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靖国神社は1869(明治2)年、明治政府が戊辰戦争での官軍の戦死者を弔うため、東京招魂社の名前で創建された。その後、靖国神社と改称。日清、日露、日中戦争などの戦没者がまつられていった。
国のために命を捧げた軍人らは「英霊」とたたえられ、太平洋戦争でも兵士たちは「靖国で会おう」と死んでいった。現在は250万近い人がまつられる一方、原爆や空襲で死んだ民間人や、官軍と戦った旧幕府側や明治政府に反抗した西郷隆盛らは対象外だ。
日本が独立を回復した1952年以降、吉田茂首相ら歴代首相はほぼ毎年のように参拝を続けていた。が、75年に三木武夫首相が初めて8月15日の終戦記念日に参拝。公人か私人かなどをめぐり、憲法20条の「政教分離原則」との関係でクローズアップされる。
中国や韓国が批判の声を上げたのは、85年に中曽根康弘首相が公式参拝したのがきっかけだ。78年には東条英機元首相らA級戦犯14人が合祀(ごうし)されており、「侵略戦争を正当化している」として反発した。
中曽根氏の公式参拝は、「政教分離原則に反する」として国内でも議論を巻き起こした。憲法に反するとした訴訟が相次ぎ、92年の大阪高裁などで「違憲の疑いがある」との判断が出ている。2004年の福岡地裁や05年の大阪高裁の判決(いずれも確定)は、小泉純一郎元首相の参拝を職務行為と認定したうえで違憲と判断している。
戦後、参拝を続けていた昭和天皇は、A級戦犯が合祀されて以降は参拝していない。1988年に昭和天皇が「或る時に、A級が合祀され (中略)だから私(は)あれ以来参拝していない それが私の心だ」と語ったとする、当時の富田朝彦宮内庁長官が記したメモが見つかっている。現在の天皇も89年の即位後、一度も参拝をしていない。
靖国神社は戦後、宗教法人となり、政教分離の規定から国が関われなくなった。政府は59年、宗教色のない千鳥ケ淵戦没者墓苑を設立。太平洋戦争で海外で死んだ軍人らのうち、引き取り手のない約36万人の遺骨を納めている。
■靖国神社をめぐる歴史
1869年 東京招魂社が創建
1879年 靖国神社と改称
1945年 太平洋戦争終戦。靖国神社が戦没者を一括合祀(ごうし)。連合国軍総司令部(GHQ)が国家神道の廃止を打ち出し、靖国神社も一神社の扱いに
1952年 講和条約発効で、独立回復
1959年 千鳥ケ淵戦没者墓苑が完成
1975年 昭和天皇が戦後8回目の参拝。以後、天皇の参拝はなし
1978年 靖国神社がA級戦犯14人を合祀
1985年 中曽根首相が8月15日に公式参拝。翌年から見送り
1992年 宮沢首相が参拝
1996年 橋本首相が参拝
2001年 小泉首相が就任し、8月13日に参拝。以後、06年まで毎年参拝
2013年 安倍首相が参拝
http://digital.asahi.com/articles/ASF0TKY201312260540.html?iref=comkiji_redirect
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