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オバマ政権の警告を無視する形で靖国神社を参拝した安倍首相の目には戦争ビジネスとネオコン
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2013.12.26 櫻井ジャーナル
辺野古埋め立ての問題で沖縄県の仲井真弘多知事を屈服させた翌日、安倍晋三首相は靖国神社に参拝した。発表された談話の中で「今日この日に参拝したのは、御英霊に、政権一年の歩みと、二度と再び戦争の惨禍に人々が苦しむことの無い時代を創るとの決意を、お伝えするためです」と主張している。これはIOC(国際オリンピック委員会)の総会における発言並みの大嘘だ。
IOC総会で安倍首相は「汚染水による影響が福島第1原発の港湾内0.3平方キロメートルの範囲内で完全にブロックされている」としたうえ、「健康問題については、今までも現在も将来も全く問題ないということをお約束いたします」と言い切っている。全く事実に反していることは世界的に知られている話だが、そんなことを気にしないところが彼の恐ろしさ。
安倍首相は国内でファシズム化を推進、国外では軍事行動を積極的に展開しようとしている。今年9月にアメリカのハドソン研究所で行った演説の中で、右翼の軍国主義者と呼びたいなら呼べと発言したことにも、彼の心情が表れている。後日、安倍首相は「皮肉」だったと弁明したらしいが、「開き直り」と言うべきだ。「中国、韓国の人々の気持ちを傷つける」ことを意図していると言われても仕方がない。
このハドソン研究所は1961年にハーマン・カーンが創設したネオコン(親イスラエル派)のシンクタンク。カーンは1970年代に日本をおだてる発言をする一方、日本の中にネットワークを築き始めている。
ここでは2011年12月に石原伸晃が講演、その際に尖閣諸島を公的な管理下に置いた上で自衛隊を常駐させ、軍事予算を大きく増やすべきだと発言している。また、TPPにも好意的な姿勢を見せていた。
安倍首相の演説はハーマン・カーン賞を受賞したことを記念してのもので、その冒頭、その受賞者を列挙している。つまり、ロナルド・レーガン、リチャード・チェイニー、ヘンリー・キッシンジャー、ジョージ・シュルツ。
憲法の機能を停止させる目的でCOGプロジェクトを始め、核戦争も辞さない姿勢を見せていたレーガン、軍事侵略を指揮したチェイニー、チリの軍事クーデター、カンボジアへの「秘密爆撃」を実施、イスラエルを擁護してきたキッシンジャー、新自由主義の教祖的な存在になっているミルトン・フリードマンと親しく、ベクテルの副社長にも就任しているシュルツ。戦争ビジネスとシオニストが浮かび上がってくる。
中東/北アフリカ情勢を見ても、ホワイトハウスの内部で権力抗争が起こっていることが推測できる。リビアに続き、シリアやイランを攻撃すべきだと戦争ビジネスやシオニストの代理人が叫ぶ中、バラク・オバマ政権は話し合い路線に舵を切った。
そのオバマ政権は安倍首相が靖国神社を参拝したことについて、日本の指導者が近隣諸国との関係を悪化させるような行動を取ったことに失望しているとするという声明を出している。かつて日本に侵略された中国や韓国が反発しているだけではない。
菅義偉官房長官はアメリカ政府の反応について「首相の参拝の趣旨がわからないなかでのもの」だと語ったらしいが、10月3日にジョン・ケリー国務長官とチャック・ヘイゲル国防長官が「千鳥ヶ淵戦没者墓苑」を訪れて献花しているわけで、安倍首相はオバマ政権の意向を十分に理解した上で靖国神社を参拝したのだ。つまりオバマ政権に対する挑戦。
現在、オバマ政権で主導権を握っている勢力は東アジアで軍事的な緊張が高まることを望んでいないが、戦争ビジネス/ネオコンは戦乱の拡大を目指している。アメリカ軍の東アジアシフトを2000年の段階で主張していたのもネオコン系のシンクタンク、PNACだった。
アメリカ国務省は特定秘密保護法について、情報の保全は同盟関係において重要だとする一方、表現の自由、報道の自由を大切にしなければならないとしているようだ。アメリカではジョージ・W・ブッシュ政権から憲法の機能停止、監視システムの強化、侵略戦争という流れになっているが、その国から見ても日本は異常に見えるに違いない。
一時期、オバマ政権は東アジアの軍事的な動きを軽視していた。中国が防空識別圏を設定した理由のひとつはオバマ政権へのメッセージ、つまり戦争ビジネス/ネオコンを放置しておくなという意思表示だったのだろう。その懸念が現実のものになっている。
安倍政権は中国や韓国だけでなく、アメリカの反発を予想した上でファシズム化を促進し、周辺国を挑発している。その背後にアメリカの戦争ビジネスやネオコンがいることも確か。アメリカは「アメリカ」と同盟しようとしているのではなく、好戦派に従属している。かつて、日本がナチスと手を組んだことを思い起こさせる。
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