国神社に参拝した。公用車を使用し、秘書官を同行し、内閣総理大臣の肩書で記帳及び献花をしたもので、このような形で行われた参拝は、内閣総理大臣として行われた公式参拝と評価せざるを得ず、誠に遺憾である。
日本国憲法は、平和主義とともに、制度的保障の一つとして政教分離の原則を掲げている。政教分離原則は、政治と宗教の厳格な分離を定めたものであって、宗教団体が国から特権を受け、又は政治上の権力を行使することを禁じ(憲法20条1項後段)、国及びその機関のいかなる宗教的活動を禁じ(同20条3項)、宗教上の組織若しくは団体に対しての公金その他の公の財産の支出を禁じている(同89条前段)。
国政の最高責任者である内閣総理大臣が、その地位にあるものとして一宗教法人である靖国神社に公式参拝することは、同神社を援助、助長、促進する効果をもたらすものとして、国の宗教活動の禁止を定めた憲法20条3項の精神に悖ることは明らかである。
内閣総理大臣は、憲法尊重擁護義務(憲法99条)を負い、政教分離等の原則をはじめとする日本国憲法を遵守し、さらにその実現に力を尽くすべき義務がある。しかるに、国政の最高責任者である内閣総理大臣が、政教分離原則に反して靖国神社に公式参拝することは、このような憲法上の各義務にも違反するものである。
当連合会は、憲法を擁護すべき立場にある法律家団体として、これまでも、内閣総理大臣の靖国神社参拝に関する憲法上の問題点を指摘してきたところであるが、憲法違反をもって問責されるべき内閣総理大臣の行為に対し、ここにあらためて遺憾の意を表明する。
2013年(平成25年)12月26日
日本弁護士連合会
会長 山岸 憲司
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